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第7回「背中の母」

イメージ 1嘉永5年(1852)夏。祖父・龍右衛門(大村崑)が労咳で亡くなる。祖母のきみ(水野久美)、母・満佐(松坂慶子)は吉之助(鈴木亮平)に嫁取りをせかすが、斉彬に伴い江戸に行きたいためにこれを拒んでいる。
見かねた父・吉兵衛(風間杜夫)が伊集院家の須賀の縁談ばなしを思い出し、話をまとめてしまう。イメージ 2
吉之助は、正助が江戸行きを推してくれるが、父母の気持ちも汲んでやりたいと思うわけ。しかし、謹慎中の正助がつい漏らす「江戸行きたい!」に、このチャンスは逃したくないとも思う。

このころの吉之助は、イメージ 3
斉彬が「経済の基本は勤農なり」と進める新田開発、荒れ地の開墾に、吉之助は自ら泥まみれになりながら百姓を手伝う毎日。吉之助は、ウナギを捕るしか能がないように描かれていますが、真に農民の痛みを知る農政の行政官になっていくところにも注目すべきでしょう。

斉彬のもとに、長崎のオランダ商館から、アメリカ艦隊が日本に向うという情報が届く。万次郎が言ったとおりに時勢が動くと、次の出府には若い優秀な二才を伴うことにする。そして、於一(北川景子)を養女にして江戸城に送り込むことを考えます。この噂が瞬く間に武家の若者たちの大きな話題になる。
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斉彬は於一を招き、養女となることを告げる。於一は「謹んでお受けいたします」と返事し「何故、わたしなのか」と聞きます。これに「よく食べること。博打が強い、これは運に強いことだ。江戸に行って輿入れしてもらう。相手はまだ言えん!」という。ふたりはとても強い絆で結ばれているように見えます。運に強い?

このような状況のなかで、満佐が体調を崩し喀血するようになる。吉兵衛の強い希望もあり吉之助は須賀を嫁に迎えることになる。
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須賀との婚礼の日。とても美しい花嫁・須賀(橋本愛)を迎えます。しかし、無口で愛想が悪そうという。そんな風には見えませんでした。とても美しい気品のある愛ちゃんでした
祝いに集まった連中がさっそく誰が江戸詰めになるかと話題になる。吉之助は間違いないと挙げられるが、俺の気持ちは・・・。
須賀を見やると、大山(北村有起哉)が酒を勧める「いただきます」と飲む。この後も進める酒を飲み続ける。() 気を利かして皆が引き上げると、母・満佐がふたりの床を整えて、須賀に「この家のことを早よ覚えて欲しい。時間がない!吉之助と西郷家のことを頼みます」と話している。これを耳にして、吉之助は母のことも考えねばと思う。
須賀が「愛想の悪い嫁ですいません」と謝ると「それでいい」と励ます吉之助でした!

翌日から、満佐が須賀に家事を仕込み始める。須賀は不器用で仕事が進まない。こんな須賀に吉兵衛が「俺は親から勧められて満佐を嫁にもらった。相イメージ 6手に惚れること、ここから夫婦は始める。俺たちもそうだった。満佐は自分を好いてくれて、何十年も良い夫婦だった」と惚気を聞かせる。先のない満佐に贈る最高の言葉でした。満佐さんは本当にうれしそうでした!涙でした。

翌日、吉兵衛が亡くなってしまう。家族が大きな悲しみに陥る。仲の良かった夫婦であっただけに満佐の落胆は大きく寝込むようになります。
吉兵衛はとてもユーモアのある実直な人でしたが、200両もの謝金を背負いそして赤山靱負の切腹の介添を務めるなど気骨のある人でもあった。吉之助の心に大きなものを残しました!
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斉彬が阿部正弘からせかされるように薩摩を発ちました。それから数週間の後、大山(北村有起哉)と俊斎(高橋光臣)が江戸詰めになったと報告来て、吉之助が選ばれてないと訝る。これを病床の聞き、・・・・。

満佐が粥も喉を通さなくなり、やせ細る。須賀は心配して「亡くなった二人が呼ぶかもしれないから人形を作って埋めたがよい」と提案しますが、祖母きみ(水野久美)に「そんな話は聞いたことがない」と却下される。まずい空気が流れます。このことは須賀の心に大きな影を残すでしょうね!

桜島が見たいと言い出す。吉之助は満佐を背負い桜島が見える浜に立つと、「おはんが生まれたときに、父と一緒にここに来た。おはんを宝物のように抱いて幸せじゃった。こげん立派になってくれて思い残すことはない!わたしの身体を気遣って江戸詰めを諦めた。おはんは心が熱すぎ、つい情に負ける。これからはおはんの好きなように生きやんせ!」という。この言葉を最後に、吉之助の背中で静かに息を引き取りました。
吉之助は、僅かな間に祖父・父母を亡くすという、とても辛い経験をすることになりました。誰に語ることもなく、江戸行きを諦め、懸命に尽くした経験は彼の心に残り、生かされていくでしょう。この歳で母を背負うことができたことは彼の人間性のすばらしさです。松坂さんと鈴木さんの熱演で、とても感動的なドラマでした。
嫁と姑の関係は難しい。が、こんな優しい姑を背負えなかった須賀には、ここに居場所はないでしょうね! とても深い物語になっています!
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