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第18回「あるいは裏切りという名の鶴」

直虎は、綿栽培の人集めで政次にそして今回の種子島密造のことでは方久に助けられます。自分は本当に当主が務まるのかと当主として読むべき本を漁り「敵を欺くにはまず味方から」という言葉に出会い、ここから政次は「あるいは裏切りという名の鶴」ではないかと政次の本当の姿を捉えます。
そして、政次のいう「後見を降りよ」に、これまでとは違った「身代わりになってやる」という意味を見出します。
幼い頃、鶴はいつもおとわと亀を庇う子でした。時勢の変化が「庇う」を「裏切り」という形に変えて、亀は救えなかったがおとわには生きて欲しいと願う鶴の気持ちを知り、三人が培った友情に感動です。政次がこれまでじっと耐えてきたことを思うと泣けます。ここまで17回観てきてよかった!!
“なつ”さんが直盛の言葉を守り、政次を信じ「直虎様から見ている見方がすべてでない」という大きな愛を持った生き方にも感動です。“なつ”さんは政次と結婚すればよいのにと思うのですが、これではこの物語が成り立たない。()

武田と今川の同盟が崩れれば武田が今川を潰し、井伊谷は武田、松平の争奪の地になる。井伊はどうやって生きていくか。直虎の当主として真価が問われることになります。
直虎に「井伊をどう守るか」と問われた直次の答えは「自分なら戦わない道を探る。戦わずして勝つ。周りの思惑や動きに目を配り、卑怯者・臆病者とそしりを受けようと断固として戦わない。これが小さな井伊が生き伸びる唯一の道」でした。
何のために鉄砲を持つのか?民を守るためだけでは答えにならない。「井伊を守るにはどうすることか」、これが政次が直虎に伝えたかったことでした。城主としてはこれからが本番、とても面白いドラマになりそうですね。(#^.^#)
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〇消えた種子島
政次は「おとなしく後見を降りられよ」と言い「直に太守様の前で直に申し開きいただく」と駿府行を求めます。これに直之が怒りを露わにして政次を斬ろうとする。直虎はこれを収めるために駿河行きを受け入れ、種子島を残したままで出掛け、直之がこれに付き従います。

方久は残された鉄砲を見て「まだできていないではないか。これでは売れない」と嘆きます。が、みるみるうちに元気になり、何かがひらめいたらしい。
六左衛門が直虎が駿府にいったことに助言を求めようと祐椿尼とともに南渓を訪ねます。事情を聴いた南渓は「種子島を自分に貸してもらえないか」という。皆で館に戻ってみると種子島が消えていて方久の姿もない。南渓は「さすが、銭の犬じゃ。嗅ぎつけおったか」と笑います。

〇方久、直虎を救う
直虎は駿河国境の宿となる山寺で旅支度を解きながら、直之に「己が情けない。われなど降りてしまったほうが井伊のためになるかもしれん」と言い「なんとかしてお方様にお会いする。太守様には但馬が取り入っておろうから」と漏らすのでした。イメージ 5
翌日、直虎たちは今川の館に着く。このとき、今川館では寿挂尼が病の床にあり今日明日が峠だと大騒ぎになっており、そこに方久が種子島を献上にやってきていました。
直虎は政次に「寿桂尼と話しをさせて欲しい」と頼むと「お方様は倒れているので話ができる状態ではない」と言い「自分を後押ししてくれているお方様の様子すら目配りできないのか」と直虎の痛いところを突きます。
イメージ 2直虎が困り果てていると、そこに方久が現れる。「そこで何をしている」と問うと「商いにやってきました」という。政次の顔色が変わる。方久は「今川様に、直虎様の指示によるものと、種子島を五平ごと売り渡してきました。これで、謀反を起こそうとした形跡はどこにもござらぬということです」というので、直之と直虎そして方久の3人は喜びあいます。

武田義信、信玄に幽閉される
政次が今川氏真に会い種子島献上のこと後見の話など話している最中に、急な知らせが入ってきます。「武田義信公が謀反の疑いをかけられて幽閉された」ことを耳にします。
武田義信は信玄の嫡男であり氏真の妹の嫁ぎ先で、義信が幽閉されるということは今川と武田の同盟を揺るがす大事件であった。
さらに寿挂尼の容態悪化が伝わり、氏真が急いで病室に入り「義信公が信玄公により謀反のかどで幽閉された。信玄公に物申せるのはばば様だけ」と話し掛けると、「武田がなんじゃと」と目を開き「何を、したと」。()
今まさに今川の力が弱まり、北の武田東の北条との同盟関係が崩れようとしていた。さらに松平の力が増し大国に囲まれた井伊は一層舵取りが難しくなっていた。

〇直虎、政次の想いに辿りつくイメージ 4
一方、政次も駿河から戻り、庭を眺めながら酒を飲んでいるとなつが「心配ごとでも?」と声を掛けます。亥之助への土産を渡し、「しの殿のところへ遊びに行ってはどうか」と勧めます。

直虎が設けた酒の席で、方久が氏直に持ち掛けた次第を自慢げにはなします。「井伊に尻の部分が出来てない銃をもって行って援助を頼んだところ『それはできかねる。太守様に願い出たら』とわが主人から指図を受けましてと話すと・・・」と喋っている。その話で座が盛り上がりますが、直虎は自分の力のなさに気付き「南渓に次第を教えに行く」とその場を抜けて出します。
直虎は「自分は助けられているばかり。これで井伊を守れるのでしょうか」と相談すると、南渓は「智恵など借りればいい」と言いながら数冊の書物を差し出します。直虎は「なぜ今まで勧めてくれなかったのですか?」と問うと「おまえのよさ、諦めの悪さと型にはまらない考え方を殺さないため」と答えます。()そして「この際、先人たちの知恵を学んでみることもいいだろう」と言い添えます。
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直虎は、寝食を忘れ、南渓に借りた本を読みふけります。やってきた直之に「なぜ急に読むのですか」と問われ、「(書物を読んでみて)みなが勝手なことばかり言っている」と答えます。
直之は、「気に入った言葉を拾うと頭に入りやすいのでは」と直虎に言い、その場を去っていきます。直之の助言、たいしたもんです。()
今度は祐椿尼(財前直見)となつがやってきます。なつは政次が憔悴しているので、今川で何があったかと心配でやってきたのでした。直虎は、「なぜ小野にいるのか?」と問うと「直盛様から申しつかった役割にございます」と言う。
「但馬は井伊を乗っ取ろうしているではないか。一緒にいると息が詰まろう」と問うと「そうではない」と言い、話はすれ違ってしまいます。直虎が違和感を持つと、なつは「お立場として義兄と相いれないのは仕方がないことですが、それがすべてでないと思っていただきたい」と言い、干菓子を置いて帰って行きます。
なつが帰ってからしばらくの間、直虎は祐椿尼とたけに直親について話をします。祐椿尼が「不思議に思っていましたが、なぜ政次は結婚をしないのでしょうか。井伊を乗っ取りたいとしたら普通は家を大きくしたいもの。しかし、政次にはその大きくするものはない。なのになぜ後見人に執着するのでしょうか」という話が直虎の胸に残ります。むかし鶴がやさしかったことを思い出します。

二人が部屋を出ていった後にも、直虎は本を読んでいます。すると、そこに「敵を欺くにはまずは味方から」という言葉がでてきて、直虎の頭の中に政次のことが思い浮かびます。「まさか?」と南渓のところに走っていきます。
寝ている南渓を起こして「政次の振る舞いがおかしいのです、わざわざ諫言をすると言ってきて後見を降りるよう迫る。追い落とそうとするならさっさと讒言しに行けばよい。そうしないのはわたしも虎松も首を刎ねられることなくかつわたしを後見から降ろすそのためではないか。もしかして政次は直親を裏切ることで井伊を守ったのではないですか。政次は自分を今川の犬であると見せかけ、井伊からは嫌われひとりで矢面にたち井伊を守ろうとしたのではないのですか?」と尋ねます。
南渓は「そうであれかしとは思うが、わからん。じゃがあれは優しい子、お主のいう通りかも知れん。もしそうだったとしてお主どうする。仲良しごっこをしていては政次の想いを無にすることになるぞ」と助言します。
直虎は「政次の後見を降りよ」にこれまでとは違った「身代わりになってやる」という意味を見出し、「政次はひとつだけ大きな間違をしています。それだけはしっかり伝えたい」と答えます。

〇政次、「井伊をどの守るのじゃ」
政次は、龍潭寺の井戸で直親に「武田が今川を切り崩しにかかった。井伊は武田、松平、今川の思惑に揺り動かされる、これからはやっかいなことになっていく。あいつの枕元に立って、危うくなるから早く下がれと言ってくれないか」と橘の木に話し掛け、振り向くと直虎が立っている。イメージ 1
直虎が駆け寄り「少しでいいからわれと話そう」と引き止めます。そして「種子島を備えて井伊を守ろうと考えていた。それが今川に渡りこの先どうなるかわからない。そなたなら井伊をどのように守るのか。そなたがだれよりも深く井伊を守る策を考えているから聞いてみたい」と井伊を守る策を聞き出そうとします。政次は返事しない。
直虎は「われは己で選んだのじゃ。この身を直親のうつし身とすることを。もしわれが女子であるとか、つらい思いをせずとも済むようになど思っているならお門違い。無用の情けだ」と言い「われをうまく使え、われもうまくそちを使う」と話しを誘います。

やがて政次が口を開き「わたしなら戦わない道を探る。戦わずして勝つ。周りの思惑や動きに目を配り、卑怯者・臆病者とそしりを受けようと断固として戦いません。これが小さな井伊が生き伸びる唯一の道」という。直虎はこの策を褒めます。さらに政次は「武田義信様が父上に幽閉されましたので、いずれ武田が今川に牙をむく。そのため、武田と松平に目を配っておく必要がある」と進言します。ドラマに防衛論を入れ、今につなげているのがいい!

その翌日に、南渓に政次の話をして松平との接触について相談をします。すると、南渓は「松下常慶が適任ではないか。しかし、以前の松平への遺恨はよいのか?」と直虎の気持ちを聞きます。「今の自分にはそのような贅沢を言える余裕にない。いずれまた瀬名様にも文を書く」と答えます。これに、南渓は直虎の当主としての成長を感じるのでした。

鍛錬に励む直之に「百戦百勝善の善なるものにあらず、戦わずして敵を屈することこそ最上の勝ち」と聞かせ「われがこれを目指す」というと「どうぞ、それがしはそれが失敗したときの備えておきます」と言い返すのでした。

寿挂尼は「こたび太郎義信殿を捕らえたと聞き及び・・・早々に義信公をお解き放つのが肝要と存じます」と武田に文を送ります。
武田と今川の関係が壊れ始めた秋、井伊では初めて綿の収穫が行われ、直虎も一緒に祝うのでした。いつぞや会った旅人の男の一賊が気勢をあげています。来週はこの一賊とのトラブル?「罪と罰」、楽しみです。
                         ***つづく***
記事 20170508