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第18回「上洛」

第18回「上洛」
秀吉の威勢に疑念を抱いて上洛した父昌幸を懸命に支え秀吉に臣従し、家康の与力となることを受け入れるよう説得する成長した信繁が描かれる。ここで交わされる親子の情は、とても明るく、心の通じ合った家族ということがよく伝わる。ここにきて昌幸が一気に衰えたという感じがでて、淋しさを感じる。松との再会で見せる家族の温かさにほろりとさせられる。
 
○秀吉の上洛要請を訝る昌幸
秀吉の天下統一が目前になるなか、信繁からの文が届き、信幸は「これでよし、秀吉は父上を大名に取り立てる」と上洛を勧めるが「気に入らん。大名は力で取るものあいつの家来ではない、上洛せん」と昌幸。
 真田家に兼続がやってきて、「上洛しないと関白殿下は上田に攻め込んできましょう。日本の大半は秀吉に従っており、太刀打ちは出来ない。採るべき道は明らか、上杉を潰さないで欲しい」と早期上洛を催促する。上杉が真田を支援していると秀吉に睨まれることを心配しているようだ。
昌幸は「秀吉に従うこと、なんでこんな男に仕えねばならないのか。割に合わん。答えをださねば」と悩む。見かねたとりお祖母ちゃんが「ではこうしましょう、真田はこうして生きて来た、嘘でもいいから頭を下げましょう、下手にでて爪を隠して、秀吉に弱みがでたら寝首をかく、卑怯者で何故悪い」と提案する。
このとりばばの言葉、真田家の家訓とも言えるもので、悩める時には大きな指針になりうる。これで昌幸、決心がつく。家臣はこれに反対するが「頭下げても心は渡さん」と説得する。やっと信幸に安堵が見える。
昌幸が「秀吉の世がそんなには続かない。それまで待って、陰謀してもよい」と言うと「わしが明智光秀になってもいいぞ」と返す出浦。秀吉の実像を見ないうちはこんな感覚だったんだ。
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信繁は、踊りをよく見て癖を観察し、藤と名乗る踊り子に「あなたは姉の松だ」と説くが聞き入れない。出雲阿国に素性を聞いても答えがないが「3年ぐらい前に拾った。踊りが下手だからお弟さんなら幸い」を聞いて引き取ることにする。踊りが下手というのが面白い。(笑)
イメージ 7・秀吉が「太政大臣になった、信長を超えた」と大はしゃぎ。が、「うれしゅうはない。わしの目的は信長公の功績を引き継ぐだけだ。日の本をまとめるために官位がいる。時期がきたら返す」と嘯く。官位を欲しがる男だと思っていたが、実は国を治めるための方便であったわけだ。勲章を欲しがる軍隊は滅ぶという諺がある。秀吉は堅実な実務的武将のようだ。
信繁に「親父がくるぞ。滅ぼすかどうするか考えている」と茶化す。信繁が可愛くて仕方がないと言う感じ。
 
○昌幸の上洛イメージ 4
天正14年2月真田昌幸一向が大阪に到着。信繁は「兄上は関白殿下の力が分ると思う」と秀吉の力を語るが、「大坂城に入れぬはどういうわけか」と訝る。兄の言葉に戸惑う信繁。
父昌幸に会うと、「なんじゃこれはと」と言い「大坂城は大きなものを作ったな。お前ならどう攻める。大坂城は不落? 城は大きければ良いものではない、大きければ弱点がある、絵図面が欲しい」という始末。いずれ攻め取るとを思っているようだ。城をみれば攻め方が浮かぶという根っからの武将。
父を中心に仲のよい真田一家、秀吉の家族の暗さを見てきただけに、この家の明るさは光っている。
信繁が大坂城に宿泊できないことを三成に問うと「わしが手配した。格が違う、真田は国衆に過ぎない」とつれない返事。三成というのは頭は良いかもしれないが本当に人の気持ちが分らない男だ。
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・信繁は気を利かし自腹で吉野太夫の舞で父を歓待する。これを知らない昌幸「殿下がこんなに歓待してくれるとか」と感激する。「勘定は石田様に回さないように。後で払います」と三成に気を使う信繁。秀吉とはどんな男だ、桁が違う。深さと恐ろしさを見た、会うのが楽しみだ」と昌幸。
信繁と信幸。ふたりで飲んでいると信幸が「本当のことを教えてくれ、この世は終わるか」、これに信繁「京の街の大きさも統一しようとしている」と答えると「戦場で暴れることはもうないのか。父上ではないが我らのことだ、いささか遅かったかな」と信幸。まだ、戦乱の世しか知らない兄の言葉に、黙り込む信繁。昌幸は夜大坂城を見てその偉大さに畏怖する
 
・昌幸が謁見のための着替え中に、三成がやって来て、衣装が地味すぎると注意する。秀吉への贈り物が胃のしいの羽織だと言うと「匂いはどうにかならないか」と三成。細かい気配りのできる人だが喋り方が不味い。「かたずけろ」と昌幸。昌幸は三成の忠告に気付いたようだ。
 
イメージ 6秀吉への拝謁の場に、現れたのは秀次。「大義であった。真田の土地安堵する」と秀次。昌幸は「ありがとうございます」と返すと「殿下に尽くすように、以上である」と三成。これには、信幸が「こんな無礼なことがあるか。父上がないがしろにされた」と烈火のごとく怒る。「殿下は家康を気にしている、家康に勝った真田には一目置いているのは間違いない」と諭す信繁。「それにしても秀吉め、呼びつけて礼儀もしらず大馬鹿ものだ」と昌幸。自尊心の高い昌幸には納得できない。吉継がやってきて、上田城の勝ち戦を褒めて、昌幸をねぎらう。これで昌幸の気持ちも落ち着くというもの
父昌幸の気性を知り尽くしている信繁、茶々を通じて秀吉に面談し「お目通りかなわぬなら、父は戦を準備しており、徳川側になって御前に立ちふさがる」と秀吉との拝謁を願い出る。真田が欲しい秀吉の心理を利用しての上手い説得、徳川と家康の力バランスをうまく突くこの説得、信繁は大坂に来て大きく成長している。
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改めて昌幸の秀吉拝謁が執り行われ秀吉は昌幸から贈られた毛物を付けて現れ、「関白秀吉である、今回のことまことに大義であった。わしはそなたを家臣にしたかった、わしのために仕えてくれ」と手をとって拝謁への礼を述べる。これにはさすがの昌幸も逆らえない。このあとを継いで、三成を通して、「殿下はこれより新たな国作りをなさる、惣無事令もそう。大名はそれぞれ近くの大名の与力になり出陣にはその下司に従うように。真田は徳川の与力になる」、秀吉が継いで「配下ではない与力だ、北条が攻めて来ても徳川が守る」と言い、「帰りに徳川に寄るように」と命ぜられる。家康の家来になると思っていたであろうから犬猿の仲の家康の与力になることにはびっくり。が、秀吉から見れば、家康に恩を着せ、紛争の地信濃を治める妙案だ
この決定に、家康は「真田安房守がわしの前で頭を下げるとは、こんなに早くくるとは」と感嘆する。
 
・「面白いのう、人の世は。裏切り裏切られ、ここまで死力で戦ってきた。秀吉の家来となった徳川のそのまた家来に、こんなおもしろいことがあるか」と昌幸の感慨、そして「わしはどこで間違ったか」。信繁に問う昌幸には憑き物がおちたような感じだ。「父上は大名です。領地を守ったのです」と慰める信繁の言葉に運命を悟ったのか・・。戦国時代が終わったかというような、じ~んとくる。
 繁は記憶を失った松を父、兄に会わせる。きりも加えて昔の思い出、昌幸は背負った時の小便の話しを、きりは男定めをした思い出を話す。昌幸の「生きているだけで儲けもの、辛いこともあればいいこともある」という言葉に松へのかぎりない愛情を感じる。これまでの昌幸のイメージとは違う暖かい父親を感る。
梅と交わした「かかとがカサカサになるというかかと談義」を思い出し、記憶を取り戻しす。みなの喜びの表情、昌幸が淋しい想いをしている時だけにうれしい出来事で、こんな話題を挟む演出が憎い。
 
○昌幸の家康拝謁
イメージ 2駿府城で昌幸は家康に会って「徳川様の与力として仕えること」を誓うと、家康は「御丁寧に、武勇優れた武田の与力を万人力」と言い、「共に力を合わせてまいりましょう」と高笑い。全てが秀吉の陰謀。
二人の間には冷たい空気が流れており、秀吉一代の与力関係を暗示する昌幸と家康拝謁の場であった。

記事1 20160509
真田丸」第18話視聴率は19・1% GW最終日に高数値!