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「さざなみ」(2015)

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この作品、あらすじを読んで、何故夫はこのような振る舞いをしたのか? 45年の結婚生をしていながのらこれが許せない妻の想いは?、私の理解を超えており観ることにしました。
夫はとても知的な人でおだやかだが体力は相当衰えてきて“惚け”が入っている、一方妻は毎日犬と散歩を楽しみ体力の衰えを感じさせない、元大学の先生”であってとても知的な女性です。これまでの結婚生活は、すこし奥さんがリードするタイプで、とても穏やかなお互いに愛し合う夫婦。夫は妻に100%の信頼を置いていたようで、それだけにこの物語の結末は恐ろしい。
あらすじ
物語は結婚祝賀パーテイに向けて日付を刻むように夫婦の心情を描いていきます。
月曜の朝、妻ケイト(シャーロット・ランプリングが犬を連れて静かな田園の散歩を終え帰って、手紙を読んでる夫ジェフ(トム・コートネイにキスをする穏やかな老夫婦の日常シーンから始まる。この夫婦に、この結末があるとはとても思えなイメージ 2
い。手紙は、50年前に雪山で亡くした“カチャ”がクレパスに封じ込められたままで発見され、遺体確認をして欲しいというスイス警察からのもの。彼は辞書で調べたいが見つからない、どこか惚けが始まっているように見える。妻が探し出してやる始末。1962年のままだと言い憐憫を示す。妻は記念パーテイが行われるトラファルガーの戦勝祝いに使ったという由緒ある会場を下見し、町の時計店でスイス時計を見て彼への記念品にぴったりと電話するが出ない、いやな予感をがした。
 
妻が帰ってくると夫は便所の修理で怪我したと言いその手当をしながらべらべらとカチャの話をする。カチャは結婚指輪ではないが指輪をしていたと言い、何故その話を結婚前にしなかったかと問うと「美人の妻には言えなかった、怒るほどのことでない、昔のことだから」と無神経に言う。妻は風呂に入って夫には見せないがいやな感情を露わにする。
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ベットに入っても彼はカチャがクレパスに落ちるまでの仔細を話す。このあたり、この夫の行為は信じられない。惚けているからなのか、おそらく45年間の夫婦生活で築いた絆を信じ切ってのことだろうと思われる。
火曜日、妻はいつものように犬を連れて散歩。帰ると夫は温暖化について調べるために図書館に出向くという。彼は氷が解けてカチャが流されるのを心配している。妻は外出し友人たちと会う。記念日の話題になると「記念日はしなさいよ、男が遺産などを気にしているなら今が大切だということを示しなさい」とコメントしてくる。
帰宅しこれまでの撮り貯めた写真を見ていて自分の写真が少ないことに気付く。写真の話から犬や家のことなどの話題に広がり、大切な思い出で君の写真が欲しいと夫が言い出す。ダンスの話から、いい雰囲気になりふたりは踊り、疲れて夫がベットに誘う。年取ってこんなに燃え上がれる夫婦って良いなあ、すばらしいシーンだと観ていました。(笑)
ベットで夫が「やりかた覚えているか」と妻に。「私が上になろうか、ちゃんとできている」「失敗したようだ」「気にしないでジェフ」。こんな夫婦がどうしてこの結末の夫婦になるのか、恐ろしい。
夜中ジェフは起きだして屋根裏に上がりカチャの写真を探す。テイトはこれを見て大きな不信感を持つ。これ、ちょっと夫ジェフの行動は理解不能です。やっちゃった後にこれはひどすぎる。
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水曜日、ケイトは友人から「シェフは同じ会社のOBであるジョージが企画する会合に出たくないらしい」ということを聞く。「本人に確認する」と返事して、一人で船による運河の旅を楽しむ。この風景がとても心安らぐ。下船しての帰り、ジェフに会うと止めていたタバコを吸っている。そして、「OB会には行きたくない」という。強く参加するよう勧める。家に戻るとジェフは無頓着にカチャがいかに勇敢だったかを話し始める。頭に来たケイトは「勇敢、ただ山を登っただけ、男の気を引くのがうまいだけ」と言い、「彼女が死んでいなければ結婚したの」と問うと「イエスだ」と言う。ケイトは「話はお終い、もう止めましょう」と寝てしまう。
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木曜日、風の強い日で、ケイトは夫を勤めていた会社に送り、帰宅して屋根裏の物置を調べる。古いスーツケースの中に旅行記録や押し花、スライドを見つける。そのスライドを写していくと湖畔に立つ女性の妊娠している姿を目にし動揺する。このとき電話が鳴り記念パーテイで使用する音楽の打ち合わせをするがうわの空で終わる。夫を会社に迎えにいくと、ひどく酔っぱらっていて会社の経営に文句をつけ、途中で下車して吐く。ケイトはこんな夫を介護するでもなく、ただ冷ややかに遠くから眺める。
金曜日、朝目覚めると「一人で町に行ってくる」というジェフの置手紙があった。何かを察しケイトも町に出かけ旅行代理店に立ち寄って、ジェフがスイス行のことで訪ねたことを知る。夕方、夫が帰ってくるとスイス行のことを問い詰める。カチャという名前が出ると「彼女の名前を言わないで、匂いが家中に染み込んでいる」と怒声を発する。彼は「彼女には何の関係もないだろう」と応ずるが、これまでの45年間で作ってきた関係は崩れかけている。ケイトは「明日のパーテイには出て!このことを他人には聞かせたくない」と言い「それは誤解だよ」とジェフ。ケイトの「薬を飲んみ、そして夕食。それから寝て、そして起きる。(こんな生活)またやり直すの」に「やり直そう」とジェフ。
土曜日、朝起きるとジェフがお茶を持ってきて、トイレも掃除し、ハムエッグも作ったと寄り添ってくる。その後、ふたりでバードウオッチングで森林内の散策を楽しむ。何も変わったことはないように見えるのだが? ケイトは昔の楽譜を取り出してピアノを弾き、気分が高ぶってきたところでジェフから贈られたネックレスを付ける。そして結婚記念パーテイ会場へ。
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会場には多くの人が集まり、そこにはふたりの写真パネルがあり、友人からは「彼のスピーチでは泣くよ」と言われ、秘めていることを思い不安になる。そして彼のスピーチ「・・・人生山あり谷ありで間違いないかと悩んできたが君を選んだのはもっともよい選択であった、君と結婚できてよかった。あとひとつ、愛している、感謝している。これからも頼む」と感極まっていた。
ケイトは微笑みの表情を浮かべるが、衝撃のラストシーン、45年前の想いでの曲でダンスを終え参集者に感謝のサインとしてジェフはケイトの手を取り高く上げようとするとケイトはこれを振り切りきった。
この幕切れ、なんともやるせない!!
感想:
夫が、1週間後に結婚45周年記念パーテイを迎えようとしているなかで、山岳事故で失った恋人が発見され、その彼女に想いを寄せたがため、妻の嫉妬・不信感がさざなみのようにざわつき始め、遂に大波となってラストを迎える。
ラストはとても印象的で、これからどう生きるかを問いかけています。津波にはならないで6日間の嫉妬・怒りのさざなみで終わる、いや終わって欲しいと思います。(笑)
ここで描かれる夫婦の姿に、つくり話としても、結婚感、特に老いのて、男女の違いを見せつけられ教えられる作品だと思います(#^.^#)
子供がいないと愛の確証は何にもない、愛しているだけではこの場は終わらない、そんなことを考えると老後が恐ろしくなりますね!(笑)
トム・コートネイシャーロット・ランプリングの夫婦の心の機微を繊細な演技はすばらしい。老後をこのような穏やかな土地で過ごせたらと思われるロケ地とここで流れる60年代の懐かしい名曲に癒されます。
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