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「キャロル」(2015)

イメージ 1「キャロル」(2015)
20160211
東宝シネマ
1950年代の米ニューヨークが舞台。運命的な出会いを果たした女性二人が、ひかれ合い自らの生き方を模索する姿が描かれています。当時にあっては断禁の恋、今日では問題にならないことでしょうが、ここで描かれるのは、恋とは、そしてその生き方を問うていて、現在でも大切なテーマだと思います。
1950年代のニューヨークの雰囲気が再現された映像のなかで、美しいケイト・ブランシェットルーニー・マーラのすばらしい演技が観られるのは大きな魅力です。そしてストーリーはシンプルで流れるように展開、ちょっとミステリアスでもあり最後まで見せてくれます。
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物語は
冒頭、電車の音とともに駅から出る男を追って写しだし、当時のニューヨークの街を見せてくれます。この男は、レストランにいる二人、キャロル(ケイト・ブランシェットテレーズ(ルーニー・マーラのもとにやってきますが、テレーズの知り合いと知ってキャロルが席を外す、このシーンから、物語は回想に入り、人、車が流れるなかでクリスマスの贈り物にと店を探すキャロル彼氏に誘われた車の中から街を物憂げに見るテレーズが写し出され、当時の賑わい、百貨店、店員の働きぶり、街行く人のファッションなどクリスマス前の華やいだ空気が伝わってきて、また二人のこれからの関係を予想させる映像も含まれており、ここでのいろいろな映像の組み合わせ方がすばらしい。
イメージ 3マンハッタンにある高級百貨店のおもちゃ売り場でアルバイトをして働く若きテレーズ。フォトグラファーに憧れカメラを持ち歩く彼女は、恋人からの求婚を「その気はまだないわ」と言い、はぐらかしながら、充実感を得られないまま何となく毎日を過ごしていて、おもちゃに興味を示す、世間ずれしていない純粋な女の子。
そこに、金髪で高価な毛皮のコートを纏う優雅な人キャロル、4歳の娘リンデイへイメージ 2のプレゼントを探しに来たのだが、うっとり見つめるテレーズの視線にすぐの気付き、また一瞬にしてキャロルに憧れるテレーズとのシーンがすばらしいです
キャロルはプレゼントを一緒に選ぶとイブまでに届くように手配して去るが、テレーズはキャロルが忘れていった手袋、おそらくキャロルは故意にやったこと、おもちゃと一緒に彼女の自宅に郵送する。
するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる。御礼にランチに誘われたテレーズは、翌日、キャロルに指定されたレストランへと向かう。
お互いに自己紹介。愛のない結婚生活を送っているキャロルは、間もなく離婚することまで打ち上げる。そんなキャロルに「あなたは天から落ちたよう」とじっと見つめられたテレーズは、ときめきに頬を染める。
「家に来て」との誘いで訪れると、娘リンデイを慈しむ母親のキャロル、そして夫と云い争う姿を目にするが、キャロルはもうすぐ別れるから気にしないでと言う。

終末、郊外にあるキャロルの屋敷に紹介され楽しい時間を過ごしていると、当然別居中の夫ハージ―が現れる。クリスマスイブにリンデイを迎えにくる予定を、日程を早めてやってきたのだ。妻への未練を隠さないハージーは、無理やりにリンデイを連れて行こうとするのだが、離婚の意志に変わりはないキャロルは、頑なに拒絶する。

娘を連れ去られ、怒りと悲しみのあまり、ついテレーズに八つ当たりをしてしまうキャロル。険悪な雰囲気のまま別れ、泣きながらアパートに戻ったテレーズに、キャロルは「許してくれる?」と声を詰まらせて電話し「会いに行ってもいい?」と囁く。テレーズはこれを受け入れる。そしてテレーズの部屋で彼女の撮った写真を見て、すばらしいと褒め、彼女の気を引く。

翌日、弁護士に呼び出されるキャロル。何とか離婚を阻止したいハージは、リンデイの親権を共同から単独へと変更する申し立てを起こす。キャロルと親友の女性との恋愛関係?や、テレーズとの関係を理由に、母親としての適性に欠けると主張。ハージは元に戻らなければ、二度とリンデイには会わせないという考えのよう。キャロルは裁判所から、審問まで当分の間、娘と会うことを禁止されてしまう。

その夜、クリスマスプレゼントの高価なカメラを手に、テレーズのアパートを訪ねたキャロルは、審問が始まるまで、思いつくまま西に向かう旅に出ると語る。「よければあなたも一緒に」と誘われ、「ぜひ」と微笑むテレーズ。そしてふたりは旅にでる

旅の最初のモーテルで、親しげにテレーズに話しかける男に、キャロルは誰かと聞くがテレーズは知らない人だと。二人は別々のベットで物憂げに休む。
次の日、豪華なモーテルで、キャロルは、別々のベットで寝ようとするテレーズを誘い二人は愛し合うことになる。嫌味のないすばらしい映像でテレーズの表情がとても綺麗に撮っている。
次の日、キャロルがモーテルに着くと、管理人から電報がきていると聞き不信に思い拳銃を持って部屋に入ると男(テレーズに話しかけた男がいて、夫が雇った探偵であることが分る。
その夜のベットで、テレーズが別々に休もうとすると、キャロルが誘い、今日の出来事は心配しないでいいと慰める。
テレーズが朝起きると、キャロルはすでに立ち去っていて、彼女の代わりにやって来たのは彼女のかっての相手の女性で、彼女から「キャロルは子供のために、いままでの関係は御破算にする」と告げられる。

キャロルは弁護士と娘の親権についての話し合いで、弁護士が「あの頃は精神病を患っていたときの出来事であの恋愛沙汰は無効だ」という主張しようということに、「違う、わたしはそういう関係にあった、娘を渡してもいいが、面会できる権利が欲しい」と主張しテレーズとの愛を選択する。テレーズの気持ちを見極めるためにしばらく連絡を控え、テレーズの電話があっても出ないようにする。

一方、テレーズは、別れてもキャロルが忘れられず、思い切って電話をするが、切られてしまう。これを機会に部屋を塗り替え気分転換を図るが彼氏からの求婚にはキャロルのことが忘れられず悩む。彼氏から、写真にやわらかさがでて良いので個展をやったらと勧められ、これを機にニューヨークタイム社に勤め始める。
イメージ 4そこにキャロルから「会って欲しい」と電話があり、悩みながら指定されたレストランに。このシーンが冒頭の二人が会っているシーン繋がります。キャロルは席を外して、指定したクラブで待っていると、テレーズがやって来る・・・。

*マーラはこの役で29日に授賞式が行われる第88回アカデミー賞の最優秀助演女優賞、またブランシェットは最優秀主演女優賞にそれぞれノミネートされています。
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