安政5年(1858)7月21日、徳川慶福が江戸城に入り、名を家茂(松田翔太)と改める。天璋院(宮崎あおい)が直弼(中村梅雀)が認めずとも「上様亡きあとの、なによりも生きていくための希望じゃ」と家茂の力添えとなる覚悟を決めます。元気になったあおいさんを見ることができホットします!
直弼は早速家茂を尋ね、「天璋院は薩摩の出、あまり親しくしないように」と諫言します。
このころ幕府の追及は厳しく西郷(小澤征悦)と月照(高橋長英)は逃げ場を失い、薩摩藩に助けを求めるしかなくなる。西郷からの急を要する手紙を読んだ帯刀(瑛太)は「西郷さんたちを幕府の手に渡すわけにはいかぬ。できるかぎりのことをしよう」と動き出す。
家茂は直弼に問い糺し過酷すぎると天璋院の意見を求めます。その対面の場に直弼も同席すると、天璋院の機先を制するように西郷の潜伏先を聞き出そうとし、密勅に関わった者たちの処罰の正当性を主張する。そして天璋院に、「薩摩の反逆分子を差し出したのち政に口を挟むな」と圧を加えてくる。「憎まれて人に知られる 敵役」と演じる梅雀さんの迫力が半端ない!
これに家茂が「天璋院様が私の後見役となることは、亡き公方様(堺雅人)の遺言ではないのか」と反論。これには直弼も逆らえない。「天璋院様には、私が将軍となってからも、お世話になり、教えていただく」と言い放ち席を外す。天璋院には、家茂の利発さが救いであり希望となっていきます。
薩摩に入った西郷は、斉興に月照の保護を願い出るが逆に捕らえられ、月照ともども旅籠に監禁される。そればかりか西郷には月照を斬る命令が下ろうとしている。帯刀は忠教に「薩摩はあの人には恩義がある」とすがるが聞き入れてもらえない。
帯刀は大久保たちとはかり、西郷と月照を舟で薩摩から逃れさせることにする。ふたりは海に漕ぎ出すと、月照が「あんたの預かった命を返します。今度は私の命をお渡しします」と西郷の両手に、月照が自分の手を重ねる。西郷は月照を抱きかかえ、海に身を躍らせた。しかし、奇跡的に西郷だけが奇跡的に一命をとりとめる。
小の島(佐藤藍子)が大奥の幾島(松坂慶子)の部屋を尋ね、西郷は死んだことになっていると伝える。そして、これが最後に務めだと告げる。幾島から西郷のことを聞いた天璋院は「西郷が生きていてくれるだけで希望じゃ」と言い「そちは、私の希望になってはくれぬのか?」と問います。いずれ幾島と別れる日が来ると寂しさを隠せない天璋院に涙です。
天璋院はこの母ということばに、「新しい家族ができたのだ」と、家定が残してくれた家族に触れ「ひとり残されたのではない」と大きな希望を見出し大粒のうれし涙を流します。ここでのあおいさんは、これまでの暗い表情から、希望を見つけた明るい表情に変化していく演技がみごと。これに安堵するとともに寂しさが隠せない幾島:松坂さんの演技もすばらしい。
重野が下がると、幾島が「このあたりで城を下がりたい。果たすべき役割を果たせなかった自分を許せない」と申し出ます。天璋院は留まるよう遺留しますが、幾島は頑として首を縦に振らない。幾島が下がったあと、天璋院は大粒の涙でした。幾島の淡々と天璋院に気持ちを打ち明ける柔らかいことばに、これまでのふたりのことが次から次へと思い出され、涙でした!
希望を見出していく天璋院と静かに任務を全うする幾島の対比が際立った回でした。
***第30話おわり***