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「女が眠る時」(2016)

イメージ 1「女が眠る時」(2016
この映画を選んだのは、映画「ペダルダンス」(2013)で高印象の忽那汐里さんを観たかったこと。「女が眠る時」という題名にも惹かれました。一体なんのことかと? 
作品はミステリー。海辺のホテルを舞台に、偶然出会った男女の私生活をのぞかずにはいられない主人公の異様な心象風景を描写したもので、妄想と大きな仕掛けがありおもしろい。特に、出演者の演技力と会話の面白さが際立っています。すべての会話が、ミステリーに引っかけてあって目が離せません。なかでもビートたけしさん、脇のリリーフランキーさんの演技、妄想を掻き立てる一言に注目です
忽那汐里さんは、これまでにない放縦な小悪魔な役柄で、妖しく、美しい、妄想のなかの女性をうまく演じ、すっかり大人になりました。小山田サユリさん(あおいさん映画「好きだ、」2006)でユウの姉)の体当たり演技は見ものです!!
 
物語は日を追って展開(見方の一例)
1日目、
清水健二(西島さん)は、デビュー作が好評を博し、2作目も出版されたが、その次がずっと書けないまま、もうダメかもしれないと思い、秋からは就職しようかなどとも考えている小説家。妻で雑誌社の作家担当女性社員綾(小山田さん)で、1週間の予定でリゾートホテルに滞在中。綾はさかんに健二に本を書けと急き立てるが、嫌気がしている様子。妻の指さすプールの向こうに(帽子の隙間から見ると)、異様な存在感の初老の男佐原(ビートたけしさん)と若くて美しい女性美樹(忽那さん)を見て興味を示す。
ビートたけしさんと忽那さんの組み合わせは異様な雰囲気です。だから・・・(笑)
健二は妻をベットに誘うが拒否され、あの二人の宿泊する部屋を見つめる。
2日目、
健二は、妻が近所に住む作家の家に出かけたあと、気になる二人を付けていくと、たどり着いたのは異様な雰囲気の「居酒屋」:店主飯塚(リリーフランキーさん)で、佐原と幼い美樹と両親が写っている写真を見つけ、飯塚に聞くがすべてが曖昧(妄想を生む)。イメージ 3
ここで飯塚の話すストッキングとタイツの違いの話し「男が好きなのはデニール4060」などと訳が分からないが、大きな伏線のようにも思える。これを話リリーさんの演技が冴えています。
夜になりあの部屋を覗くと、美樹のうなじの産毛を綺
麗に剃り、眠る姿を撮影している佐原の姿を見る。健イメージ 4二は、眠れずプールサイドを散歩していて佐原と初めて言葉を交わすが、「幼いころから10年も写真を撮っている。その都度上書きしている。あの子の最後の日を記録しようと思っている」を聞き恐怖を覚える。
3日目、イメージ 2
健二は、プールで泳いだあと、佐原たちと相席で朝食。美樹が皿いっぱいの朝のビュッフェを盛り付けたのを綾子が羨むと、「じゃもっとセックスすれば」と言い、佐原は「どんなに愛しているか、いつかこの子が裏切る日が来る」という。その後、部屋に呼ばれて、「若い娘が寝ているところを見たことがあるか」と言いながら、ビデを見せられる。写真は全て同じ姿勢で寝ていて同じように見えるが、側にいれば違いが判ると言う。あまりの異常さに部屋を出る。
その夜、美樹が健二を訪ねてくる。淋しげな眼をしていたが、近寄ると逃げていく。あの部屋を覗くと「殺さなきゃ耐えられない。愛に耐えられないなら殺したほうがいい。先に死しかないと思わないか。君には分からない、こうなることが分っていた」と独り激昂する佐原の姿を見て言葉を失う。
4日目、
妻が、これから先生のところに出かけるが、今日は台風がくるから早く帰る。一緒に食事をしようと言いながら、帽子がないという。何で台風の日に帽子か?
イメージ 5佐原と美樹が正装で出かけるのを見て、(健二の異常行動が始まる)佐原の部屋に侵入し、例のビデオを見る。ここに突然美樹が帰って来たので、ベッドの下に身を隠し、彼女が服を脱ぎすてシャワーを浴びる行動を見ている。と、佐原が帰って来て「約束したろ」と怒鳴り、二人で出かける。
綾の電話で、食事のためタクシーに乗ろうとすると突然美樹が乗り込んで来て行き先を告げる(健二はこれに付き合うことに)。ある場所に来ると、「待っていて欲しい」と言い「若い人か」と聞くが返事がない。待っていると泣きながら戻ってきて、行き先を“切り立った岬”と告げ、ここにやって来て泣き崩れる。健二は彼女をやさしく労わる。このあたりのはなし、訳がわからない。彼の妄想か? 美樹が健二の寝ているところにやってきて腕を撫でる。そこに佐原がいて剃刀を首にあて、「脳は朝、目覚める直前のわずかな数秒間で長いストーリーを夢として見させる」と言う。そして、美樹に「俺を殺したいと思っているだろう」と脅すが、美樹がこの剃刀を奪い大暴れをする。と、テレビに「行方不明の女性が・・・」というニュースが流れ、健二はこの事実を確認のためホテルに出かけると、そこで一緒にいる佐原と妻綾に出会い、妻を連れて自室に戻ると(健二の嫉妬で)壮絶な夫婦喧嘩になるが結果は激しいベッドシーンに。
5日目、
健二は、食事していると刑事(新井浩文さん)がやって来て美樹の失踪を告げ、事情聴取を受ける。「貴方が事件に係っていることは分っている。佐原さんが戻ってきたとき、貴方が居たと言っている。」「嘘を言う人は、“本当に信じて”と言うんだ。次の小説に生かしなさい」といい、ホテルの監視ビデオを見せられ写っている自分の行動を確認させられる。
健二は美樹の失踪を確めるために「居酒屋」店主飯塚を訪ね、この子(写真を示し)がと聞くと「この子は来なかった。この子の親も探しに来た」と言い、「やれるときにやれるオスはバカになるオス猫だ」と三毛猫の話をして「あの子の親も親友に裏切られることはなかった」と。そして、
「面倒くせえ女とか振り回す女とか追いすがるってのはオスの習性なのかね、あいつに似ている」と言う。・・・・・・・
 
佐原に会って、話を聞くと「あの子が変わるのは仕方がない。でも、私を裏切った」「彼女に何をした、奥さんは何をしている」と。
 
妻綾子が担当する先生(小説家)と会食。先生に「新作おめでとう、次の作品を期待している」と言われ、乾杯に妻は妊娠しているからと断る。むこうに佐原がいて、にやりと笑っている。
「夏、そこにあったと言う確認にたどりつくことはない!!」
 
妄想は、何時から始まったか。何が妄想で、何が現実なのかといろいろなとり方ができ、もう一度観たくなります。(笑)

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