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「モヒカン故郷に帰る」(2016)

20160409
沖田修一監督作品、そしてあおいさん絡みの松田龍平さん出演、故郷瀬戸内の物語、観にいってきました。笑いどころは満載ですが、その奥にあるどうしょうもない親父と息子の絆に涙です。何気ないセリフに笑い、いや意味深いセリフに亡くしたおばあちゃんを思い出しました。題名がちょっと・・、ですが、今の時代の家族とは何かを問う作品になっています。
冒頭松田さんのデスメタルバンドのボーカル、「NANA」の蓮でしたが、故郷に帰っての変化して行く演技。父親の柄本さんの脳天に達した演技、あっちゃんの脳天気な娘のリアルな演技は見応えがあります。
 
物語、イメージ 2
デスメタルバンドのボーカル永吉(松田さん)はモヒカン頭でライブハウスで歌うが、舞台裏では売れない彼らの不安「年金」の話、ここでもう笑えますが、家に帰ると妊娠中でつわり中の恋人由佳(前田さん)とコンビニ弁当を食べる。まっとうな長男としてしめし作るために広島の家族のもとに挨拶に行く。
親父治矢沢永吉崇拝で、いまでも中学校の吹奏楽部の顧問を務めているが部員が10名で集まらん、それに生徒が今一乗って来ない。理由は、曲が永吉だけで古いという。矢沢さんこれみて何と思うんでしょうかね。(笑)母春子(もたいさん)は広島カープの熱狂的フアン。さて、永吉らが帰って来ると、東京でなにやってるかと大喧嘩。その後で、飲めや歌えの大宴会。親父さんが倒れて緊急入院「全身転移の肺ガン」告知を受ける。
 
春子が動揺し台所で泣くのを見た由佳はネットで動画を見ながら鯵の三枚おろしでサシミ作り、これがとんでもない8枚おろし(笑)、しかし皆が美味しいと言って食べるが蔭ではふりかけを使って・・。
春子は由佳の料理ベタを知って「“めんつゆ”一本あれば料理の味はどうにでもなる」と教えます。そして由佳は「ネール」のはなしで春子の心を掴んでしまうという、これはすごいことで、もう嫁姑戦争はなくなりますね。(笑)
 
治が病院の屋上に出ると隣の学校の屋上で吹奏部が練習していて、ここから指揮棒をふると皆がこれに合わせてくれる。一人、できの悪い男子(野呂)がいるので後で指導することにする。
イメージ 3大勢の人が見舞いにやってきて、ちょっととトイレに。永吉が追っかけ屋上に出て二人でタバコを吸う。これって、親子ですね、肺がんのひとにタバコ。
治が「お前が優しうするとつれえ、もう東京に帰れや」と言う。(親は、子が仕事していれば安心できるんです。
治が野呂に特訓しようとすると、今日は「家族でかっぱ寿司」を口実に逃げ出す。永吉はこれを追っかけ車で家まで送ってやる。車中で自分の曲を大音響で聞かせ、俺は東京に帰ると言うと「そばにいてやるだけでいいんではないか」と生意気に言う。
イメージ 4 
永吉と由佳はフェリーで島を離れたが、野呂の「そばにいてやる・・・」に引かれて家に戻ってくると、春子はカープの菊池がサヨナラヒットと(戻ってきた)二人を見て「こんな嬉しいことはない」と大泣きをする。永吉はここで最後の親孝行をすることに決める。
 
永吉は実家の酒屋を手伝いながら、親父に「今のうちにやっておきたいこと、会いたい人は」と聞くと、「一杯おるう、えーちゃんに会いたい」と。
二人で墓参り。帰りに治が「ピザが食べたい」と言い出す。何故ピザかと聞くと「みんなで食べたウインナーの入ったピザ」だと言い、どこで買ったかと聞くと「安川の方だ」と。電話帳で調べると3軒の店(それぞれ島が異なる)があることがわかり、全ての店からウインナーの入ってるピザを注文して食べさせるが、親父はどれがかって食べたものか分らず無理して全部食べようとする。また、親父の指導する吹奏楽部に出向いて指揮し、携帯で演奏を聞かせるが、親父流では乗れないのでロック風で指揮すると一気に乗って来るが、親父は激怒し「お前帰れ、お前の気持ちはようわかった。優しゅうされると明日にも死ぬように思う」と叱るのでした。なかなか永吉の親孝行はうまくいかない。
そんななか、親父が倒れ失禁する。風呂で身体をきれいにし終わると「おかあちゃんには言うな、あとで心配するから」と言う。ここは泣けます。男同志にしか分からない絆が見えて泣けます。ここから、永吉の父親介護に対する本気度が見えてきて、顔が変わってきます。
イメージ 5 
腹の大きくなった由佳と呆け始めた親父を「車椅子」に乗せ、海辺の散歩に出かける。美しい瀬戸内の海辺です。治は永吉が準備した水(酒?)を飲んで、「お前は中学を出ても(音楽)続けよんか。続けろ、応援する。東京に行けや。東京に行ってビッグになって帰ってこい、そういう名にしたんじゃから」と語るのでした。永吉は「そうじゃねえ」と泣くんです
家に帰って白いスーツを着て(矢沢永吉さんになって)、呆けた親父に、「矢沢です」、握手、「矢沢会いに来ました。吹奏楽の演奏聞かせてもらいましたグレート!! ライブがあるんでこれまで」、「日本武道館で会いましたね」と治、感激し大声で泣く。矢沢さんになった松田さんはとても雰囲気があった。
これを聞いて春子が飛んできて、医者の往診を受け、「また泣いてしもうた、見たいのう、結婚式」に「いい結婚式にしよう」と治の最後の願いを叶えるべく、島民総出で、永吉と由佳の風変わりな手作り結婚式が始まる。イメージ 6
病院で実施することになり、当日雨のなか、治は救急車で運ばれ、ストレッチャーに正装で横たわり、二人の門出に参加。この日の永吉のモヒカンは見事で彼の決意が分るというもの。親父、その誓いの言葉に感激し・・・、逝ってしまいました。
 
二人は、母からのおみやげ「ほんだし」と父治の遺骨を持って、「ビッグになって帰って来る」と誓い母の「働け!!」を胸に島を離れ、永吉は船上で由佳のお腹に耳を当てて・・・。
笑って、笑って、しみじみ深い家族の絆に、感動です!!

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