明治10年2月17日。隆盛は士族の窮状を政府に訴えるため一路東京に向かった。
隆盛が兵を率いて立ち上がったことは政府に伝えられた。岩倉(鶴瓶)はおろおろするだけ。木戸(玉山鉄二)が「周りが暴発しただけ、確かめろ!」と大久保(瑛太)に意見。従道(錦戸亮)は「兄が立ったのは確か、理由はわからない」という。大久保は天皇に西郷討伐の勅要請を決意する。
明治10年2月18日。西郷軍は熊本城の手前、川尻に到着。突如、熊本城から火の手が上がった。さらに城下でも各所で火災が発生する。
軍議を開くと、直ちに攻撃という案が出たが、鎮台からの使者の来るのを待つことにした。
この征討令は、政府軍は徹底的に抗戦するというもので、西郷軍は戦わずして熊本城を通れなくなった。
「やるだけじゃ」といきり立つ兵士たち。
隆盛は「たとえ政府が、われわれの声に耳を貸さずとも、俺たちの進む道はただひとつ。止める者は振り払う。それしか道はない」と徹底抗戦を指示する。のちに「西南戦争」と言われる闘いに突入した。
出発前に、政府軍と戦うこともあると考えていたら、ここに留まらず、さらに前進し有利な態勢で敵を迎え、勝利できたかもしれない。
西郷軍の指揮所。高瀬に米や兵器の集積、8000の兵が終結している情報が入る。
思いつきのような作戦で、全般の作戦がわからない。敗れると、あとは泥沼でしょう。
政府では、川路(泉澤祐希)が「抜刀による斬り込みで苦戦している」として警視隊を中心に編成された抜刀隊を送ることを大久保に進言する。
南下する政府軍を田原坂、吉次峠で迎え、厳しい戦となった。「雨は降る振る陣馬は濡れる。越すに越されぬ田原坂」という雨の中で、警視抜刀隊と薩摩軍との戦い、かっての同志たちの戦い、両軍一進一退を繰り返し、10数日に及ぶ激戦となった。
撤退中の小兵衛(上川周作)率いる部隊。菊次郎が捨てられた小銃弾を拾おうとして敵の射撃で負傷する。小兵衛は菊次郎の楯となって政府軍の中に突っ込んでいった。
野戦病院で菊次郎が無念な思いで拾った小銃弾を見ていると、そこに隆盛がやってきて、壮絶な最期を遂げた弟の遺体に手を合わせ涙を見せる。
久光のもとに、柳原前光が勅使として派遣され、政府への協力を要請してきた。
久光(青木崇高)は「さきにシサツを送ったのは政府とか。これは視察か刺殺か、どちらですか?」と勅使を問い詰め「答えがない。問題は政府にある」と断じ「私は時勢に取り残された薩摩のいも侍。しかし、道理の通らないことは断じて承服しかねる!」と要請を跳ねのけた。海江田(高橋光臣)は深く久光に頭を下げた。
政府と鹿児島県、久光の関係が一切描かれていないから、よくわからないが、久光は恰好よかった!
隆盛に加担したことで、大山(北村有起哉)は、罪人として東京に連行された。
牢屋の格子越しに、大山が話しかける、
「なんでこうなった。友であったろうが?」
「西郷は友である前に罪人。隆盛が生きているかぎり、日本は治まらない」
「ちがう、おはんの中になにがあった」
「西郷とその一党を討つ。これは政府の答えだ」
「政府ではない。おはんのなかに何があった」
「おいが政府じゃ」
「あはん、これで別れか」
大久保は一礼して、去って行く。大山が「一蔵、先にいって有馬と待っている。おはんだけが極楽にいくなら引きずり降ろしてやる!」と言葉を投げた。
大山は、寺田屋騒動での同志討ちに、止めに入ったが大久保は逃げた。今回も同じ、汚いやつだと思ったでしょう。本作での大久保は、同志を犠牲にして大きくなっている。こんな大久保にがっかりです!
政府軍が、西郷家に安全のためと保護にやってくるが、糸が「隆盛の家族、世話にはなりません!」と断る。そこに久武が宮崎から戻ってきて、小兵衛の死と菊次郎の負傷を伝える。
延岡で菊次郎は治療を受けていた。右足を切断したことに驚く。隆盛の「どんなことがあっても生きろ」という言葉を熊吉が伝え励ます。
西郷軍は戦い続け、2万の兵が今や3500となっていた。そして、表野まで追い詰められた。そこで農民たちから握りめしの差し入れを受けた。これで一息つく。
隆盛は「2匹の犬を放った。そこに菊次郎と熊吉が合流する。
隆盛は兵士を集め、
「よく戦った。おいたちは、今、こん時をもって解散する。降伏して生きるもよし、自害して果てるもよし。皆、自分の良くするところに従ってほしい」と言い渡す。
その夜、隆盛は自分に区切りをつけるため軍服を燃やした。そこに、糸(黒木華)が久武と一緒にやってきた。菊次郎の無事を見て泣く糸に菊次郎は「足を無くしても父のところおれます」と安心させる。隆盛は「母親とここに残れ」と言うが「父上と一緒に死ぬ!」と言い出し、これに皆が同調する。
隆盛は「いかん!新しい日本のため、今、むざむざ死なれてはたまらん。生きろ!おいたちに成り代わって、生きろ。命令だ」と全員に命令する。菊次郎には「母を頼む」と声を掛けた。
ふたりだけになった隆盛と糸。隆盛が「政府軍はすぐそこまで迫っている。これが最後じゃ。苦労ばかりかけた」と労わると、糸は「ひとつだけ言いたいことがあります。旦那様が西郷隆盛でなかったら、どれだけよかったか。吉之助さん、ただの百姓だったら、どんなによかったか」と涙する。隆盛は糸をそっと抱き締めた。
感想:
政府軍と戦うと当初から考えておれば、熊本城なんぞに引っかからず、政府軍の兵力分離に乗じることも可能で勝ち目も見え、政府も隆盛の言い分を聞いてくれたかもしれない。田原坂の戦以降、隆盛は何を考えていたのでしょうか。部下のため、死ぬこともできない。国のため何を残すか、どう死ぬかだけだったのではないかと涙が止まらない。
親子、兄弟、同郷の者たちがあい戦うという悲劇。圧倒的な兵力で攻めてくる政府軍。同情は隆盛に集まるでしょう。これが後世の隆盛への評価につながったのでしょうか。最終回での隆盛の評価を待ちたいと思います。
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記事 20181210
「西郷どん」第46話は11・4%、9週連続で2ケタ視聴率