映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「LA・LA・LAND」(2016)

イメージ 1この作品を選んだ理由は、アカデミー賞14部門にノミネートされ作品賞の最有力候補であること。ミュージカルは苦手でどの程度楽しめるかと不安を持って観ましたがが、まったくその危惧なしでした。むしろ楽しめました。監督は記憶に新しい「セッション」のデイミアン・チャゼルです。夢を求めて別れ、夢で会う、夢のような作品。素晴らしいカメラとダンスと音楽でした
本作、ロサンゼルスを舞台に、女優の卵(エマ・ストーン)と売れないジャズピアニストセブ(ライアン・ゴズリング)が出会い、恋と夢の実現のはざまで苦悩し、その結末はというストーリー展開、ミュージカルエンターテイメント作品です。
この作品のよさは、先ずはミュージカル映画でありながら、ドラマがしっかりしていることです。夢を追うために何かを犠牲にするという捻りが利いていて、その感情がしっかり描かれ切なさがあるというのが良いです。そして物語と歌と踊りの部分がよくマッチしていることです。物語を追っていて、歌と踊りが感情を繋いでくれ、むしろ高めてくれ、あるシーンでは一緒に踊りたくなります。そして歌が口ずさみやすく情感あふれるものになっています。テーマソングのCity of StarsAuditionの他にジャズ、ジョン・レジェンドの出演もありで楽しめます。
次に、映画の町ロサンゼルス、かっての映画ロケ地、映画スタジオを目の当りにできることです。思い出の映画の話とロケ地巡りは耐えられません。(#^.^#)
最後に出演者のライアン・ゴズリングエマ・ストーンの演技力、就中歌とダンスです。これらを美しくカメラに収め、躍動するように編集してくれています。
あらすじ(感想):
イメージ 2
冒頭、これが圧巻のスタートです。カーステレオから「今日も29度」という放送に続いてまざまな音楽が溢れだす大渋滞のハイウェイ。車を降りた女性ドライバーが「わたしは決めた、ダンス女優になりたい。勇気か狂気かこれからわかる。踊れ、踊れ。オーデイション落ちても希望が湧く。背中を押されたら楽しい、打ちひしがれても立ち上がれ!」と女優を夢見てロスへやってくる女性の心情を歌にした「アナザー・デイ・オブ・サン」の歌を合図に車の中の人はもちろん、スケードボードやBMXも頭上を飛び交うミュージカル・シーンが繰り広げられ、一気にドラマのなかに持っていかれます。
〇冬、
携帯電話に気を取られているミアの車(プリウス)を煽るようにコンバーチブルの男セブがクラクション(後々、このねたが効いてきます)を鳴らして追い越していく。これがふたりの最初の出会いだった。
ミアは映画スタジオのコーヒーショップでバリスタをしていて今日も病院に行くと嘘ついてオーデイションを受けるが、落ちまくっていた。落ちて部屋をシェアしてる子に慰められ一緒にパーテイーに出かけるが、良い男には出会わず、帰りに聞こえてくるジャズに誘われるようにレストランに入るとそこにピアノを弾いている男、なんとハイウエーでクラクションを鳴らした男だった。イメージ 3
この男セブは、ジャズが好きで、小さな店でピアノを弾いているが先を心配する姉にまともな社会人になれと発破を掛けられている。が、俺にはまだ人生にノックダウンされてないとピアノ練習に励んでいた。練習曲はセロニアス・モンク「ジャパニーズ・フォークソング、なんとも耳障りがいい。そのはず「荒城の月」だった。この曲が以後、しばしば出てきます。ライアン・ゴズリングのピアノが凄い。
今日はこの店でジャズは弾かないという約束で出演、ジングルベルを弾いていたがこれがジャズに代わり、店長(J・K・シモンズ)からクビを言い渡された。ここでミアに出会うという最悪の出会い、彼は何も言わず出て行った。
〇春、
ミアが大豪邸に住む脚本家を尋ねると、パーテイーバンドの一員として消防服装で演奏しているセブに会う。「テイク・オン・ミ」を不承不承に演奏していて、ミアが「アイ・ラン」をリクエストすると、生き返ったようにピアノを弾いた。
イメージ 4
帰りに愛車が見つからず探しているところに彼がやってきて「何度も会うね」とロスの町を見ながら語り、「不意の出会いで恋が芽生えるとは、君はタイプでないが。決めるのはわたし、あなたは対象外」と恋の始まりをアイロニカルな歌詞で綴ったナンバー「A Lovely Night」を唄いふたりはタップダンスを踊る。
次の日、ミアは例の店で働いているとセブが会に来た。ミアは彼をスタジオ見学に誘い「カサブランカ」や「汚名」のセットを案内し、自分は小さいころ女優の祖母に演技を教えられ、大学を中退し女優を目指していることを話した。イメージ 5
セブは脚本を書けとアドバイスサッチモのように歴史をつくれと。するとミアはジャズは嫌いだという。そこでセブはライトハウス・カフェに誘いジャズを聞かせた。ここで彼はジャズの歴史を語り、「ジャズが死にかけている。俺はこれを許さない。自分の店を持って好きな曲を演奏する」と夢を語った。
イメージ 8
ミアが「一次試験に合格した!」とセブに伝え、勉強のため「理由なき反抗」を観に行く約束をします。ふたりでライトハウスに出かけ、夜の海を見ながら「スターの街よ、その輝きは俺のために。スターの街よ 見えないものばかり。・・」とそれぞれの目標に向かって頑張る2人の愛と夢を歌ったバラードCity of Starsを唄い踊り、夢に向けて動き出した喜びを露わにした。ミアはオーデイションを受けたが不合格。帰宅すると付き合い始めたばかりの彼が来て食事に誘われた。レストランで食事をするも彼は兄と仕事のはなしばかりでうんざりしているところにピアノ曲が流れ、これがセブの弾く曲に聞こえ席を外して彼の待つ映画館に。そこで「理由なき反抗」に出てくるグリフィス天文台での授業シーンを観ているときナレーションに会せて手を握りあわやキスというところで、映写機の故障で明るくなり、本物の天文台に行ってプラネタリュームを観ることにした。ここでふたりは宇宙の壮大さに魅せられ、幸せの歓喜をプラネタリュームのなかで「無重力ダンス」を踊った。ここは感情移入できるすばらしい映像になっています。
〇夏イメージ 9
セブとミアの交際は順調で、ミアが彼の演奏場を訪れるとセブが友人のキース(ジョン・レジェンド)と話しているのを目にした。セブはキースに“儲かるぜ”とバンドに加わるよう誘われていた。
ふたりは幸せいっぱいで、ミアは彼の夢の店の名前を「バード」と提案。彼は「チキン・ステイック」だと主張。ミアは「一人芝居をやりたい」と「いま脚本を書いてること」を話す。セブは店を持つにも金がなく、キースの誘いを受けることにした。
そしてセブは、キースのもとで厳しい練習が始まり、「伝統にこだわるな」と注意をうける。ここでもCity of Starを唄った。
ミアは店を辞め、脚本を書き始めた。セブもキースのバンドでキーボードを担当し大拍手をもらうようになっていた。
〇秋、
ミアは「さらばホルダーシテイ」という脚本を苦労して書き上げた。彼とは演奏旅行で会えないようだ。そこに彼が帰ってきて食事になりるが「明日は立つ」と言い出す。彼女は「舞台が不安、もし誰も来なかったら」と相談を持ち掛けると「心配ない。やりきりなさい」と励ます。彼女は「このような状態が続くの?」と聞くと「君が安定した仕事を望んだから」とこの仕事を続けるという。ミアは「それでは、あなたの夢はどうなるの。あの音楽が好きなの」と問う。ふたりの会話は行き詰まりセブが遂に「君は優越感のために俺を愛した」と言い出す。これに「違う」とミア。ミアは家を出てしまいます。あんなに愛し合って共に夢を追っかけたのに。
ミアが「さらばホルダーシテイ」の舞台に立ちますが客が入っていない。舞台を終えて部屋に戻ると「ひどかった、大根よ。女優には無理」という声が耳に入り涙を見せる。セブは「すまなかった」と謝りに来たが「何がすまないの。脚本を書くのはお終いにする」と泣いて怒る。これを見て、彼は無念がった。
彼女は故郷に帰ってしまい、自分の部屋で女優の夢を追い求めていたころの写真や俳優のポートレートを目にします。
イメージ 6 
セブはパーテイーで演奏して喝采を受けているとき「ミアに配役がある」という電話が入る。彼は車を飛ばしミナに伝えるが「もういやだ。私は女優に憧れていただけ」と言い断る。セブは明日朝8時半図書館前で会おうと言って帰った。
次の朝、セブが待っているとミアがやってきて、ふたりでオーデションに向かった。
オーデションでは「撮影はパリ、脚本なし」と言われ「何か話してくれ」と試験が始まります。ミアは「私の祖母はパリに。会うとパりの話をよくしてくれました。セーヌ河に飛び込んだ話、裸足で笑顔を浮かべジャンプした、下も見ずに落ちて水中に。でもまた飛び込むと言っていました。どうか乾杯を、厄介な私たちに。夢追い人に。どうか乾杯、厄介なわたしに」とパリの叔母のことを語り始め、歌に変わっていくAuditionを唄歌った。とても心に滲みる唄です。バカになって夢を追い女優を目指した理由は「祖母と雪とセーヌだ」と答えます。
オーデションのあと、この話を聞いたセブは「合格だ、おれの勘だ」と彼女を励まします。「ここからどうなるの」と聞く彼女に「俺はあなたに何もしてやれない。あなたは芝居に没頭しなければいけない。ここからはあなたの道。自分は俺の道を探す」と告げた。ミアは「ずっと愛してる」と言い「俺も」とセブ。
5年後の冬イメージ 7
ミアはスターとなり、結婚し子供もでき夢を達成、充実した生活を送っていた。一方セブは独身で相変わらず自炊生活。ミアは夫とハイウエーで出かけると、渋滞に巻き込まれ、ハイウエーを降りて街をあるいていると「セブス」というジャズ店に出会う。入ると、そこにはセブがいて、彼がバンドメンバーを紹介しているところ。セブはミアに気付き、メンバーを変更しピアノを自ら弾くことにした。曲は「ジャパニーズ・フォークソング。ふたりが初めて会ったときの曲。ここから思い出とともに、たぶんふたりが一緒になっていたらこうなっていたという夢「パりーに行って成功して、豪邸に住んで、子供ができて」とフィナーレの夢のダンスが始まる。
彼の演奏が終わると、ミアは帰りかけ振りかってセブに笑みを送ると彼は頷いた。
 *****