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第28回「死の帳面」

デスノート」(2016)のもじり。ノートに名前を書かれた人間が死ぬというメモ。ここでは、寿挂尼が「今川に背くものはだれか」と対面して判定を下したノート。直虎は背く者と見なされました。怖いですね!!
今回は、このメモに関わる寿挂尼の生き様、そして直虎がこれからどう生きようとしているかが描かれました。
寿挂尼の武田信玄との面談、北条幻庵との再会、直虎との面談といずれの面談シーンもすばらしいものでした!この面談を通して寿挂尼の生き様が明らかにされます。特に直虎に掛ける言葉には涙を誘われます。
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寿挂尼は孫娘鈴の返還を求め甲斐を訪れ信玄とやり合います。これまでに幾度となく修羅場を踏んだふたり、悪賢い化かし合いのような会見、男勝りの寿挂尼の凄さがよくでていました。そして信玄を追い込むために北条に調停を依頼し、さらに上杉と組むというどんなことがあっても今川の栄光を守るという執念に感動しました。
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直虎との面談では、ふたりの出会いから今日までのことが思い出され涙が溢れました。あの気丈な寿挂尼が今川家の行く末を想い、人生の終わりが近づくなかで、直虎に涙して援助を乞う気持ち。決して怒りを忘れはしないがこれを乗り越えともに家の安泰を願う気持ちに変わりはないと寿挂尼に同情を示すという大きく精神的に成長した直虎の姿に涙でした。
しかし、面談後デスノートには自分に似た直虎であるが故、衰えた主家に義理立てなど絶対しないと判定を下します。
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氏真の駄目っぷりが描かれましたが、寿挂尼の動きをみていると、己の不甲斐さに嫌気がさしますます無気力となって踊り狂う行動は理解できます。しかし、彼の得意な雅楽演奏で寿挂尼を死の淵から呼び戻します。妻・春とともにとてもやさしい人なんですね!生まれる時代を間違えましたかね。() 松也さんのやさしさが出た貴公子然たる演技よかったです。

気賀の城主となることを認められた直虎は、方久に城代を任せることで商人の自治を保障しますが、「銭だけではどうにもならないことが起きると思うが、深みにはまるな!」としっかり権限の範囲を示します。方久にこのことばの意味・重みが理解できたかどうか。直虎は、気賀の繁栄が続くよう戦さのない世を求めて、徳川に書状を送ることになります。これが命取りにならねばと願うばかりです。
小さな國の城主の生き方、中小企業の社長さんのはなしですが、だから身に詰まされおもしろいです。湖に浮かぶ城、これは日本国、堀川城の運命は?****
今川の意に逆らって自ら女城主となった直虎は一風変わったあの手この手で内政の立て直しに務め、人々に頼りにされることとになり、ついには気賀を手中に収めることになりました。その裏で、もうひとりの女子が熾烈な戦いを繰り広げていた。今川の尼御台・寿挂尼である。オープニングの絵がすこし暗いものに変りました。

○今川と武田の関係悪化
寿桂尼、信玄に孫娘・鈴の返還を迫る
今川氏真武田義信の自害を聞き「余をばかにしおって!あの鬼に殺された」と孔雀の掛け軸を斬り落とし激昂するなかで、寿挂尼は冷静に「直ちに鈴を駿府に返していただくよう武田に書状を」と氏真に促します。
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甲斐では、山縣正景が信玄に「奥方様の身柄をどうなさいますか、里に帰りたがっておいでだが」と聞くと「あの者の実家を贔屓にしたための死ではないか、菩提を弔う気はないのか」と怒る。そこに家人の知らせで寿挂尼がやってきます。信玄と寿挂尼の対決です。
信玄は義信の死について「謀反は周りの者に乗せられたもの」と鈴にはなんの関わりがないと話します。これに寿挂尼は「謀反の種になったのは鈴。駿河に引き取り弔わせます」と申し出ますが「肝心の本人が帰りたがってない」と信玄が拒否します。寿挂尼は「それならばわたしが説得します」と申し出でます。信玄は寿挂尼が引っ込むことはないと読んで「わしが説き伏せ駿府に戻します」と約束します。
寿挂尼はこの言葉にも信用はおけないと、かって信玄が追い出した父信虎を持ち出し「父上は織田と付き合いをしておられるようですよ」と言い「そなたほどのお方が尾張の若造に足をすくわれないように」と脅しをかけます。
これまでに幾度となく修羅場を踏んだふたり、悪賢い化かし合いのような会見でした。信玄を相手に寿挂尼の凄さがよくでたシーン、松平健さんと浅丘ルリ子さんの対決は寿挂尼に軍配です。(#^.^#)

・寿挂尼、北条に武田説得を依頼
駿府に戻った寿桂尼は、鈴の返還をさらに確実にするため春に「父上に仲立ちの文を書いて欲しい」と頼みます。
これに氏真が「初めからそうすればよいものを」と言うと「じかに関わる者どうしが話し合うてもいない場にしゃしゃり出てくるのを北条も望まない」と嗜めます。
そして自らが体調を崩しているにもかかわらず北条に出向くという。氏真が「自分が行く」と申し出ると「婆の形はあわれをさそうから自分が行く」と言います。ここまで相手の心理を読み尽していの行動。このような祖母を持った氏真には出番がなくて可愛そうです。

病苦を抱えながらの寿挂尼の命懸けの奔走が功を奏し、北条の仲介により、鈴とその娘は義信の死の翌月には今川に戻されました。

・信玄、静返還に今川の誓紙を要求
北条の使者・北条幻庵が今川を訪れ「信玄は鈴とその娘を駿府に戻すことに承諾すが、その代わりに、改めて今川の方から武田と手を組むよう誓紙を出すよう求めている」と伝えます。
氏真は、「何を今さら」と激怒するが、幻庵は、「断れば戦になる」と言う。寿桂尼は「桶狭間でどれほどの家臣を失いその後どれほどの不運に見舞われたか」とぐちる氏真を「見苦しい!」と厳しく諫め、誓紙を出すことを納得させます。浅丘さんの力の入った演技です。
幻庵は、氏真を無視して、寿挂尼に「上杉に誼を通じては」と勧め、これに寿挂尼は関心を示します。イメージ 3
寿挂尼と幻庵の語らい、お互いに苦しい局面を乗り切った戦友のような優しいが見えます。浅丘ルリ子さんと品川徹さんの演技、すばらしいキャステイングでした。

この日、武田義信の幽閉に端を発した今川・武田の争いは決着を見ることとなりました。しかし氏真と寿挂尼の間に亀裂が入ることになります。駿府の様子を探りに来た政次は顔に化粧をして派手な打掛を羽織って女装している氏真を目にします。
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堀川城代・瀬戸方久の誕生
気賀では、堀川城の完成を祝う宴席が開かれていました。この席で、直虎は「城代を任せる」と方久に伝えます。方久が驚きの表情を浮かべるが、笑顔で「ここは商人の町、それが最もやりやすい」と言う。集まっていた中村屋をはじめ、町衆が次々に賛成します。それを聞いて方久は、「瀬戸方久、お預かりするからには、気賀を銭のうなる地に変えてみせましょう!」と宣言します。直虎は「銭だけではどうにもならないことが起きると思うが、深みにはまるな!」と釘をさします。しっかり権限の範囲を示します。
また、宴には龍雲丸とその手下たちも姿を見せ、それを見た町衆は、一斉に歓迎の声を上げます。 龍雲丸は、「ここから世を変えねばならない」と心意気を直虎に伝えます。このふたりはしっかり心が繋がっているようです。

○「光に満ちた今川を取り戻したい」という寿挂尼の執念
寿挂尼が、ようやく上杉との盟約が整い、上杉輝虎への書状文を氏真に依頼するが、これまで蚊帳の外に置かれていたことに対する反発で受け付けない。寿挂尼は「なんとしても・・」と言おうとするところで意識不明の重体に陥ります。イメージ 4
驚いた氏真は、春のつよい勧めで雅楽を奏でさせて栄華のころを思い出させ、死の淵から寿挂尼を呼び戻します。氏真は目を覚ました寿挂尼の「光に満ちた今川を取り戻したい」という言葉に強く心打たれるのでした。とても幻想的なすばらしいシーンで滅びゆく今川の憐れを誘うものでした。寿挂尼の悔しさが伝わります。美術さんたちの苦労が伺えます。春を演じる西原亜希さんの力強く氏真を諫める演技は感動的でした!
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○今川に対する「井伊の備えは?」
直虎と政次が井戸端で先祖神に祈っていると、政次が「そろそろ、戦のことを考えたほうがいいかもしれない」と話しかける。直虎は、「今川と武田の争いは収まったと思っていたが?」と言えば、「それは表向きだけで。裏では武田は攻め込む手はずを整えている。再びお方様の体の具合もよろしくない。もしお方様が亡くなれば、一気に事態が動くかもしれない。寝返りが始まり戦にもつれ込みます。このまま何もせずにおれば、今川方として駆り出されるだけです。そろそろ何か手を打たねば」と緊迫してきた状況を語ります。直虎は「われらも寝返る支度ということか。直親の仇をとってやらねばならぬな!」と呟くのでした。

○寿挂尼、直虎の本心を測る
翌日、部屋で書物を探していて、直虎は「仮名目録」を手にし寿挂尼を思い出していました。いつの間にやら南渓がやってきていたので、「お方様は私にとって敵だったのか、味方だったのか」と問うと「ずばり聞いてみたら」と寿桂尼からの文を差し出すのでした。「女子同志、腹を割って語り合いたい」というもで、「会ってはどうか」という南渓の勧めに従うことにします
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直虎が駿府に出向きで寿桂尼の部屋で会うことになりました。寿挂尼は「忙しいところ、呼び出してすまなかったの」と言い、何か書いていた帳面を閉じます。
直虎は、持参した包みを開き、数枚の布を取り出して寿桂尼に渡し「井伊で出来上がりました綿布にてございます。後見のお許しを頂きましてから三年。なんとか、かようなところまでこぎ着けました」と話すと寿挂尼は手にした綿布をなでながら、「そなたがのぅ。大したものじゃ」と褒めます。綿布をなでる手を止め、
「そなた、あれをどう思うておる」
「あれとは?」
「直親のことじゃ。恨むなと言うほうが無理であろうな。今でも恨んでおろう?」
直虎は、
家を守るということは、きれいごとだけでは達せられませぬ。狂うてでもおらねば、手を汚すことが愉快な者などおりますまい。汚さざるをえなかった者の闇はどれほどのものかと。そう思います」
これを聞く寿桂尼の目には涙が光っていました。
「年端も行かぬ小さなおなごが、お家のためにひたすらに鞠を蹴っておった姿は、いまだ忘れられぬ。瀬名の命乞いに乗り込んできたとき、徳政を覆しに来たとき、そなたがわが娘であればと、ずっと思うておりました」
寿桂尼は涙しながら、
「井伊殿、どうか、わが亡きあとも今川を見捨てないでおくれ。そなたの才覚をもって太守様を支えてほしいのじゃ」
直虎は「ご安心くださりませ」と返します。寿挂尼は書類になにやら記入をします!

○「井伊は裏切る」と判定を下す寿桂尼
帰館した直虎は、政次に駿河でのことを伝えると、「それは寿桂尼の最後のお務めとお思いなのでしょう」と言い「今川の家臣や国衆の多くは先代や先々代に受けた恩義があり、お方様と会うことは、それを思い出すことになる。少しでも、離反を食い止めようとしておられる」と説明します。
直虎は「それでも、われらは寝返るのじゃのう。すべての恩を忘れ」と言うと、政次は「井伊のお家を守るためです」と返すのでした。
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離反相次ぐ今川家では粛清が始まっていました。寿挂尼の帳面は離反の有無判定を記載したものでした。
寿桂尼が記入する帳面を見た氏真が井伊直虎について「何ゆえに信用できぬとされたのですか。あの女子はお気に入りかと思うておりました」と聞くと「あれは、家を守るということはきれいごとだけでは達せられぬと言うたのじゃ」と答えます。
この言葉、これまで寿桂尼が己を許すために己に言い聞かせているものでした。自分に似た直虎が衰えた主家に義理立てなど絶対しないと見抜いていたのでした。

○直虎の「戦さを避ける方策」
南渓は直虎と政次に「今川家は上杉と結ぼうとしている」と情報を伝え、「両家が結べば、武田家の三方を囲い込むことができる。しかも上杉と武田は犬猿の仲だ。そうなれば苦境に立たされる武田家の頼みは織田家とその下にいる徳川家になる。徳川が考えを変えれば、信玄は戦ができなくなるかもしれない」と語るのでした。
直虎は、「徳川にそう働きかければよいのではないのか。徳川が武田と組まねば戦にならぬのじゃな?ならば徳川に、上杉と結び武田を囲い込むが上策と進言すればよいのではないか」と言い出します。
これに政次は「さようなことがもし今川の知るところとなれば、何を言われるか!」と強く諫めます。
しかし直虎は、「井伊は戦を避けるのではなかったのか。これとて、戦を避けることに変わりあるまい!」と言い放つ。
そして「殿、殿」と瀬名が家康を探し、直虎からの書状を差し出すのでした。
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記事 20170718
咲コウ主演NHK「直虎」寝返り画策12・0%
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170718-01856681-nksports-ent