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第26回「誰がために城はある」

イメージ 2映画「誰が為に鐘が鳴る」(1943)のもじり、義勇軍兵士ロバートを龍雲丸に代えての物語。信じて疑わなかった目標に苦難を乗り越えて辿りついたのに変更になり無為な戦闘を強いられるというはなし。

直虎を救うため命懸けで駿河に運んだ材木が、今川の城作りに使われ龍雲丸たちの商売を奪うことになろうとは。直虎は「何を考えているのか」と怒り心頭の龍雲丸。
今川が造ろうとしている城のことで気賀の商人たちが賛成・反対派に分かれて争う事態になる。直虎は仲裁に乗り出し、ここで聞く龍雲丸の「誰がために城はある」に、「城は必要で問題は城主だ」と答える直虎。城の意義を模索するなかで方久の「殿が気賀の城主になっては?」の具申に出会うという回でした。

気賀の城を巡る龍雲丸、直虎、政次、方久らの想い、
龍雲丸の言葉つかいはこれまでにない乱暴なもので、理想の社会に憧れるだけに、直虎の態度に怒り失望をぶつけたもの。苛立つ感情を吐きだす柳楽さんのうまい演技でした。また、政次の能面のような表情での官僚的答弁に耐えられなかったのは、わかります。()

身をわきまえず統治外の気賀の町人たちの中に飛び込んで仲介にはしる直虎、領主らしくなったと思っていましたが、この性格ばかりは治せない。おとわに戻ったようで南渓も「結果自然成」と諦めていますが、もうすこし根回しが必要でおそらく政次らが援助するのでしょうが、政次が居なくなったらどうなるかと心配です。しかし、直虎の仲介は落ち着いてツボを得たもので、柴咲さんの演技も見事でした。

直虎を気付かう政次とこれをなじる直虎の表情がおもしろい。政次の「お前は一体どこの当主なのだ!最後にあの者たちに助けてくれたのは確かかもしれぬ。しかし、それは奥山も方久も皆駈けずり廻ってのこと。その首は、そうやってやっと繋がっておるのだ!」と厳しく戒める政次の言いようも、これまでにない厳しいものです。そして出かける直虎の裾を踏んずけて止めるという荒業にでる政次の危機感、一生さんのうまい演技でした。

方久が「商いのため気賀を抑えることが井伊の経済を支える」と直虎を取り込む弁は見事です。おそらく“銭の犬”方久はお金で城を買おうとしているのでしょう?

商人たちの対立や仲介を丁寧に描き、直虎を気賀の紛争に巻き込み城主にしようとする物語、“城とは何ぞや”と問うところが今に通ずる問題でもありよかったかなと!
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謀反の疑いが解かれ、氏真の命により材木は駿河に残し、駿河を発つことになった直虎は寿桂尼を訪ね挨拶をすませ、今川館を出たところで材木を運んできた六左衛門、方久そして龍雲丸らに会い心から礼をいうのでした。
一方、政次は材木の使い道について関口氏経から聞かされる・・。

その翌日、龍雲丸が、港で井伊の材木が戻されているのを見付け、このことで中村屋を訪ねると「その材木で気賀に城を築き大沢様に治めさせるらしい」と聞かされる。かっときた龍雲丸が走り出す。

○龍雲丸が運んだ材木の行方
井伊の館では綿布が次々に出来上がってきて祐椿尼ら皆で「井」印の刺繍をしているところに龍雲丸がやってきて「尼小僧を出せ!井伊の材木で気賀にイメージ 4城を造るのか!」と怒鳴るのでした。直虎が「さような話があるのか?」というと、龍雲丸は「しらばっくれんじゃねえ!」と怒り心頭です。
政次が「その件、まこと井伊はあずかり知らぬことだ」と釈明するが、龍雲丸は、「じゃあ、駿府から材木を買い戻せ。その木を切ってやったのは誰か、三河から木材を取り戻してやったのは誰だよ」と絡んでくる。政次は「そのたびに銭なら払っているはず。文句はあるなら駿河に言うことだ」というと「てめえも同じか」と直虎に絡む。見かねた直之が龍雲丸に刀を押し付ける。「何が世を変えるだ。己の世を考えるだけ」と怒ってその場を去りました。

龍雲丸の言葉つかいはこれにはない乱暴なもので、理想の社会に憧れるだけに、直虎の態度に怒り失望をぶつけたものでしょう。また、政次の能面のような表情での官僚的答弁に耐えられなかったのでしょう。

直虎は政次を井戸に呼び出し「知っていたのか、誰が気賀の城に入ることになる」と問うと「大沢元胤あたりが入ることになろうという話でした」と言う。
大沢は今川の国衆の中でも今川に忠義をもった国衆。直虎は、「なんとか龍雲丸の力になってやりたい」と言うと政次は「お前は一体どこの当主なのだ!最後にあの者たちに助けてくれたのは確かかもしれぬ。しかし、それは奥山も方久も皆駈けずり廻ってのこと。その首は、そうやってやっと繋がっておるのだ!井伊を危きにさらすのはやめて欲しい」と厳しく戒めるのでした。政次の言いようもこれまでにない厳しいものです。

気賀に戻った龍雲丸が与太夫に直虎の意向を伝え、「井伊は味方をしてくれないから自分たちで城造りをやめさせるよう仕向ける」と言うのでした。

直虎が館の庭先で方久と気賀に城ができることを思案していると大沢の使者がやってくる。「城をつくるための木材が焼かれたので、追加の材木がほしい」と話す。直虎は、龍雲丸たちだと直感で感じる。使者は、「もはや槍や刀で訴えるしかない」という。この言葉が直虎の心を激しく揺さぶった。
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○商人たち喧嘩仲裁を試みる直虎
直虎は、その使者が帰ったあとに「六左殿、あとを頼む」と急ぎ気賀に向かおうとすると政次に出会う。政次は小袖の裾を踏んずけて行かせまいとする。「お下司に背くのか」と問えば「駿河に言い付けよ。お主には好都合」と出て行くのでした。この気性は治らないようですね。() 

政次は南渓に相談します。南渓は「『結果自然成』という言葉ある、よいことがあるかもしれない」と言います。
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直虎と直之が気賀にやってくると、「大沢出ていけ」と石を投げられる。町人どうしが喧嘩し石を投げ合うという異常な光景を目にします。
直虎は中村屋に急ぎその理由を聞くと「頭たちが普請を邪魔し始めたところ、これに加担するものが相次いだ。それとは逆に、これは儲けどころと、大沢殿に媚びる者も現れた」と話します。

この話を聞いた直虎は早速大沢派と龍雲丸派双方を代表する商人に「大沢殿に木材を都合するかどうかはそなたたちの出方次第」という文を送る。すると4人の商人と龍雲丸が中村屋にやってきた。イメージ 1
「大沢殿は反対する商人たちを鎮圧するため武力を使うことも考えている。そろそろ矛を収めてはどうか」と話すと、双方の商人が言争う。直虎が「武家が入ることに何がいやなのか」と問うと「そもそも銭を納め町の仕切りを買っていた、何のために銭を納めてきたか」「お代官がはいれば船荷や人を厳しく改めるので商売がやりにくい」という。「気賀が儲かるのであれば大沢殿にも都合がいいこと。それならば城を作ることを認め、商いに口を出さないと大沢殿に願い出ればいい。話し合う余地が多分にあるぞ」と話します。直虎は落ち着いてなかなかうまく仲介をしていますが、・・

○龍雲丸、城を築くことに反対
中村屋の「城を築くことにしてあとは談判ということで」と話がまとまりかけたその時、龍雲丸が「城なんかまっぴら御免だ。もう暴れずにここからでていく」と席を立つ。

直虎は、龍雲丸を追って説得を試みるがうまくいかない。すると、龍雲丸が「城は人を守るためにある。しかし、俺の両親は城を守るために死んでいった。城なんて必要ない」という。直虎はそれに「田畑や野で狩られる者もおる。城に逃げ込み命拾いした者もおろう。城さえなくなれば助かるという話ではあるまい。城が攻められ守り切れるかどうかは城主の采配しだい、城があるのが悪いとは言い切れない」と諭します。城を国に置き換えるとわかり易いですね!
これに龍雲丸は「ここの城主をあんたがやるのか。やったところで能書きどおりできるのか」と言ってその場を去ります。

○方久、直虎に気賀城主を勧める
井伊谷に戻った直虎は、方久と六左衛門に龍雲丸とのやりとりを話すと、方久が「気賀のために殿が城主になればよいのでは。そうすれば、井伊にとって材木や綿の商いにも大きなプラスがある。港を領地にすると商いはもっと広がる。そう考えると殿がもっとも適任だ」と言うのでした。
直虎は「今川がそのようなことは認めないだろう」と笑いますが、方久は「もし今川が認めるのなら気賀の城主になっていただけるか」と問うてきます。
                                  ***つづく***
記事 20170703
おんな城主 直虎:第26回「誰がために城はある」視聴率は12.4