映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「東京喰種 トーキョーグール」(2017)

イメージ 7
本作、最近数々の話題作に出演中の蒼井優さん出演ですので観ようと決めましたが、なにしろ人喰い(喰種)の話しで、ホラーアクションSF作品となると尻込みします。()しかし、 圧倒的に女性客が多いことに驚きました!

監督は萩原健太郎さん、本作が映画初監督作品とのこと。原作は石田スイさんによる同名コミックでアニメ化や舞台化もされている人気作品だそうですが、まったく知りませんでした。
しかし喰種(グール)の話は昔から沢山ある話で、人間とはなにかを見つめる作品ということで、勇気をもって観ることにしました。(#^.^#)

鑑賞所見は、ある事件で喰種になった主人公が世の中の不条理なことに耐え周囲の人々による協力・愛情・友情や本人の努力により清く強く成長してゆく姿が、ダークな世界感のなかで描かれるだけに鮮やかに浮かびあがり、その生きい方に共感を感じます。

物語は食物連鎖の頂点とされるヒトを狩るものたち、人々はこれを喰種(クール)と言います。人の姿をしながらここ東京に住んでいるが人々には見えない。国家はCCG(喰種対策局)を組織し多くのグールを駆逐しましたが、彼らは今なお東京の闇の中に潜んでいます。

東京20区に住んでいるさえない大学生の金木研(カネキ・窪田正孝が事故で移植を受け、半喰種となってしまいます。自分が喰種化したことで苦悩するカネキは、以前から通い詰めていた喫茶店「あんていく」(喰種が集まる店)で働き始め、そこでアルバイトをしている女子高生の霧嶋トーカ(清水富美加と出会い掛け替えのない友人になっていきます。この喫茶店に救いを求めてやってきた親子を捜査官(CCG)が駆逐しようとすることで、捜査官とカネキ・トーカの戦いが始まり、その結末は?という展開です。

ここでの喰種とこれを狩る人間の捜査官との戦いは、今の世の中で容易に見出せる対立、マイノリテイとマジョリテイの対立で、身近の問題に置き替えることができます。それ故にメッセージ性や人物のキャラクターに感情があり、これを演じる出演者のみなさんの熱演をみることになります。

グロイと言われますが、千切れた腕を食べるシーンでも明らかに腕はモデルと分かりグロさを感じさせない配慮されており、捕食シーンはさらに華やかなアクションとうまくかみ合せ決して怖いだけの映画にはなっていません? 物語が進んでくるとアクションやコスプレのなかに演じる人物の感情をくみ取れるようになります。
イメージ 1
カネキは「あんていく」が喰種の店であることを知らずここでひとり読書していて本を落としこれを拾ってくれたリゼ(蒼井優をひと目惚れしデートが始まります。
ここでの窪田さんと蒼井さんのデート風景がとても暖かく良いです。メガネの蒼井さんが魅力的です。ところがある夜のデート帰に突然リゼが赫目(赤目)になり、赫子(捕食や戦闘の際に使用する器官)を使ってカネキを襲います。

カネキは逃げ惑いますが、頭上から工事中の鉄骨が降ってきて受傷、病院に運ばれ一命を取りとめますがリゼは頭を打ち即死。カネキの心臓にリゼのものが移植され、カネキは半喰種として生まれ変わります。

ここで見せる蒼井優さんの演技はやさしさの溢れる女性から怖い喰種に変化する狂気の演技、感情・表情の他にワイヤーを使ったアクション演技が凄いです。あたらしい蒼井さんに会えました!!
イメージ 8
半喰種となったカネキは、今まで食べていた食事を美味しいと感じなくなり喰種になったことを自覚しはじめます。猛烈な空腹に見舞われるが人間として人は食えない。冷蔵庫を開け、ヨーグルトやトマト、牛乳などを引っ張り出して食べ吐きだし、目はグールの空腹時特有の赫目に変ります。演じる窪田さんの演技はもうすっかりいっちゃっているという狂気です。
イメージ 2
そして無意識のうちに人間の匂いに引き寄せられるように街を徘徊。そこでカネキはトーカと出会います。トーカに連れられて喫茶店「あんていく」にやってきます。
ここでトーカから「食べ物は自分でなんとかしなければいけない」とまた店長芳村(村井国夫から「グールが互いに助け合うこと」を教えられます。グールはここで出されるブレンドコーヒーと水で一時的には空腹を癒すことはできるが餌が必要なのだと「肉片」を渡されます。こうしてカネキは、店長やトーカの助けを借りてグールとしての生活がはじまります。

芳村はグールの精神的支柱ともいうべき人物。彼が吐くセリフにはこの世界をどう生きるべきかというメッセージが含まれています。村井さんはナイスなキャステイングです!
清水富美加さん。ばっさりと切った髪で顔半分を隠し何時でも殺すぞ!という殺気を持つ、反面仲間思いであるというトーカ役をうまく演じています。ここで見せる蹴りの演技もみごとでした。今後の活動がどうなるのかわからないことが残念です!
イメージ 9
カネキは学友のヒデ(小笠原海さん)に紹介され先輩の薬学部生ニシキ(白石隼也に会います。彼は喰種だったのです。「この日が来るのをずっとまっていた」と突然ヒデを襲います。カネキはヒデを救おうと無意識のなかで赫子(大きな尻尾?)でニシキと戦います。
ニシキを倒し、血だらけで気絶しているヒデを見て、彼を舐め始めます。口元を血まみれにして佇むカネキ。この狂気にゾッとさせられます。これを演じる窪田さんの演技に驚かされます!

イメージ 3
ここにトーカとヨモギ(柳俊太郎)が駆けつけ、「人とはいえ友人を食べてはいけない」と強く戒めます。また店長から「君は人間とグールの両方の世界をもつ唯一の人だ。ここに住みなさい」と言われ、喫茶店「あんていく」の店員として正式に働くことになり、グールとしての苦しさ哀しみを知り、どう生きるかに苦しみはじめます。

イメージ 4

「あんていく」を訪ねてくる笹口リョーコ(相田翔子)と娘ヒナミ(桜田ひよりに出会います。笹口親子は人を狩ることができないので店長の恵み(死肉)を頼りにしてやってくるのでした。ヒナミは友達ができない。このような親子にカネキは同情を寄せていきます。イメージ 5


リョーコの夫は最強の喰種でかって真戸(大泉洋に狩られていて、真戸はずっとリョーコをマークしていました。所在がはっきりしたことでCCGのふたり真戸と亜門(鈴木信之)が笹口親子狩りに動き出します。
イメージ 6
真戸は人間でありながらグール駆逐に異常なまでの執着心を持ち、クインケという駆逐した喰種の赫包を加工して作った生体兵器を振りかざして、残忍な殺し方をします。どちらが人喰かわかりません。

この役を大泉さんがこれまでのコミカルな演技を封じ、しっかり悪を演じて見せてくれます。いやらしい男です!()
一方亜門はグールを駆逐することに正義を貫くという好漢。演じる鈴木さんがしっかり鍛えた身体で、すばらしい格闘技を見せてくれます。しかし亜門はこの正義に疑問をもつようになります。

リョーコを演じる相田さんのやさしさ、ミナミを演じる桜田さんの可愛らしさ、そして仲のよい親子にCCGの刃が向けられることにカネキ・トーカ同様に怒りを感じます。
カネキはふたりを守るためにマスク店で、ウタ(坂東巳之助により喰種用マスクをつくります。

笹口親子が24区(捜査官が近寄れない隠れ場所)への移動中を狙って真戸が襲撃します。リョーコは蝶の羽のように美しい赫子で真戸と戦い命を落とします。とても憐れです。これを見たトーカが激しい復讐心をカネキは「こんな世界は間違っている」と正義心を抱きます。

ふたりは、しっかり身体を鍛え、トーカは炎のような赫子で真戸にカネキは亜門と戦います。
イメージ 10
ここでの戦い、戦いの意味がわかるCG描写でうまく出来ていると思います。
イメージ 11
戦いが終わって、その結末に“爽やかさ”を感じているとエンドロールが流れ出し、「もう終わり」という感じでした。単なるホラーアクションSF作品として終わるのではなく、しっかりとカネキの成長、メッセージが描かれていました。
****