監督はホン・サンス監督。鑑賞後に、ふたりが本作の監督と女優の関係にあるということを知り、驚きました。これだけで、話題十分ですね!
共演はソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョン・ジェヨン、ソン・ソンミらです。
物語は、
不倫スキャンダルにより、キャリアを捨ててハンブルクに逃げて来た女優ヨンヒ(キム・ミニ)は、会いに来ると言ったまま姿を見せない恋人を待ちながら、自身の気持ちもはっきり分からずに、後悔と欲望を引きずっていた。
月日が流れ韓国へ戻ったヨンヒは、旧友たちとの再会をきっかけに女優復帰を考えはじめる。ひとりカンヌンの浜辺を訪れた彼女は、意外な方法で自身の心と向き合うことになるというもの。(映画COMより)
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この紹介文でほぼ完全“ねたばれ”です。(笑) 自身への向き合い方が秀逸でした! 始めてみる監督作で、どのような作風の監督なのか知りませんでしたが、カンヌ風で、とても魅力を感じます。
人生で死にたいほどの苦難にぶち会ったときの対処は「これしかない」。映像で語る映画でした!
物語の前段。ヨンヒのハンブルグでの生活。友人・ジョン(ソ・ヨンファ)やドイツ人夫婦との何気ない会話と多くをハンブルグのだだっ広い公園や海岸の風景をメタファーに、ヨンヒの監督への思慕と寂しさを彼女のなかに落し込む描写がすばらしいですね!いかにもカンヌらしい。
ひとり、砂浜に監督の顔を描き忍ぶシーンに、深い思慕と悲しみが見えて心揺さぶられました。「長江 愛の歌」(2018)に出てくる1シーンに重なります。
後段、ヨンヒは韓国・カンヌンに戻って友人たちと再会し、韓国という風土と親友の優しさに触れ、癒されていきます。
ヨンヒの再生は故郷の温かみ、友からの愛、そして“監督の深い愛”の思い出で、再スタートする以外にない。
友人たちと再会でお酒が入り、自分の辛い想いを吐き出すシーン。キム・ミニが酒が進むにつれて感情を露わにしていくシーンは圧巻でした。
友人たちの支えで、女優の復帰にとホテルに入ると、その窓をひつこく拭く黒服の男、これをどう読むのでしょうか?(笑)
ひとりカンヌンの海浜で横になって・・・監督と出会い、監督から「お前との経験を描く。読んで聞かせたかった」とシナリオを渡されるシーン。起こされて、これが夢であったという落しどころが見事でした。
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