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宮﨑あおいさんを応援します

「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」面食らった!さっぱり分からなかったが、凄かった!

 

本作は4月より放送がスタートするテレビアニメ第3期鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」を盛り上げるための企画。

激闘を繰り広げたアクションシーンと心を揺さぶる物語が話題となったアニメ第2期「遊郭編」の第10話、第11話と、新エピソードで世界初公開となるアニメ第3期「刀鍛冶の里編」の第1話から構成され、日本を皮切りに世界95の国と地域の映画館で順次上映するというもの。

監督:外崎春雄、原作:吾峠呼世晴脚本制作:ufotable撮影監督:寺尾優一、編集:神野学、音楽:梶浦由記 椎名豪、アニメーション制作:ufotable

声優(役)花江夏樹(竈門炭治郎)、鬼頭明里(竈門禰󠄀豆子)、下野紘(我妻善逸)、松岡禎丞(嘴平伊之助)、小西克幸(宇髄天元)、逢坂良太(妓夫太郎)、沢城みゆき(堕姫)、河西健吾(時透無一郎)、他。

この作品を前作「無限列車」編が楽しめたので、TVアニメを全く観ていないが、大画面大音響の中で皆さんと一緒に楽しめる作品ということで、公開第1日目の初回で鑑賞しました。

当然子供、学生さんの姿なないですが、なんと中年女性で埋まっていました。これはもう異変だ!と思いました。(笑)面食らいました!さっぱり分からなかった!(笑)予習が必要だった!1億5000万(発行部数)のアニメフアンを対象にした映画だと感じました。所見は、入場者特典として配布された「上弦集結本」をもとに書きます。(笑)


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あらすじ&感想

「立志編」から「無限列車編」まで一気に進んで(初心者は理解できないでしょう、特典冊子が配布されます)、「遊郭編」に入る。

美しい遊郭の街。激しい戦闘の中で「猪之助がやられた、宇髄さんの側を離れる」と炭治郎の声で第10話に入る。特典冊子を読まないと何が起こっているのか分からなかった

第10話「絶対にあきらめない」

倒壊した建物の側で目が覚めた炭治郎と禰豆子。戦いに敗れた炭治郎を、鬼の上弦の末席に位置する妓夫太郎が「逃げるか、みっともない、ひとり生き残って阿呆か、弱い人間が俺を斬れるか、妹と一緒に鬼になれ!」と蹴とばした。妓夫太郎がかって人間であったころの自分に投げかけられた汚い言葉を投げてくる。この言葉に炭治郎は奮い立ち、頭突きで妓夫太郎にぶつかると妓夫太郎が怯んだ。そこに姿を消していた宇髄が介入してきた。さらに傷ついた猪之助、善逸が戻ってきた。堕姫は遊郭の屋根からこれを観戦しながら、帯を投げてくる。

激しい戦闘が始まった。この戦闘を心配そうに見ている三人の女性がいる。なんと宇髄の女房だというからびっくり!(笑) 禰豆子が必死に兄を庇う。追い詰められた妓夫太郎が毒刀を振るう。混戦の中で炭治郎が振るった日輪刀で妓夫太郎の首が、そして堕姫の首が飛んだ。

第11話「何度生まれ変わっても

妓夫太郎が放った毒に宇髄、炭治郎、さらに猪之助、善逸がやられるが、なんと禰豆子が解毒の術を持っていて救助した。猪之助は自力でこれを解いた。西洋にはこういう猪がいるらしい。(笑)

禰豆子によって毒から覚めた炭治郎は、ふたりで妓夫太郎と堕姫の首を捜しに走った。するとふたつの首が戦いに負けたことで言い争っていた。妓夫太郎が「お前さえいなければ、お前さえ生まれてこなければ負けなかった」と堕姫を罵倒していた。

炭治郎は「君たちのやったことは許せないが、ふたりで罵るな!」と妓夫太郎の口をふさいだ!これを聞いていた堕姫が泣いて、消えた。

妓夫太郎が、ふたりの過去を話し出す。妹の名は梅と言い、実は亡くなった母親の名だという。母は最下級の女郎で、自分が生まれたときは迷惑と言われ、殺されそうになりながら生きてきた。醜い、臭いと石を投げられ、罵詈雑言を浴びせられて生きてきた。しかし、妹が美しい子として生まれたことで気持ちが一変して取り立ての仕事につき、劣等感が吹っ飛んだという。しかし、これは梅がヘマをやるまでだった。

梅が遊郭に登り客の目を潰したことで生きたまま焼かれた。妓夫太郎は女将とこの男を殺し梅を奪い、雪の中で抱いて耐えていた。そこに男が現れ「お前が鬼になれば娘は救えると言われ、鬼になった。しかし、心残りがある」という。「もっといい店にいたら、いい花魁になったら、普通の娘であったら違った。俺と一緒になったから悪くなった。それで客の目を潰した」と言う。この話を聞いた堕姫が姿を現した。

妓夫太郎が「ここは地獄、お前はあっちへ行け!俺にはついてくるな!」というが、堕姫がついてきて「さっきは御免」と謝る。妓太夫は「ふたりで一緒だ、何も怖くない」と喋ったことを思い出し、堕姫を背負って闇に消えた。炭治郎と禰豆子は空に登る魂を「仲直りできたかな!」と見ていた。

炭治郎と禰豆子も一歩間違えば妓夫太郎と堕姫になっていたかもしれない。この悲しい運命の話に泣けます!演じる逢坂良太さんと沢城みゆきさんの声の演技がすばらしい!

まとめ

見所は第10話「絶対諦めない」の派手なアクションで高揚した気分になり、このあと第11話「何度でも生き返る」で、敗れた堕姫と妓夫太郎の兄妹が再生を誓う悲しい話に大泣きでした。

はっきり言って10話はこの戦闘に至る経過が全く触れられず、炭治郎が崩壊した建物の中から立ち上がり、妓夫太郎の罵声を受けるところからのスタートで、物語にくっ付いていくのがやっとでした。一見さんお断りという感じでした!

しかし、音響と、曲がすごく戦闘シーンに合っていて炭治郎のヒノカミ演舞、帯や血刀が飛び交う派手な戦闘シーンに、唖然と魅入っていました。

妓夫太郎の死を知った鬼の始祖・鬼舞辻無慘が上弦の鬼たちを無限城に集め檄をとばすシーン、鬼たちの造形と声優の声でそのキャラクターを想像することになりますが、造形の自由奔放さに驚かされました。これが鬼滅の面白さなんでしょうね!

最後の「刀鍛冶の里」編。恋柱の甘露寺蜜璃の派手な容姿と鷹揚な性格が紹介され、謎めいた霧柱の時透無一郎と不死川玄弥がちらっと姿を見せるだけで、ほとんどドラマになっておらず拍子抜け。しかし、これからどんな鬼物語になっていくとかと期待しています。

鬼滅作品は剣術アクションだけでなく、古きよき日本の風物、精神性がしっかり描かれる作品と位置付けていましたから、今回は物足りなかった。次回はしっかり予習して臨むことにします。(笑)

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「ぼけますから、よろしくお願いします。 おかえり お母さん」(2022)まだまだ人生の大きな仕事が残っている!

 

2022年度作品。ドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします」(2018)の続編。ここでは95歳の夫が87歳のアルツハイマー認知症の妻を老々介護する実態が感動的に描かれていました。

自分がどう歳をとるか、また連れ合いの介護をどうするかと考えさせてくれます。これは人生の一大事業です。続編が出たことを知らず、遅ればせながらWOWOWで鑑賞しました。

監督:信友直子、撮影:信友直子 南幸男 河合輝久、編集:目見田健、語り:信友直子。

物語は

信友監督は前作完成後も、広島県呉市で暮らす90代の両親を撮り続けていた。2018年、母の認知症はさらに進行し、ついに脳梗塞を発症してしまう。入院した母に面会するため、父は毎日1時間かけて病院へ通い、いつか母が帰ってくる時のためにと筋トレを始める。一時は歩けるまでに回復した母だったが、新たな脳梗塞が見つかり、病状は深刻化していく。そして2020年3月、新型コロナウイルスが世界的に拡大し、病院の面会すら困難な状況が訪れる。認知症とともに生きることの大変さや家族の苦労、日本全体が抱える高齢化社会の問題を浮き彫りにしながらも、幸せな夫婦の姿を家族ならではの視線で映し出す。

母親のボケが始まって4年後、脳梗塞で入院して亡くなるまでの信友監督、父親、母親の物語。衰弱していく妻を懸命に介護する夫の姿が描かれ、夫婦の愛、親子を愛が感動的です。自宅介護か施設介護か、延命をしてよかったかと、とても難しい問題に、生きるとは何か、愛とはなにかを感じます。このドキュメンタリーを超えるドラマはない!


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あらすじ&感想

信友直子監督はドキュメンタリー制作テレビディレクター。この作品を記録に残すには理由があった。父は言語学者になりたい夢を持っていたが戦争で断たれ、今の監督にその夢を重ね生きる糧にしている。そして監督が乳ガンに罹ったとき、母は懸命に看病しこの仕事を投げ出すことを望まなかった。ということで物語は監督が乳癌手術に成功し、それを悦ぶ母の笑顔から始まります。そして実家は質素な平屋の一軒家ですが、父の部屋は書物が溢れている。

 2014、母85歳、毎日リンゴを買ってきてテーブルがリンゴの山になる。診断結果、アルツハイマー認知症であることが分かった。

母は「呆けてないのにみんなが呆けていという」と怒る。93歳の父はちゃんと認識した。ふたりは「どちらが逝ってもさびしい!頑張ろう!」とコーヒーを飲む。ここからふたりのあらたな生活が始まった。

2016、洗濯物が山と積まれている。母は洗濯しようという気持ちはあるようですがその上に寝込んしまう。(笑)寝そべった母の上をトイレに行く父が跨ぐ。(笑)

こんなふたりの関係が変化するのがこの年だった。父が洗濯し始め、買い物に、料理を始めた。95歳の脚で坂道を歩いてスーパーまでは大変だった。途中で座り込んで、「立たねば何事も進まん!」と頑張る。それでも娘に戻って来いとは言わない。微塵にも「これは家族のため」と言わない父親の凄み!

 2017年は新年の「呆けますから、よろしくお願いします」という母の挨拶から始まった。「よう生きてきた、おしゃれでも」と美容室に。ところが4月のある朝、母が「生きていると邪魔になる!包丁で殺してくれ」とえらい剣幕で起きてくる。(笑)父は「ばかたれ!感謝して暮らせ!死にたければ死ね!」と怒って知らんぷり。母が機嫌を直して出てきて父の背中を摩る。(笑)父は「朝のことを気にしている」と笑う。

夫の妻との間の取り方が絶妙です!おもろい夫婦ですね!(笑)

「喧嘩して悪かった」と笑い、ふたりが娘を東京に送り出した。門まで出て何度も何度も手を振った。

2018年9月30日、母が緊急入院自作映画公開直前の監督が駆け付けた。脳梗塞だった。父が病床の母の手を取ると「手をかけてごめんね」と答えていた。監督には「何もしてあげられないでごめん」という。97歳の父はこの日からひとりで寝るようになった。

父は毎日病院に見舞、それが生きがいになっていった。病院まで1時間の道のりを手車を押して歩く毎日。

監督が「これからどうするの?」と聞くと「ここに引き取る。わしがやるから心配するな!」と答えた。この答が父を強くしていった。その父が病院に急いで転んだと頭を怪我した。母が父の頭の包帯に気付く。「心配するな!」と父。

母のリハビリが始まった。父はひとりで介護するためフィットネストレーニングを始めた。「98歳でこれは凄い」とトレーナーが驚く。

2018年の暮れ。母の脳梗塞が再発。右半身麻痺という症状。医師から「寝たきりになる」と伝えられた。父はそっと涙を拭いていた。手車を押して家に帰る後ろ姿に泣けます!父はめったに罹らない風邪に罹り「寝る!」と床に就いた。次の朝は起き出し、「体力回復!」と病院に出かけた。

2019年2月父が鼠径ヘルニアの手術。98歳で「おかんを残しては死ねん!」と人生で初めての手術だった。3時間の手術だった。次の日からリハビリをしてしっかり食事を食べた。そして病院に母を見舞う毎日。

6月、アジサイの咲く季節。母は寝たままで呼びかけても反応しなくり療養型病院に転院することになった。転院に途中、父はサプライズで母を実家に連れ戻った。反応しない母が声をあげて泣いた!父は母に「早うよくなって帰ってこい」と励ました。この表情に家族に希望が生まれた。観ているこちらが声をあげました!こういう表情をみなさん見たことがないでしょう!

 2019年11月、99歳の父。ひとりで買い物、洗濯、病院通いが続いていた。

2020年正月、母はこちらの問いかけに、口を開けて「ホー!」と反応する。母は食べ物を胃に直接注入する胃瘻という方法で採っていた。父は「早うよくなるんだ、待っている」と声を掛けていた。父には母が生きていることが生きがいだった。

父に「これは延命処置なんだけどよかったのかな?」と問うと「わしは腹が減ったら困るが、分からん」と言う。監督は「家族にとってはどんな状態でも生きてくれることがうれしい」と答えた。

3月、コロナ禍で面接が出来なくなった。医者から「呼吸不全がある何が起きるか分からない」と短時間の面会が許された。母は呼びかけても反応はなくなっていた。そのことを父に話すと黙って聞くのみだった。

次の面会で母に反応が少しあった。この動画を父に見せると「いい表情だ」と喜ぶ。母が生きていることがどれほどうれしいか、生きることへの希望に繋がりる。涙なしでは見られません!この感情を経験しておくことが大切だと思います。う

2020年6月、医者から「近いうちに看取りということにします」と告げられ、父と監督が病室で母に会った。母に反応はないが父は「11月で100歳になる。祝いを貰ったら持ってくる。美味しいもの食べよう」と言葉を掛けた。

6月3日、母は亡くなった。病床で父は「長いこと世話になった。いい嫁を貰った。ありがとう!」と最後の言葉を掛けた。母の目に薄らと光るものがあった

よくここまで撮ったという映像でした。身体は反応しなくなっても脳は動いている。母は明け方、眠る様に亡くなった。

母の葬儀を終え、家に遺骨を持って帰った。父は「お帰り!この家の人だわ」と遺影とともに仏壇に。父は一緒に居たいと遺骨は墓に入れずそのままにすることにした。

その後、市長さんから100歳のお祝いを戴き「助かった!」と仏壇の母に供えた。(笑)父は「お母さんはいい子を産んでくれた。40歳の遅い結婚だから諦めていた。思わぬいい子を産んでもらった。私の人生は幸せだった!」という。

まとめ

まだまだ人生での大きな仕事が残っていることを実感しました。これからの生きる目的を貰った感じでした。看取りをすることは人を大きくする。この作品に感謝したいです。

自宅介護か施設介護か、延命をしてよかったか。この問題は映像を観れば分かります。亡くなる直前の母の涙を見せるという映像、信友監督は辛かったでしょう。これで“老いを撮るというライフワーク”を見つけたようですね!

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「イニシェリン島の精霊」言い争いの連鎖がとんでもない結末に、人間の悲しい業が浮き上がっていた!

 

スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督作ということで鑑賞。第79回ヴェネチア国際映画祭脚本賞と男優賞受賞作品です。

監督:マーティン・マクドナー撮影:ベン・デイビス美術:マーク・ティルデスリー、衣装:イマー・ニー・バルドウニグ、編集:ミッケル・E・G・ニルソン、音楽:カーター・バーウェル

出演:コリン・ファレルブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・コーガン、ゲイリー・ライドン、パット・ショート、ジョン・ケニー、シーラ・フリットン。

物語は

1923アイルランドの小さな孤島イニシェリン島(架空の島)。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリック(コリン・ファレル)は、長年の友人コルム(ブレンダン・グリーソン)から絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹シボーン(ケリー・コンドン)や風変わりな隣人ドミニック(バリー・コーガン)の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。

話が次から次へと繋がって、とんでもない結末になるというストーリー展開の面白さに、人間の持つ業を炙り出すブラックユーモア。そしてその背後にある社会問題に一石を投じる皮肉。冴えまくっていました。暗い話ですがめちゃめちゃに面白い。小難しい人生哲学なんぞ考えないで笑えます。


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

イニシェリン島というのは架空の島ですが、アイルランド西部に位置するアラン諸島の中でもっとも大きなイニシュモア島でロケされたとのこと。殺風景で生活環境が厳しそう。ここで生きていくための住民相互の協調性と自分らしい生き方の確執を描く本作には恰好のロケ地、死の予言を感じる風景を見るだけで、作品に引き込まれていきます。

パードリックは独身、妹のシボーンとふたりでわずかな牛と羊の搾乳で生活している。パードリックはPM2時、村人たちが集まるバーでビールを飲みお喋りすることが生活の大切なものになっているシボーンは読書が趣味。嫌われものの老婆マコーミック(シーラ・フリットン)の訪問を受け入れ、この村で生きてゆけるよう兄を援助している。

パードリックがいつものように人里離れた一軒家に住むコルムをバーに誘うが、返事をしない。コルムは楽器フィドル(バイオリン)が弾け、歌を作る趣味を持っている。バーにも一緒に行くことはなくなった。バーで会っても、口を利かない。理由を聞くと「お前が嫌いになった!」と一言。(笑)パトリックは面食らって言葉が出なかった。

パードリックは「こいつが村で一番バカだ」と思っているドミニックとバーに出かけるとコルムがいた。コルムはビールを飲み、話をし、音楽演奏を楽しんでいる。酔っぱらって二階で真っ裸で寝ている。ドミニックが「あんなやつ放っとけ!」という。

ある日、パードリックがバーに出向くとコルムがひとりで飲んでいた。話さない理由を聞くと「歳をとるのが寂しい。残り時間をうまく使いたい。だから曲を書いてフィドルを弾く、余計なお喋りをするな」という。イニシェリン島の風景を見ていると、老後をこう生きるというのも理解できます。「今の生活が続けばいい」というパードリックにはコルムの生き方がバカバカしく思え、バーを出た。

兄からこの話を聞いたシボーンがバーに出かけ「何で友達をやめるの?」と抗議した。コルムに「あいつは退屈だ」と言われた。

港に船が牧師を運んできた。パードリックは顔に傷を負うドミニクに会った。父親で警官のキャニー(ゲイリー・ライドン)に殴られたと言い、今晩泊めてくれと頼まれ受け入れた。

復活祭。パードリックが牧師(デイヴィッド・ピアーズ)にコルムのことを訴えた。コルムが懺悔にきたので、牧師が「なぜ話さない?」と聞くと「それが罪か!男色の趣味はない!」と喧嘩になった。(笑)教会に悪態をつくのがマクドナーの流儀です。

パードリックがバーに顔出すと、コルムの方から近づいてきて「お前が喋ると俺の指を折る。お前がやめるか、指を折るかだ」という。バーの店長に「お前の味方だ」と慰められた。帰りにマコーミック婆さんに出会ったが無視して家に戻った。

夜、ドミニックが泊まりに来た。「コルムが指を切り落として、4本指でもフィルドを弾けるか試してみたらいい、あいつバカだよ」と喋って、シボーンを口説いたが振られ、帰っていった。

次の朝、パードリックが港の牛乳卸店の集金中に、「何かニュースのないの」と言われ、ドミニックが父親に焼かんで殴られたことを喋った。(笑)

パードリックがバーに顔を出すとコルムがいた。ところがいきなり警官のキャニーにぶんなぐられた。パードリックが余計な噂を流した恨みだった。ところが警官嫌いのコルムがパードリックを馬車に乗せて家に戻る途中まで送った。警官嫌いなマクドナーの流儀です。(笑)この行為にパードリックは涙を流して喜んだ。

夜、パードリックがバーに顔出すと、コルムが音楽仲間と派手に騒いで、「俺には3つの嫌いなものがある」とパードリックを罵倒した。パードリックが「なんでこうなった!」と抗議し、ふたりの喧嘩が始まった。マコーミックの知らせでシボーンが兄を迎えにきた。コルムが「音楽をやるのは永久に残るからだ。モーツアルトは今でも知られている、この暇人」と兄を罵っているのを見た。シボーンが「もう関わらないで!」と兄を連れ帰った。

次の日、パードリックがバーに出向いてコルムに「昨夜は酔っていてすまんかった!」と謝り「なぜあいつらとつき合う」と問うた。(笑)コルムは「もう勘弁してくれ」と言い放った。

その夜、パードリックの家にコルムがやってきて一本の指が投げ入れられた!帰りにパードリックが愛しているロバのジェニーに滴る血を嘗めさせて返って行った。

驚いたシボーンが指をコルムに返しにやってきた。この日は激しい本土からの砲撃音が聞こえた。コルムは「退屈な男から逃げたいんだ。人生は死ぬまで退屈だ」いう。シボーンはコルムの言い分に自分もそうだと感じるところがあった。

パードリックとコルムは絶好状態になった。コルムは毎日音楽仲間と笑って暮らしている。コルムのところにやってきた新しい音楽生に出会ったパードリックは彼を脅して追い返した。

夜、パードリックはマコーミックから「月が欠ける前に死者がくるぞ!お前と妹ではないよう伝えに来た」と言われる。バカバカしい糞婆だと思った。

海が見える丘でパードリックはドミニックと酒を呑んでいた。ドミニックが「あんた殺されるよ、新しい人間になれ」と言う。パードリックは「新しい自分か」と考えて、コルムを訪ねることにした。(笑)ドミニックはそこにやってきたシボーンに再度交際を求めたが断られ、去って行った。

パードリックがコルムを訪ねると、血だらけの手でフィルドを抱え精霊の音を弾く。パードリックがその音色を褒め、「パブでどうだ!先に行っている。あの音楽生は帰した」と喋った。(笑)

パードリックは先にバーに来て酒を準備してコルムは来るのを待っていたが、妹のシボーンが「島を出る」というので見送りに出た。

家に戻ると切り落とされたコルムの4本の指が家に投げ込まれ、その一本をロバのジェニーが食って死んでいた。「妹も去ってしまい、ドミニックの死が知らされ、このざまだ」と怒り心頭のパードリックはコルムに「放火時間と犬を外に出しておくこと」を通告して、PM2時に小屋に火を放った。

翌日、放火した小屋を確認にいくと、コルムは海辺にいた。コルムは「この争いはあいこだ!君が考えているあいこではない。ロバのことはすまん!犬を助けてくれてありがとう」と謝った。パードリックは「どうでもいいことだ!」と応えた。コルムが「砲撃音がない!内戦は終わりか?」と聞く。パードリックは「終わりはないよ!」と帰途についた。(笑)

まとめ

アイルランド本島の内戦の砲撃が聞こえるイニシェリン島。この島で長年友人であったふたりが、理由が分からないままに喧嘩になって、喧嘩が喧嘩を呼び、「スルーボード」で描かれたように、その余波が身内・知人・牧師・警官を巻き込み、遂に後に引けない立場に追い込まれ、その結末はパードリックがコルムの小屋に火を放つという結末。

本島の内戦に合わせるように続く争いというのが肝で、100年経った今の世界情勢、人間の持つ業の不変を描いたもの。

自分に話しかけると自分の指を折ると威嚇するコルム、放火時間と犬は外に出しておけと通告して行う放火するパードリック、諍いになってもふたりにはどこか思いやるところがある。なぜパトリックは喋るのを我慢しなかったか。後悔先に立たずというもの争いの原因は「俺は嫌われる人ではない!」という自惚れの強いパトリックだ!(笑)

仰天会話劇でたっぷり楽しませてくれました。地味な物語が、これを名優コリン・ファレルブレンダン・グリーソンが延々とやってくれるから堪らない!甲乙つけがたい!教会、警官嫌いも冴えていた。(笑)

バリー・コーガンのどこか頭がイカレタようで「喧嘩を止めて、自分が変われ」という真っ当な判断が出来る無垢なドミニックの演技、これが素晴らしかった。パードリックはバカにするが、そうではない、パードリックはドミニクの話を聞き入れない、いや、判断を間違えて「俺が強くでないからだ」とのこのことコルムのところに出かける空気の読めない男だった。(笑)

シボーンのどこか迷いがあるが聡明で透明感のある女性の演技、マコーミック役のシーラ・フリットン。イニシェリン島の精霊として、謎めいた空気をしっかり伝わる存在でした。

一回観で全ての面白さを知るのは無理かもしれません。アカデミー賞候補だというので、楽しみにしています!

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「レジェンド&バタフライ」壮大な映像に夢がある、日本の風物と心の優しさに、映画人の想いが宿っていた。

 

織田信長と妻・濃姫との33年間にわたる愛の物語。政略結婚で結ばれた夫婦の笑えて泣けるロマンティックコメディ。濃姫については歴史資料がほとんどないという。タイトルが英語で書かざるを得ない事情のある作品。(笑)しかし、歴史にないこの愛の物語をどう描くか、監督が「るろ剣」シリーズの大友啓史さん。史実を見ようなどという気持ちは全くないで、きっとこんな作品になるだだろうと期待して観ることにしました。

壮大な映像に夢がある、日本の風物の美しさと人の心の優しさ、映画人の想いが宿った作品でした

監督:大友啓史、脚本:古沢良太撮影:芦澤明子美術:橋本創、装飾:極並浩史、編集:今井剛、音楽:佐藤直紀

出演者(役):木村拓哉織田信長)、綾瀬はるか濃姫)、宮沢氷魚明智光秀)、伊藤英明(福富平太郎貞家)、中谷美紀(各務野)、他豪華俳優多数。沢山の俳優さんが出てきますが、この五名に焦点を当てた物語になっています。

物語は

格好ばかりで「大うつけ」と呼ばれる尾張織田信長は、敵対する隣国・美濃の濃姫と政略結婚する。信長は嫁いで来た濃姫を尊大な態度で迎え、勝ち気な濃姫も臆さぬ物言いで信長に対抗。最悪な出会いを果たした2人は、互いを出し抜いて寝首をかこうと一触即発状態にあった。そんなある日、尾張今川義元の大軍が攻め込んでくる。圧倒的な戦力差に絶望しそうになる信長だったが、濃姫の言葉に励まされ、2人は共に戦術を練って奇跡的な勝利を収める。いつしか強い絆で結ばれるようになった信長と濃姫は、天下統一へと向かって共に歩み出が・・・。


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、婚礼のある那古野城に急ぐ濃姫の隊列、カメラは道辺のカマキリをズームアプして城正門に近づいてくる。物語の終盤、魔王に化した信長が長篠の闘いで勝利し、死屍累々の血で染まった川床を馬で帰還中、死骸に飛び回る美しい蝶を見る。物語に出てくる濃姫の変化を示す映像ですが、撮ったのは女性カメラマン・芦澤明子(71)さん。時代劇に女性カメラマンの登場、想像力をくすぐるすばらしい映像が一杯で楽しめました。東映の京都撮影所も、こんな時代劇撮ったことがないと、仰天だったでしょうね。(笑)

結婚式の夜、道三の国盗り政略のために輿入れした濃姫尾張を守りたい秀信の思いを汲んだ信長の初夜。信長の激しい声に控侍が襖を開けてみれば、濃姫が信長をねじ伏せている。(笑)見栄でしゃれに拘る信長と武芸に心得のある大人の濃姫というキャラクター設定。新たに登場した信長と濃姫ここから始まるボーイ・ミーツ・ガール物語です。

濃姫は信長が父秀信の葬儀に、仏壇の父親に香料を投げつけて去る姿を目にし「この男は大丈夫か」と思った。ふたりが鷹狩に出て、信長が足を踏み外し崖下の海に落ちんとするのを救って、自分の夢「海の向こう、南蛮に行ってみたい」と話した。

これがふたりの夢になっていく信長と濃姫の物語

父・道三が息子・義龍に殺されたとの知らせに濃姫は「役目は終わった」と死を決意するが、「役目は俺の妻」という信長の言葉に救われる。そして今川との桶狭間の戦を迎える。

「もう尾張は終わった」という濃姫の侍従・福富平太郎貞家(伊藤英明)と侍女の各務野(中谷美紀)。濃姫はこれを退け、軍議で決断ができない信長の元に奔った。

ここは攻めるのみ。豪雨を利用し少兵を鼓舞して奇襲すべし」と桶狭間攻略作戦をふたりで練って、信長を送り出す。そのあと、濃姫が敦盛を舞い信長の帰還を待った

全く戦を描かないで、義元の首を掲げ持ち帰還する信長の映像。これでふたりの心が通い出すことがよく分かります。テンポよく、なによりも経費節約で、上手い演出になっています。

稲葉山城を手に入れ、ふたりが城に馬で駆けつけるシーン、爽やかな二人の姿をみて爽快な気分にしてくれます。信長は岐阜城と改名し、濃姫に与えた。濃姫は「これで役目は終わりですか?ならば離縁ですか」と問うと、信長は「お前が言い出せ」と、ふたりが言い争っているとことに、将軍・足利義昭からの上洛要請が届く。信長は夢のために上洛を決めた

上洛したふたり。身分を隠して京の街に繰り出す。ここで描かれる当時の京の風景。大画面で観る映像になっています。

ふたりは路上で踊る異人のダンスに巻き込まれ、踊った。信長が蛙の焼物を買い与えた。この焼物が終生ふたりを繋ぐことになります

信長が小童に財布を盗まれ、これを追って猥雑な集落に入り、住民に囲まれ、生々しい戦いになる。ふたりは助け合いながらこの場を切り抜け、お堂の中で結ばれ、本当の夫婦になった。

信長が京の活動を妨害する浅井長政との戦闘で勝利したが、大きな痛手を被った。

この戦が終ったところに信長はお産で帰省中の濃姫を見舞う。死産だった。濃姫の「悲しくないのですか」の問に「何万もの兵が死んでいる」と答えた信長。濃姫はこの答えに不安を抱いた。

信長は比叡山の焼き討ちへと向かっていく。「女も子供も殺せ!皆殺しだ!」という信長に「それはならぬ」という意見が出る。信長は「第六天の魔王だ!我人にあらず!」と実行を命じ、実行するのが明智だった。若い才気立ったミステリアスな明智の登場です。

五郎座(本田大輔)の要請で濃姫は信長の無慈悲な戦を諫めにやってきたが、信長は聞く耳を持たず「お前の役目は終わった」と告げた。

天正2年(1957)の新年会明智の差し出した浅井の3つのしゃれこうべで祝杯をあげた。酔った信長に濃姫が夫婦の話をするが「もう後戻りできない。日の本を全部平らげる。反する者は皆殺しだ」と言う。

濃姫は「殿がこうなったのは私の夢が原因!」と各務野に相談すると「貴方が恋慕っているからです」と言う。

濃姫バテレンの神を祭る祭壇を前で信長に、「夢は違う生き方、家も身分も捨てていきたい愚かな夢だった」と語った。そして「離縁して欲しい」と切り出す。信長は「良き夫を持って幸せに暮らせ!」と受け入れた。が、城門を出ていく濃姫を見て涙した。

濃姫は福富と各務野を伴い、田舎のあばら屋へと落ちていった。

信長は長篠の闘いで武田勝頼を破った。宮中に招かれ、公家と共に酒を呑むが一行に気分が晴れない。白装束の女が子を抱いて川に入水する姿を見て止めに走るが、餓鬼が足に差張り付き動けない夢を見た。「今まで何をしてきたか」と森蘭丸に聞くと「天下布武」だという。

信長は濃姫が伏せていることを聞き、引き取りにあばら屋へやってきた。濃姫は「縁は切れている」と拒否した。各務野が「助けが必要なのは殿なのです」と説き、信長が「亭主の側にいてくれ!」と頭を下げたことで戻ることにした。各務野と福富が泣いた!

と城に戻った濃姫信長の作る薬で熱い介護を受け穏やかな生活が戻ってきた。

天正10年(1582年)信長が明智の「徳川を調略する必要がある」という進言を受け、徳川家康斎藤工)を招いて宴席を設けた。魚料理が出たところで「臭い!徳川殿に失礼!」と激しく明智を折檻をした。家康が帰ったあと信長は「すまんかった」と明智に謝った。

信長は中国・四国の戦況督促のため本能寺に出向くことになった。信長は「この戦が最期だ。終わったら南蛮へ船で行く。名も家も捨てる、早く病を治せ!返ってくるまでにこの楽器を覚えて欲しい」と洋楽器リュートを預け、本能寺へ発った。濃姫はこれまで大切に持っていた蛙のお守りを渡した。信長は門前で振り向いて天守閣を仰いだ!

6月2日、本能寺明智の攻撃が始まった。信長が弓、槍、刀と武器を変えながら戦った。長い闘いだった。遂に追い詰められ、燃える火を前に、濃姫に話した夢「南蛮船で海に出て旅する夢」だった。信長にはリュートの音が聞こえた。安土の濃姫も夢の中にあった。

目覚めた信長は敦盛を唄い、「好いていた」と呟く自らの首を斬った

まとめ

夢を見させてくれる作品でした

濃姫についてはほとんど知られていない。信長の史実に、上手く濃姫を絡ませ、政略結婚であったふたりが夫婦になっていく姿を見せるという作品。誰しもどのような夫婦だったのかと想像を掻き立てられます。これをうまく見せた作品。かなり薄れている自分の歴史感の中で、ちょっと無理感はあるが、こう来るかと、大歴史絵巻を見ながら、楽しみました。

夢で結ばれたふたりが、南蛮船で海に出る、こんな映像は見たことがない。その根底にある二人の愛について、史実とは違っているが、しっかり描かれていたと思います。

敵同士の2人が一緒になって、夢を達成するために相手を庇い合い、それを口にしない、秘めたる恋というのが感動的でした。

信長を描いたというより、想像上の濃姫を描いた作品とみました。それだけに綾瀬さんの魅力がしっかり出た作品でした。

脇の濃姫を支える中田美紀さんと伊藤英明さんとの演技が魅力的でした。恋を知らない濃姫に恋を説く中谷さんの演技が絶品でした。伊藤英明さんもすばらしかった。「7年側にいて指一本すら触ってない」と信長に抗議する言葉に、その奥が見えて、これぞ忍恋というシーン、とてもよかった!

明智の行動、新説!と銘打っていますが、無謀という印象を持ちますが、宮沢氷魚さんの透明性のある演技の中に、これが光秀だ!と感じる演技でした。

キムラさんは、悩める信長、歴史を知る人に不満かもしれないが、この作品では生きていました。ラストシーン、キムラさんだからの「好いていた!」というセリフ、生きていました。

映像がすばらしかった。大画面で観る作品でした延暦寺の焼き討ち、本能寺の変など、戦闘シーンは大迫力で見応えがありました。

楽しい作品でした。もう一度観ます!

                                                   ****

【DVD】「スリー・ビルボード」(2017)怒りが怒りを呼び、その行き着く先が不明!(笑)

 

お正月は消化不良だった本作からスタートです。(笑)

 娘を殺された母親が、いつまでも犯人を捕まえられない警察に怒りの看板広告を掲げたことをきっかけに、町の住人それぞれが抱える怒りや葛藤が剥き出しになっていくさまをダークなユーモアを織り交ぜつつ、予測不能のストーリー展開でスリリングに描かれるというクライム・サスペンス。

第90回アカデミー賞(2018)で作品賞、脚本賞など7部門にノミネートされたが、フランシス・マクドーマンドが主演女優賞、サム・ロックウェル助演男優賞を受賞した作品です。

監督・脚本:マーテイン・マクドナー、劇作家として名高い方とか、初鑑賞です。

出演者:主役は「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンド、共演はウディ・ハレルソンサム・ロックウェル

物語は

アメリカ、ミズーリ州の田舎町エビング。ある日、道路脇に立つ3枚の立て看板に、地元警察への辛辣な抗議メッセージが出現する。それは、娘を殺されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が、7ヵ月たっても一向に進展しない捜査に業を煮やして掲げたものだった。

名指しされた署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)は困惑しながらも冷静に理解を得ようとする一方、部下のディクソン巡査(サム・ロックウェル)はミルドレッドへの怒りを露わにする。さらに署長を敬愛する町の人々も広告に憤慨し、掲載を取り止めるようミルドレッドに忠告するのだったが…。(allcinemaから引用)

3枚の看板を立てたことで、町の人々に第1波の衝撃が、この衝撃により第2の衝撃、これが第3の衝撃へと予測がつかない右往左往する展開、その行き着く先は観てのお楽しみという作品でした。


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あらすじ&感想:(ねたばれ:注意)

静かな、緑の中を走る道路沿いに立てられた「レイプされて殺された」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ ヴィロビー?」の3枚の立て看板。

この広告にTV局が飛び飛びついた。母親が「レイプを黒人問題と同じように放置している。娘は焼死体で見つかった。誰か責任を取れ、署長!」とコメントした。

ミルドレッドが、ツナギとバンナダ姿で全く笑顔を見せることなく、いかなる敵があらわれようと論破してしまう。

早速抗議に来たウィロビー署長、厳つい顔だがとても優しく町の人に親しまれていた、しかし小心者でいろいろ調査が進まない理由を並べ立てる。(笑)ミルドレッドが「早く逮捕しないと誰かが殺される」と抗議すると「俺は癌だ」と反論、これに「町の人はみんな知っている。早くやれ!」とミルドレッド。(笑) 

牧師が「町の人たちの気持ちを考えて欲しい」とミルドレッドを説得にやって来た。ミルドレッドは1886のギャング事件を引き合いに出し、「これを契機にギャングの一員なら、仲間が事件を起こしただけで自分がまったく関与していなくても罪に問われた。あなたが2階で聖書を読んでいても下で牧師が殺人を犯せば捕まるよ」と反論した。これで暗に神父の性犯罪を問い、牧師は退散していった。(笑)

ミルドレッドへの町民の嫌がらせが始まった。歯医者に行けば麻酔なしで歯を抜かれそうになる。(笑)とんでもないと抜歯ドリルで医者の手に穴をあけると、「これ幸い、この一件で広告を下ろさせる」と警察が介入してくる。(笑)ウィロビーがこの件で事情聴取中に吐血した。

息子ロビー(ルーカス・ヘッジズ)が、「通学道路に姉の犯罪の広告があるのはつらい」と言い出した。別れた夫チャリー(ジョン・ホークス)が「俺の嫁がお前の広告で仕事を失った」と糞みたいな理由で訪ねてきて「娘アンジェリーがお前のことで悩んで、俺のところに相談に来た」と告げた。これは彼女には痛かった。

「事件の日。娘が、車を貸してくれというのを断ったことで、徒歩で出かけたことが事故に繋がった」と後悔し、事故現場に花を手向け、そこに現れた鹿に娘を重ね涙を流した。

ミルドレッドの本心は、優しい母親、娘への愛情が強かったことがこの大きな怒りにながっていた。

突然、署長が亡くなった。拳銃自殺だった死因は家族に迷惑を掛けたくないというものだった。

部下のディクソンは人種差別主義者だった。単細胞で短気、ホモでひがみっぽい、さらにマザコンだった。(笑)しかし、自分を使ってくれる署長には絶対的な信頼を寄せていただけに署長の死はショックだった。

ディクソンは署長の自殺原因はこの広告を作った広告社長レッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)にあると、レッドを追い詰め2階の社室から放り出して大傷を負わせた。このことで新しい署長により首にされた。

ウイロビー署長のミルドレッドへの遺言は、「広告代を払う」というもので、「しっかりやれ!」との励ましだった。思いもしない愛情にミルドレッドが涙した。

しかし、親しまれた署長だけに、その死を契機に町民のミルドレッドへの非難だったが大きくなり、息子を車で学校に送ると石を投げられる。ミルドレッドは石を投げた犯人はもちろん周囲の生徒も同罪と蹴りを入れる。(笑)これを見る息子が母親の勇気に感動するようになっていった。(笑)

立て看板が燃やされる事件が発生した。ミルドレッドと息子ふたりが懸命に消化するが全焼してしまった。ところが、修復に協力者が現れた。

ミルドレッドは、ディクソンが広告社長を襲ったことで看板が燃やされたと、警察署に火炎びんを投げ込んだ。

この時、警察署では、ディクソンがウイロビーの遺書を読んでいた。遺書は「お前の欠点はキレルこと。刑事に必要なのは愛だ。拳銃なんぞいらん」とあり感動しているところに火炎びんが飛んできた。(笑)

火炎に包まれた彼はダイビングして外に逃げたが、火だるまだった。幸いにも、いつも軽蔑している小男ジェームスピーター・ディンクレイジ)に発見され、病院に収容された。

全身包帯で身動きできないディクソン、そこに、彼が傷つけた包帯だらけのレッドに出会った。(笑)レッドが身動きできない彼ためにジュースを運んだ。

ウイロビーの遺書とジェームスの好意でディクソンは、「これが愛だ!」と大きく変貌し、ミルドレッドの苦しみを理解するようになっていった。

 一方、ミルドレッドは、火炎ビンで襲ったところを小男ジェームスに見られていたが、彼の黙秘により警察に逮捕を免れた。ミルドレッドはジェームスのデートに応じ、レストランで食事中に、元夫チャーリーに出会い「小男と付き合うのか?火事で看板が消えてよかった。“怒りは怒りを来すぞ”」と声を掛けられた。

この言葉でミルドレッドはデートを取りやめた。ジェームスがチャーリーのテーブルにやってきて「怒りが、怒りを呼ぶではないか!」と抗議した。(笑)

ディクソンは、カフェで「女を廻した」と話す男に出会った。格闘してそいつの血液を採り、警察で鑑定することにして、このことをミルドレッドに知らせた。ミルドレッドはディクソンに警官としての正義が戻ったと大喜びした。

しかし、警察から「DNAが一致しない。彼はそのとき外国にいた、アリバイがある」と真犯人でないと知らされたデイクソンはミルドレッドに「どうするか」と聞くと「それでも希望が見えた、“やる”!」と答えた。

二人で、ライフルをもって車に乗り込み、ミルドレッドが「火は私がつけた」と告白すると「あんた以外にいない」と笑いながら、「道々でやるかどうかは決めればよい」と隣の州アイダボを目指した。

まとめ:

職務怠慢と警察著長ウィロビーを訴えた3枚の怒りの看板が、市民の怒りを買い燃やされる事態となり、その怒りで警察署を燃やすという怒りの連鎖。風が吹けば桶屋が儲かる的ストーリーの展開に笑った。突っ込みどころがない脚本に驚いた!

警察批判、黒人問題、人種差別、教会批判など社会問題が皮肉っぽく込められた会話が受けたかもしれない!

フランシス・マクドーマンドウディ・ハレルソンサム・ロックウェルの真面目な演技が面白過ぎました!

怒り狂ったミルドレッド役のフランシス・マクドーマンド悪魔のような顔で神父までの黙らせる舌鋒、怖かった。(笑)それでいて鹿を見て娘アンジェリーを思いだして泣く。とおもえばアンジェリーのうさぎちゃんスリッパと話して警察署襲撃を決意するという本当に予測不能なおばさん役、見事でした。(笑)

ウディ・ハレルソンはとても情深い配慮にできる警察官役ガンの苦しみを愛妻に見せたくないと袋を被って拳銃自殺、その袋には「袋は取るな!」と書くという、このような誠実な人物を演じただけでもうアカデミー賞ものです。(笑)

すぐ切れる警察官ディクソン役のサム・ロックウェル。切れまくって吐く毒舌と鉄拳。こんな男がウィロビー署長の死を聞き崩れるとは、驚きました。この演技に笑った。(笑)刑事には“愛“が必要というユロビー署長の遺言。火事現場から軽蔑していた小男ジェームスに助けられ、入院中に仇敵レッドに飲ませてもらった一杯のジュースで”正義の人“に生き変わるという、幅広いキャラクターのアカデミー賞助演男優賞演技に笑いました。

この怒りの連鎖。まだミルドレッドの怒りは収まっていない。切れまくり警察官ディクソンの予期せぬ変身で、ふたりで州境界を越えて特定できない性暴力男たちを追う結末。とんでもハップンの物語にこのテーマ、これが受けたんでしょうね!

                ****

「パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女」韓国作だからのアクションと熱い人間ドラマ!

 

やってきました!韓国の新女性ヒーロー・闇の運び屋で天才ドライバーの登場。演じるのは「パラサイト半地下の家族」に出演した美術家庭教師役のパク・ソダム。さらにパク社長の息子を演じたチョン・ヒョンジュンと共演。まだ冷めやらぬ“パラサイト”の余韻の中であって、これは見逃せない!

監督・脚本:ヒット作が続くパク・デミン、3作目の作品。撮影:ホン・ジェシク、編集:キム・サンミン、音楽:ファン・サンジュン。

出演:パク・ソダム、ソン・セビョク、キム・ウィソン、チョン・ヒョンジュン、ヨン・ウジン、ヨム・ヘラン、ハン・ヒョンミン、他。

物語は

 天才的なドライビング・テクニックを持つウナ(パク・ソダム)が勤めるペッカン産業は、表向きには釜山で廃車処理場を運営しているが、裏ではどんな荷物も配達する“特送”の仕事を請け負っている。

「“特送”は郵便や宅配で送れないモノをあらゆる手を使って届けます。万一の場合?配送以外の責任は取れません。ただ、何があっても必ずお届けします」

 ペク社長(キム・ウィソン)からの指令でウナが引き受けた依頼。それは海外ヘの逃亡を図る元プロ野球選手で賭博ブローカーのキム・ドゥシク(ヨン・ウジン)とその息子・ソウォン(チョン・ヒョンジュン)釜山港まで運び逃がすこと。

しかし、違法賭博の元締めであり警官のチョ・ギョンピル(ソン・セビョク)が部下を引き連れて現れ、追い詰められたドゥシクはソウォンをウナのもとに逃がす。依頼人のドゥシクが不在のまま、ウナは身寄りのないソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えて追われる羽目に。

貸金庫の鍵を狙う悪徳警官ヤクザ、冷酷非情サイコパスな殺し屋、さらには「脱北」の過去を持つウナを秘密裏に調査する国家情報院までをも巻き込んだ、命がけの追走劇カーチェイスが始まる─Hpから引用)

計算しつくされたカーアクションに主体を置いたアクション・エンターテインメント作品でありながら“脱北の過去”の一言で熱い人間ドラマになるという、韓国映画ならではアクション・エンターテインメント作品です。


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あらすじ&感想(ねたばれ:注意)

冒頭のカーチェスで一気に作品に魅入ることになります

 廃品処理場で働いていたウナにペク社長から「金になる話がある」の知らせて、処分直前の"bmw e34"をバックさせ急発進させて店に急ぎ、凄腕整備士のアシフ(ハン・ヒョンミン)により特送車に改造される。

アシフはアフリカ系の2世。この設定が登場人物層に厚みを与えている!

社長の「ホテルのふたりを救出して港に届けろ!」で、ウナがホテルに出向いた。

乗ったふたりの男、「女か?」と侮るが、急発進で市街地をぶっとばし、急反転・ドリフト運転、縦列駐車のスピンターン、路地に突っ込み、工事現場のパイプ建材を倒しながら、踏切でしっかり追いつかせ、電車通過の一瞬に飛び込み、追跡車をかわして指定時間にぴたり岸壁につけるという離れ業をやってのけるウナ。

ソダムはアクションスクールでしっかり訓練を積んだというから、リアルな演技で見せてくれます。腕に入れ墨があり髪を染めたソダムは孤独感一杯で、こいつの過去に何があったかと思わせる影のある演技が、ソウォンと行動を共にすることで変化していくところが見どころです!この作品にはしっかりしたドラマがあります!

野球賭博師の元野球選手・ドゥシク。賭博が公になり警察に追われる身となり、

300億ウオンの金庫鍵と息子ソウォンを伴って釜山から外国に高跳びと決めた。ペク社長と打ち合わせ、野球場で特送車を待つことにした。

荷物はひとり、待ち合わせはソウル野球場」にウナは気乗りしなかったが「配送品に問題があれば辞める」ことを条件に引き受けた。社長、ウナ、アシフでしっかり運搬計画をシュミレーションして野球場の指定場所で待機していた。

ドゥシクは息子ソゥオンと飯を食って、いよいよ出発というところに悪徳警官のギョンビルが車3台で現れた。ドゥシクはソゥオンに「車番は4162だ」と教え、金庫鍵と金を渡して走らせた。自らがギョンビルの囮となり戦った。ウナがソゥオンを乗せて、ギョンビルの追跡を受けたが逃げ切った。

ウナが「この配送品は問題あり」と特送を止めようと車を捨てソゥオンを追い払うが「パパから電話があるまで」とついてくる。ペク社長に電話すると「止めよう」と返事がきた。

電車で帰る途中、ペク社長から「引き取り人が現れた」と連絡があり、公園に行くと男が現れた。しかし、この男は誘拐魔と分かり追いかけると、ソゥオンは公衆トイレに幽閉されていた。

野球場付近でドゥシクの遺体が発見された。悪徳警官ギョンビルは「300億ウオン稼げる!」とドゥシクにパスポートを作った男を責め、盗難車を捜し出し、ウナの行方を追っていた。

ウナとソゥオンはホテルに宿泊していた。TVニュースで父が亡くなったことをソゥオンが知って泣く。そこに悪徳警官・ギョンビルの一団がやってきた。ウナとソゥオンがエレベーターに乗るとギョンビルと乗り合わせた。万事終わりと思ったらソゥオンがギョンビルの脚に噛みつき、怯んだところで彼の拳銃を奪い、これで脅してエレベーターに閉じ込め逃げ出した。(笑)

ホテルの白いワゴン車を盗み逃げ出した。ソゥオンがバックの中身、金庫の鍵と金を見せた。

「逃げた女がチャン・ウナ、28歳」と知った国家情報院職員のハン・ミヨン(ヨム・ヘラン)が「ウナは脱北のとき尋問したことがある」と悪徳警官のギョンビルと協議してウナを追い始めた。しかし、ギョンビルが別行動をとるので彼の行動に疑念を抱くようになっていく。

ウナが家に置いてきたネコの話などしながら走っていると、ソゥオンが「ママがいる、会いたい!」と言い出した。ウナが夜、母がいるというクラブに母親を訪ねた。

母親にソゥオンを引き取る意思がないことが分かり、車に戻りソゥオンに話すが聞き入れない。そこに悪徳警官が現れた。

ウナは立体駐車場に逃げた。ここにギョンビルを誘い出し、自分の上着を燃やしてスプリンクラーを作動し、水浸しのなかでのカーアクション。車の頭突き合い!こんなカーアクションは見たことがない!立体駐車場からジャンプして外に逃げた!

外に出たウナは大木に車をぶつけ「運転できない」とベッカン社に連絡して気を失った。

ミヨンは顔が包帯だらけで入院しているパスポート偽造者を訪ね、ウナと子供が逃げ出し追うギョンビルの行動に異常を感じた。

目が覚めたウナ、ソゥオンがむしゃぶりついてくる。ふたりで車を物色した。なんとソゥオンがドライバーでエンジンを始動した。ふたりの関係が出来上がった

ウナはペク社長に「子供を連れて戻る!外国に出る!」と連絡した。ペク社長もこれを認め「パスポートを作ってやる!」と連絡してきた。

悪徳警官がウナの身元を掴み「これで退職金300億ウオンだ」と釜山のベッカン産業社に迫っていた。ミヨンもこれを追っていた!

ウナが夜、密航船を確認に出ていたとき、悪徳警官がペク社長のいる事務所を襲った。ギョンビルがペク社長を激しく痛めつけ、金庫鍵のありかを聞くが喋らなかった。

アシフがソゥオンを車のトランクに隠し、部屋に戻ると、社長が棚から重機関銃を取り出し血だらけのウナを北から連れてきたのは俺だ!」と叫び、撃ち始めた。アシフもこの争いに加入した。そこに戻ってきたウナは殺された社長を見て驚愕した!ウナは電灯を消し真っ暗な中でナイフを持って、ギョンビルに挑んだ。

ウナは車で逃げ、トランクからソゥオンを出して徒歩で逃げてようとして、追ってきたギョンビルにソゥオンを奪われた。ギョンビルはソゥオンを海に投げた。ウナはギョンビルをつかまえて海の中に。ソゥオンを海面に逃がし、水中でギョンビルと戦った。そこにミヨンがやってきたて、ソゥオンにコートを被せ、ウナが浮き上がるのを待っていた!

ソゥオンが釜山も小学校に転校し、アシフの世話になっていた。学校でウナへの長い手紙を書いていてスクールバスに送れ、困っていると「送ってあげる!」と美しいウナが白い車のドアーを開けた。

まとめ

冒頭のカーアクション、立体駐車場でスプリンクラーを使った車の頭突き作戦と外へのダイビング、ラストの暗黒の中での血しぶきが飛ぶ格闘、さらに水中での格闘と、熱っぽいリアルに感じるアクションだった。世界に出してどこにも負けない作品になっています!

ウナが脱北者で、これを救ったのが脱北ブローカーだったペク社長と聞くと、親子以上の絆を感じ、ウナがソゥオンに掛ける愛情が分かってきて、凄い人間ドラマを見ることになりました。

ラストのベッカン社内でのペク社長、アシフ、ウナの三人が全く血が繋がらないでさらに民族を超えて助け合うという戦闘シーン、格差や偏見を越えようとするを見る思いでした。

パク・ソダムの身体を張ったアクション演技に秘めた過去を持つ演技がすばらしいです。チョン・ヒョンジュンも益々可愛い。さらにキム・ウイソンとヨム・ヘラレの老獪な演技、これも堪らない!

             ****

「ベルファスト」(2021)この故郷あってのケネス・ブラナー監督、故郷のありがたさが分かる! 

 

監督がケネス・ブラナーで、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品ということでWOWOWで鑑賞です。

第94回アカデミー賞で作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しています。

監督・脚本:ケネス・ブラナー撮影:ハリス・ザンバーラウコス、美術:ジム・クレイ、衣装:シャーロット・ウォルター、編集:ウナ・ニ・ドンガイル、音楽:バン・モリソン。

出演者:カトリーナ・バルフ、ジュディ・デンチジェイミー・ドーナンキアラン・ハインズ、コリン・モーガン、ジュード・ヒル、他。

物語は

ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディ(ジュード・ヒルは、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だった。

しかし、1969年8月15日プロテスタント武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中で、バディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られるというもの。(映画COMより引用)

ベルファスト」は北アイルランドの首都作品の冒頭にでてくるベルファストの俯瞰映像、そこにタイタニックホテルというネオン、巨大なクレーンが目に入ります。タイタニック号を造った町。そして30年に渡る北アイルランド紛争発端の地です。

ケネス・ブラナー監督はここで9歳まで過ごし、この紛争でロンドンに移住したそうです。本作は1969年8月15日の暴動が起こった日から8月後、ロンドンに発つまでの監督の薄れゆく記憶を綴ったものです。次第に状況が激化してゆく中で家族と友人たちとどのように生きたか、9歳の監督の目線で描かれます。


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あらすじ&感想(ねたばれ:注意):

冒頭、シティーホールや博物館、タイタニック号記念館、音楽ホールなどを一望し、監督の故郷が紹介されます。ここまでがカラーで、以下、監督の想い出はモノクロで描かれます。

1969年8月15日バディはいつものように友達、中でもおませな女友達モイラ(ララ・マクドナル)と盾と剣を持ってキャプテン・アメリカごっこしていた。

夕方、「バディ!」という母・マ(カトリーナ・バルフ)の声で集合住宅に戻ると、住宅に石や火炎びんを投げる一団(プロテスタント)に出くわした。マが盾でこれを避け、やっと住宅に逃げ込んだ。

ここの集合住宅にはアイルランドでは少数派のカトリック系の住民が生活していた。カトリックを追い出すのが暴徒の狙い。

一夜明けて、ロンドンで大工として働いている父・パ(ジェイミー・ドーナン)が帰ってきた。住宅街ではバリケー作りが始まった。

近所に住む祖父母がやってきた。お婆ちゃんキアラン・ハインズ)がマに「家を襲うなんてとんでもない、私たちはイタリア人と仲良くやっている」という。(笑)お爺ちゃんジュディ・デンチ)は外にある便所(ここでは家の中には便所を作らないらしい)の便器に座りコーヒーを飲みながら父・パと雑談中。(笑)父がお爺ちゃんの病気を心配すると「お前の方が心配だ!」と言っていた。

バディが叔父から聞いたと父に「カトリックは懺悔すればどんな罪でも許されるの?」と聞くと「揶揄っているんだ」と言われた。父が「明日は教会に行って、それから映画を観る」というので、バディは「ここはカトリックサイドだ。教会には行かなくていい、あとで断れば救われる!」と言う(笑)と「サイドなど存在しない」と叱責され、家族で教会に礼拝した。

教会では牧師さんが「カトリックは脅しの宗教だ!」と一喝し、「地獄に落ちるか?天国に行くか?選べ!先ずは献金だ」と言われ、バディは「とても感動しました」と答えたが、どちらの教えが正しいのかと悩むことになります。(笑)

軍隊の出動が決まり、首相の「北アイルランドの人権問題を憂慮する」声明で、住宅街では住民たちの喜びのダンスが始まり、母と父も踊った!

バディは心配でマイラに相談すると「騙せばいいのよ、プロテスタントと答えればいいの!」と教てくれた。(笑)

バディは暴動のリーダー・リビー(コリン・モーガン)が父に「争議に出て来い、金を払うか暴力を受けるかだ」と脅されているのを目にした。

家族は映画館で「恐竜100万年」を観た。母が「こんなもの?」と怒ったが、父が「教育のためだ!」と観ることになった。(笑)

父がロンドンに戻ることになった。母が「競馬しないで、ちゃんとお金を渡して!」父と言い合っているのをバディは見た。父は「移住計画だ」とシドニーバンクーバーのパンフレットを置いて行った。

ベルファストの治安が悪化している」のニュースが流れる。

バディがバリケードを潜って登校すると、席替えがあった。成績の良い者順に前から座るというもの。バディは最後から2番目の席で、憧れのキャサリン(オリーブ・テナント)は出来る子で、会話ができない。これがバディの最大の悩みだった。(笑)

下校時に便器に座っているお爺ちゃんに聞くと「女性は謎が多いが、憐憫がある」と教えてくれた。(笑)早速バディはキャサリンの家を訪れ、窓に写る彼女の姿を見て帰宅した。(笑)

教室ではキャサリンのことが気になって仕方がない。下校時、おじいちゃんに算数の成績を上げる方法を教わった。お爺ちゃん曰く「わざと数字を悪く書け!6と2、1と7だ。そうすれば先生は良い方に解釈してくれる!」と。「お前の夢な何か?」と聞かれ「彼女と結婚することだ」と答えた。(笑)

夜、母が町役場からきた家賃請求書を見て泣いていた。父が払ってないらしい。(笑)

バディ、お爺ちゃんに教わった方法で成績が2番になったが、キャサリンの成績が悪く、また話ができない(笑)。またお爺ちゃんを訪ねて相談すると、お婆ちゃんと踊りながら「一番肝心なのは愛だ!」と教えてくれた。(笑)

バディは野花を摘んで帰校時キャサリンに渡すと「もう家の外で話さないでいいよ!」と言われ万歳!だったが、とんでもないことが起こった。(笑)

マイラに「どうしてもやる!」と誘われ、チョコバー泥棒をやることになって店に入ったが見つかって逃げた。マイラが絶対に云うなというので約束した。(笑)

父が帰宅していた家賃の滞納で母と父が激しく言い合っていた。(笑)

お爺ちゃんが病院で診断を受けることになった。父と見舞いにいったとき、父が「会社が家を準備して職人を移転させる計画がある」と話すのを聞いて、バディが「引っ越すの?」と聞いた。

その帰りにビリーに出会い、ビリーが「決めろ!」と父を脅した。父は「俺たちを上とみて、ひがみでやっている。お前は今もチンピラのままだ!」と争議参加を断るのをバディは聞いた。家に帰るとポリスが来ていて、チョコバー泥棒の一件が母にばれてしまった。(笑)

夜、バディはTVで「真昼の決闘」を観た。(笑)兄ウイルがビリーに誘われ断ったこと、彼らが火炎びんを作っていることを父に話していた。母が「北アイルランドの失業率が最悪」というニュースを観ていた。

父が家族を集めて地球儀を観ながら移住の話をした。母が「父母の電話代が大変で、会いに来れない」と反対した。

母は姉に相談した。姉は肝っ玉の大きな人で「皆いなくなると彼らは食べて行けず10分間で戦が終る」「アイルランド人は昔から旅人よ。だから世界中にパフ店が出来ている」と移住に賛成した

お爺ちゃんは「移転には高鳴りが必要だ!」と言うとお婆ちゃんが「いつ高鳴ったの?」と聞く。(笑)

あんたの黄色いストッキングだ」と言うと「あれは煙草の葉で染めて鉛筆で縫い目を書いた」とお婆ちゃん。(笑)

とんでもないお爺ちゃんとお婆ちゃんでした。(笑)

 父がロンドンに戻るバスの中で「移住のことをしっかり考えてくれ」と母に言うと「子供のこと、ここなら誰もが見守って生きていけるが、ロンドンでは言葉などで差別される」と母が心配した。バスの発車間際に父が「クリスマスに決める」と言ってロンドンに立った。

・・・・

父がロンドンから戻ってきてお爺ちゃんを見舞い会社は家を準備していることを伝えが。バディが「言葉が通じ難いんだ!」と話すと「うちの婆ちゃんなんか今でも通じないよ」と励ましてくれた。(笑)お爺ちゃんは「ここにいるものはみんなお前の味方だ!どこにいようと応援する」と言った。

その後、みんなで映画館で「チキチキ・バン・バン」を観て空を飛んだ。家の戻りクリスマス・プレゼントを一杯もらっていい気分のことろに、父から「みんなの意見だ!ロンドンに移住する」と聞かされた。バディは泣いて反対した。

 父はイースターまで様子を見ようとロンドンに戻って行った。

3カ月後、

モイラに誘われて、プロテスタントの一団と一緒にスーパーに入って洗濯石鹸をかっぱらって持ち帰り「環境によい!」というからもらってきたと話すと、母が怒って一緒にスーパーに戻しにいった。

しかし、スーパー内は大混乱で返せず、帰っていることろをビリーに捕まった。この絶体絶命の場面で父が現れた。ビリーが拳銃で撃とうとしたところを父が石をなげてこれを阻止。ビリーは警察に捕まった・

母は石鹸を持ち帰ったことを恥じ「もうここには居れない!」と父に打ち明けた

 病院のお爺ちゃんにロンドンに移住することを伝えると「ギャングが居る月に行くか!ベルファストは消えない。俺は行かない!」と言って、しばらくして亡くなった。

お爺ちゃんの埋葬が終って、クラブでお別れの会を開いた。父が唄い、母が踊った。

別れの日、お父さんと一緒にキャサリンに会い、「必ず戻る」とプレゼントを交換した。帰りに父に「キャサリンカトリックだけど結婚できる?」と聞くと「そんなことはどうでもいい、フェアーで愛していれば大丈夫!父さんも受け入れる」と話してくれた。

おばあちゃんは「行きなさい!振り向かないで!いつも想っている」と送り出してくれた。

まとめ

“イギリス人のユーモアをたっぷり味わえる作品”。すこしこれを紹介できればとあらすじ紹介が長くなりました。

このユーモアに椅子から落ちそうになるぐらい笑い、泣けるシーンもあり、やんわり宗教対立に対する所見もあって、最後に、石川啄木「ふるさとの山に向ひて言ふことなしふるさとの山はありがたきかな」を思い出すような作品でした。

バディ役のジュード・ヒルが凄い演技でした鉄道員」のサンドロ役・エドアルド・ネヴォラを彷彿とさせてくれました。

老夫婦役のジュディ・デンチキアラン・ハインズの味のある夫婦演技が絶妙で、バディがこういう祖父母に育てられたらすばらしい映画監督になります!

そして強くて子供思いのお母さん役・カトリーナ・バルフ、日本もそうでしたが、ミニスカートでとても魅力的でした。

さて、思い出をモノクロで撮った理由ですが、撮影監督のハリス・ザンバーラウコスに、「カラーは状況をきっちり見せて説明する上で効果的。だが、モノクロは、より感触を与える。見るべきものを取り除くことで、観客は、より登場人物に近づくことができる」と言われたからだそうです。さて、どれほどに監督の想いに近づけたかと、思案しています。(笑)

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