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「さよならくちびる」(2019)

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監督は「害虫」「どろろ」の塩田明彦さん。さらに、門脇麦さんは「ちわわちゃん」(2019)で、小松菜奈さんは「坂道のアポロン」(2018)で唄うと思っていたのに歌わなかったふたりが秦基博さんと“あいみょん”さん提供の楽曲を歌うという、これは観ないわけにはいかない。楽しみにしていました。( ^)o(^ )
 
解散を決めたインディーズの人気女性デュオ「ハルレオ」が、付き人の青年シマとともに解散ツアーへと繰り出すさまを小松菜奈さん、門脇麦さん、成田凌さん共演で描いた音楽青春ロード・ムービー。
 
麦ちゃんと菜奈ちゃんが、少し年を下げて、髪を短く切り、ツナギ姿で、アコーステイックギターで唄う、それをそっと支える成田さんの姿。そこにはまだ大人にはなりきれない、深く知り合ったからこそ言えない、妬ましさや愛、青春の痛みが伝わり感動的でした。
とにかく歌曲がすばらしく、歌曲の中に、歌う二人の姿に答えがあるという歌物語。このふたりでなければできない作品でした!
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ツアー出発にあたり、シマが「決心は変わらんな!今日は浜松、最後な函館で終わり」と7か所を巡るラストツアーを告げる。車の中のふたり、助手席にハル、後部座席にレオ、ふたりは決して話をしない。何があってこうなったのか。彼らのツアーでそれを知ることになります。
 
最初は浜松のライブハウス。レオが単独行動で遅れて、ライブが始まる。歌い始めると、ふたりの間に解散するようなそぶりはどこにも見られない。これはラストライブの間、常にそうでした。いつものスタイル、ツナギ姿にアコーステイックギターで「たちまち嵐」を歌う。ライブの最初はこの歌で始まる。「孤独を知る旅にでよう 相棒はとりあえずいらない 道なき道の片隅にいた・・」と。ラストツアーであることを暗示しているような歌曲です。彼女たちの歌を聞き、「別れないでくれ!」と思いながら観ていました!それほどに二人の歌はよかった。( ^)o(^ )
 
ハルとレオはアルバイト先のランドリー工場で知り合い、ハルの誘いでふたりは歌を始める。レオは全くのゼロからのスタート。めきめき腕を上げ、ハルがいなければ今はないと思うようになる。一方、ハルはレオと知り合ったことで、曲つくりにも力が入り音楽が生きがいになっていく。
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ふたりの関係は、「誰だって訳がある」という楽曲のなかで描かれており、ライブでは、ハルがこの曲が生まれた背景を語り歌い始める。「誰だって訳があって 今を生きている 私にだって訳があって こんな歌を唄う」。レオがそれを側で聞いている。側で黙って聞くレオの姿には泣けます。こんな出会いをしたふたりが何故デュオを止める! 
 
シマは元ホスト。バンドをやっていたが女に手を出してそれが原因でバンドを解散した経験をもっている。音楽への想いがあってこのデュオにローデイ兼マネージャーとして加わった。このときの約束は「恋愛禁止!」。 
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ふたりは路上ライブから始り、地方ライブの集客も増え、自主制作でCDも出し、若い女性に人気が広がり、取材も入ってくる。バカ女性記者がハルとレオ同席でのインタビューでハルの力を褒めそやす。ハルの力を認めているもののレオにはこれが辛くて、そっと席を外す。
 
そしてシマとの関係が微妙になってくる。レオはシマに、シマはハルに、ハルはレオに好意を持っていた。( ^)o(^ )
大坂ライブで、ハルは「さよならくちびる」を、街頭でホームレス男が設けた100円の席に座る女性(この女性がレオに重なって)に感動し、作った曲だと紹介し、ふたりで歌った。「2秒後の私たちは これが最後だとわかって、無理して ふたりとも ほほえんだ この棘は抜けないままでいい ずっと忘れないでいるから」。
 
大坂のライブを終えて新潟のライブに向かう途中、湖畔で休憩中にハルがいなくなり、シマとレオふたりになる。また、コインランドリーでの洗濯時には、ハルが散歩に出て、それを追うようにシマが散歩に出かける。レオがひとり子供と遊ぶシーン。三人がそれぞれ相手を慮って行動する様が行間を読ませるように描かれます。
 
レオが男と一緒にいるところに、シマはハルを伴って連れ戻しに出かけ、シマとその男が争いシマが受傷して病院に。
レオは「自分のためにシマは命を賭けてくれた」と言い、ハルは「最初からそう思っていた」。シマが「できるならそうしているが、あいつが命を賭けるのは何のため?」と聞く。ふたりが言い合ったのはこれくらいかな。
 
最後の函館ライブ。スマホ中継もあって大盛り上がり。函館山の夜景がとても美しかった。「今日、私たちはこの歌を手放します。皆さんの記憶に刻まれて生きるか、消えるか。すべてを受け入れて歌います」と「さよならくちびる」と歌った。
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三人はライブを終え、何もしゃべらず、東京に戻ってきて、「これで自由だ。家に帰って眠って、別れだ。荷物か自分でもって行け!」とシマの声。
 
なんとも不器用なハルとレオのこれからの選択は、映画を観てください! これは明かせない。( ^)o(^ )
久しぶりの塩田監督作品、とてもよかったです!
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