原題「Elle」は フランス語で「彼女」を意味します。コピーは「犯人よりも危険なのは彼女だった」。監督・ヒロインそしてキャッチコピーに、エロテイックなサスペンスを期待して観ることにしました。(笑)
フランスだから描けるエロテイックなサスペンス展開。常識では考えられない男女関係、ヒロインの無節操な行動に振り回され、意外なことで犯人が見つかる。ここからの彼女の行動が本作のテーマ見どころです。改めてこのヒロインは何者かと問うと、強い女性の生き方が見えてくるという衝撃作でした!
物語は、新鋭ゲーム会社の社長を務めるミシェルは、ひとり暮らしの洒落た自宅で覆面の男に襲われる。その後も送り主不明の嫌がらせメールが届き、自分の生活リズムを把握しているかのような犯行に、周囲を怪しむミシェル。父親にまつわる過去の衝撃的な事件から、警察に関わりたくない彼女は、自ら犯人を捜し始める。次第に明かされていくのは、事件の真相より恐ろしいミシェルの本姓だった・・・。(チラシより)
そこに息子ヴァンサン(ジョナ・プロケ)訪ねてきてふたりで食事。彼はやっとファストフード店に仕事見つけ、妊娠中のジョジー(アイス・アサーズ)と一緒になりアパートで暮らしたいらしい。母親に金を無心にきていた。すべてがジョジーの言いなりになる息子に「誰の子か分からない子を孕んで」と不快感をしめした。
翌日ゲーム会社に何ごともなかったように出勤。制作中の怪獣が女を犯すというエロゲームをチェックする。これがなんともエロイ。「オーガズムが弱すぎる。5倍にして」とダメ出した。(笑)これを聞くプログラマーが一斉に困惑。ミシェルのワンマンぶりが際立つシーンです。しゃべる言葉が露骨で凄い、大笑いです。訳文がこれだから原文はどうなっているのでしょうか。
そのあと、防犯器具専門店でハンマーに大斧を購入した。カフェでコーヒーを飲んでいると同僚のスキンヘッド男・ロベール(クリステイン・ベルケル)が「今夜付き合え!」と電話してくる。“生理“と断った。
ロベールは、ミシャルの片腕として働くアンナ(アンヌ・コンシニ)を妻としながら、ミシェルと不倫関係にある。
生活費を渡すため母親イレーヌ(ジュデイット・マーグル)を訪ねると、若い男といちゃついている。顔を整形しており、結婚するというがミシェルは強く反対。
母親は「父の仮釈放を申請してほしい」と訴えた。ミシェルはこれを断った。この母親も異常です!(笑)
父親は38年前に大量の人を殺し火を着けて焼くという大量虐殺事件を起こし、そこに当時10歳のミシャルが佇んでいる姿が報道された。この事件が彼女にとって大きなトラウマになっていた。具体的に何があったかが描かれないので想像するしかない。性的暴行があったのではと考えられる。
帰宅すると隣前に住むパトリック(ロラン・ラフィット)とその妻レベッカ(ヴィルジニー・エフィラ)に出会い、挨拶した。パトリックは銀行に勤務。レベッカは敬虔なキリスト信者だった。
家に入り、猫を見ていると、レイプの記憶が出てくる。そこに、「年の割には締まりがよかった」(笑)という携帯メールが入った。
リシャールは小説家。付き合っている女性エレーヌ(ヴィマラ・ボンス)がいる。なぜ別れたのか、いまどのような関係にあるのかよく分からない。
出勤すると、事件以来、情事を拒否され欲求不満のロベールが、隙をみて挑みかかる。化粧室にいると「グリーム色の服が良い、精液が目立たん!」とメールが入る。(笑)犯人はすぐ近くにいるらしい。
母の望みで父の仮釈放を申請したことで、39年前の事件を取り上げたニュースが流れるようになり、ミシェルの神経が昂る。警察に頼らず自力で犯人を上げようと走り始めまた。
家の周りをうろつく車を見つけ、ハンマーで車の窓をぶち破ると中に元夫のリシャールがいた。車の持ち主が彼女・エレーヌのものと分かり、激しく嫉妬した。
帰宅すると隣人のパトリックが「変質者がお宅を見て逃げた。スキー帽をかぶっていた。なにか変わったことは?」と、室内を点検し始めた。ふたりの目線が合うが、「孫ができたのよ」と言って送り出した。しかし、クリスマスの飾りつけをしているパトリックを見て、望遠鏡で覗きながら、密かに自慰行為にふけった。この破廉恥ぶりは理解できない!(笑)
嵐の日、パトリックが窓の閉鎖を手伝いにやってきて、ふたりが抱き会ったが、なにごともなく彼は去って行った。会社でPCに自分の顔を張り紙にしている男を疑い、パンツを脱がせ点検した。(笑)
このようにして多くの人の恨みを買い、パトリックに傾倒してゆくなかで、再び黒覆面の男に襲われた。今回はしっかり抵抗し、ハサミで相手の手を傷つけ、ひるむところで、覆面を剥ぎ顔を見た。そして、「出て行って」と追い出した。
ここからは、本作の核心部ですので伏せます。
仮申請が認められ、父に会いに刑務所を訪ねたが、娘が来るとを知って自殺したあとでだった。父への怒りが少し癒えてきた。
レイプの犯人を見つけ出したが、自分から彼と関係を持ちかけ、彼の本性を知った。そして関係を断つ決心をした。
ミシェルは、自由放縦に生きるモラルのない女性。しかし、女性への性暴力に対しては徹底的に戦う、復讐する女性、こうでなければ自由放縦に生きられない。そしてラストで明らかになる犯人の妻の生き方も従順に見えて静かなる男性への復讐でした。女は強い!なんで男がみんなおばかさんなのかと思わせられます。(笑)
ユベールの演じるミシェルの壊れたような無節操な女性に、惑わせれ続け、くぎ付けになります。