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第39回「父、西郷隆盛」

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京都市役所の玄関ホールには、「新しい市長はどんな人」「西南戦争で脚をなくしたらしい」「犬連れてくるでえ」など噂しながら大勢の職員が新しい市長の到着を待っていました。そこに髭を蓄えた西郷新市長(西田敏行)が到着です。
 
前市長の内貴仁三郎(磯田道夫)との引き継ぎを終えた新市長に、助役の川村が「またここで西郷さんのもとで働けるとは、嬉しいです」と喜びを伝えると、「やめてください。私は父の名前を出して仕事をしてきたわけではありません」。
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川村は「台湾での土地の者たちのために行った市長の仕事は、西郷先生の長男と思わざるを得ません」という。
これに「私は菊次郎です。長男の寅太郎ではない」と反発する。川村は気まずそうに「今度こそ西郷先生のことを教えてください」という。
市長は「父のことをすべて知っているわけではありません、知らないことの方が多い。私が話せるのは明治2年のころからです」と話し出す。
 
ここからは、菊次郎の目線で、西郷どんが語られることになります。
 
父吉之助(鈴木亮平)は明治政府に加わらず鹿児島と名を変えた薩摩に戻り、名を隆盛と改め、農地を巡っては農民たちの手助けをする毎日を過ごしていました。
 
そんなころ、糸(黒木華)と熊吉(塚地武雄)が菊次郎(城桧吏)を迎えに大島を訪れたのでした。
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愛加那(二階堂ふみ)は「この子は私の子としてではなく西郷吉之助様の子として育てました。どうか、奥様の力で一人前の薩摩男にしてください」と糸に頭を下げます。城桧吏ちゃんは、西郷どんとは全く違って、気品がありますね。()
 
糸が「大切なお子と別れるのは、さぞお辛いでしょう」と慰め、「旦那さんはいつも流された島で愛加那さんに命を助けてもらったといっています。ありがとうございました」と礼をいう。
これに、愛加那が「お礼など、やめてください。好いた人を助けただけ、あたりまえのこと」と強い言葉を投げ掛けます。糸は「すいません」と謝るのでした。
じっとこれを見る菊次郎、この歳では、ふたりの母の複雑な思いを想いやることはできなかったでしょう。
若いふたりの火花の飛ぶような演技対決は見どころでした!
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しかし、ふたりの嫁の対面に西郷どんも困ったと思います。これを描く必要があるんですかね。()
 
隆盛は長年の借金を返し、借家を出て武村に居を移していた。しかし、家は小さく、信吾(錦戸亮)が清(上白石萌音)という嫁を貰って西郷家は再び大所帯となった。
そこに、菊次郎は糸と熊吉に付き添われてやってくる。小兵衛(上川小兵衛)や雪斎(石橋蓮司)が出てくるとすっかり硬くなってしまう。
そこに隆盛が帰ってきたが、菊次郎には実感がなく硬くなるばかりでした。
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しかし、つかのまに犬を介して寅太郎と菊次郎は遊べるようになった。初めての父は母から聞いていた父とは違っていて拍子抜けしたとのこと。
 
その夜、菊次郎を囲んでの祝宴が設けられた。隆盛も糸も皆、菊次郎に長男の席に座るよう促したが、菊次郎はみずから、その隣の下座についた。

翌日から、菊次郎は、一人前の薩摩武士になるよう、郷中の稚児や二才の交って剣道や相撲、読み書きなどを学ぶことになった。
 
 
このころ、薩摩藩は領地と民を帝に返上する「版籍奉還」に同意し、藩主は権力を失っていました。
 
ある日、一蔵に代わって久光付の海江田武次(高橋光臣)が、隆盛のところに迎えにやってきた。隆盛が磯の御殿に出向くと、久光(青木崇高)が「お前はかって、わしに薩摩の忠義と底力を天下に示せち言うたな!そいが薩摩のためになるならというた。蓋を開けると戊辰戦争から帰った者たちがわしの側近を追い出し、のさばっている。藩内の秩序が乱れ、不満が溢れている。わしには手も足も出せん!これがお前の言う御一新ということか!」と怒る。
 
一方東京では、右大臣の三条実美(野村万丞)以下、大納言の岩倉(鶴瓶)、政務を取り締まる参議らが、官位の序列で揉めている。木戸が「西郷が藩主より上では混乱が生ずる」と反対する。大久保は「成果を上げたものが大きな報酬を得るは当たりまえ。古い武士の世を早く終わらせ中央に力をあつめることが大切」と主張する。
これに、「事を急ぎ過ぎては争いものになる」と木戸孝允玉山鉄二)が反論する。
後藤象二郎瀬川亮)、江藤新平(追田孝也)、大熊重信(尾上寛之)、伊藤博文(浜野信吾)皆それぞれに考えがあり、話はまとまらない。
大久保が「不満の声はあっても、ここで手を緩めるわけにはいかん」と言えば、木戸が「手痛いしっぺ返しを喰うぞ。知らんぞ」と吠えつく。
木戸のいう通り、民衆の怒りが爆発し、各地で暴動や一揆が形となって頻発していったのでした。
 
そんなある日。半次郎(大野拓郎)のいとこ別府晋介(篠原悠伸)と横山安武(笠松将)ら若い侍が隆盛を訪ねてきた。
「今この日本でいかにくる人で多いか訴える必要がある。中央は民から莫大な金を取りながら、政府の者は家に妾を囲い、遊んでいる。ほっとけん! 先生、一緒に東京に行ってもらえないでしょうか」と横山がいう。この言葉は、いまでも、耳に痛いですね!
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「それはできない。一蔵どんが新しい国を作っている」と断る。
「先生は政府の犬になられたか」と毒づく。隆盛はこれに返事をしなかった。
 
愛加那から「民のため死を恐れない日本一熱い男」と聞かされていただけに、こんな父に菊次郎は少し失望しました。

静かな父は動かぬ山でした。いまにして思えば、動かなかったのは血気にはやる者を出さないために自ら動かなかった。若い侍たちの命を守るのが自分の役割だと考えていたのでした。しかし、あの静かな父は、実はいつ噴火するかもしれない桜島だったのでした。
 
横山は東京集議院の門前で「今の世は幕府が新政府に代わっただけ。民の苦しみを思え」と訴え、腹を切って諌死する。横山の死により士族の民衆の暴動や一揆がさらに頻発していった。
 
フランスから帰国した信吾、名を従道と変え、ゆう(内田有紀)を訪ねると一蔵に会うようにという。
従道は一蔵、大倉に会い、西郷の上京を説得するよう依頼された。
 
当時の隆盛は、戊辰の戦闘で亡くなった者を1軒1軒訪ね、手を合わせていました。一人で重い荷を背負っているように見えました。
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従道が顔島に帰る。軍政を司る兵部権大丞に任じられたという。従道が語る異国の話に子供たちは夢中で聞き入った。フランスで見たという鉄道の話に、いつも控えめにしている菊次郎も生き生きと目を光らせた。
 
夜になって、従道が隆盛に「町の治安を守るフランスのポリスのような組織を作りたい。そうすれば士族たちに仕事と生きがいを与えられる」と話します。
そして、「一緒に東京へ欲しい」と訴える。
「一蔵どんや岩倉様に頼まれたか。おれは一蔵どんに任せている。大勢死なせその資格はない」
「頼まれなくても来た。おいも戦はもう見たくない。じゃが、戦わずして勝つほどの強い軍がなくてはならん。戊辰の英雄・西郷なら、みんながついてくる。あれだけの犠牲、無駄にしないで欲しい」
 
夜、隆盛は考えた末に、糸に「この国の仕組みを変え、それで国は困っている。変えた責任を果たさんといかん」と上京することを伝えます。
糸が「大島から引き取ったばかりの菊次郎を置いて行くなど承知できません。愛加那さんに申し訳が立ちません。もうしばらく居て欲しい」と反対します。これを菊次郎が聞いていました。
 
次の朝。菊次郎が父の前に正座し「東京に行ってください。島の母から聞かされました。お前の父は偉い人、自分のことより民が大切という人。私もいつか民のために働きとうございます」と申し出る。
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そして糸に、「母上、父上の東京行き、許してたもんせ」。これに涙ぐむ隆盛でした。賢い息子に押され、隆盛は上京することになりました。この時代に、こんな重大なことに、こんなことがあるんですかね。()  城桧吏ちゃんがしっかり演じましたね!
 
わたしはこのとき、西郷隆盛を少し理解できたように思いました。
 
感想:
今回から、菊次郎目線で物語が進むということで、菊次郎が大島を離れ鹿児島の西郷家にやってきたところから物語が始まりました。
相変わらず、家族話が主体で、激動の維新の動きをもっとしっかり描くべきところがあると思うのですが、これはなし。
 
隆盛が一度放棄した政府のために上京するという。
菊次郎はこのときの父のことを少しだけ理解できた気がしたというが、さっぱりわかりませんでした。()
横山の死と従道の話から、混乱を治めるために再び上京するというが、明治になっての国内状況がしっかり描かれておらず、一度政府を去った決心を突然に翻すことがよくわからなかった。あまりにも決心が甘すぎる!
 
横山安武のはなしなど、一般の人は知らないでしょう。史実の説明が必要で、不親切過ぎます! 分からなければ調べなさい、ホームドラマとして西郷どんをしっかり描きますということのようですが、これで西郷どんがどういう人物かが分かるんですかね。
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記事 20181022
西郷どん」第39話は12・3%…前回から2・1ポイントアップ