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「友罪」(2018)

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TVCMでの「心を許した友は、あの少年Aだった」という衝撃的なコピー、主演が生田斗真さんに瑛太さん。さらに夏帆さん出演ということで、観ることに決めました。
原作は神戸児童連続殺傷事件から着想を得た薬丸岳さんのベストセラー同名小説。、未読です。監督・脚本は「64ロクヨン」(2016)の瀬々敬久さん。他の共演者は山本美月富田靖子佐藤浩市さんらです。
 
心に深い傷を抱えた元週刊誌記者が、元少年犯の青年との出会いをきっかけに、改めて自らの罪と向き合い葛藤していく姿を描くというヒューマン・サスペンス物語です。
 
テーマは殺人を犯した犯罪者の贖罪、許し。生きていいですか? 家族を持っていいですか?と生きる意味を問うていて、結論は見る人に委ねられています。少年Aと聞くとビビり、わからないことが多すぎる。しかし、ストーリー展開と役者さんたちの演技を観て、生きるという意識により、贖罪の感情は深くなり、その力が罪人を人たらしめると感じます。
 
527日朝のNHK総合「目撃日本!我が子を奪われて“幸せをめぐる対話”」でこの問題に触れ、「本当の気持ちで後悔して欲しい、それは加害者が人生をどう生きるかに謝罪の意味がある。幸せを感じて欲しい。2度と罪を犯すことなく生きてくれるのが救いになる」という被害者の言葉。本作がリアルな話であったと涙が止まらない。
 
元週刊誌記者と元少年犯の青年(少年A)を主体とし、医療少年院の担当官、のちに少年Aの恋人となる元AV女優、さらに息子が重大な交通事故を起こした父親(タクシードライバー)を加え、いずれも罪を抱える5人の群像劇となり、それぞれのエピソードが交差しながら展開し、サスペンスフルです。そして、それぞれのエピソードは精巧に練られ、少年Aの影響を受けそれぞれがどう生きるかが結むラストシーンは秀逸です。生田斗真さんと瑛太さんの慟哭シーンに涙です。
 
タクシードライバーの贖罪の仕方は、殺人とはいえ青年Aとは全く質の異なる殺人に対する贖罪で、観客目線でこうあるべき贖罪という視点で描き(実は真の贖罪ではない)、少年Aの贖罪がそれで良いのかと問いかけているようで、とてもうまい脚本だと思う。
もうひとつ、元週刊誌記者の恋人が少年Aのその後の生活を書いた元記者の手記を無断で公表した行為。これは無意識の犯罪であるが、彼女にまったく自覚がない。このことに触れてないことに不満が残ります。機会があれば描いて欲しいです。
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物語は、
冒頭、寮のある町工場にやってきたふたり。ジャーナリストの夢が破れた益田(生田斗真)と暗い影のある男・鈴木(瑛太)が従業員に紹介されるシーンから始まる。
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ここで突然、高速道沿いの側道で死亡した男が発見され、現場に雑誌記者の杉本清美(山本美月)と医療少年院指導員(富田靖子)が駆けつけ、これを運んだタクシー運転手・山内修司(佐藤浩市)が映し出される。これがどう繋がるかと、とてもサスペンスフルになる。
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ここから、犯人捜しの物語ではなく、冒頭の益田と鈴木の物語が、益田目線で、始まる。鈴木が無口ではなく話そうとしない、仕事はできる。それゆえ寮内で激しく虐められるが無抵抗。なぜ無抵抗なのか? しかし、虐めるやつが酔っぱらって動けなければ手を貸す。何故か? 夜中に鈴木は異様なうめき声を上げる。何故か? 鈴木の姿は死の雰囲気。瑛太さんの演技が凄い。
 
益田がジャーナリストを辞めた理由は、少年時いじめにあう親友を見捨てたトラウマ(贖罪)で、鈴木の姿がかっての親友・学の姿にダブルことで興味を持ち始める。
ある日、増田が「俺の親友に似ている。自殺して悲しい」と話しかけると、「俺が死んだら悲しいと思えるか?」と問うてくる。「決まっている」、「嘘だ!」。こんな会話から、なんとなくお互いに心が通じ始める。
益田は学の命日には家を訪ね弔うが、唯一の親友だったという学の母親に「自分が殺したようなものだ」と告白できず、大きな苦しみになっていた。
 
鈴木は、退社時、社の事務員・藤沢美代子(夏帆)が元カレ・達也(忍成修吾)に脅されているのに出会い、彼女を庇い、相手が諦めるほどに激しく殴られる。なぜか? 彼女に傷の手当をしてもらうが、関わることを避ける。しかし、彼女は「達也にAV女優にさせられ、親まで甚振られ、後悔している」と告白する。
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寮で仲間が美代子のビデオを楽しんでいるのをみた鈴木がTVを叩き壊す。鈴木は「それでも生きろ!」と励まし、彼女はこの言葉にうたれる。ここでの美代子の自分を無くしたうつろな姿に、これまでにない夏帆さんの演技を観ます。
 
益田が工場でぼんやりしていて指を落とすという事故を起こすが、鈴木の適格な処置で指はつながる。これを契機に、ふたりの関係は一気に深くなり、
工場の同僚、夏帆も加えてカラオケで遊ぶようになる。鈴木も歌えないと言いながら声を出す。ここで益田が鈴木と美代子が歌う姿を携帯で撮る。これがのちに、益田を苦しめることになる。
 
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タクシー運転手の山内は、会社にやってきて息子を返せと迫る被害者に頭を下げて謝罪し、命日には花を上げ、慰謝料も毎月欠かさず支払っている。それでも被害者は謝罪とお金を求めてくる。10年前の交通事故で子供を3人死亡させた
息子の事故に対して、幸せになってならないと家族を解散し、謝罪し続けている。それなのに息子・正人(石田法嗣)が結婚すると言い出し、これに大反対する。ここで見せる佐藤さんの演技に嘘は見えないが、異常さを感じる。
 
記者の杉本晴美から益田に、冒頭の事件は17年前の連続殺人事件の犯人・青柳健太郎瑛太)の再犯だという噂があり調べて欲しいという依頼が入る。
益田がネットで調べると、青柳が鈴木に似ている。現場に赴き青柳の友人に携帯の写真を見せ、鈴木が青柳であることを確定する。益田は同じ罪を持つから友達になれると鈴木についてのレポートを書く。

益田は杉本にこのレポートを渡す。外には出さないという約束で、鈴木に間違いないという証拠写真を渡す。
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益田は夜の公園でビールを飲みながら、「同じ罪を犯した友達だから」と鈴木の犯した罪を聞く。「お前の話は自分のことばかりだ。亡くなった家族はどうなるんだ。死んだほうがいい」とナイフを渡す。鈴木は「もうやらない。でもおれは生きている。生きる価値はないと思う。でも生きたい!」と告白する。これを聞いて益田は泣く。
 
このレポートが週刊誌記事となり写真が添付され、発刊される。記事を読んだ同僚の清水(奥野瑛太)が「この写真はお前が撮った写真だ。殺人者と暮らしていたのか」と益田を責める。
益田は鈴木の部屋を訪ねると、何事もないように笑顔を見せ「大丈夫だ。みんなと会えてうれしいよ。よかったと思っている」という。これを見て涙が流れ、「ごめん!」と謝り自室に戻る。朝になって、鈴木が居なくなったことに気づく。
 
タクシー運転手の山内は記事を読み、息子正人と彼の妻を呼び出し、腹に子供がいるというにも拘わらず、子供を作るなと強いる。しかし、正人は泣きながら「家庭を作りたい。子供を持ちたい。お父さんは謝罪しないでいい。自分たちが謝罪する」と訴える。山内は「家族を守るためには、こうする以外なかったんだ」とふたりの言い分を認める。
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益田は「鈴木君、いまどこにいる? おれが話せなかった罪を話す・・」とブログを書き、学が自殺した現場を訪れ、「学を殺したのは俺の罪、君にまた罪を犯した。この場所にはどうしても来なければならなかった。どうしても君を死なせたくない。生きてくれ!友だちだから!」と慟哭する。
同じころ、鈴木も彼の犯した事故現場を訪れ、微笑みを見せ泣く。この表情をどう解釈するか、絶妙です。瑛太さん渾身の演技です。
 
隣席の人が、中段からず~と泣いていました。罪を抱える人なのかなと。重い作品、作品の良し悪しより、この問題意識を称えたいです。
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