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「羊と鋼の森」(2018)

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Vision ビジョン」に次いで、森に関連する作品の鑑賞です。( ^)o(^ ) 今、仕事で行き詰まっている人、悩んでいる人にはとても“癒し”になる作品だと思います。
原作は、第13本屋大賞に輝いた宮下奈都さんの同名ベストセラー。未読ですが、これを機会に読みたいと思います。監督は、「orange-オレンジ-」の橋本光二郎さんです。主演は山崎賢人さん。共演に鈴木亮平上白石萌音上白石萌歌三浦友和さんらです。
 
一人前の調律師を目指して楽器店に就職した主人公が、個性豊かな先輩調律師たちや高校生姉妹をはじめとする仕事先で出会う人々との交流を通じて、何度も迷い悩みながらも逞しく成長していく姿を描くというストーリー展開。
 
新米のピアノ調律師が、問題にぶつかり、なんの変哲のもないがやわらかい平易な心打つ言葉に、ピアノの音とそれを映像化した美しい北海道の風景や心象映像が添えられ、癒され、ひたむきに前に進んでいく姿に、感動させられます。癒しの映画です。
青春ドラマでありながら、恋愛パートの全くない作品で、これだけのヒットを飛ばすには、その癒し効果の大きいことを示しています。原作を読んだ方は、この作品に嵌るのではないでしょうか。( ^)o(^ )
 
この作品でピアノ調律師という仕事、その深さを知りましたが、その仕事を極めていく過程は、どのような仕事にも共通するもので、ピアノの音で語られる“やわらかい”、“かたい”音はよくわからなかったですが、「語られる言葉」に感動します。2年間、北海道で過ごしただけに、たまらない風景でした!!
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物語は、
冒頭シーン、冬の森。「そのとき僕は17歳。このまゝ高校を卒業して何とか生きて行ければと思っていた」という主人公・外村直樹(山崎賢人)のナレーションに続きて、雪の降る中、放課後やってきた男の案内を任され、講堂に案内する。男はステージにあがり、そこにあるグランドピアノの鍵盤蓋を開け、音を出す。
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男はピアノ調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)。次々に音を出し、音を整えていく。音に、森の臭いする。僕は音に魅せられ近づくと、「ピアノは古いが良い音を作る。

羊は良い草を食べていて、ここのフェルトを作るんです。羊の毛で作られたハンマーが鋼の腱を叩き音が生まれる」という。僕が鍵盤を叩くと森の木の音を聞いている感じがする。そこにあるのはあの森の匂い!
外村が、偶然に板鳥と出会い、森に誘われるようにピアノの調律という仕事を知るという、作品のテーマであるピアノ調律と森が結びつく秀逸なオープニングになっていて、物語に引き込まれていきます。
 
2年かけて調律の専門学校を卒業した外村は、めでたく板鳥と同じ江藤楽器店に採用される。ここで、板鳥からかけられた最初の言葉が焦ってはいけません。こつこつです」板鳥の人生から出てきた言葉。この言葉を三浦友和さんから聞かされると、まるで三浦さんが歩んできた人生を語っているようで、重みのある言葉になります。

さっそく先輩調律師・柳伸二(鈴木亮平)について、調律の仕事を学んでいきます。“のびやかな音”に調律して欲しいという顧客に、柳が巧みに対応、これをじっと見守る外村。のびやかな音になったのかどうかはわからなかったです。()
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そんな中、佐倉家から調律の要請が入ります。高校生姉妹・佐倉和音(上白石萌音)と由仁(上白石萌歌)。姉・和音に気に入ってもらえた調律が妹・由仁は「もう少し明るくして」という。
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リクエストがふたつ出た場合にどう対応すべきかなど、実業務で、柳から教わります。

柳は、「姉は力があるが、気性のはっきりした妹を庇ってリスエストしている」と言い、姉妹はそれぞれ音の捉え方が違うことを教わります。ここではふたりが弾くピアノ曲で性格を判断するよう設定されていたようですが、わからなかった。()
 
姉妹を演じる萌音と萌歌さん、実姉妹で息の合った演技、とてもいいキャステングでした。( ^)o(^ )
 
上条(城田優)から「硬い音が欲しい、耳に残る音」というリクエストに、柳は羊のフェルトの毛を抜いて調律している。なるほどと、見ていました。
 
お客の硬い音は何を基準にしているのか、これを知ることが大切だと教わり、外村は茹で時間を変えた茹卵をつくり、その硬度とフェルトの硬度の感覚を掴もうと努力します。
 
少しづつ力がついてきたところに、佐倉家から調律要請に、柳が行けないために自分が出かけ、見よう見まねで覚えた調律で大失敗をし、落ち込む。事務所に戻って、板鳥に「どうしたらうまく出来るか、どんな音を目指しているか」と問うと、詩人・原民喜「砂漠の花」の一節を紹介してくれる。よくわからなかったが、詩でピアノの音を表現することに驚きです。

外村は、板鳥から、お祝いにと調律ハンマーを贈られ、「ここから始まるんです」と激励される。
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柳から「今のお前に必要なのは、一台でも多くピアノに向かい合うこと」と教わる。
 
ひとり立ちして、最初の客・南(森永悠希)の両親を亡くし14年間弾くことがなかったピアノの調律を長時間かけて完成する。「子犬のワルツ」を楽しそうに弾く姿に、外村は調律の喜びを感じる。

事務所に著名ピアニストの演奏会のために、板鳥に調律要請があり、外村は目指す目標は?著名ピアニストの調律師になることを目標にすべきかと悩む。「音楽は競うものでないから、コンサートチュナーでなくてもよい」というと、ベテランの調律師・秋野(三石研)が「言い訳だ!」と叱る。若い者が目標を低くすることを戒める。
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佐倉姉妹がピアノコンクールに出るための調律を、姉・和音からの依頼で行う。ところが、妹の由仁が演奏の途中でピアノが弾けなくなったという。外村は自分の調律が原因だと落ち込む。柳が「思いあがるな!ピアニストをどうこうする力はない」と叱る。しかし、外村は「なんのために調律師になった」と調律師を諦めかける。
 
自分を支援してくれた祖母(吉行和子)の葬儀のためにトムラウシ村に戻り、森林で木に触れ、鍵盤の感触を思い出し、調律師に再挑戦と、板鳥がコンサート会場で調律している姿を目にする。
 
柳が、自分の結婚式で、和音にピアノ演奏をしてもらうとして、そのピアノ調律を外村が行うという友情を示す。ちょっと安っぽいドラマになってきましたが、外村が調律した音を確かめるように和音が弾くピアノ曲に合わせ、和音の心象(ピアニストを目指したい)を表す映像がうつくしい。そして、披露宴でのピアノ曲に合わせ、美しい北海道の風景が映し出されます!
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すっかり自信を取り戻した外村は、ここで、コンサートチューナーになることを宣言する。悩みながら、ひたむきに調律に向かう実直な青年役を演じた山崎賢人さんには好感が持てます!
 
外村は、才能が無いと悩むと、柳が「才能っていうのは、ものすごく好きだという気持ちなんじゃないかな!」と説得する。「焦ってはいけません。こつこつです」とこの言葉が耳に残る作品でした。
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