
吉之助は体が弱って起き上がることもできず、土持家の奥の間に寝かされていた。そこに、「懲りたろう。友を信じるのはやめとけ!」と雪篷の声がする。吉之助が「俺は死なん!」と言えば「天が生かしたということか」という。「天と水じゃ。誰かが水を飲ませてくれた」と雪篷を思い出す。
「雪篷は何故島に来た」と問うと、土持が「いつか友が呼び戻してくれると信じて数十年待つも、音沙汰ない。それであんな飲んだくれになった」という。
土持は藩命を読み直し、「妙案が見つかった」と土持家のなかに、座敷牢を作り始める。聞きつけた代官の黒葛原(下総源太朗)が飛んでくるが、土持は「藩命には囲いに召し込みとあるが、牢に入れよとは書いてない。先生にご迷惑をかけることになる」と懇願する。これに黒葛原が折れる。20日ほどで完成し、吉之助は感謝するのでした。鶴(大島蓉子)が料理を出してくれる。

身体が回復した吉之助は、「島の子どもたちに学問を教えたい」と土持に申し出ると大いに喜ぶのでした。
島役人の子だけでなく、ヤンチュにも、家に上げて教えようとすると、島役人の子が「家に上がってはいかん」と言う。これに、吉之助は薩摩の日新公いろは歌の一首「楼の上も はにふの小屋も 住む人の 心にこそは高きいやしき」で、「住む家の立派さや身分で人の値打ちは決まるものではない、心の在り方によって決まるのだ。役人の子もヤンチュの子も皆、おなじ。国の宝じゃ」と教える。

事件を起こした奈良原と海江田が、責任を取って腹を斬るという。そこに一蔵が飛び込んできて、「腹を斬っても何も変わらん。いまこそ薩摩は一つになるときじゃ」と止めにかかる。寺田屋事件にかかわった者たちがやってきて、慎吾(錦戸亮)が「一蔵が掛け合ってくれた」と伝えに来る。一蔵が「命をかけるなら俺と一緒に戦ってくれ」と協力を求め、皆が一体となって大英艦隊と戦うことになった。
沖永良部島。牢のなかで、吉之助が「エゲレスが島を攻めていたという土持の知らせを聞いている夢を見ているところに、土持が「漁師の舟を取って、

島抜けだ!」と飛び込んでくる。吉之助が海辺に駆けつけ「止めてくれ」と言えば、「異国と一戦になるからには放っておけん。あの人が言っていた。日本を異国と戦える国にする。今戦ってはいかん!何としても止める」という。「おいも気持ちは同じ」と吉之助。ふたりは黒葛原によって、座敷牢に押し込められる。
島民たちが役人のところにやってきて「異国が島にやって来たらどうするのか。鉄砲の何もない」と心配し、土持も「異国の通り道。いつ攻撃されてもおかしくない」といきり立つ。
吉之助が「丸太でよい、大砲に見えればよい」といえば雪篷が同意し「自分たちで島を守る」と声を上げる。黒葛原は、見て見ぬふりをする。

この作戦には誰も協力しない。やっているもは雪篷、吉之助、土持の3人だったが、教え子のヤンチュたちが手伝わしてくれとやってくる。これを見た島の役人の子も集まる。ヤンチュの子も島役人の子も、身分の隔てなく助け合い、鶴たちが運んできた同じご飯を食べるという状況。
雪篷が子供たちに、敬愛するフランスのナポレオンという大英雄の話、「ひとりが国を変えた」と聞かせている。吉之助もここで初めて「革命」という言葉を知る。
それからしばらくして、薩摩とイギリスの闘いはわずか2日で終わってしまったことを知る。ほどなくして、吉之助に召喚命令が下された。

雪篷と吉之助は酒を飲み交わし、雪篷は「わしを赦免する運動など起こすな」と言い、餞別じゃと書き物、ともに学問や時勢を語りあった記録を渡す。吉之助は島民に生き延びるためのいろいろな策を授けた。
そして、吉之助はついに赦免され、慎吾が使者として島に迎えに来た。別れの宴で慎吾が薩英戦争の思い出を面白く語る。ここはスイカの話だけでなく、戦争全体を語るとよかったですね!
翌日、浜を離れる吉之助の小舟に向かって、崖の上から大きな白い布を振る雪篷の姿があった。

風にたなびき、青空に翻る文字は「革命」であった。吉之助は旗に向かい、深々と頭を下げた。
沖永良部島を出た吉之助たちは蒸気船に乗り、喜界島で新八を乗せ、一路薩摩へ。途中、慎吾の気配りで大島に寄り、愛加那に会うことができた。
別れに、吉之助が「生きる力をくれ、両手で抱えきれんほどの幸せを感じさせてくれた。しかしすまん、許してくれ。この島には二度と戻らない」と愛

加那に謝ると「私のことより神のことが大切。そういう人だから惚れた。私はここにいる」とハジキの入った手を自分の胸に置き「どんなに離れていても、二度と会えなくても、わたしの身体のなかはあなたでいっぱい」という。ありがとうと挨拶を交わし、吉之助は去っていった。
吉之助が、皆によって生かされていることを自覚し、真の革命に目覚めるという沖永良部島での遠島生活でした。が、最後には、愛加那との悲しい別れに全部持って行かれました。(笑)
かって、橋本左近らとの交わりで知った四民平等の思想が、島の民、雪篷と交わることで、これが民の喜び、苦難に立ち向かう力となることを体得したという。
薩英の闘いに備え、万一の場合島を防衛しようとする行為が革命家としてのスタートのように描かれたが、作りすぎのように思え、雪篷との論議をしっかり描いて欲しかった。
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記事 20180702
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