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「メリー・ポピンズ リターンズ」(2019)

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91アカデミー賞2019)で、作曲賞・歌曲賞・美術賞・衣装デザイン賞の4部門にノミテイトされ、メリル・ストリーブ出演ということで観ることにしました。実は、前作(1964)は未観賞です。
 
前作から25年後の大恐慌時代のロンドンを舞台に、3人の子どもの父親となったバンクス家の長男マイケルの前に、再びあの美しい魔法使いメリー・ポピンズが現われ、子育てと借金問題に苦しむバンクス家の窮地を救うさまをファンタジー・ミュージカルで描くというもの。
 
 
テーマは、メリー・ポピンズがバンクス家にやってきて宣言する「トビラを開くまでいる!」(家族がきれいなって生き方を変える)です。物語はシンプルで、徹底してこのテーマが追うプロットがとてもしっかりしていて、感動です。
アカデミー賞の作品賞あるいは脚本賞に該当でしょうが、前作で受賞しているため、今回はなしということだと思っています。( ^)o(^ )
 
霧深いロンドンの風景、ファンタステックな美術などの映像もすばらしいですが、なによりも「考え方を変えれば別の世界が見える」「亡くした物は、必ず見つかる」など蘊蓄のある人生訓が楽しくわかりやすく描かれていることに感動です。
 
本作のメリー・ポピンズはとても知的で、子供たちにはやって見せ厳しく躾ける。それでいて、とても愛情深い。エミリー・ブラントは、まさにこのような女性に見えました。( ^)o(^ ) すばらしい演技で、今のお母さん方に求められる母親像ではなかったかと思います。
 
沢山の歌曲が出てきますが、どの歌曲にも、人生を応援するような詩が付けられています。メリーの声・平原綾香さんが歌う「幸せのありか」、とても印象的でした。前作に比べれて印象に残らないという意見もあるようですが、これはふたつの作品でひとつの「メりー・ポピンズ」ということで、物語に合った歌曲で演出したのはよかったと思います。
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大恐慌時代の1934年ロンドン。テェリー通り17番地で街灯点灯夫ジャック(リン=マヌエル・ミランダ)がガス灯を消しているシーンから物語が始まる。この風景のように、とても映像が美しいです。
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ラクタの中から出てきた凧、捨てられて風にあおられ空に舞う。これを繋ぎ止めようとする次男ジョージー(ジョエル・ドーソン)。この凧につかまって美しい気品のあるポピンズが旅行鞄と傘をもって降りてくる。
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バンクス家にやってくると、子供たちの面倒を見にやってきたと言い「扉が開くまで帰らない」という。
そして、さっそく入浴させる。スキンシップにはこれが一番でしょう。バスタブに水を満たしシャボンを入れて傘の魔法で、子供たちを海底に誘い、美しい海底を一緒に探検する。世界の不思議を見せ、子供たちに夢を与えます。
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次に部屋の掃除。メリーがやって見せ、そのようにやるよう命じる。何気ないような描写のなかに、しつけの基本がきっちり入っている。
 
3人の子供たち、家を失うことを心配し、母親が大事にしていた食器を売ってお金にしてはと揉め、器を床に落として傷を付けてしまう。
メリーは怒るのではなく、亡くなった母の残したものを大切にすることを教えようと食器に魔法をかけ、そこに描かれている絵の世界に誘う。
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そこはファンタジーなアニメの世界でした。懐かしい、ほっとする感じでした。
馬車でメリーが魔法で作ったミュージック・ホールに。ここでメリーとジャックがステージに上がり「何が大切か・・・」と歌い踊ります。見事でした!
 
夢落ちでベッドに戻った子供たちは、「お金が欲しい」「お母さんに会いたい」と言い出す。
メリーは「待つのよ!亡くした物は住む場所にある。永遠に消えるものなどない・・」と歌って安心させる。「お母さんは月の裏にいる」とも。
そして、「従姉に頼んで直そう」とはなし子供たちを寝かせる。メリーの優しさの溢れたシーンでした。これらの教えは、伏線となり、見事に回収されます!
 
従姉トプシー(メリル・ストリーブ)を訪ね、修理を依頼するが、第2水曜日が休みだからと断り「びっくりカメになる」と部屋が上下逆になる。() 面白いおばちゃんだなと思ったらメリルでびっくりでした。
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メリーは逆立ちし「くるりんぱ!別の場所に立てば別の物がみえる!」という。「お姉ちゃん、柔軟に、こちらの立場も考えてよ」と迫ったわけで、トプシーが折れて修理をしてくれることに。() それにしてもメリルが若いです。()

父親マイケルは借金を株券で返済しようがとしたが、これが見つからずすっかりしょげ込んでいる。
子供たちは時間稼ぎにと銀行に出かけ交渉するが、逆に父親が働き場を失うぞと頭取ウイルキンズ(コリン・ファース)に追い返され、マイケルを怒らせてしまう。
 
帰りの夜道、霧が出て帰り道が分からなくなる。ジャックの「小さな灯を捜せ!」で懸命に光を捜す。ポピンズの導きで、下水道を経てジャックの手配で集まった沢山の点灯夫に出会う。希望を捨てるな!と教えています。ここでの点灯夫たちのダンスがすばらしいです。
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帰宅すると父マイケルが子供たちを叱責し、妻ケイトが亡くなってすべてが狂ったと嘆く。長女のアナベル(ピクシー・デイヴィス)が「お父さんが間違っている」と言い、これにジョージーが「お母さんはいるよ。ここに居ないだけ。星になって見てる!」という。これはメリーから学んだものでした。
メリーが「世の中には考えすぎる人がいる」とマイケルに忠告する。マイケルは「家を守ることが子供の守ることだと思ったがそうではない。自分がしっかりすることだ」と気付きます。
 
借金返済に家を渡すことにして引っ越し準備をしていると、あの凧が登場です! そこには見つけることができなかった株券が張られていた。
 
銀行に急ぐが返済約束の0時に間に合いそうにない。メリーは時間を戻せばいいとビッグベンの時計の針を遅らせることにする。
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そして時間には間に合ったが、株券の番号がないことに気付く。ここに前頭取ドース・ジュニア(ディック・ヴァン・ダイク)が現れ、あの2ペンスで対応できるという。
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メリーの教えで、家を手放すこともなく、子供たちは自分たちで考え行動できるようになり、父と子の絆を取り戻すことができたというおはなし、とても感動できるはなしでした。( ^)o(^ )
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