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「風立ちぬ」(2013)

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宮崎駿監督の平成最後の長編作品。ゼロ戦の設計技師、堀越二郎をモデルに、大空への憧れや友情、夫婦愛などを描いた作品だという。かっての先生の講義を思い出しながら「金曜ロードSHOW!」を観ました!
 
物語は、
夢の中で二郎は、イタリアの設計士カプローニ伯爵が語る航空機の未来に憧れ、眼鏡の自分でも飛行機設計士になれると東京大学に進学。関東大震災が起きたその日、上京中の列車で運命の女性菜穂子に出会う。在学中に計算式で美しい翼形を描くほどの才能を見せ、名古屋にある三菱の会社に就職。ハヤブサ班に配属される。
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ここで後に陸96式重爆撃機設計で名を知られる本庄技師と出会い、ふたりが新しい飛行機技術研修のためドイツのユンカース社に派遣された。
帰国後、艦上戦闘機の設計主任に任命されたが、試験飛行で戦闘機が大破。しばらく軽井沢で静養することとなった。
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ここで二郎は、菜穂子と再会、紙飛行機で愛を伝え合い2人は婚約した。結婚は結核を患っていた菜穂子の体が健康になってということにした。
 
軍の厳しい条件が付けられた艦上戦闘機の担任を任され、療養中菜穂子を気にしながら、戦闘機設計に没頭していた。
菜穂子はこんな次郎に会うため、単身で名古屋に。上司黒川夫妻の媒酌で結婚。病床のなかから次郎の設計を励ます。こうして試作機の初飛行を迎えた日、菜穂子は再び療養のため故郷に戻り返らぬ人となった。
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戦場に飛ぶゼロ戦闘機。一機も戻ることなく終戦。失意の二郎の前に カプローニ伯爵が現れ「それは飛行機の呪われた夢、空が飲み込こんでしまう。君の飛行機は美しかった」との賛辞、そして菜穂子から「生きて、生きて!」の声が聞こえた。「生きねばならん!」と二郎。・・・
 
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冒頭の二郎がカプローニ伯爵と会話する際に出てくる数々のファンタジックな航空機、二郎が上京時に起きたリアルな関東大地震の描写。いつものことながら、この絵力には圧倒されます。
 
航空機設計家としての二郎。学生時代の計算尺による翼型計算やそれがNACA翼に一致していた話、ユンカース社の研修で日本の航空技術の遅れを痛感した話。帰国後任された艦上戦闘機のテスト飛行の失敗。厳しい要求性能を追求した新艦上戦闘機の基本設計構想など、設計家としての二郎が描かれましたが、平板的で彼の成長や悩みはよくわからなかった。むしろ、ハヤブサのテスト飛行の失敗後にシベリアを買って子供に与え受け取ってもらえなかった話(飛行機を作らねばシベリアはいくら買えるか)、ユンカース研修時に耳にしたヒトラー批判や軽井沢のホテルで出会ったドイツ人から聞かされる日本の暴走批判、これを聞いた二郎が憲兵から追われる話など、戦争に進む日本への批判が強かったように思う。
ラストをカプローニ伯爵の言葉で締め括ったのも、戦争協力せざるを得なかった二郎の釈明のように聞こえ、この作品の狙いは、実はここにあったのではという印象を持ちました。
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菜穂子との恋。セロ戦の美しい形と儚い運命が菜穂子に重なり、ちょっと切なくなりました。短い運命を悟った菜穂子の決断とその行動に驚き、結婚式のシーンには笑いましたが、病床の隣でタバコをふかし設計計算をする二郎には嫌悪。
「生きねば」のキャッチコピーは、ふたりの叶えられなかった夢への無念さなんでしょうか?
 
私の見た堀越さんはとても紳士で優しく、「人間の力でコントロールできない飛行機は作るな!」と説いていました。「美しい飛行機」とは言っていなかった。() 本庄さんは、とてもとても明るい気さくな方でしたよ! こういう話になるんですね。すばらしい作品なんでしょうが、よく分からなかった。()
 
追記 「日本禁煙学会」と同じ感想でした。()
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