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宮﨑あおいさんを応援します

「神様のカルテ2」(2014)

イメージ 1物語は前作から数カ月後を描く。一止が務める信州・松本の病院に帰ってきた大学時代の旧友・進藤との労働観の違いによる衝突や、病に倒れた恩師・貫田先生とのきずなを通して仕事とは、夫婦とは、死とはなにかが描かれています。
1」比べて、ヒューマンドラマ感が強くでていて、感動的な作品になっています。松本の風景・風物が、清冽な空気や明るい光のなかで、四季を通じ、丁寧に撮られた映像が美しい。劇場で観るべき作品です!!
あおいさん、「2」では妊婦になり、ふっくらとして(身体をつくって)、美しく、柔和で、「1」に比して人の想いを受け入れる大きな人に成長した姿を繊細な演技で見せてくれます。
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物語、・・・
オープニング、ふたりでの雪山登山シーン。正面に雪の“常念岳”を望み、一止「何を祈っているんだ」、榛名「赤ちゃんのことや、一止さんと居られますようにです」、「居るではないか」、「わたしはいつもおいてきぼり、一止さんの悪い癖です。苦しい時いつも置いてきぼりです」。「榛名」のとつぶやいて夢から覚めるシーンから物語が始まります。
「救急車、10分後に入ります」の電話で起こされ、「アルコール患者です、また飲んだんですか」。どんどん患者が入って来て、と前回同様、一止が当直につくと病院は大繁盛です。
朝のミーテイングで、一止は「病院稼働率をあげるよう改革中で、先生の患者一人に掛ける時間が11分30秒で本庄病院のどの先生より長すぎる。もっと効率よく」と事務長から注意を受ける。

○旧友進藤の着任。イメージ 2
隣に進藤達也がいて、こんなところに何故?むかし将棋部で好敵手だった男で、ひそかに思っていた彼女をとられた男が帰ってきた。
次の日、出勤すると東西看護師から、「熱の出ている患者がいるが担当の進藤先生に連絡がつかない。昼は回診に来ない、夕方は定時に帰る、夜は連絡が取れない」と報告を受ける。「優秀な先生だ」というと「そんな優秀な先生がうちに来るの」と訝る。
初詣で、貫田先生ご夫妻に会う。榛名と千代夫人は初対面だが、すっかり意気投合してお喋りしてところに病院から呼び出し電話。先生と一止は仲よく休日出勤となる。一止が出勤し患者の容態を確認すると食べてはいけないと注意をしているにも関わらず食べて血糖が異常値に達したための呼び出しで、患者の不注意で呼び出されたようです。(笑)
榛名が千代夫人に「子供がうまれたら一さんが大変な時に側にいられない」と心配すると、「側にいなくても気持は寄り添える」と。夫人に「御嶽荘にいらっしゃいませんか」と誘う。
進藤と看護師が口論中。進藤は「治療中の患者で自分がいても何もできない」と主張している。彼は、会っても話さないし煙草を吸うようになっていて、「看護師が元気な病院だな。主治医を何だと思っているのか」と問うてくる。主治医とは患者をむしばむ病魔を駆逐し治療を行い苦痛があれば取り除き不安があれば訴えを聞く」と嘯く。「患者が熱を出しても来ない、当直医に任せる、それはない」と非難すると「理不尽だ」と言う。「安心感が違う・・」というと「それでいいのか、君の奥さんは納得しているか、家族はどうなるか」と反論してくる。
「如月(彼の妻)がそんなことを言っているのか、彼女は元気なのか」と聞いても何も言わず去っていく。彼女は学生時代、電車で金を失くし190円貸したことで知り合い、将棋部に入って来て、三人で囲碁を楽しむ仲だった。
進藤がまた、看護師と言争っている。看護師は「患者が安心するから話して欲しい」と頼んでいるが「今日は時間がないので後でだ」と断っている。この分からず屋とコーヒーを頭からかけると、「君とは優先順位が違う、日を改めて説明する」と言って帰宅してしまう。
御嶽荘に貫田先生ご夫妻が訪ねてきて皆で会食。屋久杉君が研究してないらしい。「他に興味がないのか」と男爵殿が非難すると、「なくっていいんだよ、そんなに希望とか夢が転がっていてたまるか。目の前のことを続けていけば道になる」と貫田先生。一止が「進藤辰也とやってしまいました。あの男正義感の強いやつだったのに」と言えば、「みんな新藤先生には厳しい、時間どおりに出勤し時間どうりに帰る、あたりまえのことをしているんだとおもうが・・。医者は頭で考えたら駄目」と言う。
○貫田先生が倒れる。
貫田先生が洗面所で倒れる。夫人がやってきて「いつも走り過ぎている人だから」と言う。信濃医科大学の高山部長が診断、悪性リンパ腫で「ステージ4B、自覚症状があってもよいが?」と言う。  
進藤は血液内科は自分の専門と主治医を申しでるが、治療の選択が広がるので大学病院での治療を勧める。一止は砂山先輩から「如月のことを知らんのか。新藤の口から聞いておけ」と注意される。
御嶽荘に帰ると榛名が、展望鏡で星を覗いていたが、「なにか大変なことが起きているのですか」とこちらの不安に気付くので貫田先生の病気のことを話す。
「大学病院はもういい。」と貫田先生。「治療を急ぐ必要があります」「進藤先生待ってくれないか」「医者であるまえに人間ですから。忘れないでください」と進藤。高山部長に貫田先生の気持ちを伝えると「あいつ病院はいやだと言ったでしょう。そういうと思いました」「千代さんが臨月を迎えたとき婦人科医がいなくて、間に合わなくて、あのときからこの病院をいつでも見てもらえる病院にと頑張っているんです」。イメージ 3
千代夫人が、着替えをとりに(自宅に)帰り、このまま(病院に)帰るのではと思い榛名を訪ねて来て、「なんにもしてないのに病院は疲れます。榛名さんに渡したいもの(着物)があります」と言う。
千代夫人は榛名に着物を着せ「とても可愛いです」と言い、側にあった常念の写真を見る。榛名の「年に一度は常念岳に登ります」に「常念小屋が懐かしい」と夫人。「小屋からふたりで空を見上げたらとてもきれいでした。貫田をよろしくたのみます、よく似合うわ」と夫人。夫人の寂しさをこのような子を持てなかった千代夫人、自分の娘と分かち合うような演出にぐっときます。
○進藤の苦悩。
緊急病棟に進藤の子が運ばれてくる。一時保育に預けているようで夜連絡が取れないのはこのためのよう。一止が協力を申し出ると、「わからないんだ、何故千夏があんなに追い詰められたか。小児科だ、全国から患者が来るようなところだ。育児休暇を終えてからあいつは焦っていたのかもしれない。休むと遅れるので必死に働いていた。たまたま休んだ日に千夏が主治医で見ている白血病の患者の容態が急変した。その夜そのチームから外された。この時から家に帰らなくなった。働き続けた。娘が百日咳で弱った時期があって、家族を捨てて昼も夜も働き続けて、立派な医者だと褒られるんだ。立派な医者ってなんだ。お前が病院にいるということは家族の側にいられないということだ。夫婦って何なんだ」と言う。
○貫田先生の症状悪化。
千代夫人が、検査結果を知ろうと必死に自分のカルテを探している夫を目にしますが、その前で倒れる。東西看護師も一止も何も言えない。夫婦の泣き声が耳に入る。悲しいです。
御嶽荘では榛名の着物姿を撮ってる屋久杉君が、一止の帰るのを見て、「おかえりなさ」。皆は、一止が「似合っている」と言わない態度を咎めるが、榛名は一止の異変に気付きます。ここでのあおいさんの表情が・・・そっと一止を抱いて一緒に泣いてやる榛名。
一止が、病室に貫田先生を訪ねると「抗癌剤でもなんでもOKだ、医者の不養生とはよく言ったもんだ、奥さん大事にね、夫婦の気持ちなど持てなかった生活、いざ顔を突き合わせるようになると看病とはね、あいつには悪いが医療に奉げた俺にはもったいない女房だよ」と。
血液検査を終えた進藤は千代夫人に、「ピンパ菌が脳に入っている。いつその時になるかわかりません。どんな化学療法も歯が立ちません。貫田先生はもう知っています。状況を見て緩和治療に切り替え最善の治療します。ぼくにでも看護師にでも伝えてください。精一杯してあげられることをしてあげてください。」と伝えると「ありがとう、覚悟ができました」。
春祭りがやってきて。貫田先生の抗癌剤治療が始まる。進藤は子どもを迎えに行っての帰り道、ふたりで「結んで開いて」と歌っている。一止が「(進藤の行動を)先生は迎えのためだと知っていたのですか。やつの評判が悪い時から心情を汲んでいるようで」と問うと「私たち医者にとって家族を取るか、患者を取るか最大の難問です。医者なんて一人の人間として認識されていないもん。希望ね、どうだかね」と先生。
貫田先生にはもう手はないと落ち込む進藤。「お前が落ち込むことではない」と一止。千代夫人と榛名の見舞いを見る進藤。「あんなすてきな奥さん、考えられない」と東西看護師。
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○貫田先生夫妻への贈り物。
榛名は千代夫人の常念岳に登ったときの思い出「常念岳での星はきれいでね。きれいですねといったら、この人『大事なのは貴方です』と言うの。つい、ありがとうございますと言ってしまったんです」を聞き「いいお話ですね」と言うと、「榛名ちゃんこれからも千代と仲良くしてくれないか」と貫田先生。
一止、貫田先生を見舞うと「これが、おれが看ていた患者の細かい情報、カルテだ。希望ならある。散々な病院だが、希望は栗ちゃん、進藤先生。あとは頼んだよ」と託される。
榛名は「もう一度おふたりに星を見せてあげることはできないか。常念に登って満天の星を。24時間消えない看板、消してはいけないこの町の最期の砦では無理か」と思案中。
「貫田先生は死に行くのではない、われわれに医師としての叡智を繫いでゆくのだ。そんな恩師に治療がないからといって我々の役目は終わっていない」と一止。
貫田先生を連れて屋上に。「どこに行くんだ。なにをやらかそうと言うんだ」と先生。「結構見える、これで十分」という夫人に、「まだこれからです」と一止。病院の燈がすべて消えて、そこに満天の星が!! 「千代、長い間ありがとう」。涙が流れます。柄本さんの名演技です。泣き崩れる千代夫人。

○進藤が見出した答え。
榛名が眠っているなずなちゃんを見守っていると、「なずな帰ろう、うらやましいなこんな人がいて」と進藤。「私も支えてもらっています。山を登ってつらくなったとき、いつも一さんを想い出すことにしています。一さんは今険しい道のりを登っているのだと思うと元気が湧いてきて明るくなります。千代さんが言っていたんです、「側にいなくっても気持ちは寄り添える、そういうことなんです」。「うらやましい」。「私はお医者さんではないですが、(千夏さんは)なずなちゃんのところに走って行きたかったと思います」。
進藤から妻千夏に「僕だったかもしれない。千夏を一番追い詰めたのは。母親なのになんでなずなのところに居てやれないんだと言ったこと、ごめん」と電話。これを聞く千夏さんが泣いています。
昨夜の1分間の停電について事務長と一止たちとの間で悶着があったが、担当者がスイッチを間違えたということで決着です。
貫田先生の病室では「わかる?」と千代夫人。「あいつはどこに行ったんですかね。さっきまで、そのへんにいたんですが、・・小屋に戻ったかな。よかった。座りませんか。僕は夏の常念が一番好きです。千代さん、星がきれいです」、「星なんかどうでもいいんです。大事なのはあなたです」。一止が検死、5時20分御臨終です。
残されたカルテ。化学治療が始まり意識が混濁するなかで死と闘いながら書かれたカルテ。この町にだれもがいつも看てもらえる病院を先生が貫いてきた志をぼくらが繫いでいきます。貫田先生、33人分のカルテは貫田清太郎という一人の医者を超えた神様のカルテです。
満開の桜のなかを歩く一止と榛名。大きなお腹を抱えて、「お休みの日にこうして二人で歩く日はしばらくないかと思って、まだずっと先で」「これからは3人で歩いていくの」「三人か、どんな感じかな、考えるとワクワクします」「私もだ」。
病院のなかは、みんないつものように忙しく・・。「栗原先生、お子さんうまれたって」と東西看護師の知らせに「まだ仕事が残っています」と一止。仕事が手につかない。嬉しさが込み上げてきて・・
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