第２回「崖っぷちの姫」（つづき）

謀反を企み、亀之丞の引き渡しを拒んだ井伊家を許すという条件なんです」と言い聞かせます。おとわは「なぜ、今川氏が小野というのですか」と問うと千賀に「ほかに手立てはない。受け入れるほかない！」と強く言われ、黙ってしまうのでした。

・一方小野家でも、おとわとの夫婦約束が政直から鶴丸に伝えられます。鶴丸は「何故、わたしだけがいい思いをするのですか。井伊家の当主など務める自信がありません」と断ると「それならば弟のものになるぞ。お前はおとわが好きなのではなかったか？」と念押しをされます。鶴丸は「なにを勘違いなさっているのですか」と席を外します。「可愛げがない」と政直。鶴丸は聡明で井伊家のこと、“おとわ”のことを考える子なんですね。これからどんな運命が待ち構えているのでしょうか。

・その後、龍潭寺の井戸でおとわにでくわした鶴丸が逃げ出すので、おとわはなぜかと追いかけそのわけを質します。鶴丸は「おれの顔など見たくもなかろう。わが父が亀の父上の謀反を今川氏に密告しそれゆえ亀の父上が斬られ、亀が追われた。おれとおとわの夫婦約束は内部告発した父への褒美だった」と打ち明けます。

これを聞いたおとわは「鶴がやったことではないから、鶴を憎む筋合いはない」と鶴丸を庇うのでした。そして「おまえとの夫婦約束を反故にする手はないか。亀は必ず戻る。」と問いかけます。

この時機、亀之丞は雨のなか、腹を空かし、従者の差し出す汁も喉に通らず、疲労困ぱいです。

・井伊家では夜半、乳母たけの突然の悲鳴で、おとわが居なくりかどわかしと大騒ぎとなります。そして大掛かりな捜索が始まりました。

居舘を出ていったおとわは、村の外れの小屋にたどり着き、ここに住むあばイメージ 5

ら屋の男（ムロツヨシさん）に出会います。おとわは櫛と交換した雑穀かゆを食べ男に「嫁御はいないのか」と聞きます。男は「おれにはそんな者持てない。村同士の争いで死人がでたときその代償として引き渡される者だ（下手人）。おれは流れ者で村に養ってもらっている。村と村の話合に使われている」と自分のことを話し、「喧嘩でもしたのか、はみ出し者どうしで仲よくしよう」と言われおとわは安心し眠ってしまいます。そこで、男がおとわの荷物を検分していると外が急に騒がしくなり、「井伊家の姫がかどわかされた」という騒ぎの声が聞こえてくる。男は「井伊の姫。これは褒美にありつけるぞ」とほくそ笑むのでした。

・翌朝、男はおとわを袋に詰めて井伊家の居舘に差し出す。褒美にありつけると期待していたのにかどかわしの罪で首を刎ねられることになります。おとわは「その者が悪いのではない、私が勝手に家をでただけ」と打ち明けます。

直盛が「なぜ家を出た！」と問う。母の千賀が「つい先日も危ない真似をするなと言ったのに、またこんなことをして。おまえは井伊家のたったひとりの姫だ」とおとわを平手打にします。するとおとわは「だからじゃ、だから、われがいなくなれば夫婦約束もなくなると思うたのじゃ」と泣きながら言い訳し「亀が可愛そう」と泣き叫ぶのでした。男は礼金を貰ってうれしそうに去って行きました。ムロツヨシさんの熱演でユーモラスなシーンになりました。

・直盛は「亀を思うように井伊家のみんなのことも考えろ」とおとわを諭し「おとわが鶴丸と夫婦になってくれないと今川氏に潰されてしまう。おとわは井伊の姫なのだかた皆のことを考えねば」と言い含めます。が、おとわは「亀を待っていると約束した。われは亀を待たねばならぬ」と聞き入れない。

千賀が「鶴と一緒になることは亀のためにもなる。亀が戻ったときに井伊がなくなっていたら困るでしょう」と諭しますが、「ならば、鶴と一緒にならず井伊を潰さないことを考えればいいではないか」とまたまた反論です。

ついに千賀は頭にきて「それがないからこうして頼んでいるんではないですか」と言えば「答えはひとつではないと和尚様が言っていた。父上も母上もしかと考えておられるのでしょうか。それとも何も考えつかぬ阿呆ではないのですか」と暴言を吐きます。この言葉に怒った千賀はおとわを部屋に閉じ込めてしまいます。「かわいそうだ」と言うたけに「お前の首がとびますよ」と叱り、「厳しすぎるのではないか。おとわの言い分にも一理はある」という直盛に「父親の甘さだ」と責めます。このシーンは面白いですね。おとわの言い分に一理があります！！

おとわは「鶴と夫婦になるしかないのかな」とうつらうつらしながら鼓を打って南渓のことば「答えはひとつとはかぎらない。まだあるかもしれんぞ」を思い出し考えるのでした。