
「新聞記者」「余命10年」「正体」の藤井道人監督が描く「北陸の港町を舞台に、過去を捨てた元ヤクザの漁師と盲目の少年との⼗数年にわたる絆を描くヒューマンドラマ。撮影監督が木村大作で全編を35ミリフィルムで撮影した作品だという。藤井監督に木村カメラマンで観ることにしました。
藤井監督はいろいろなジャンルの作品を撮ってる。ヤクザものには「ヤクザと家族」(2021)がある。さてどんなヤクザ作品なのかと楽しみに観ました。
今の時代に任侠気質で生きるヤクザが、それは時代遅れと悟りヤクザを辞め漁師になった。漁師は「人のために生きる」と治療する金のため罪を犯し盲目の少年目を救った。少年は成長して刑事になった。10数年の刑務所生活を終え娑婆に戻った漁師は暴力団に追われる。彼は“ひとりヤクザ”に戻り暴力団と対決。そこで彼は目を救った刑事と対面、彼が採った行動は?
ラストシーンで漁師が“人のために生きるとは何か”ともう一度考える結末に泣けました。
原作泉鏡花の「白糸の滝」(1952)という大昔の映画を思い出しました。(笑)ことそれほどに古風な作品でした。
古臭い任侠・義理人情の世界の話に涙が出て、これが日本人の心の故郷なんだと感動する。が、藤井監督はこれを現代風に書き換え義理人情を越えた「人のために生きる道」を問うていた。
自治体予算“カット”発言で糾弾される簗和生農林水産大臣の進退問題。
これを「仕事で返せ」と続投支持する高市早苗首相。おふたりに“あなたは誰のために生きていますか?と問いたい。あまりにも次元が低すぎる。
舘さんが背中で魅せる演技、それに大作さんが撮る能登の海と朝焼け、ここから望む雪の立山連峰の厳しい山並みが、主人公の人生を語るようで見どころです。
監督・脚本:藤井道人、撮影:木村大作、編集:古川達馬、音楽:岩代太郎。
出演者:舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、MEGUMI、赤堀雅秋、市村正親、宇崎竜童、笹野高史、椎名桔平、他。
物語は、
漁師として細々と生活する元ヤクザの三浦(舘ひろし)は、白い杖をついて歩く少年の幸太(尾上眞秀)を見かける。両親をヤクザ絡みの交通事故で亡くした幸太は、彼を引き取った叔母(MEGUMI)やその交際相手(赤堀雅秋)からも虐待を受けていた。孤独な幸太にどこか自身の姿を重ねた三浦は、自身の船に幸太を誘う。
どこにも居場所がなかった者同⼠、2人は年の差を超えた特別な友情を築いていく。幸太に視力回復の手術を受けさせるため、ヤクザから金を奪った三浦は、幸太に一通の手紙を残して自首する。12年後、突如として⾏⽅がわからなくなった三浦を捜していくうちに、幸太はある秘密を知る。
あらすじ&感想:
〇元ヤクザの漁師・三浦と盲の少年・大森幸太との出会い
美しい能登の薄明。三浦は目覚め海に出て波に消えるような小船で漁を始める。朝が明けると獲った僅かの魚を世話になっている旅館“荒磯”に卸す。彼を見る漁師たちは「魚は他所ものでも上がる、よくあんな小さな船で行くよ」と冷ややか。家に戻る三浦が少年たちの虐めに遭っている盲の少年を目にした。
その夜、居酒屋“浜っ子”で荒磯の主人・荒磯定敏老人と飲む三浦。
三浦は「荒磯さんのお陰で生活、なんとかなってる」と言い、荒磯は「何度も三浦さんに助けてもらった」という。

そこに盲の少年が“さしみ”を買いにやってきた。
荒磯がこの少年について「少年は両親を交通事故で失い、叔母(MEGUMI)の家に預けられている。その叔母がどうしようもない女であの子の遺産を分捕り男と生活している。事故は反対車線を逆走してきた車との正面衝突。あの子も目が見えなくなった。逆走してきたのはとんでもない薬物中毒のヤクザだった」と語った。
女と一緒に住む酩酊した男が少年を「殴りつけて酒を飲む肴を買い寄こしたのだった。
〇三浦が若頭だったころの河村組、今では二代目を石崎が継ぎ組名を石崎に改めた。
組長の石垣剛(椎名桔平)が組員を集め、しのぎが上げられない子分を締めあげ「しゃぶをやれ!いやなら三浦のように辞めろ」と気合を掛ける。先代の河村親分(宇崎竜童)は表立ってしゃぶをしのぎにはしなかった。三浦は河村親分の引退とともにヤクザを辞めたのだった。
〇三浦は盲の少年に目を掛けるようになっていった。
少年が盲になった原因が薬中毒のヤクザの暴走、苦しい少年の生活を目の当たりにし三浦は少年に関心を持った。ある日、船に誘い沖で漁をした。少年の名は大森幸太、海の好きな子で海に出るとよくしゃべる陽気な子だった。

田辺刑事が三浦に河村親分の一周忌法要の案内状を渡しに訪ねてきた。
田辺刑事(市村正親)が「河村親分が死んでから石崎はやりたい放題。ハングレを使ってる。お前の知合いはいないか?」と情報集めが目的でやってきて帰り際に法要の案内状を渡し「昔のようにひとりでヤクザもの集団と喧嘩するな!日本刀を振るうな!」と注意し帰っていった。田村と三浦の関係はヤクザと刑事の関係を越えたものであったらしい。
三浦は網を修理しながら幸太に“おやじ”を語った!
三浦が網を修理していることろに幸太が遊びにやってきた。幸太から「おじちゃんのお父さんはどんな人?」と聞かれ、「誰かのために生きる人だった」と話した。幸太が「パパもそうだった」という。幸太は「海とおじさんが見たい」と言った。そこに幸太の叔母が迎えにきた。
三浦は正装して河村親分の一周忌法要に参加。今だ引退のしこりが残っていた。
三浦は線香を上げて帰るつもりだったが、石崎に誘われ懐石の席に着いた。石崎は「兄貴は仲間の仇討ちに日本刀で突っ込んでいき警察に止められた。昔の任侠道を絵に描いた人だ。俺は仲間を食わせるため仕方なく娑婆を預かった。警察より兄貴は厳しかった。皆の前で殴られその正義感が原因で親父から遠ざけられ追い出された」と三浦を罵った。組員たちは軽蔑の笑いを三浦に投げつけた。三浦は「石崎は若衆も増えたようだかつまらん男だ!」と言葉を投げつけ席を立った。当時の若頭だった三浦と舎弟頭の石崎の戦いは終わってなかった。そこに三浦を慕う舎弟・大塚(ピエール瀧)が居た。
三浦は地元の漁師たちに白い杖を振るう幸太に自分を重ねた!
三浦が漁から戻り陸に上がると漁師たちが「ちゃんと教育してくれ、ヤクザが」と帰った行った。三浦は岸壁つりをしながら幸太からわけを聞くと「おじさんはヤクザなの?そういう人には見えない、優しい人だ」という。三浦は「刑事だった。町で暴れまわり人に迷惑をかける人を捕まえる。たまにはヤクザの集団に囲まれ戦った」と話した。幸太が「ひとりで戦うのは凄い」と驚く。三浦は「大勢でかかってくるのは臆病ものだ」と教えた。
釣った魚を持ち帰り幸太と食べながら、刑事の仕事を聞かせた!
三浦はひとりで戦ったときの話を聞かせた。「ひとりで大勢のところに乗り込むのを止めた。そいつは仲間がやられた仕返しだった。それでそのヤクザは思いとどまりその後ヤクザを辞めた」と田辺刑事の立場で語って聞かせた。(笑)
幸太が「ヤクザは何で悪いことをするの?」と聞く。「魚が泳ぐのと同じだ」と答えると「魚は生きるために泳いでいる」と返えされた。三浦は幸太を叔母の家に届けた。家の中から男女が争う声が聞こえてきた。
三浦は幸太がいう“魚は生きるために泳いでいる“から、河村親分から盃を貰ったときの言葉を思い出していた。岸壁釣りをしながら親分から「生きているうえで大切なことは何か?」と聞かれ「強さです」と答えると「強さとは誰かのために生きられることだ」と言われた。
幸は太少年たちに虐められても「臆病者!」と言い返すほどに強くなった。
三浦に「猟師に囲まれたとき怖くないと言ったが本当は怖い。だからおじさんのようになりたい!目のことがあるから」と話す。
三浦は幸太と出会うことで親分から教えられた「誰かのために生きる」ことを真剣に考えるようになっていった。若頭として刀を振り回して子分を守ろうとしたこと、麻薬稼業でなく真っ当なしのぎで稼ぐことなど過去のことを思い出していた。
〇三浦は幸太に目の手術を受けさせることにした!
三浦は幸太の純粋さや向上心、何よりも自分を慕ってくれていることから目を手術してものが見えるようにしてやりたいと考えるようになった。
三浦は幸太を連れて町に出て、食堂で飯を食べ、朝市で鈴を買い、眼科医の診断を受けた。医者は「手術で見えるようになる。早い方が良い。経費が500万ほどだ」と言った。
三浦は彼を慕う大塚を呼び出し、石崎組の麻薬取引の情報を得た。
真っ赤は太陽が登った日、三浦は石崎組が麻薬取引する現場にいた。
石崎組の若衆が現金の入りバッグを海に投げ、麻薬の入ったバックを引き上げた。三浦は金の入ったバックを持って逃げる2人組の男たちを捕まえ、刺殺して金を奪った。さらに田辺刑事に通報し、麻薬バッグを持つ組の若頭・八代(斎藤工)を逮捕させえた。矢代が田辺に「誰が喋った?」と聞いたが、田辺が「知らん」と答えた。
三浦は居酒屋“浜っ子”に幸太を呼び出し「手術しないか」と聞き糺した!
幸太は「毎日寝るのが怖かった。でもおじさんに会えた」という。三浦は「目を手術すれば見えるようになる。知り合いが子供の目が見える活動を支援している。海が見えるようになる、支援を受けてみないか」と勧めると幸太がきっぱりと「手術を受けたい」と言った。
三浦は幸太を預かっている叔母・大森美和子(MEGUMI)を男が不在時に訪ね、徹底的に暴力で脅し「二度と幸太に手を出すな!」と生活に必要な大金を与えた。
〇富山の病院で幸太に目の手術を受けさせ、三浦は幸太の前から消えた!
三浦は荒川老人と一緒に幸太を病院に連れて行き、手術室の入り口で「手術してこい」と別れた。荒川老人が「何であの子にここまでするのか?」と聞くと三浦は「あの子は私をひとりの人間として接してくれた」と答えた。

そのまま三浦は富山南署に出頭した。取調刑事は田辺で「誰のために刑務所に入る?金はどこか?」と聞かれたが、「全部使った」と答え闇の中にした。三浦は刑務所に送られた。
幸太は病院で目を開けた。ぼんやりと町の景色か見えてきた。
荒川老人が病院に幸太を迎え、三浦が長い旅に出たことを伝えた。
幸太は帰りの車の中から海を見た。荒川老人が防波堤に幸太を連れ出し、三浦の手紙を渡した。そこには「長い漁に出ることになった。これからの日々がすばらしいものであるよう祈ってる」というものだった。
以後、幸太は荒川老人を介して三浦に手紙を送った。三浦は刑務所でこの手紙を読むのが生き甲斐だった。
〇12年後、三浦が刑期を終え出所した。
荒川老人が三浦を出迎え、準備していた住宅に案内した。そこで幸太(眞栄田郷敦)の今の写真を見せた。幸太は三浦に憧れ富山県警の刑事になっていた。しかし、三浦は会うことを断わった。荒川は「手紙をかいてやれ」とペンと便箋を置いて帰っていった。
幸太は富山南警察署に勤務し、先輩刑事の大黒(一ノ瀬ワタル)とコンビを組み、麻薬患者摘発に成果を上げていた。
三浦からの手紙を久しぶりに荒川老人から受け取った。そこには住所の記述がなく、「本当か?」と疑ったが、荒川は幸太に「美和子さんが帰ってこないと怒っているぞ」と伝え、なんとか逃げ切った。
幸太は同棲しているあや(黒島結菜)に手紙を見せた。
幸太が「よく話して聞かせるおじさんの手紙だ」とあやに見せると「荒川さんがどうやって手紙を受け取るのかな」と不思議がった。
三浦は荒川老人が紹介する運転代行会社で働くことにした。
代行車で客を待ってると、男が乗り込んできて「人を見るとだいたいその人が分かる。あんたは宮大工か?」と聞いてきた。この男は何者か、誰が演じているか?大作さんが連れて来てカメラマンとして使ったと思われる超有名俳優です。(笑)
男が「2部のプロサッカー選手だったが仕事が見つからない、妻と子供がいるが別れていて、面倒みてる。離れ離れになっても子供がいるから、その子の父親は俺しかいない」という。三浦は“ふっ”と幸太のことを思い出し、寂しさを感じた。
〇三浦が出所したと知った石崎が三浦を追い始めた。
石崎は会合で三浦の出所を知り、かって三浦の舎弟だった大塚に「あのときくすめた金で海外に跳ぶつもりか?くやしい」と告げた。若頭の矢代が「見つけ次第殺す」と息巻いた、

〇幸太はおじさんがヤクザだったと知り、誰かと探し始めた。
幸太は荒川に云われ、叔母・美和子の様子を見に大沢港にやってきた。家の中は荒れ放題で男は外出中だった。美和子は金を欲しがった。「ない」と答えると「誰に育てて貰った?」と怒り出す。幸太は「施設に入れた」と言い返す。美和子が「あのヤクザものに貰った金が全部使った」と言った。幸太が「ヤクザとは何だ?」と問い詰めた。美和子は「私はあのヤクザが言ったとおりにやっただけ。施設も目の治療もあの男に貰った金で払った」と白状した。
幸太は荒磯老人を訪ね、このことを確認した。
荒磯は「美和子さんが全部喋ったか、あの人は昔からそういう人だ。おじさんはずっと幸せを願っている」としか答えなかった。
三浦のアパートに新聞紙で包んだ拳銃が置かれていた。
新聞紙に「危険が迫っている」と書いてあった(大塚からの知らせ)。
〇幸太は警察署の資料でおじさんの身元を突き止めた。
幸太は麻薬所持者を摘発して署に戻ると田辺が来ていた。先輩の大黒刑事から「日本刀のヤクザを止めたレジェンドだ」と紹介された。幸太はおやじさんのことを思い出した。田辺が「頑張ってるらしいな!」と元気づけ帰って行った。
田辺は代行車の三浦を訪ね「幸太に会って来た。お前に似ていい目をしている。何故会わない?」と聞いた。三浦は「あの子の人生だ、迷惑を掛けたくない」と答えた。
幸太は警察のPCで三浦諒一を検索しおじさんの正体を知った。
河村組の名簿に若頭:三浦諒一、舎弟頭:石崎剛とあり、民宿荒磯のオーナー荒磯定敏と交流あり、平成23年除籍後漁師に転職と注記されていた。
大黒刑事が「しゃぶを扱い出したのは石崎が襲名してからだ。三浦という人は二代目を襲名する人だったが組長が死ぬと除名され堅気になったと思ったら10年前にパクられた。三浦が継いでいたらこんなことにはならなかった」と話した。
石崎組の動き、
組長の石崎は「あんな野郎にパクられた!」と悔しがり若頭の矢代に「三浦担当」を命じ、「最近のしのぎが少ない」と殴り倒した。
幸太は荒磯老人に「急いでいる、おじさんに欲しい」と手紙を渡し、三浦の元に居足荒磯を追い、三浦の隠家を見つけた。
〇幸太と三浦の再会、三浦は人生で初めて泣いた!
三浦は幸太の手紙を読み、幸太の気配を感じた。そこに幸太から「ずっと会いたかった!お礼を言いたい、開けてください」と呼びかけられ、三浦はドアを開けた。
三浦は感極まり「大きくなったなあ」と声を掛けた。ふたりは外のベンチに座り話した。

幸太が「ヤクザに両親が殺されて憎かったが、そんな単純な話ではなかった。誰よりも暖かい他人でここまで出来ない生きてる中で救いをもらった。その度におじさんを思いだした、誰のために生れたのか。その問いが人生を支えだった。ありがとう」と感謝を述べた。三浦は人生で初めて泣いた。
〇石崎が大塚を殺害しその遺体を三浦の船に投げ置き、幸太殺しを宣告した。
石崎は大塚を「12年前、裏で三浦に情報を渡したのはお前だ。組に置いたのはあいつを殺す正当な意味をくれると思ったからだ」と殴り殺した。三浦の船に大塚の遺体を放置、これを荒川老人が発見し警察に通報した。
事件はTVで放送され、三浦がこれを見た。そこに石崎から電話が入った!
は
田辺が嗅ぎ付け「お前が死んでも何も変わらん」と止めにきた。
〇石崎は子分らと倉庫で三浦の到着を待っていた。
幸太は磯崎組が起こした別件騒動に駆り出されていた。そこに田辺から電話が入った。
三浦は正装し拳銃を持って倉庫に現れた。
三浦は石崎の前に銃を置き、「石崎!これでお終いにしろ!」と話し掛けた。石崎は「そんなに簡単には殺さん!」と殴り、矢代がアイアンクラブで三浦を殴った。
三浦は「このためにここにやって来た!」と河村親分が除籍時に話した言葉「これから好きなように生きろ!“ヤクザの時代は終わる”。残りの人生は自分のために使え!お前は十分人のために生きてきた」を思い出していた。
石崎が「兄貴!分からない!何であんただったのか?俺の方が必死に働いた。親分はあんたを選んだ」という。三浦は「あんたが賢いからだ!」と答えた。そこに康太が自分の車でつっこんできた。(かっての田辺刑事と同じことをする)
石崎が幸太に話し掛けた。
「先ほどはどうも。あんたは可哀想だ、誰にも助けられていない。昔から任侠とか仁義とかお題目を唱えているとき俺が仕事を受け持ち血と汗を流してきた」と言ったとき、三浦が拳銃を拾い石崎に向けた。幸太が止めた。が、逆に三浦が石崎から撃たれた。幸太が反撃の射撃をした。石崎が「俺の金であんたの目が治った。俺のしのぎをお前の手術につぎ込んだ。その目は俺のものだと言える。その目を返せ!おやじから誰かのために生きろだっけ、云われたよ。俺には分らん!」と言った。幸太は「俺を育てたのはおじさんだ」と反発した。これを三浦は聞いていた。
三浦が石崎を撃った。幸太も撃った。石崎の肩に当たった。これを見て、若頭の矢代が「いつも偉そうに」と石崎をメッタ撃ちした。
幸太は三浦を担ぎ、雪の降る岸壁に連れ出した。
幸太は「大丈夫ですか?すぐ応援が来る」と三浦に声を掛けた。三浦は両手を差出し「頼むから手錠をかけろ!」と催促する。幸太は断った。すると「刑事になったから逮捕しろ!幸太!」と催促する。幸太は泣きながら手錠をかけた。三浦が「強くなった!」と誉め倒れ込み二度と起き上がることはなかった。幸太が雪の中で三浦を抱き、泣き崩れた。
〇幸太は妻のあやと子供を連れて港を訪れ、小船を手入れする荒川老人を見つけ駆け寄った!幸太の刑事としての新しい人生が始まっていた。

まとめ:
前段では漁師の三浦が盲の幸太に出会い、ふたりの間に友情が芽生え、三浦が「人のためにどう生きか」とヤクザの稼ぎを横取りし幸太の目を救う物語が情愛深く描かれた。ここでの幸太役・尾上眞秀君のどこまでも純真な盲の演技がすばらしかった。
後段、出所した三浦は刑事になった幸太に再会し「おじさんを思いだした、誰のために生れたのか。その問いが人生の支えだった」と告白され、自分の人生は報われたと思った。しかし、石崎組長の挑戦を受け自分のヤクザ人生は終ってないことを知る。
三浦は石崎から「幸太を殺す」と告げられ、三浦は亡き河村親分の「ヤクザの世界は終る」と思い出し、「石崎に組を解散させることが人のためになる」と自らを犠牲にして説得することにした。しかし、そこで聞く「幸太の目は俺のしのぎをつぎ込んだもので俺のものだ」という石崎の言葉。三浦は所詮ヤクザが考える“人のためになる”とはこの程度のものかと反省し、幸太に「“自らの正義と法の元で刑事として強くなれの言葉を贈ること”が人のためになる」と判断し、幸太に自分の手に手錠を掛けさせ人生を終えた。
三浦役の舘ひろしさんの演技、つい高倉健さんを想い出しましたが、渋いいい演技でした。三浦に友情で忠告し続ける田辺刑事役の市村正親さん、そして三浦を支援する荒川役の笹野高史さんの人情はたっぷりの演技に魅せられます。
義理人情を越えた、差別のない、法の元で人としていかに美しく生きるかを描いた作品だった。
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