幾島(松坂慶子)が残してくれた薩摩を描いた掛け軸を見ながら故郷を偲び、強引なやり方に憎しみを抱く者は多いが、少なくとも直弼には一命を賭して幕府を守ろうとする信念があったと思い出に浸っていると、重野(中嶋朋子)が「井伊様(中村梅雀)がやり残したこと、家茂様(松田翔太)に帝の妹君を御台に迎える話はどうなるのですか」と聞きます。天璋院(宮崎あおい)はまさか異腹とはいえ孝明天皇(東儀秀樹)の妹とは知らなかった。
そのころ京では、孝明天皇(東儀秀樹)に九条尚忠(磯部勉)が和宮(堀北真希)と家茂の縁組を奏上するが、天皇から「言い交した許嫁がいる」と断われます。和宮付き女官・庭田嗣子(中村メイコ)が激しく直忠を叱ります。この話を観行院(若村麻由美)から聞かされた和宮は何があっても嫌だと断ります。
安藤を呼び出し「この話、止めるように」と強く推すが、「帝は反対されているが、井伊大老が討たれ幕府の威信を取り戻すためには、なんとしてもこれを押し通さねばならぬ」と訴えます。「あくまでも推し進めるというのか!」と厳しく問う天璋院でした。あおいさんの声に威圧がでてきました!
薩摩のとある屋敷で、誠忠組の面々が桜田門外の変に加わり帰還した有村雄助(田上晃吉)を交え酒を酌み交わしている。雄助が「弟・次左ヱ門(遠藤雄弥)は見事に務めを果たし腹を切った」というと皆がこれを褒めるが、兄俊斎は無言。そこに帯刀がやってきて「切腹に決まった」と伝える。これに、皆が、島津家への憤りを露わにするが俊斎が「殿の命に背いた弟には切腹させてやりたい」という。雄助は「その覚悟であった」と藩の措置を受け入れます。志士の悲しみが見えて、とても悲しいシーンでした。
大久保は久光に召し出され、忌憚のない意見を求められる。彼は「今こそ幕府の改革に乗り出すとき」と進言するが「いまだ時至らず」と退けられる。しかし、久光の「だが、この薩摩と日本国は守り抜く。大事にあってはそちたち一同を必ず役に立ち者と考える。ゆえにその命をあたら無駄にしたくない」という言葉に強い感銘を受けた。
このころ朝廷では、岩倉具視(片岡鶴太郎)が、徳川との婚姻を成立させて幕府に恩を売りいずれ政を朝廷の手に取り戻そうと、孝明天皇に「和宮さんの縁組が叶えば、幕府に攘夷を約束させることができます」と進言する。天皇はこの案を受け入れ、和宮に「日本国のために、江戸に行ってくれまいか」と勧めます。この言葉に、和宮は声を上げて泣くことしかできませんでした。観行院が和宮に同行することを天皇に申し出ます。
和宮降嫁決定の知らせが伝えられた江戸城。天璋院は、安藤老中から「和宮様の降嫁と引き換えに攘夷を約束した」と聞き、守れもしない約束をしたことにあきれ果て激しく責める。しかし、家茂は「今の時勢に照らせば、とても攘夷などできないが、このことを和宮様から帝に伝えてもらい理解していただければ新しい道が開けるかもしれない」とこの婚儀を受け入れます。これを知った天璋院は、家茂の大きな成長に涙して喜ぶのでした。
こうしたさなかに、薩摩藩から「心労の多い天璋院に薩摩に帰って休養してはどうか」と申し出があったという。天璋院は、家茂が成長したこと、和宮が大奥に入れば姑の立場になることなど思い巡らし、懐かしい薩摩に帰りたいという誘惑にとらわれます。しかし、滝山から「老中の者たちが薩摩のものに云わせたもの。真相は、天璋院様は帝の妹君・和宮様の御姑になられますが、その身分が低いゆえです」という。これに天璋院はふっと笑い、安藤を呼び出し、「断じて帰らぬ!」と伝えます。そして「幕府の人間としての誇りを持て。それを忘れたらおしまいぞ!」と言い放ちます。
朝廷の機嫌を損ねぬよう詭弁を弄する幕臣たちに、毅然と立ち向かう天璋院篤姫。22歳のあおいさんのドスの聞いた口上が恰好良かったですね! この演技は、天璋院として生きているがゆえに出てくる感情ではないでしょうか。
和宮として登場した堀北さんの、悲しい運命に泣く姿に涙しました。いまでは懐かしいシーンとなりましたね。薩摩の男のドラマも熱かったですね!
***第33話おわり***