映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「恋のしずく」(2018)


イメージ 2
大杉連さんの遺作、川栄李奈ちゃんの初主演作として日本三大酒処の一つ東広島市・西条を舞台にした物語。特に西条の町には思い出があり、観ることにしました。鑑賞後、監督のスピーチがありました。
題名がエロっぽい。() 監督曰く、「この道がエロスに繋がる」とのこと。()
 
ワインソムリエを目指す“日本酒嫌い”の脳天気な農大生“リケジョ”が、西条に研修実習にやってきて、日本酒造りに目覚めるというシンプルな物語です。
イメージ 3
恋もちょっぴりありますが、日本酒造りに何故嵌ったかがテーマです。
 
監督はオールロケ、オリジナルにこだわり現地に住みついて、肌でその土地の息吹に触れながら制作活動している瀬木直樹さん。
出演者は、主演に川栄李奈さん、共演はEXILEの小野塚勇斗さん大杉連さん、小市慢太郎さんらです。
 
研修先蔵元の亡き女将さんが残した源氏物語:桐壺の歌「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは “命なりけり”」にまつわる「女将の願い」と、もうひとつ「願い事を誰にも言わず、広島市内を流れる七つの橋を渡り切ったら願いが叶う」という“七つ橋巡り”のエピソードで、太古より続く伝統の酒造り(命の水)とこの地の人と土地が気に入り、リケジョは酒作りの道を選択します。ついでに蔵元の息子も。()
 
ふたつのエピソードをうまく生かした物語構成で、伝統の酒造りと美しい広島の風物を見せてくれます。
 
監督からは、この物語が誰の目線で描かれているかと観て欲しいと、ラストシーンの竹原市忠海の海岸を走る呉線の電車を挙げていました。とても美しい、そしてここには亡き女将さんの「必ずここに戻って来て!」というメッセージが隠されていました! 鉄道フアンもこのシーンには驚くのでは?
 
大杉蓮さんは、180年続く乃神酒造の蔵元・乃神輝義。亡くなった妻の「命なりけり」という銘酒造りに励むが、これが原因で身体を壊す。しかし、最期に息子に跡を託して、「今年はいい酒ができる」と禁じられている酒を口にして亡くなります。
イメージ 1
研修に来た橘詩織(川栄李奈)にはとても優しい目線を送るというとても穏やかな遺作となりました。
 
3日ほどのロケ参加のようでしたが、西条の町を散歩し、蔵元の役つくりをされたようです。
この作品に参加されたのは、監督への友情ではなかったかと思われ、人柄が忍ばれます。
 
川奈さんは、冒頭いかにワインが飲めるかと“アルコール活性化LDS”?を飲んで著名ソムリエ・朝比奈昇(蕨野智也)と競うというバカ女学生から、西条にやって来て杜氏・坪島泰淳(小市慢太郎)の厳しい指導に苦しみなから必死に喰らいつき、笑顔を取り戻すという色々な感情が混じった演技をしっかりこなしていました。
イメージ 4
監督さんによれば、使いたいと人気が高い女優さんだとのこと。期待したいと思います。
 
EXILEの小野塚勇斗さん、(早死にした)母に対する父親・輝義の酒びたり生活に疑念を抱き、父と葛藤しながら、その真実を知ることで、蔵を継ぐと決意する微妙な感情のお芝居、うまくこなしました!
彼の機動力がオートバイ。しかし、小野塚さんは運転免許がなく、免許を取得しての参加。よくがんばりました。
イメージ 5
杜氏役の小市さん。現場でも小市さんとは気づかず、「そこの人避けろ!」と指示すると小市さんだったと。
作品に嵌ったうまい演技だと思います。
イメージ 6
広島弁で現地の雰囲気をしっかり伝えてくれるのが、詩織が間借りする農家の娘・高宮美咲役の宮地真緒さん。
イメージ 7
しっかり詩織をサポートしますが、別れた男の子が腹にいて、どうしようかと悩み、「好きだ」と声を掛けてくれた若い蔵元・有重一紀(中村優一)に励まされ「これも(酒の)神の子」と産む決心をする広島娘を明るく演じ、この作品を楽しいものにしてくれました。
 
お酒が飲みたくなり、広島を旅したくなる作品でした。( ^)o(^ )
        ***