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「ディーン、君がいた瞬間(とき)」(2015)

イメージ 1ディーン、君がいた瞬間(とき)」(2015
20160206
エデンの東」の公開前、まだ無名のデイーンにスター性を見出した写真家デニス・ストックが彼を追いかけ、ロサンゼルス、ニューヨーク、彼の故郷インデイアナまでの2週間の旅で生まれた友情のなかで、デイーンの人間性とデニスの撮り方が出来上がっていくさまが描かれています。
J・デイーンのあの物憂い表情は演技なのか彼なのかと、この作品を観に行きました。この作品のなかのデイーンは、演じるデイン・デハーンの喋り方、仕草が映画のデイーンそっくりで映画のなかのデイーンは真実のデイーンだったんですね! デイーンの感情がよく描かれた作品だと感じました。
壊れそうな繊細さを持つデイーンがハリウッド映画に抗う姿、自分の運命を知っていたかのように故郷に帰りたがるデイーンをみていると、最終作「ジャイアンツ」で彼の演じるジェット役が彼の人生であったように思われます。24歳の人生は惜し、悔しい。再度デイーンの作品を観たくなります
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物語は、
マグナム・フォトに所属する写真家デニス・ストックが、デイーンとの旅の最後に「旅立ちの一枚を撮ってくれ」と頼まれ、ロサンゼルスのラジオ局による「I`m Wild About You Baby」が流れるなかで、撮った写真を現像しているシーンから回想に移りニコラス・レイ(「理由なき反抗」監督)のパーテイ会場に彼が現れるシーンから物語が始まります。イメージ 2
パーテイーで、ストックは、レイに会うと「次は『理由なき反抗』を撮る。ヒロインはナタリーウッドだが主演者はまだ決まっていない」と彼を軽くあしらってナタリーと奥へ消えて行く。彼は、カウンターにラフな服装でいるデイーンに「所属はどこか」と声をかけられる。「雇われ写真家ではない、自分でテーマを決めて、LIFE誌に売っている」と答え、「エデンの東」の感想を聞くと、「あれは涙もののハリウッド映画だよ」とそっけなく答えるが、まともなカメラマンと知ってか興味を持って、「妻はいるのか、恋人は」と個人的なことを聞き、「そのうちニューヨークに行」くという。その後、デイーンはバイクで恋人ピア・アンゼリーを訪ね愛し合うことに。

ストックは事務所のLIFE誌で「『波止場』のエリア・カザンが次はデイーンで撮とる」という記事を読み、この男を撮りたいという意欲に駆られマグナム・フォトのニューヨーク支局長に電話し「デイーンのフォト・エッセーを撮りたい」と掛け合うがそんな男は知らないと断られる。が、熱心に彼を説得しLIFE誌に持ち込むとの約束を取り付ける。デニスはデイーンに早速電話するが、警戒され一方的に切られてしまう。
翌日、「エデンの東の試写会の記者会見でデイーンを取材。彼は「活躍の場が映画か舞台どちらか」「何を演じたいか」などと質問を受けてそれなりに応えていたが、当時のヒット作「西部の掟(1954」の所見を求められ、小馬鹿にした発言をする。このことで、ワーナー社のオーナーに呼び出され、「余計なことを喋るな。『理由なき反抗』出演は駄目になるぞ!しっかり『エデンの東』のプロモに励め」と叱責され、彼はこのキャステイングが得られるかと大いに気を揉む始める。

その夜のデイーンは「スター誕生」(1954)のプレミアムで、恋人のアンジェリーをエスコートしてレッドカーペットを歩くが、すでにスターの彼女の“お連れ“という扱いにうんざりしているとカメラマン列にいたデニスと目線が合う。デニスは「いい写真撮ろうや」と声をかける。これに応えるように、デイーンはアンジェリーを残しニューヨークに行ってしまう。

デニスのもとに、デイーンを知っていたLIFE誌から、「『エデンの東』のプレミアムのことなら」と掲載の許可がでる。しかし、「期日は2週間だ」と指定する。すぐに、ニューヨークへ帰ったデイーンを追いかけ彼のアパートを訪ねるが留守居を使われてしまう。仕方なく離婚した妻と息子に会いに行くが、妻は拒否、息子も会いたがらない。失意のなかで、デイーンとところに行き「LIFEに乗せたい」と申し出ると、理髪店で髪を切る姿のみの撮影の許可が得られる。エデンの東」の記者会見で、デイーンには映画の質問はほとんど無かったが、ピアとヴイック・ダモンの電撃結婚についての感想を求められ、彼はこのことを知らされておらず「ただの恋愛ごこだった」と思い付きの言い訳で大失態を演じる。「LIFE誌に載れば見返しできる」とのデニスの説得で、彼をニューアクターズスタジオに案内、夜はバーで飲み、この際ベンゼドリンを飲みトイレで吐くという騒ぎを演じる。相当精神的な落ち込みを見せる。
デイーンは、翌日マネージャーから、「理由なき反抗」のキャステイングが貰えないぞという注意を受ける。
デニスは、上司のところにこれまでに撮った写真を持って行くと、「こんな酔っ払いの写真では売れない、マーロン・ブランドについて日本に行き「八月十五夜の茶屋」のスチール撮影でも撮ったらと勧められ、この仕事を金のために引き受けようと決める。

翌朝、タイムススクエアで別れを告げるデニスに、「何故写真を始めた?」とデイーンが問うてくる。デニスは自分の過去、父親が死んで16歳で海軍に入り、独学でカメラを覚えと苦しかった孤独な生い立ちを話すと、デイーンはデニスに関心を示し、「写真はそこにいたという記録になる、ここに居た記録だ、インデイアナに行こう」と雨の中に駈けだす。デイーンは雨の中で”いいか”と聞いてシャッターを切る。この一枚が、のちに有名になるコートの襟を立てて歩く孤独は姿のデイーン。イメージ 3
インデイアナへの列車のなかで、デイーンは自分の生い立ちを話す。子供の頃母親を失い、インデイアナの農場で育ち、演劇を志してアクターズ・スタジオで学び、いろんな役を演じたこと・・。
お祖父ちゃんが出迎えに来ていて、家に着くとお祖母ちゃんが泣いてデイーンを抱擁、小さな従弟が居て、皆で食事をする。牧場生活を愛おしむように過ごすデイーン。ボンゴを叩いたり従弟に絵本をセリフを練習するように読み聞かせる。誕生日を祝い、次は大作だと喜ぶ。しかし、デニスはこのデイーンの平凡な生活の何を撮ればいいのか戸惑っていた。イメージ 5
そんなある日、同窓生にパーテイーの誘いを受け、参加。とても気さくで、みんなに愛されるデイーンがそこに居た。
挨拶を求められ、故郷に感謝していること、自分のことは自分が一番よく知っていること、そして何もかもが早く変わって行くと話す。なにか、自分の短い運命を知っていたような挨拶です
別れの時に、デイーンは旅立ちの一枚を撮ってくれと言い残す。ここで、冒頭の最初の暗室のシーンに戻ります。
現像した写真をもって、デニスはデイーンの待つバーに。彼は「インデアナに行ってよかった。写真がよくできている」と喜び、これから「エデンの東」のニューヨークプレミアムに参加するという。
デニスはこの写真をLIFEに持ち込み、「難しい新星」4ページ記事に掲載が決まる。
デイーンのもとに、「理由なき反抗」のキャスト決定の知らせが入り、かれはプレミアム参加をボイコットし、飛行機でロスに発つ。
ジャック・ワーナーは「見つけてぶっ殺す」と怒りわめく。機上の彼は、「故郷に帰らねば、故郷に帰らねば」と呟く。
この旅の7か月後、サリナスで開催されるカーレースに向かう途中に自動車事故で急死。デイーンは24才の若さで逝ってしまう。早い、死が惜しまれます。
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