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第42回「長篠に立てる柵」

イメージ 2信長が大量の鉄砲運用で勝ちを収めた史上名高い長篠の戦。戦闘シーン、わずかでしたが、沢山の馬と鉄砲、馬防柵を構築して戦の特色をしっかり捉えわかりやすく、映画「関ケ原」以上のできでした。(#^.^#)

この戦での家康の将としての器がいい。増援を要請したが、数倍の兵を率いて信長自ら戦場にかけつけたならば、これはもう信長の戦だ。信長の威圧感に押される家康、出る幕なしでした。しかし、だれのための戦ではなく、戦に勝ことを目標に耐え忍ぶところが家康の本領です。

信康が信長の贈る茶器を受け取らないシーン、信康の運命が分かっているだけに、このシーンは緊張感がありました。信康は信長という義父にどう対応すればよいか悩んでの決断。信康が明快な方便で茶碗を受け取らなかったことに、信長が先に恐ろしさを感じたかもしれません。信康(平埜生成さん)、瀬名に似たのでしょうか、端正な姿が光るシーンでした。

この戦に信之と六左衛門が参加し、不足分の材木を整え戦に大きく貢献した功績で信長愛用の茶碗を拝領するとはびっくりでした。与えられた役目をしっかり果そうとする武人気概の強い信之には、これまで恵まれなかっただけに、生涯の思い出になったでしょう。
近藤がこれを龍潭寺に寄進するという、近藤も欲を捨て平穏な人生を望む親父になってしまいました。()

直虎が戦の犠牲者を供養するため長篠に旅立ちました。長篠の激しい戦闘シーンのあと直虎の祈りのシーンを見ると、死者を弔い、民の安寧を祈る直虎の姿がとても美しいものに見えます。一方、浜松城の蔵では、しゃにむに立身出世を願って励む万千代の姿に、人は何のために生まれてきたのかと思わざるをえません。平和を願うばかりです。

万千代と万福、正信とともに過ごす日々。小姓どもの蔑みに惑うことなく、正信の「今川の潰れた家を強みにしてはどうか」を心に、なんでも引き受けて日本一の留守居になることに専念できたのはよかった。“くやしさ”が、一歩人に先んずるということを教えてくれます。

浜松に帰還した家康は、留守の間の万千代らの行動を確認し、色小姓になることを勧めると、万千代はこれを受け入れる覚悟をしました。万千代の出世の速さから、こういう処遇があったのではないかという噂があります。色小姓をめぐる家康と万千代の掛け合い芝居に大笑い。家康に褒められて見せる万千代の涙、生意気そうであっても苦労してる様が見えて、清々しい若者です!
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万千代は井伊から材木を調達して初手柄をつかもうとしたが、直虎の意見により丸太の調達が近藤に命じ直され、浜松城での留守居組となってしまった。井伊の材木を携え、徳川軍は武田との決戦地・長篠へと出陣する。留守居を命じられた万千代と万福、神妙な顔で都築から「役目に励め」と心得を聞きます。
井伊谷では南渓が「初陣の機会でもあったのに虎松はすねているかもしれんぞ。いくらじゃまだてしても戦に出るのはそう遠くはないぞ」と直虎に嫌味をいう。直虎は「これしきのことですねるようでは」と意に介せず、井伊の出兵たちの無事を井戸に祈るのでした。

浜松城、玄関の片隅で
下城の時間になり正信が仲間と早々に草履番をふたりに預けて出かける。万千代は怒ることなく「日本一の留守居役を仰せつかった。丸太で失ったものを虎返さねば」と新しい草履棚を考える。

○長篠・設楽原の戦準備
長篠、徳川の陣中。到着した家康に忠次が「織田の下知で、設楽原に陣屋や馬よけの空堀を掘るなど戦仕掛けを作り始めている」と報告すると、「織田はわれらの援軍、それが仕切るとは何事か!」と忠世が大不満。忠次が「長篠城は陥落寸前で、次の策を急がねばならないが、殿の到着を待っている状況」という。すでに信長は自陣に入っており、これに信康が対応している。これを聞き家康は信康を気遣う。
織田の陣。信康が信長から渡された茶碗を眺め、「いただくわけには参りません。これにふさわしい戦場働きをしていないので」と差し戻す。信長が「褒美としてではない。親子としてじゃ」と勧めるが、改めて断る。
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そこに、家康は到着の知らせで、軍議が始まる。信長の「織田と徳川は一心同体。なんとしても武田を食い止めねば」の言葉に次いで佐久間信盛が「この戦は主に鉄砲を用いる。用いる鉄砲は3000丁だ」。これに徳川勢は驚く。信長が「徳川が武田に勝てぬは、そなたが武田と同じやり方だからだ。こちらの望む戦場に引きずり込んでしまうがよい。どうか?」と問うてくる。

徳川の陣に戻り、忠勝が「よく練られている」と認めると、忠世が相変わらず「織田はあくまでも助太刀」と不平を漏らす。
忠勝が「見事な策、そしてみごとな道具立て。怒る筋合いはない。此度は素直に従って、いずれ織田に同じことをしてやろうではないか」と皆に言い聞かせます。

浜松城の玄関。
新しい草履棚ができあがり、万千代と万福が「これで殿も使いやすいと思ってくださるか」と話しているところに、小姓の小五郎がやってきて武具が収納されている蔵に連れてきて「槍の手入れはできるか」と聞く。
イメージ 5「できる」というと「井伊は逃げてばかりで槍など使ったことなかろうが」とバカにする。万千代は引き受け「阿呆を殺すまでもない。小姓に上がればあっというまにゴボウ抜きにして使ってやる。これをすべて完璧に直し、押し付けたことを後悔させてやる」激しく息巻く。
ふたりで槍の手入れを始め、穂先の錆も完璧に落として日本一の留守居番を見せてやると励むのでした。

○長篠の戦、織田・徳川の大勝利イメージ 1
設楽原。直之と六左衛門が、戦準備に駆り出されている。六左衛門が「おおがかりな普請は武田に見つかのではないですか?」と直之に聞くと「山が目隠しになっている。しかし放っておくと背後をつかれる。ここの泥濘は」と話していると「丸太が足らぬとなにごと!」と雑兵を怒鳴る声が聞こえる。二百本ほど足りないらしい。直之が国衆の反対を押し切って「人を貸してもらえれば、私どもで間に合わせる」と引き受けてしまう。

家康を休憩所に案内する数正が、忠世の態度に「岡崎のものがしっかりしておれば」と謝る。これに家康、「岡崎には徳姫もおるし気遣いも多かろう」と労います。
イメージ 3寝所に信康が訪ねてきて、ふたりは囲碁を始める。家康が「茶碗をそなたに!織田の舅殿はそちにもっと近しくなりたいのであろう」というと「それは難しい、あの人は常なる人でない。私は人の子」と答えるのでした。

イメージ 6普請がいよいよ完成。酒井忠次率いる別動隊が、長篠城を取り囲む武田勝頼の軍を闇夜に背後から奇襲。若い勝頼は山形昌景が懸命に止めるのも聞かず、織田・徳川軍が待ち受ける設楽原へと突進する。
イメージ 7馬防柵に引っ掛かり馬から転げ落ちた武田勢に土塁から織田の鉄砲が一斉に弾を浴びせる。この信長の策で、武田は多くの犠牲者を出した。忠勝は武田の赤備えの核である山県の首を挙げ、武田軍は重臣やおもだった武将を幾人も失った。これで長篠での一戦は織田・徳川軍の大勝利に終わった。

その夜、勝利の祝宴の最中に、直之と六左衛門は信長から呼び出しを受ける。驚くふたりは佐久間信盛に連れられ織田の陣を訪れる。信長の「面を挙げよ!」にふたりは震えあがる。

○浜松の蔵の片隅で
「この1か月、己の手ばかり見ておる気がする」と万千代と万福は武具の修理に熱中。「見ておれ、おの小姓ども」と話しているところに「草履番、出イメージ 8来ているものでよい、急ぎ武具をまとめよ!」と武者が飛び込んでくる。長篠は大勝利に終わり、勢いで遠江の武田方の城にも攻め入るという。万千代は「さあ来た!」と立ち上がり槍を手にする。

荷が庭先に積み上げられるなか万千代と万福が重い兵糧を運んでいると、小五郎ら小姓が修理の終わった弓を積みあげている、これに都築がきて「これほどに備えてあったか?」と小姓らに聞くと「昼夜を徹して修理しました。陣中に届けたい」と返答している。これを聞いた万千代、「私もお連れください。それは私どもが修理したもの」と抗議する。都築に「気持ちはわかるが井伊はつぶれた家の子。己の働きとしたいのは分かるが、その名で奉公できるのも殿の情け」と言われる。これを見た小姓らが笑って去って行く。万千代が追いかけようとすると正信が「あれは酒井の一門、立場が悪くなるからやめておけ」と止める。たまりかねた万千代は正信の顔をぶん殴ってしまう。

「すまぬ!」と謝ると、「地味な役割を文句もいわずよくやっている。向こうが徳川の権勢を誇るのを強みとするなら、こちらは今川の潰れた家を強みにしてはどうか」と勧める。「そんなものが強みになるか」と問うと「そのつもりだ。裏切者、恥知らずだからできる働きをいずれ見せる」と力強く言う。万福が「井伊の殿がまさにしてこられたことではないか。家が潰れたことを利用するということは。家が潰れたことを逆手にとり井伊を治めておると」という。正信が「いつかはその日が来る。殿が私どものはみだし者を雇い入れたのは意味があるはず。殿を信じ、その時が来るのをまつ」と諭すのでした。

○信長より拝領の茶碗
直虎に高瀬が長篠が勝ち戦であったことを知らせに来る。安堵していると近藤が用があるという。出向くと直之と六左衛門が控えており、黒い茶碗を渡され、「六左と直之の働きで織田さまからの褒美だ。城がひとつ建つほどのイメージ 10茶碗。家康の頭越に信長から褒美をもらうは筋違い。寄進したい」という。近藤も生き残りをかけていろいろ考えているようです。直虎は死者を弔うため長篠へと旅立ちます。直虎の歌うような経が長篠の戦場跡に流れるのでした。

○万千代、色小姓に
各地を転戦していた家康たちが浜松に帰還する。万千代は榊原に呼ばれ「急ぎ殿の寝所へゆけ。着物も汚れている、取り換えるように」と指示を受ける。万千代、まさかと心配すると、政信が「顔がかわいいから、趣味が変わられても不思議ではない」と謎をかける。()
万千代は「織田家前田利家様、武田家の高坂弾正様、皆さん主君と契りを結んだうえでの出世だったと聞きます。これは大きな足掛かり」と聞くと言い「酒井一門を追い落とす好機、迷うことはない。万福、新しいふんどしを持て!」とはやる。

万千代が寝所に入ると家康がひとり囲碁を打っている。万千代が挨拶し「それがし、かようなことは初めてで」と近寄ると、「いつものとおりよい」と言われる。枕のあんぎえる寝床を見て緊張し「かような契りを結んだことがないので」と・・・()
家康が大笑いし「弓も槍もよく手入れされ、草履棚も様変わりした。日の本一の留守居を本気でやろうと思うたか」。これを聞いて涙する万千代、菅田さんの演技がこれまでの激しいものから柔らかいものにと、いいですね!イメージ 9
「いっそ、まことの色小姓としてしまう手もあるが」と万千代に近づき、「ここはひとつ、まことにそういうことにしてしまわぬか?」という。()

大雨。井伊谷に水が溢れ出る。これに気付いた甚兵衛が・・
                                  ***つづく***
記事 20171023
柴咲コウNHK「直虎」日本一の留守居11・9%