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「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(2017)

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エマ・ストーン見たさに、タイトルの意味の知らず観ました!() 
タイトルは、1973920日、ビリー・ジーン・キング夫人が当時55歳になっていた往年の男子選手・ボビー・リッグスと「男女対抗試合」を行った、その試合名称Battle of the Sexesで、彼女の伝記映画です。
ビリー・ジーン・キング夫人にこんな話があったことに驚きました。夫人を演じた、眼鏡をかけ(とても魅力的)ふっくらした(7kg増)すっぴんのエマ・ストーンが、テニス選手でありながら、バイセクシュアリティに苦悩する、これまで見たことのないエマ・ストーンに出会えました。
 
監督は「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン&バレリー・ファリス。「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイルが製作、サイモン・ビューフォイが脚本。ビリー・ジーン役をストーン、ボビー役を「フォックスキャッチャー」のスティーブ・カレルが演じます。これだけでアカデミー賞ものです。だめだった理由、笑顔が多すぎた?()
あらすじ:
73年、女子テニスの世界チャンピオンであるビリー・ジーン・キングは、女子の優勝賞金が男子の8分の1であるなど男女格差の激しいテニス界の現状に異議を唱え、仲間とともにテニス協会を脱退して「女子テニス協会」(WTAを立ち上げる。
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そんな彼女に、全米テニス協会の意向を受けて、元男子世界チャンピオンのボビー・リッグスが男性優位主義の代表として挑戦状を叩きつける。ギャンブル癖のせいで妻から別れを告げられたボビーは、この試合に人生の一発逆転をかけていた。一度は挑戦を拒否したビリー・ジーンだったが、ある理由から試合に臨むことを決意する。(映画・COMから)
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ウインブルドン6回、全米オープン4回、グランドスラムの覇者ビリー・ジーンズ・キングが55歳のテニス殿堂入りボビー・リッグスと、3万の大観衆のなかで、何故戦わねばならなかったのか?

 
冒頭、1972年ビリー・ジーンズは全米オープン女子選手の優勝者となり、ニクソン大統領の祝福を受けるが、その報酬は男子優勝者の1/8であることを知り、観戦者チケットの売り上げ高が同じなのにおかしいと全米テニス協会にクレームを付けるが、男子は女子を養っているからとか女子のテニスはパワー不足とか訳の分からない理由を聞いて、全米テニス協会を脱会し、あらたに「女子テニス協会」(WTA)を立ち上げる。今日から見るとずいぶんひどい扱いを受けていたんですね!
当時は、ボビーが対戦を嫌がるビリーに挑戦を促すよう発した言葉「女は台所と寝室に限る。俺に勝てるわけがない!」に見るように、女性差別思想が強かった。
 
さらに、一度拒否した試合に挑戦することにしたビリーには、もうひとつ理由があった。「セクシーズ」、複数です。彼女には夫がありながら、試合には100%集中したいと夫を帯同しなかった。しかしWTAを立ち上げ、成功するためには女子の魅力アピールが必要と、駆けつけた美容室で知り合ったマリリン・バーネット(アンドレア・ライズボロー)に一目ぼれし同棲関係に入る。
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美容室で、ヘアーに触るマリリンとこれに笑顔で応じるビリー。このシーンとベッドシーンは、アップを多用し長く撮ってあって、とても美しく魅力的なエマを観ることができます。
ふたりの関係が、当時はタブー視されていて、世間に漏れないように。また、ママさん選手として人気のあるマーガレット・コートジェシカ・マクナミー)に敗れたこと。さらに夫・ラリー・キング(オースティン・ストウェル)に感つかれるがマリリンを手放したくない。マリリン、夫との関係やテニスへの取り組み方に悩むビリー:エマ・ストーンが、“さすが”といういろいろな感情表現を見せてくれます。
 
一方、ボビーは現役プレーヤーを引退し、テニス行事でのアトラクションで稼いでいた。賭け好きで、生活費を家に入れられず、妻から三行半を突き付けられるという状態。彼は大口たたきで、女性をバカにしたような言葉を平気で投げ掛ける男。() ティーブ・カレルがとてもコミカルに演じてくれます。
 
ボビーの金欠に目を付けた全米テニス協会が「女子のトップ選手を叩きのめせ」とボビーに声を掛ける。償金は35000ドル。
このとき、ビリーはマーガレットに敗れていて、マーガレットがこの挑戦を受けたがあっけなく敗れる。「女性はテニスが出来ても重圧に耐えられない。これで男性と同額の償金を求める動きはやむ」という気風が起こってきた。
 
この気風に、ビリーは女性テニスに大きな危機感を感じる。女子プレーヤーは、男性を惹きつけるためとファッションやヘアスタイルに気を使った。これは女子の甘えと気づき、テニスの技術を磨くことに一層励むようになる。そして、55歳の男性プレーヤーに勝てないのはおかしい、「女子テニスとウーマンリブを守るため」とボビーの挑戦を受け入れる。
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ボビーは筋肉増強剤を使用して筋力を鍛え、女子テニスをバカにしたようなアトラクションやCMに出演。練習をやっていない。()
 
試合は、ヒューストンに3万の観客を集め、ABCの中継放送で始まった。予想は圧倒的にビリーの勝利だった。
コートに入るビリーの表情が、練習で自信をもったか、エマ・ストーンの微笑みの表情がうつくしいです。試合は6セットマッチで行われ、6-4, 6-4, 6-3 のスコアでビリーの勝利。会場が、この一瞬に、女性の大歓声が響き渡った!
ビリーは一度ロッカールームに戻り、涙を流したあと、マネージャーの「君は自由に人を愛せる」に励まされ、会場に現れ、観衆とともに勝利を祝った。 
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ビリー・ジーンズは男女平等、LGBTQの権利や性差別と何十年も闘い続け、女性初の大統領自由勲章を授与されたとのこと。
エンデイングで、エマ・ストーンとスティーブ・カレルが実人物にとてもよく似ていることが分かります。このふたりの名演技に尽きる作品でした!
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