映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

第30回「黄昏」

第30回「黄昏」
薄れる記憶のなかで、周囲の人間を振りまわして楽しむ秀吉。そして衰えていく秀吉。あるときは恐ろしくあるときはおちゃめな秀吉、そして消えゆく秀吉の記憶。小日向さんの熱演みごとでした。
近づく秀吉の死を前に,最期まで太閤殿下としての威厳のなかで逝けるよう支える三成と信繁。寂しさが次第に大きくなる三成・山本さんの演技、秀吉の失禁を隠す信繁の機転に涙です。ハイライトは秀吉が信繁に形見は渡すことはなかったが、薄れゆく記憶のなかで共に初めて会ってからの記憶を辿るシーン、信繁にとっては何にも勝る形見で「秀吉への義に生きる」と感じさせられました。
物語に、秀吉が残したキリスタン弾圧の顛末が語られるなど時代の不気味さが加えられ、大きな時代のうねりを感じ、これからのドラマが進展が楽しみです。
 
○周囲を振る舞わす秀吉最期の仕事
地震後の伏見城の改築、
その日、清正は誰よりもはやく駆けつけたといい秀吉を元気つけたでしょう。(史実)伏見城は倒壊し木幡山に避難所を設けここが仮の宿となる。今後ここを本城にすることとなり昌幸は「さすが太閤殿下」と喜ぶが、三成は「戦いの城ではない」と言い「安房守には堀の修理にまわってもらう」と依頼されがっかりる。生きがいを失った昌幸。信幸と信繁が慰めるが再び遊郭通いが始まる。
バテレンの弾圧イメージ 1
イスパニアのサンフエリ丸が土佐に漂着した報告を聞いた秀吉は「積み荷が70万石」と聞き「わしのものとなっていいのか」と聞く。これに信繁が「4年前、殿下が勝手に奪ってはならぬと触れを出しています。」と反対すると「罪をつくればいいのだな。バテレンはまだ大阪に残っているのか。やつらをすぐに捕らえろ。耳を削ぎ、鼻を削ぎ引き回しの上磔じゃ」とめちゃくちゃな指示を出す。これには当時のイスパニアの世界制覇戦略にバテレンを利用しているという事情もあったと思われます。
この事態に、ガラシャたちは兄弟のために祈り耐え忍ぼうとしますが吉蔵(フランシスコ)は自分が捕まらなかったことに罪を感じ、捕まった人達の世話をしたいときりが諫めるのを無視しこれに加わる。

6人の宣教師と20人の信者が長崎において磔の刑に処せられた。その中にフランシスコ吉という大工が混じっていました。このことについて信繁が吉継に仔細を報告すると「殿下は長く生き過ぎたかもしれん!」とこの処置の事後の影響を心配する。
家康は「常軌を逸している、太閤がわれらの思うとおりに耄碌している」と正信に言えば「探りをいれる」と返事。そして忠勝から稲のところに密書が届く。
昌幸は吉野太夫と酒を飲んでいて、太夫は「殿さまの子息は殿下に仕えていて」と信繁からの秀吉の情報を欲しがる。しかし、しっかり者の出浦が監視していて「本日の仕事は終わった、帰る」と現れ、昌幸は事なきを得ます。

・再び、朝鮮出兵
文禄5年9月大坂城に諸将を集め、西笑によって届けられた明の使節団の書状を披露することにするが、明国の皇帝が「称号を与えるから朝鮮から兵を引くことを勧めてきたこと」を知るや激怒する。そして、再び朝鮮に大軍団を送ることになる。
会議中に小便の”ぼろぼろ”という音がして秀吉の阻喪に気付いた信繁が「石田様、拾様が阻喪されたご様子」と話し掛け(信繁の機転で)この場を凌ごうとするが諸将皆が訝る。あっけにとらわれる家康の顔が圧巻です。

清正が朝鮮に立つ前の秀吉に挨拶に訪れる三成から清正に「涙ぐむな」と注意をするが、そこによぼよぼの秀吉が出て来て、清正が「ひと暴れする」との挨拶すると秀吉に「わしが死んだあと拾のことをよろしく」と言われもうぼろぼろに泣く。三成と清正だからこと感じる秀吉の老いに対する悲しみに涙がでます。

信幸は「みんなの前で小便をしたのは拾様なのか」と信繁に聞き、秀吉亡きあとの事態に備え「ひとまず国へ帰る」と告げる。信幸の武将としての成長は著しいものがあります。

春が信繁の不安を見抜いて話かけると、「わしは兄を裏切っている、そして兄にわたしの心を無とした。わしの人生であの人のようになりたいと言う人が二人いた、その二人から同じことを言われた。わしのようになるな!、その人は家のため人の道を捨てた。もうひとりは家のため己の信念を曲げた。だからそうならぬよう心がけてきた。秀吉様に仕えた以上豊臣家に背くことは義に背くこと。息が出来ぬほど苦しい思いをしている。義を尽くすことがこれほど厳しいことか」と春に悩みを打ち明ける。

沼田に帰った信幸「いま秀吉が倒れれば世が乱れる。このため沼田城を不落の城にする、真田のために力を尽くせ」と家臣に指示を出す。
「長生きした甲斐があった、また戦に出れる」と喜ぶ矢沢頼綱。しかし、まだまだと頑張っていたが戦場にでることなく天寿を全う、享年82歳でした。
 
○老い行く秀吉の願い
・「殿下がいない」と信繁。これを聞いた三成は「片桐殿には伝えよ、その他誰にも漏らすな」と厳命します。信繁は“庭石うえで「茶室はどっちだ、利休が話があるらしい」という惚けた秀吉を見る。これは認知症兆候のさえたるものです。
イメージ 2拾の元服元服して秀頼となり皆の前に拾を「豊臣 秀頼である」と紹介。この早い元服がかえって家康などに疑義を投げかけることになります。「それだけ殿下の命が短いということ」と言う正信に「早く知りたいのう」と家康。ぬけめなく秀吉亡きあとを考えています。
・秀吉は茜に暮れゆく景色を眺めながら信繁に「大きな城をつくる」という夢を語る「想い道理はなったのでは」と言う信繁に「半分だ、ゆくゆくは天皇をお迎えしたかった。平清盛がなしたことをできなかった」と秀頼へ夢を託す秀吉でした。
・景勝を呼び出し、「会津に移ってくれ」と領土替えを持ち出す。「何か落ち度があったか?」と問う兼次に「陸奥の伊達を抑えられるのは上杉殿だけ」と三成が懇願する。秀吉が「伊達の抑えは表向き、徳川がよからぬ動きをしたら背後から関東へ攻め込んで秀頼を助けてくれ」と頭を垂れる。
イメージ 3
醍醐の花見、秀吉最期の大イベント。参加者はほとんどは女で、その数1300人。うれしそうに「飲んでくれますが」と秀吉。三成は「殿下は華やかな場所が似合う」と言うが、ここでは三成の姿に寂しさが伝わってきます。
・信繁が薫に「席に出ては」と促しますが、稲は「御公家の出だというのに尻込みして」と皮肉を言う。春が「任せて」と引き取ります。きりが「キリスタンになってもいいですか」と信繁に問いますが「やめておけ」と即答です。
阿茶局に「秀頼を頼む、頼む」と何度も頭を下げる秀吉。かなしい光景です。茶々の「秀頼が花咲爺が見たい」と言うと皆が止めるなか木に登って「枯れ木に花をさかせましょう」と叫び落下してしまいます。無事だということに一同ほっとしますが、この日を境に床に就くことになります。衰えた秀吉の表情に一層三成の悲しみが増したように伝わってきます。
 
○秀吉亡き後の信繁、信幸の生き方
三成は秀吉の症状から「そろそろ覚悟したほうがいい」と信繁に伝えます。
・真田家では稲が信幸に「すべて本田から密書です、太閤殿下の病状を聞いてきています」と差し出し自分が徳川の密使であったことを白状します。信幸は「なぜおれに打ち明けるのだ」と問うと(これはおかしい?)、「私は源次郎様の嫁、百助の妻です」と答え「これらの密書は届かなかったことにします」真田の妻になったことを宣言します。やっと、子ができたことで稲も真田家の真の一員になりました。
ここに信繁が訪ねて来て、信幸は「醍醐の桜の話題、もうしてもよかろう。わしは父のように乱世に戻ることを望まぬ。しかし殿下亡きあとは世が揺れる。この先誰が秀頼殿を支えるのか、誰につけばよいのか。徳川につきどうでるかを決める」と信繁にこれからどう生きるべきかを尋ねます。

信繁が吉継に会ってこれからの生き方を問うと
「板挟みだな。信繁、己の道を進め、それが真田佐衛門介の進む道だ、石田治部に勧められたとか、兄のことを考えるなどどうでもよい」と説かれる。信繁は信幸を訪れ「あの姿を見る限り自分で歩くことは再びできない」と秀吉の状態を正確に教えます。「よく知らせてくれた」と信幸は感謝です。信繁の腹も決まったようです。

・昌幸が吉野太夫にこの情報を与えると
「じきにもどります」と席を外そうとする吉野太夫を出浦が始末します。不審顔の昌幸に「こいつは忍び、本物は京にいる、目をみればわかる」と出浦が忠告します。家康と正信は吉野太夫の死を「役だたず」の一言で片づけるます。このような情報合戦のなかに、秀吉亡きあとを巡る緊迫した状況が伝わってきます。うイメージ 4まい演出ですね!
・信幸が「今日は重大な情報を持ってやってきた」と忠勝に会う。
一方昌幸は薫を呼んで抱き寄せ「何も聞くな」と己の不甲斐なさを露わにする。そこに稲が百助をこうが仙千代をつれてやって来ます、昌幸は大おじいちゃんになってしまいました。以前の迫力がない!!()
 
○秀吉の形見
秀吉は片桐には金子15枚を渡し「よろしくたのむ」と言い、三成には「大切にしていたものだ」と金子と小刀を与えます。片桐がうらめしそうに見るのが面白いですね!
三成が「源二郎にはなのか?」と問うと「なに、知らん!」 。三成に「お主はわれらに比べれば日が浅いから」と慰められるが悔しそうな表情の信繁です。すでに豊臣を守るとの決心が固まりかけてのこと、悔しさは分ります。認知症の末期、斑な記憶のなかではよく起こること。そこに秀吉イメージ 5が「真田安房守の息子だな」とやってきて「来い」とふすまに隠れ「面白いところに連れて行ってやる」と信繁に初めて会ったときの行動を見せる。信繁も「上杉様が・・」と初めて会ったときの記憶に合わせると秀吉は「上杉は後だ、若い利発なのが好きだ」と言い「福島正則様は今日は見えませぬ、吉野太夫にはまた改めて」と応じる信繁。秀吉によって与えられた“この思い出”の方が三成に与えた小刀よりも価値があると思います。“殿下は自分を信じている”と確信を持ったでしょう。秀吉の信繁との別れに、そして信繁の決心にこのような麗しいシーンが準備されるとは!泣けます。
           ***********
記事1 20160801
NHK「真田丸都知事選開票で時間変更145