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宮﨑あおいさんを応援します

「バースデーカード」(2016)

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宮崎あおいさん出演ですので楽しみにしていた作品。今年3本目、最後の作品です。前作「怒り」の風俗嬢役とは眞反対のこれまでのあおいさんのイメージの役、しかし二人の子供を持ち難病を抱えている母親というのはこれまでにない役です。主役の橋本愛さん、好きな役者さんで、めずらしく普通の女性の役です。
 
おふたりの演技はとてもすばらしいものですが、出会いのシーンはワンカットですので、今後会話のある作品を見たいですね。
もう一つ、この共演で橋本さんがあおいさんへのリスペクトな気持ちを率直に伝えられ、はげしい人見知り特に年下の人とのコミュニケーションの取り方が難しいというあおいさんにはとても力強い味方を得たようでよかったというか、付き合い方に自信を持ったのではないでしょうか。(#^.^#)

この作品、10歳の時に病死した母親・芳恵(宮崎あおいから20歳になるまでの10年間、毎年届くバースデーカードを通して成長していく主人公・紀子(橋本愛と、家族の物語です。

死までの短い間に娘と10年間を過ごし最後に「自分の人生に満足している」としたためた10通の手紙にその想いがしっかり表現され涙がでます。早い時期にあおいさんが画面から消えますが、紀子がカードを読む際にあおいさんのナレーションが添えられるので、この作品のなかでは大きな存在感があります。
10通の手紙とこれを受け取った紀子と家族の生活が描かれますが、ユーモアあり、涙ありでテンポよく進み、紀子の成長過程が沢山のエピソードで丁寧に描かれています。

平凡な生活のなかに、どこかに自分が見つけられ、自分の人生に自信が出来てくるような作品です。沢山の人に観て欲しいです。

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○物語は主人公紀子、10歳、無口で引っ込み思案で、いじめられっ子。クラスのクイズ大会で答えが分かっているのだが勇気をもって手を上げられず負けてしまう。
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紀子はもう自分は脇役でいい、これからの自分の人生を投げたような言い方をするので、母の芳恵が「それ違うよ、人にはそれぞれの人生があり、そこでは主役」と教えると「ママ、どうなの。一杯生きている。もう私には期待しないで」と反抗的な答え。芳恵は「こめんね」といってその場を離れます。
ずっと娘の成長を見てやれない自分の死期を知ってる母にとってすぐには答をだせる質問ではなかったのでしょう。芳恵は娘の弱さ、自主性が持てるよう育つかと死を前に苦悩し、一方紀子は母が亡くなってからこの質問が母を苦しめたのではと後悔します。芳恵の苦悩と紀子の後悔がこの物語のテーマになります。
 
○芳恵はなんとかしたいの思いで、入院中ですが、霧ヶ峰へのピクニックを計画し、明るい笑顔を振りまき刺繍入りのハンカチを渡し、恐らくあおいさんの手作りでしょう、
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これから10年間毎年バースデーカードを書くことを宣言し亡くなります。病気で苦しむ様子も死の状況は描かれず登校前には家族が芳恵の遺影に手を合わせるシーンから幕が上がります。

鈴木家は父親鈴木総一郎(ユースケ・サンタマリア弟健太(須賀正男)の3人家族となり、父は天文台では働いていてとても陽気で子供たちに寛大な人です。
あおいさんは、彼女の生き方や趣味などからここで描かれる母親そのものように慈愛に満ち明るく振る舞いますが、ときに難病を抱えていることの悲しみ・苦しみを表現する母親の複雑な思いを感じさせる演技でした。特にレースの編み物をしているあおいさんの手先が映されており納得のいく技術です。(#^.^#)
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こうしてあおいさんは劇のなかでは早く段階でなくなりますが、これからは手紙が読まれる際にやさしく心に響くナレーションで登場、心憎い演出です
 
○11歳のカードでは「のんちゃん誕生日おめでとう。クラスに人気者になれ。なぞなぞコーナー、退屈な人が割引セールで買った花は?」(むつかしいですね? お母さんはクイズが大好きで「アタック25」のフアン)
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12歳では「のんちゃん友達と仲良くね、その秘訣でチョコマフィンの作り方(イラスト付き)を教えます。」 カードに工夫がしてあって、手紙好きなあおいさんの笑顔が見えるようです。(#^.^#)

14歳では「好きな子ができましたか。で、キスの心得」。しっかり歯を磨き、上目づかいに気をつけ、枕を相手にイメージトレーニングしてあこがれの人立石純君に出会うなどユーモラスに描かれます。紀子は4人の俳優さん、新津ちせちゃん、篠原桃音ちゃん、中村ひなのちゃん、そして橋本愛さんへと引き継がれますが、ここでは中村ひなちゃんが演じます。ひなちゃんは橋本愛さんにそっくりでユーモラスな演技はとてもよかったです
 
○17歳では「のんちゃんにお願いがあります。ママの故郷の中学でタイムカプセルが掘り起こされます。それを回収してきてください。同級生の沙織さんを訪ねてください」。紀子は小豆島にでかけ、ここで中学生時代に母の活発な姿、そして自分の意志を貫く姿を見ます。自分と遺伝子がつながっているのか?と思うほどに感動します。
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引きこもりで悩んでいる沙織さんの娘さんとも仲良しになるというほどの成長を見せます。ここでの沙織さんを演じる木村多江さんが好演です。ここでのエピソードのなかにお母さんの中学校時代の元気な姿、あおいさんが制服姿を見せてくれます。いまだにこれを演じることができるということが凄いです。おそらく制服姿のあおいさんはこれが最後ではないでしょうか。
 
○19歳では「このままではママに人生を決められてしまう」とバースデーカードを読むことを拒否します。父の「ママに謝れ」に「ここに連れてきてよ」と激しく衝突します。ユースケ・サンタマリアのやわらかい演技にいい父親像を見て涙がでます。
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外に飛び出すと、偶然、紀子の初恋の人立石純(中村蒼に出会いオートバイで彼が働く食堂を訪ねます。ここで彼の調理人としての成長した姿、そして母親を亡くしている彼から「母ちゃんとは絶対に喧嘩はできない。俺と兄貴のために死ぬほど働いた」を聞いた紀子は急いで帰り母からのバースデーカードを開くと「最初にあやまっておきます。ママとパパは喧嘩をしました。手紙を書く自信を失ってしまいました。・・・パパがどんなことでもよいから書けというので書きます・・・」。
紀子は母も弱音を吐くこともあり、それを父によって元気づけられていることを理解します。そして、うたた寝してる父に毛布をそっと掛けます。

こんなバースデーカードを貰うと泣けます。父宗一郎が、病室で悩んで泣いてる母芳恵に書くよう説得する映像が流れ、ここでのあおいさんの演技にはよく感情が出ていてすばらしいです。
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このシーンは橋本さんの意見で、父親に反抗することなくすんなり母の考えを受け入れて成長するストーリーであったものを変更したそうですが、変更してよかったと思います。

橋本さんはブチ切れたり、彼に会った嬉しさ、母を受け入れる柔らかさなど繊細な表情を見せてくれます。
 
○20歳のバースデーカードは、最後のバイスデーカードですので、父(ユースケ・サンタマリアさんがと言いたいほどこの役は合っています)の発案で母との思い出の地霧ヶ峰へのピクニックで渡されます。三人がテーブルにいて芳恵さんが居ない映像に胸が痛みます。
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「紀子の10年を一緒に過ごした気分です。ありがとう。10年前に聞かれて答えられなかったことを今 答えます。ママの人生は決して思い通りではなかった。数えきれないほどの後悔、心残りばかりです。だけど、ママは自分の人生に満足しています」。
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紀子は、立石と交際するようになり、彼の後押しもあり、あの時をやり直そうと母が好きだったTVクイズ番組「アタック25」に挑戦します。
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母を悲しませた彼女の弱かった性格を試そうと何回も予選に挑戦して出場権を獲得して本番に参加、そして最後の質問「芥川賞の最初の授賞作は?」の問題の解答で、紀子は答えが見つからないが微かな記憶(母と一緒に図書館で本を探していて、本名を聞いたことがある)を頼りにボタンを押します。

母の教え「勇気を持て」の実践です。答えは「蒼氓」です。が、思い出したときにはすでに他の人に回答されていました。
あのときお母さんはこの本の内容を「一生懸命に働いて死んでいく、ママやのんちゃんのこと」と教えてくれました。勝負には敗れましたが自分がしっかり成長したことを確認する一瞬で、父や恋人立石とともに喜びます。
ここではクイズに参加している高橋さんの表情がとても豊かでいいです。

紀子は立石と結婚することになり結婚式場の控室にいるところに、旅に出ていた弟の正男が「お姉ちゃんが結婚するときに渡すようにと母からカードを託されていた」(正男の封筒に入っていた)と駆け込んできます。

このカードには泣けます。(あおいさんの声に情感が込められていて)「結婚おめでとう。今日という日を迎えて、あなたの周りにはあなたを支える人が一杯いるでしょう。正男は何かあったら助けてくれるでしょう。パパは世界中を敵に廻しても救ってくれるでしょう。あなたは旦那さんを大切にめい一杯しなければいけません。ママはあなたのママで幸せです。追伸:参加出来なかったお詫びにベールを贈ります」。
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病院で編んでいたベールが、幻のお母さんから、紀子に。このシーンがあおいさんと高橋さんの唯一の競演シーンです。芳恵の無念さが伝わりとても感動的です。

ここでのカエラさんの曲がとても情景に合っています。エンドロールが終わって、もうワンシーンあります。(#^.^#)
記事 映画「バースデーカード」(2016
http://blogs.yahoo.co.jp/matusima745/65044775.html