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「リメンバー・ミー」(2017)

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日本のお盆に当たるメキシコの伝統的な祭礼行事“死者の日”をモチーフに作られたおはなし、
「音楽を禁じられた少年が、憧れのミュージシャンである先祖に会いたいと死者の国へ。   そこには、日の出までに元の世界に戻らなければ、永遠に家族に会えなくなってしまうという掟がある。彼は、自分の音楽の夢を捨てることなく生者の国に戻るための冒険の旅に出る。
少年の唯一の頼りは、家族が恋しい陽気だけど孤独なガイコツ男。彼にも“生きている世界で忘れられると、死者の国からも消えてしまう”という過酷な運命が待っている。憧れの先祖を求めて繰り広げるふたりの旅、そしてガイコツ男の運命は・・」
 
90アカデミー賞で長編アニメーション賞、歌曲賞受賞作。監督は「トイ・ストーリー3」のリー・アンクリッチと、これが監督デビューとなるエイドリアン・モリーナ。音楽は「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー」のクリステイン・アンダーソン=ロペス」&ロバート・ロペスです。
 
先祖に会う機会があったら、彼らのなかに自分と共通する何かを求め、自分がどこへ向かうのかを知ろうとします。このことが見事に描かれています。
死には、2度目の死があるという、我々が知っている死の先にもうひとつの死があるという考え方。故人を覚えている人がいなくなると、その人は最終的な死を迎えるという。家族の絆の大切さを教えてくれるすばらしい作品です。
 
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ピクサー作品。冒険やユーモア、夢のような楽しさが詰まっています。何よりも映像が美しいです。死者の国の輝き、ピクサーだからの美しさを見せてくれます。仏教の死界と異なりアステカ文化をしっかりと取り組んだ死の国のイメージ。これは行ってみたいという気持ちになりますね。()
少年とガイコツ男の動きが、実写と間違えるほどのリアルな表現、動きに驚きです。
   そして、主題歌「リメンバー・ミー」詩がわかりやすく覚えやすい。愛する人を思い出して口ずさみたくなります!
 
公開4週目に入っていましたおが、客はよく入っていて、小学生も多いですね。この作品は大人にも十分楽しめる作品になっています。中盤では、予想もしない展開で、少し混乱を起こしますが、ラストでひいひいおばあちゃんの笑顔を見るだけで、この映画を観た価値があります。(#^.^#)
 
人は2度死ぬ。一度目は肉体の死、二度目は忘れ去られて時という話は仏教のなかでしっかり生かされています。役所広司さん初監督作品「ガマの油」(2009)、二階堂ふみさんの映画初出演作品のなかで描かれています。息子を亡くした父(役所さん)が親より先に亡くなった息子(瑛太さん)のために恋人:ふみさんに、息子を思い出して電話をして欲しいというシーンがあります。
誰かに覚えていてほしいと短命であった孫の闘病記を自費出版した経験を持っていて、この作品はことのほか、胸を打つ作品でした。
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物語は、
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音楽が大好きなミゲルはこの町の生んだ伝説のスター、ルネスト・デラクルスのようなミュージシャンになりたいという夢を持っていましたが、高祖母のイメルダがある理由で家族が音楽と関わることを禁じる掟を作ったため、このことを口に出せませんでした。ミゲルがギターを奏でるシーンはアニメとは言えない生生しさがあります。
 
ところが、年に一度の先祖の魂を迎える“死者の日“に、相棒の忠犬ダンテが祭壇の供え物を盗もうとして飾ってある写真立を落とし、その写真には高祖母のイメルダと娘である   曾祖母のココ(100歳で現存)、そして家族を捨て
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たため顔の部分が破かれて容姿が分からない高祖父3人が一緒に写っていました。写真の右側が折り曲げられていて、その部分に高祖父が持つ見覚えのあるギターが映っているのでした。物語の大きな伏線で、これがうまく回収されるところがすばらしいです。

高祖父は   ラクルスであると確信して、町のデラクルス廟堂に走りギターに触れると、突然生きている感覚がなくなり、美しいマリーゴールドの花で飾られた橋を渡り、”死者の国“にやって来ました。
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ゴンドラやトロリーのあるテ-マパークのような美しい町の景観に驚きます。入国にあたって、管理官から「日の出までに先祖から許しを得なければ元の世界に戻れない」という掟を言い渡されます。
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ミゲルは高祖父デラクルスに会い、“音楽をやってよいという許し“を得て元の世界に帰ろうと決意します。橋を渡るときに会った、現世に帰れない孤独なガイコツ男ヘクターと一緒にデラクルスを探す旅に出ます。しかし、ここで出会った高祖母イメルダが「音楽はダメ」と元の世界に返そうと空飛ぶ怪獣ペピタに乗ってミゲルを追います。
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ミゲルは顔を骸骨のようにペイントし、ヘクターの友人画家フリーダーを訪ね、コンサート優勝者がデラクルスのパーティーに参加できることを知ります。ギターを借りて参加しようとある男を訪ねると、ヘクターに「歌ってくれたら貸す」と言い、ヘクターが彼の好きな曲を歌い終わると砂のように消滅してしまう。現生の人に忘れられると死の世界に居れない、二度目の死が訪れるのでした。
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コンテストに参加。ステージで歌うのは初めてで緊張でしたが次第に調子に乗り、ヘクターも舞台に上がって歌い、大歓声を浴びます。「リメンバー・ミー」が歌われるので、この曲に慣れてきます。その観客の中にイメルダがいることに気がついたミゲルは舞台から逃げ出します。
 
逃げるミゲルにイメルダが現世に戻るように説得するが、「音楽ができないなら、戻っても意味がない」と聞き入れない。これに、イメルダは「リメンバー・ミー」を美しい声で歌い「昔、音楽を愛し夫のギターに合わせて歌っていた。しかし、夫が音楽を取って居なくなったので、家族を養うため音楽を捨てるしかなかった」と告白します。ミゲルは、「音楽を禁止する理由にはならない」とエルネストのもと向かいます。
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ミゲルはエルネストの楽団員の中に潜り込み、舞台で歌い、彼の関心を引き、自分が彼の子孫であると打ち明け写真を預けます。喜んだエルネストはコンサートに一緒にステージに上がらないかと持ちかけますが、ミゲルは日の出までに許しを得て現世に戻らなくてはならないと許しを求めているところにヘクターが現れます。
 
ヘクターは、エルネストの有名な曲は全て自分の作品で、エルネストが盗んだと喧嘩を始める。ミゲルはエルネストが主演した映画のシーンを覚えていて、これに同調すると、警備員にヘクターは連れ出され、ミゲルは深い洞窟に放り込まれます。
憧れの歌手が高祖父の殺人者であったということは、殺人を犯してもうつくしい死者の国に入れるという、後に罰を受けて死亡するとは言え、子供の観る作品としては釈然としないですね!
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洞窟で再会した二人。ヘクターが一人娘のココに会いたいために「リメンバー・ミー」という曲を作ったと打ち明けます。写真がないと“死者の日”にココのところに帰れない。いずれ、家族に忘れられこの国に居れなくなると嘆きます。この話を聞いたミゲルはヘクターが自分の高祖父であることに気づきます。
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そこにダンテに連れられてペピタに乗ったイメルダが現れ、ミゲルとヘクターは無事に助けられ、三人とダンテはエルネストに渡した写真を取り戻す作戦を開始します。が、エルネストの抵抗で写真を失います。
エルネストは、ライブ中に、彼の犯した悪行が会場のTVで映し出され、観衆のブーイングを受け逃げようとするところをペピタによって放り投げられ巨大な鐘の下敷きになり亡くなりました。
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ミゲルはイメルダの許しを得て、急いで自宅に帰り、曾祖母ココに、ヘクターのことを話して「リメンバー・ミー」を歌い始めると、一緒に歌い、3人で写った写真で破かれたヘクターの顔の部分を、机の引き出しから差し出すのでした。ココが引き出しから紙片を取り出すときの動きは“生きている”感覚を持ちます。
 
一年後、   曾祖母ココが亡くなりました。そして、ヘクターの音楽記念館ができ、「死者の日」にヘクターは、妻のイメルダと娘のココと一緒に橋を渡って帰ってきました。生きている家族も死者の家族も全員が集い、ミゲルの奏でるギターと歌に合わせて踊り、お祝いを楽しみます。
原題は「COCO」、曾祖母のココおばあちゃんの笑顔がすばらしく、ご先祖様に会いたくなりますね。
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