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第6回「初恋の別れ道」

次郎の還俗はかなわず水死したことにして一緒になろうという直親に、禅問答のような言葉「私はカビた饅頭になる」でその申し出を断る次郎。愛に生きるよりも、万一のことがあった場合の井伊家、井伊谷村の安寧を願う次郎の大きな心に驚きました。次郎の心を動かしているのは南渓和尚、全てをおとわの器量に賭けその心を読み切っての話術に、人の心を動かす力を感じます。「私はカビた饅頭になる」覚えておきたいですね!!
次郎との愛に生きたいと狂おしく迫る直親:三浦さん、この言葉に応えようと苦悶する次郎:柴咲さんの演技は見どころでした。切なさが半端なかったですが、お互いに井伊家を思うことで未練を断ち切っての別れは爽やかでした。一方、これを見守る母千賀には無念だったようで、その心の揺らぎ、娘を思う気持ちがよく表現されていました。
直親の帰還ですべてが直親を中心に動き出すなかで、政次が次第に光を失って行く高橋一生さんの微妙で繊細な演技がいいですね!
氏真の満面の笑顔にきびしい目でみる瀬名、家康と言葉を交わす瀬名、雀を鷹の代用に飼育する竹千代の物語を短い映像で語るのは、次郎という主体を見失わない、とてもいい演出だと思います。ワンカットでも、セットがすごいので、お金がかかるでしょうね()
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行方知れずであった亀之丞と10年ぶりに再会した次郎、亀之丞から結婚を申し込まれ「出家の身だから」と断りますが「還俗すればよいでなないか」と迫られるのでした。「まあこういうことになるわのう」と見守る南渓和尚です。
〇次郎の還俗かなわずイメージ 8
直盛や直平、奥山朝利などが見守るなか、新野左馬助を烏帽子親として亀之丞の元服の儀が行われ、この日より亀之丞は井伊越後守直親と名を改めました。
その後、直親の元服を祝う宴が開かれ、直親は「謀反の子でありながらかような日を迎えられたのは皆さまのお蔭、井伊家のため殿のため身命を尽くす所存でございます」と挨拶。そして、直盛に「次郎の還俗はいつになるのですか」と問うと直盛と直平がなにも返事しないので、政次が「まずは今川の太守様に直親の帰参の許しを乞うのが先決。おとわ様のことはその後」と話し出します。これによって直親の帰参の許しを願い出ることに決まりました。イメージ 1
・直親は次郎を訪ね、案内されて父直満の墓に参り、「おとわの還俗を尋ねたところ、おれの帰参が先と決まった。同時であればよいのだが」と言い出すと次郎から「われの出家が今川氏による井伊家本領安堵の交換条件になっているのじゃ」と聞かされます。次郎は「亀の帰参を許してもらうことだけでも大きな願いだ。そのうえわれのことまで願い出ても難しかろう」と話します。直親は「何か策を考えよう」と言うが次郎は「こうなったのも自業自得なところもある。無茶はしないで欲しい」と諭します。
直平は「10年前の本領安堵のことなど願い出る必要はない」と楽観的な意見を言い出しますが、新野左馬之助が「決まりごとを見届けるのがわたしの仕事」とこれに反対します。これを聞いて、直盛は「しくじりは許されぬ」と今川氏の家中を探るよう左馬助に申し出ます

駿河今川館に着いた左馬助は、三河周辺の国衆・牧野氏から「言葉は選んだほうがよい。雪斎が次々と城を落としていて兵不足で、何か頼み事をすると兵を出すことを命じられる」ことを聞きつけます。
その庭先では、歌会で「松原のまだ見ぬ花の名を問わば千鳥の声は波に消えゆく」と読む瀬名。「気落ちしなくてもきっとご縁がある」と言われ輿入れ話に嫌気がさした瀬名が席を立つと、新しい鷹を検分する氏直とその仲間の姿が目に入る。氏直に対する目は相変わらずきつい。すると、瀬名はじっとイメージ 2見ている竹千代に気付き、「何をしている」と問うと「鷹がもらえないので雀を育てている」と言うので近づき「くやしくないのか。鷹をいただけるように工夫しようと思わないのですか」と問い質すと「雀も育てれば役に立つかもしれません」と言う。「雀は人にも懐かず狩りもしない。いくら育てても鷹にはならない」と言い捨てるのでした。竹千代の人を育てる才のあること、瀬名と竹千代の力関係を暗示しているようです。阿部:竹千代が13歳にみえます、驚きです!!
イメージ 3・次郎は村人に「還俗ってたやすいもんじゃね」と言われて「寺は去る者は追わぬ」と答え、寺に帰って「還俗はたやすいがわが身が井伊家の娘でさえなければ」と嘆いていると南渓がふたつの饅頭を持ってやってきて「昔、超という国に道威という王がいて道威のもとには仲と伯というふたりの大臣がいた」と話し出し「あるとき争いが起き、道威はどちらかを追い出さねばならなくなった。そこで道威はそれぞれに饅頭を2個ずつ渡す。ふたりともその場で1個は食べ、仲は残りのひとつを腹のすいている子に与えた。伯はそれを後生大事に持ち歩き、いつしかカビさせて喰えぬようになった。その後道威はどちらを大臣にしたとおもうか」と問うのです。いきなりの話、びっくりですね!次郎は「道威が選んだのは仲しょう」と答えると「違う、伯だ」と言い「なぜだかわかるか」と次郎に聞き返します。次郎は考えあぐむのでした。
・一方、聡明で文武に秀でている直親は、井伊谷では評判となっていきます。囲碁中、玄蕃が兄政次に「直親こそが井伊家の統領にふさわしくなっている」と口にすると「10年も苦労してきたのだから人がいいだけとは思わないがいい。小野一族に一物あると考えておいたほうがいい」と言い返すのでした。ここに直親が訪ね「政次はまだ身を固めてないのか」と聞き「よしなに頼む」と挨拶して去って行く。玄番は「聖人君子になった」と褒めます。政次は「そうだな」と応じるが真には受けてない。
・直盛・直平・馬之助に呼び出された直親は、駿府から戻った左馬助から「今川氏が尾張へ遠征中のため、なにか願いごとをすれば代わりに兵を出せと言うてくる」と聞かされる。これを踏まえ直盛から次郎の還俗を諦めるよう諭される。直親は「帰参させてもらうだけで十分だ」と応じ「次郎のことは二度と口にしない」と約束するのでした。イメージ 4
・この頃、龍潭寺では、次郎が南渓の同席のもので、千賀から「父上を恨まないで欲しい。還俗を諦めてほしい」と諭され「自業自得だと思っている。心を砕いてもらえるだけで幸せです」と応じるが「直親が次郎のことは二度と言い出さないと言っている」と聞いて「それがよろしいのでは。今後、自分のことは気遣いのないように」と告げて去って行きます。
これに千賀は「次郎ひとりが犠牲になってはあわれだ」と言うと、南渓は「僧の暮らしもそれなりに楽しんでいるようだ」と慰めるのでした。が、直親があっさり諦めたことを不思議に思うのでした。
〇直親、「死んだことにして別名でいきる」を提案
・直親は直平を訪ねなにやら相談を持ち掛けその後龍潭寺に赴き、次郎に「還俗が叶わないなら死んだことにする。お前だけだ。一緒になれぬのはお前が総領娘だからだ、死んだことにして別名で生きる。川名の里で暮らせばいい。ふたりの間に子供ができてその子が跡継ぎになれイメージ 5ば両親は喜ぶな。爺様は約束してくれた。父母にはこのことを伏せる」と策を言い出します。しかし、次郎は「私が死んだとなると父母が悲しむ」と躊躇する。これに直親は「10歳から寺に入って自分の生き方ひとつ思うようにないことを理不尽に思わないのか」と問うと「しかたがない」と返事。直親は苛立ち「仕方があるまい。そうやって、なんでもかんでもあきらめて、一生くすぶったまま生きて行くのか?」と強く諫めます。
次郎は「遺書はあったほうがいいな。いつの間にか諦め癖がついた。今生は一度きりの人生」と直親の提案に乗ることを決意するのでした。この様子を見ていた傑山の報告を聞く南渓は「若い者は思いつかんことを考えるのう。最後は次郎が決めること」と見守ることにします。


・おとわが考えたことは滝で水死したと見せることでした。事はうまく運び、ことは実行あるのみなりましたが、いざとなると両親との別れが身に滲みてなにかと涙ぐむのでした。村人との別れにかかしをもって泣き、仏イメージ 9に「お世話になりました」と挨拶。おもしろいですね!
・この異変に気付いた千賀は「直親には嫁を取らないで数年後には次郎の還俗を願いでることも出来るはず。次郎が屋敷の前に立っていました。これはもう酷な仕打ちではないですか。直親だけ助けて次郎を助けないのは酷だ。」と直盛に訴えます。
・その夜、遺書を書いていた次郎が目を上げると、南渓から授かったふたつの饅頭が目に入る。次郎は何故饅頭をカビさせた伯が選ばれたのかを考え始め、しばらくして、得度式で南渓から掛けられた言葉「次郎は家督を継ぐ者の幼名だ。女子にこそあれ次郎、次郎法師じゃ」、「いっそおとわが継ぐか」と言うた父の言葉を思い出すのでした。
・夜が明け、直親との待ち合わせ場所寺の井戸端に赴いた次郎は、直親と顔を合わせると「おとわは死ねぬわ」と告げます。「なぜか」に次郎は「直親とわたしはそれぞれ一つの饅頭だとすると」と饅頭を例に話し始めます。「ふたつの饅頭を一度に食べるたり、人に与えると、もうなうなってしまう。なれどひとつをとっておけば本当に困ったときにもう一度食べたり与えたりできる。情に流されふたつとも食べるのは愚か者のすること。井伊家のために自分が死んでしまったことにするわけにはいかない。次郎の名を捨てるわけにいかん」と死ぬ計画に反対します。
直親は「その心配はない。俺は戻ってきたし、身体も丈夫だから心配ない」と応じると次郎は「井伊の家を預かる者として、ここで備えをなくしてしまうことが上策なのか?情に流されおとわと添うことが得策なのか?」と再考を促します。
直親は「女子であることの喜びも悲しみも捨てて、あるかわからない井伊家の危機における予備の駒でいいのか。一度きりの人生を陽の目をみることもなく過ごすのか」と次郎にもう一度問いかけます。
〇次郎、直親の申し出を断るイメージ 6
次郎は「それこそが上々であろう?われがカビた饅頭になることこそ、井伊家が安泰であることの証であろう。違うか?」と問うて爽やかに去ろうとするが、直親は強く抱き結婚への未練を断ち切るのでした。「さきに行ってくれ。葬らねばならぬのは俺の心だ」と直親。「わかった」と次郎は去ります。
・千賀は次郎に「いますぐではないが、そのうちそなたの還俗を取り付けると父上が言うてくれた。許して欲しい」と謝ります。次郎は「もうよいのです。次郎はこのままがいい」と爽やかに言い放つのでした。
直盛は直親にそれぞれが「還俗を数年待って夫婦になればいい」と諭しますが、直親は「次郎の気持ちが変わることはない。次郎は井伊の家のことを真剣に考えての決心だ」と諦める決心を伝えます。
・井伊家は直親の帰参と家督相続を今川氏に願いでます。そして直親の正室には、直平も賛成し、奥山朝利の娘しのが迎えられることが決まりました。

・「あの無礼な申し出、腹は立たぬか」と問う政直に「次郎は、いくら待ってもお主の妻にはならん。そろそろ身を固めたらどうだ」と助言をします。「おれには考えたこともない」とぶっきらぼうに返事。
・瀬名は竹千代が餌をやった雀が鷹の代用になっているのを目にします。この男根性があり見どころがあるということでしょうか。短いカットで竹千代と瀬名の物語です。
イメージ 7・しのと直親の祝言が盛大に行われました。
直親が帰ってきたことで、止まっていた時が動き出したように、井伊家と次郎の運命を大きく突き動かしていくことになる。つづく。
             
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記事1 20170213
NHK「直虎」直親結婚願うも初恋実らず14・5%