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第36回「慶喜の首」

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吉之助(鈴木亮平)は「薩摩軍は天下万民を守る天子様の正義の軍。こたびの戦は敵大将の首を取って勝利とする」と兵を鼓舞し、京の守りを固める。一方、都を追われた旧幕府軍は、大坂城から御所に向けて進軍を開始する。
慶応41868)年13日夕刻、旧幕府軍は、御所を守る新政府軍と衝突し、戊辰戦争の緒戦となる鳥羽伏見の戦いが勃発した。
 
一蔵は吉之助の知らせで、御所に岩倉(鶴瓶)を訪ね旧幕府軍の攻撃開始を伝えると「あれの出番か!」とうなずく。
 
薩摩を中心とする5000人の新政府軍に対し、旧幕府軍15000人。その差は歴然だが、新政府軍は必死に反撃。お互いに退かぬまま、一進一退の攻防が続く。ここでは、しっかり戦場が描かれ、戦の雰囲気が伝わります。
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このころ、一蔵の屋敷では、ゆう(内田有紀)たちが“錦の旗“を作っていた。
 
銃弾が飛ぶかう中、前線に立ち吉之助(鈴木亮平)は兵を鼓舞し続ける。突然後方に“錦の旗”が掲げられる。錦の旗は500年前、後醍醐天皇が掲げたもので誰も見たこともないもので、岩倉が独断で作り掲げさせたもの。その効果が絶大であった。逃げる敵を追う吉之助に、慎吾(錦戸亮)が「大勢の負傷者がでている。追う必要はない、鬼じゃ!」と意見していて、首に敵弾を受ける。
 
戦況は大坂の慶喜に伝えられ、戦の戦闘に立って戦って欲しいと家臣たちにせがまれるが動こうとしない。
 
相国寺に戦傷者が収容されている。そこに首に銃弾を受けた慎吾が戸板に乗せられ運び込まれ、とら(近藤春菜)と弟の小兵衛(大山蓮斗)が懸命に介護している。
指揮所の吉之助は(戦は終わってない。慎吾ひとりに関わっておれないと)大軍の指揮官として指揮を執り続ける。
 
再度大坂城慶喜(松田翔太)は家臣たちにより「偽りの官軍なぞ恐れるに足らず」と再度出陣の促される。遂に、慶喜松田翔太)は腰を上げ家臣たちに力強く「余は戦う!余について来てくれ!」と宣言する。
しかし、16日夜、慶喜は「まだ勝てる」という会津藩主容保(柏原収史)らを説き伏せ、味方の兵を置き去りにして城を抜け出す。
 
この情報が吉之助の指揮所に伝えられる。吉之助が笑みを漏らし、兵たちが勝鬨を挙げる。吉之助は、危篤状況にある慎吾を見舞ってはという意見に、慶喜を討てという勅をいただくと御所に向かう。小兵衛らの懸命の看護で、慎吾は息を吹き返す。
 
そのころ江戸に向かっていた慶喜たちは嵐に会い、“沈む”と弱気を吐く。これを見たふき(高梨臨)が「天下の将軍がこんな風に死んでいくのがおかしい」と悪態をつく。一体ふきの役割はなんなのでしようかね!劇中の人ではないですね。
 
やっと江戸にたどり着いた慶喜を勝(遠藤憲一)が訪ねてきて「戦に負けたのも、徳川の名を地に貶めたのもあんただ。恥だ!」と一喝する。
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これにふきがしゃしゃり出て
「あなたは西郷から逃げただけ!謝ればいい、西郷は心根のやさしい人。心から謝れば許してくれる」と慶喜を諭す。慶喜は「出て行け!二度と面を見せるな!」とふきを追い払う。ふきは頭を下げて去る。こんな阿呆なことが!
部屋から家臣が去り、勝が「あんたはあわれだ!」と同情する。
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信吾のいる治療所に、当時では京に入ることを禁じられて天狗と恐れられていた異人の医者がやってきて、クロロホルムで消毒して切開手術を行うという世界最高峰の医学で多くの兵士が救った。この史実はおもしろい!

信吾が目覚めると一蔵がやってきて「吉之助が、詔勅を賜ったあと、日本国を救う者をひとりでも多く救いたいと天子様にお願いし、京に異人医師を招き入れたのだ。鬼がそげなことするか」と吉之助の兵を思う気持ちを伝える。
 
慶応42月。吉之助は関東を征伐するため京を出発することになる。出立の場に慎吾が現れ「おいを連れていって欲しい。兄さが何のために戦っているのか分からないが最後まで戦って、兄さの戦を見届けたい」と従軍を申し出る。これを吉之助が許します。
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駿府新政府軍大総督府
軍議において、参謀:林玖十郎(岡部たかし)から「われらに進軍を止めてもらいたいという書状が連日届けられている。静観院宮から有栖川宮小須田康人)に嘆願が出ている。慶喜様は寛永寺で恭順しておられる。徳川が恭順しているかぎり戦の名分がない」と休戦が提議されるが、吉之助に首を縦に振らない。
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「兵器、軍艦を一切差し出し軍門に下るのがどおり。紙一枚では信じられない。慶喜の首を取るのは天子様の命令ぞ」と退ける。
軍議を重ねた結果、江戸攻撃は、315日と決まる。
 
勝が寛永寺山岡鉄舟(藤本隆弘)を伴い慶喜を訪ねる。
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勝は「まもなく敵は駿府、川越に入る」と伝えると、
「俺は天子様の許しを祈って待つのみだ」
「やつらは、あんたの首を欲しがってる。戦うなら最新の大砲があり、薩摩に勝る軍艦がある。私が戦うなら駿府を海から砲撃する。さらに、フランスの力を借りて大坂湾から京に攻め上る。あちらを朝敵にする。どうします!」
「それならば確かに勝てる。しかし、そのときこそ日本が終わる。日本が異国の手に渡る。そのようなことはさせぬ。見くびるな!朝廷の誹りを受ける!日本を世界の笑いものにしない。もはや戦はしない。朝廷に刃を向ける気はない。あとは任せる。いかなる仕打ちもうける」
 
この慶喜の腹の据わった考え方に感動しますね! なぜ、これまでにこの考えを主張しなかったのか分からない。
慶喜が薩摩をフランスに割譲するという吉之助の考えはどこから出てきたのか。吉之助の討幕クーデターに大きな誤りがあったのではと・・・
 
勝は控える山岡に「上様の覚悟を聞いたか」と確認し、山岡を駿府に走らせる。
 
山岡は単身で駿府の吉之助の陣屋を訪ね「朝敵慶喜が家来山岡鉄舟」と啖呵を切って、吉之助と相対する。
「勝安房守からです」と文を差し出し「我が主の天子様への忠誠は誠です」という。
これを読み、吉之助は「進軍を止め、おいに江戸に来いというている。勝様の誘いでもそれは聞けん」という。
「それでは最後の一兵になるまで勝様と矛を交えることになります」
「そうする。今、手を止めれば必ずあの方は生き返る。信じることは出来ん」
「分かりました。いまこの国でむごい殺しをしているときではない。われ等の願いを天子様にお伝え願いたい」と鉄舟は腹を斬ろうとする。
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「なんで、あの慶喜のために」と問うと、
「士が主を信じられぬは、もう士でない」と再び腹に刃を当てる。
「止め!わかりもうした。勝様にお会いもうそう」と吉之助。
藤本さんの威厳がはるかに吉之助を凌いでいる。このドラマ、主役の選定を間違えましたね!()
 
新政府軍は東海道東山道北陸道の三方向から江戸に入ろうとしていたが、吉之助がそれら兵を止め置き、先に江戸に入る。
 
磯田屋で半次郎(大野拓郎)らと雑談をしているところに、幾島(南野陽子)が現れる。幾島の手引きで、吉之助は江戸城天璋院を訪ねる。天璋院は吉之助を認め「待っていたぞ!」と声を掛ける。実に12年ぶりの再会でした。
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感想:
鳥羽伏見の戦から朝敵慶喜の家臣山岡鉄舟との会見を経て、天璋院12年ぶりの再会までが描かれました。鳥羽伏見の戦では、慎吾の負傷と治療、吉之助の指揮官としての在り様が描かれ、戦場の怖さや虚しさがよく出てよかったですね。慎吾の言葉が胸に残ります。

戦の描写で、医療の問題を描いたものをこれまでに見たことがない。軍事専門誌では、医療問題は大きな問題としてよく取り上げられます。鳥羽伏見の戦に戦略・戦術で見るべきものはないので、この着想はすばらしい!

錦の御旗を見て逃げ出す慶喜は、何を考えているのかと心配でしたが、勝に促され正気を取り戻し、今後の徳川の在り方を示したことに驚きました。バカではなかった!
これをみると、吉之助の慶喜は国を外国に売るから成敗するという、クーデターのよりどころはあやしくなりますね。()
 
山岡鉄舟の人格には感動しました。しっかり吉之助に見せてやりたいですね。藤本さんの気品、演技がとてもよかったです。いよいよ天璋院との再会、吉之助のすっかり戦好きになった狂気から、昔の吉之助に戻ることになるのでしょうか。おもしろくなりましたね!
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記事 20180925
大河ドラマ西郷どん」第36話は11・0% 前回から0・7ポイント減