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「港のひかり」(2025)ヤクザが問い掛ける“人のために生きる”とは?

 

「新聞記者」「余命10年」「正体」の藤井道人監督が描く「北陸の港町を舞台に、過去を捨てた元ヤクザの漁師と盲目の少年との⼗数年にわたる絆を描くヒューマンドラマ。撮影監督が木村大作で全編を35ミリフィルムで撮影した作品だという。藤井監督に木村カメラマンで観ることにしました。

藤井監督はいろいろなジャンルの作品を撮ってる。ヤクザものには「ヤクザと家族」(2021)がある。さてどんなヤクザ作品なのかと楽しみに観ました。

今の時代に任侠気質で生きるヤクザが、それは時代遅れと悟りヤクザを辞め漁師になった。漁師は「人のために生きる」と治療する金のため罪を犯し盲目の少年目を救った。少年は成長して刑事になった。10数年の刑務所生活を終え娑婆に戻った漁師は暴力団に追われる。彼は“ひとりヤクザ”に戻り暴力団と対決。そこで彼は目を救った刑事と対面、彼が採った行動は?

ラストシーンで漁師が“人のために生きるとは何か”ともう一度考える結末に泣けました。

原作泉鏡花の「白糸の滝」(1952)という大昔の映画を思い出しました。(笑)ことそれほどに古風な作品でした。

古臭い任侠・義理人情の世界の話に涙が出て、これが日本人の心の故郷なんだと感動する。が、藤井監督はこれを現代風に書き換え義理人情を越えた「人のために生きる道」を問うていた。

自治体予算“カット”発言で糾弾される簗和生農林水産大臣の進退問題。

これを「仕事で返せ」と続投支持する高市早苗首相。おふたりに“あなたは誰のために生きていますか?と問いたい。あまりにも次元が低すぎる。

舘さんが背中で魅せる演技、それに大作さんが撮る能登の海と朝焼け、ここから望む雪の立山連峰の厳しい山並みが、主人公の人生を語るようで見どころです。

監督・脚本:藤井道人、撮影:木村大作、編集:古川達馬、音楽:岩代太郎。

出演者:舘ひろし、眞栄田郷敦、尾上眞秀、黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、一ノ瀬ワタル、MEGUMI、赤堀雅秋、市村正親、宇崎竜童、笹野高史、椎名桔平、他。

物語は、

漁師として細々と生活する元ヤクザの三浦(舘ひろし)は、白い杖をついて歩く少年の幸太(尾上眞秀)を見かける。両親をヤクザ絡みの交通事故で亡くした幸太は、彼を引き取った叔母(MEGUMI)やその交際相手(赤堀雅秋)からも虐待を受けていた。孤独な幸太にどこか自身の姿を重ねた三浦は、自身の船に幸太を誘う。

どこにも居場所がなかった者同⼠、2人は年の差を超えた特別な友情を築いていく。幸太に視力回復の手術を受けさせるため、ヤクザから金を奪った三浦は、幸太に一通の手紙を残して自首する。12年後、突如として⾏⽅がわからなくなった三浦を捜していくうちに、幸太はある秘密を知る。


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あらすじ&感想:

〇元ヤクザの漁師・三浦と盲の少年・大森幸太との出会い

美しい能登の薄明。三浦は目覚め海に出て波に消えるような小船で漁を始める。朝が明けると獲った僅かの魚を世話になっている旅館“荒磯”に卸す。彼を見る漁師たちは「魚は他所ものでも上がる、よくあんな小さな船で行くよ」と冷ややか。家に戻る三浦が少年たちの虐めに遭っている盲の少年を目にした。

その夜、居酒屋“浜っ子”で荒磯の主人・荒磯定敏老人と飲む三浦。

三浦は「荒磯さんのお陰で生活、なんとかなってる」と言い、荒磯は「何度も三浦さんに助けてもらった」という。

そこに盲の少年が“さしみ”を買いにやってきた。

荒磯がこの少年について「少年は両親を交通事故で失い、叔母(MEGUMI)の家に預けられている。その叔母がどうしようもない女であの子の遺産を分捕り男と生活している。事故は反対車線を逆走してきた車との正面衝突。あの子も目が見えなくなった。逆走してきたのはとんでもない薬物中毒のヤクザだった」と語った。

女と一緒に住む酩酊した男が少年を「殴りつけて酒を飲む肴を買い寄こしたのだった。

〇三浦が若頭だったころの河村組、今では二代目を石崎が継ぎ組名を石崎に改めた。

組長の石垣剛(椎名桔平)が組員を集め、しのぎが上げられない子分を締めあげ「しゃぶをやれ!いやなら三浦のように辞めろ」と気合を掛ける。先代の河村親分(宇崎竜童)は表立ってしゃぶをしのぎにはしなかった。三浦は河村親分の引退とともにヤクザを辞めたのだった。

〇三浦は盲の少年に目を掛けるようになっていった。

少年が盲になった原因が薬中毒のヤクザの暴走、苦しい少年の生活を目の当たりにし三浦は少年に関心を持った。ある日、船に誘い沖で漁をした。少年の名は大森幸太、海の好きな子で海に出るとよくしゃべる陽気な子だった。

田辺刑事が三浦に河村親分の一周忌法要の案内状を渡しに訪ねてきた。

田辺刑事(市村正親)が「河村親分が死んでから石崎はやりたい放題。ハングレを使ってる。お前の知合いはいないか?」と情報集めが目的でやってきて帰り際に法要の案内状を渡し「昔のようにひとりでヤクザもの集団と喧嘩するな!日本刀を振るうな!」と注意し帰っていった。田村と三浦の関係はヤクザと刑事の関係を越えたものであったらしい。

三浦は網を修理しながら幸太に“おやじ”を語った!

三浦が網を修理していることろに幸太が遊びにやってきた。幸太から「おじちゃんのお父さんはどんな人?」と聞かれ、「誰かのために生きる人だった」と話した。幸太が「パパもそうだった」という。幸太は「海とおじさんが見たい」と言った。そこに幸太の叔母が迎えにきた。

三浦は正装して河村親分の一周忌法要に参加。今だ引退のしこりが残っていた。

三浦は線香を上げて帰るつもりだったが、石崎に誘われ懐石の席に着いた。石崎は「兄貴は仲間の仇討ちに日本刀で突っ込んでいき警察に止められた。昔の任侠道を絵に描いた人だ。俺は仲間を食わせるため仕方なく娑婆を預かった。警察より兄貴は厳しかった。皆の前で殴られその正義感が原因で親父から遠ざけられ追い出された」と三浦を罵った。組員たちは軽蔑の笑いを三浦に投げつけた。三浦は「石崎は若衆も増えたようだかつまらん男だ!」と言葉を投げつけ席を立った。当時の若頭だった三浦と舎弟頭の石崎の戦いは終わってなかった。そこに三浦を慕う舎弟・大塚(ピエール瀧)が居た。

三浦は地元の漁師たちに白い杖を振るう幸太に自分を重ねた!

三浦が漁から戻り陸に上がると漁師たちが「ちゃんと教育してくれ、ヤクザが」と帰った行った。三浦は岸壁つりをしながら幸太からわけを聞くと「おじさんはヤクザなの?そういう人には見えない、優しい人だ」という。三浦は「刑事だった。町で暴れまわり人に迷惑をかける人を捕まえる。たまにはヤクザの集団に囲まれ戦った」と話した。幸太が「ひとりで戦うのは凄い」と驚く。三浦は「大勢でかかってくるのは臆病ものだ」と教えた。

釣った魚を持ち帰り幸太と食べながら、刑事の仕事を聞かせた!

三浦はひとりで戦ったときの話を聞かせた。「ひとりで大勢のところに乗り込むのを止めた。そいつは仲間がやられた仕返しだった。それでそのヤクザは思いとどまりその後ヤクザを辞めた」と田辺刑事の立場で語って聞かせた。(笑)

幸太が「ヤクザは何で悪いことをするの?」と聞く。「魚が泳ぐのと同じだ」と答えると「魚は生きるために泳いでいる」と返えされた。三浦は幸太を叔母の家に届けた。家の中から男女が争う声が聞こえてきた。

三浦は幸太がいう“魚は生きるために泳いでいる“から、河村親分から盃を貰ったときの言葉を思い出していた。岸壁釣りをしながら親分から「生きているうえで大切なことは何か?」と聞かれ「強さです」と答えると「強さとは誰かのために生きられることだ」と言われた。

幸は太少年たちに虐められても「臆病者!」と言い返すほどに強くなった。

三浦に「猟師に囲まれたとき怖くないと言ったが本当は怖い。だからおじさんのようになりたい!目のことがあるから」と話す。

三浦は幸太と出会うことで親分から教えられた「誰かのために生きる」ことを真剣に考えるようになっていった。若頭として刀を振り回して子分を守ろうとしたこと、麻薬稼業でなく真っ当なしのぎで稼ぐことなど過去のことを思い出していた。

〇三浦は幸太に目の手術を受けさせることにした!

三浦は幸太の純粋さや向上心、何よりも自分を慕ってくれていることから目を手術してものが見えるようにしてやりたいと考えるようになった。

三浦は幸太を連れて町に出て、食堂で飯を食べ、朝市で鈴を買い、眼科医の診断を受けた。医者は「手術で見えるようになる。早い方が良い。経費が500万ほどだ」と言った。

三浦は彼を慕う大塚を呼び出し、石崎組の麻薬取引の情報を得た。

真っ赤は太陽が登った日、三浦は石崎組が麻薬取引する現場にいた。

石崎組の若衆が現金の入りバッグを海に投げ、麻薬の入ったバックを引き上げた。三浦は金の入ったバックを持って逃げる2人組の男たちを捕まえ、刺殺して金を奪った。さらに田辺刑事に通報し、麻薬バッグを持つ組の若頭・八代(斎藤工)を逮捕させえた。矢代が田辺に「誰が喋った?」と聞いたが、田辺が「知らん」と答えた。

三浦は居酒屋“浜っ子”に幸太を呼び出し「手術しないか」と聞き糺した!

幸太は「毎日寝るのが怖かった。でもおじさんに会えた」という。三浦は「目を手術すれば見えるようになる。知り合いが子供の目が見える活動を支援している。海が見えるようになる、支援を受けてみないか」と勧めると幸太がきっぱりと「手術を受けたい」と言った。

三浦は幸太を預かっている叔母・大森美和子(MEGUMI)を男が不在時に訪ね、徹底的に暴力で脅し「二度と幸太に手を出すな!」と生活に必要な大金を与えた。

〇富山の病院で幸太に目の手術を受けさせ、三浦は幸太の前から消えた!

三浦は荒川老人と一緒に幸太を病院に連れて行き、手術室の入り口で「手術してこい」と別れた。荒川老人が「何であの子にここまでするのか?」と聞くと三浦は「あの子は私をひとりの人間として接してくれた」と答えた。

そのまま三浦は富山南署に出頭した。取調刑事は田辺で「誰のために刑務所に入る?金はどこか?」と聞かれたが、「全部使った」と答え闇の中にした。三浦は刑務所に送られた。

幸太は病院で目を開けた。ぼんやりと町の景色か見えてきた。

荒川老人が病院に幸太を迎え、三浦が長い旅に出たことを伝えた。

幸太は帰りの車の中から海を見た。荒川老人が防波堤に幸太を連れ出し、三浦の手紙を渡した。そこには「長い漁に出ることになった。これからの日々がすばらしいものであるよう祈ってる」というものだった。

以後、幸太は荒川老人を介して三浦に手紙を送った。三浦は刑務所でこの手紙を読むのが生き甲斐だった。

〇12年後、三浦が刑期を終え出所した。

荒川老人が三浦を出迎え、準備していた住宅に案内した。そこで幸太(眞栄田郷敦)の今の写真を見せた。幸太は三浦に憧れ富山県警の刑事になっていた。しかし、三浦は会うことを断わった。荒川は「手紙をかいてやれ」とペンと便箋を置いて帰っていった。

幸太は富山南警察署に勤務し、先輩刑事の大黒(一ノ瀬ワタル)とコンビを組み、麻薬患者摘発に成果を上げていた。

三浦からの手紙を久しぶりに荒川老人から受け取った。そこには住所の記述がなく、「本当か?」と疑ったが、荒川は幸太に「美和子さんが帰ってこないと怒っているぞ」と伝え、なんとか逃げ切った。

幸太は同棲しているあや(黒島結菜)に手紙を見せた。

幸太が「よく話して聞かせるおじさんの手紙だ」とあやに見せると「荒川さんがどうやって手紙を受け取るのかな」と不思議がった。

三浦は荒川老人が紹介する運転代行会社で働くことにした。

代行車で客を待ってると、男が乗り込んできて「人を見るとだいたいその人が分かる。あんたは宮大工か?」と聞いてきた。この男は何者か、誰が演じているか?大作さんが連れて来てカメラマンとして使ったと思われる超有名俳優です。(笑)

男が「2部のプロサッカー選手だったが仕事が見つからない、妻と子供がいるが別れていて、面倒みてる。離れ離れになっても子供がいるから、その子の父親は俺しかいない」という。三浦は“ふっ”と幸太のことを思い出し、寂しさを感じた。

〇三浦が出所したと知った石崎が三浦を追い始めた。

石崎は会合で三浦の出所を知り、かって三浦の舎弟だった大塚に「あのときくすめた金で海外に跳ぶつもりか?くやしい」と告げた。若頭の矢代が「見つけ次第殺す」と息巻いた、

〇幸太はおじさんがヤクザだったと知り、誰かと探し始めた。

幸太は荒川に云われ、叔母・美和子の様子を見に大沢港にやってきた。家の中は荒れ放題で男は外出中だった。美和子は金を欲しがった。「ない」と答えると「誰に育てて貰った?」と怒り出す。幸太は「施設に入れた」と言い返す。美和子が「あのヤクザものに貰った金が全部使った」と言った。幸太が「ヤクザとは何だ?」と問い詰めた。美和子は「私はあのヤクザが言ったとおりにやっただけ。施設も目の治療もあの男に貰った金で払った」と白状した。

幸太は荒磯老人を訪ね、このことを確認した。

荒磯は「美和子さんが全部喋ったか、あの人は昔からそういう人だ。おじさんはずっと幸せを願っている」としか答えなかった。

三浦のアパートに新聞紙で包んだ拳銃が置かれていた。

新聞紙に「危険が迫っている」と書いてあった(大塚からの知らせ)。

〇幸太は警察署の資料でおじさんの身元を突き止めた。

幸太は麻薬所持者を摘発して署に戻ると田辺が来ていた。先輩の大黒刑事から「日本刀のヤクザを止めたレジェンドだ」と紹介された。幸太はおやじさんのことを思い出した。田辺が「頑張ってるらしいな!」と元気づけ帰って行った。

田辺は代行車の三浦を訪ね「幸太に会って来た。お前に似ていい目をしている。何故会わない?」と聞いた。三浦は「あの子の人生だ、迷惑を掛けたくない」と答えた。

幸太は警察のPCで三浦諒一を検索しおじさんの正体を知った。

河村組の名簿に若頭:三浦諒一、舎弟頭:石崎剛とあり、民宿荒磯のオーナー荒磯定敏と交流あり、平成23年除籍後漁師に転職と注記されていた。

大黒刑事が「しゃぶを扱い出したのは石崎が襲名してからだ。三浦という人は二代目を襲名する人だったが組長が死ぬと除名され堅気になったと思ったら10年前にパクられた。三浦が継いでいたらこんなことにはならなかった」と話した。

石崎組の動き、

組長の石崎は「あんな野郎にパクられた!」と悔しがり若頭の矢代に「三浦担当」を命じ、「最近のしのぎが少ない」と殴り倒した。

幸太は荒磯老人に「急いでいる、おじさんに欲しい」と手紙を渡し、三浦の元に居足荒磯を追い、三浦の隠家を見つけた。

〇幸太と三浦の再会、三浦は人生で初めて泣いた!

三浦は幸太の手紙を読み、幸太の気配を感じた。そこに幸太から「ずっと会いたかった!お礼を言いたい、開けてください」と呼びかけられ、三浦はドアを開けた。

三浦は感極まり「大きくなったなあ」と声を掛けた。ふたりは外のベンチに座り話した。

幸太が「ヤクザに両親が殺されて憎かったが、そんな単純な話ではなかった。誰よりも暖かい他人でここまで出来ない生きてる中で救いをもらった。その度におじさんを思いだした、誰のために生れたのか。その問いが人生を支えだった。ありがとう」と感謝を述べた。三浦は人生で初めて泣いた。

〇石崎が大塚を殺害しその遺体を三浦の船に投げ置き、幸太殺しを宣告した。

石崎は大塚を「12年前、裏で三浦に情報を渡したのはお前だ。組に置いたのはあいつを殺す正当な意味をくれると思ったからだ」と殴り殺した。三浦の船に大塚の遺体を放置、これを荒川老人が発見し警察に通報した。

事件はTVで放送され、三浦がこれを見た。そこに石崎から電話が入った!

は

田辺が嗅ぎ付け「お前が死んでも何も変わらん」と止めにきた。

〇石崎は子分らと倉庫で三浦の到着を待っていた。

幸太は磯崎組が起こした別件騒動に駆り出されていた。そこに田辺から電話が入った。

三浦は正装し拳銃を持って倉庫に現れた。

三浦は石崎の前に銃を置き、「石崎!これでお終いにしろ!」と話し掛けた。石崎は「そんなに簡単には殺さん!」と殴り、矢代がアイアンクラブで三浦を殴った。

三浦は「このためにここにやって来た!」と河村親分が除籍時に話した言葉「これから好きなように生きろ!“ヤクザの時代は終わる”。残りの人生は自分のために使え!お前は十分人のために生きてきた」を思い出していた。

石崎が「兄貴!分からない!何であんただったのか?俺の方が必死に働いた。親分はあんたを選んだ」という。三浦は「あんたが賢いからだ!」と答えた。そこに康太が自分の車でつっこんできた。(かっての田辺刑事と同じことをする)

 

石崎が幸太に話し掛けた。

「先ほどはどうも。あんたは可哀想だ、誰にも助けられていない。昔から任侠とか仁義とかお題目を唱えているとき俺が仕事を受け持ち血と汗を流してきた」と言ったとき、三浦が拳銃を拾い石崎に向けた。幸太が止めた。が、逆に三浦が石崎から撃たれた。幸太が反撃の射撃をした。石崎が「俺の金であんたの目が治った。俺のしのぎをお前の手術につぎ込んだ。その目は俺のものだと言える。その目を返せ!おやじから誰かのために生きろだっけ、云われたよ。俺には分らん!」と言った。幸太は「俺を育てたのはおじさんだ」と反発した。これを三浦は聞いていた。

三浦が石崎を撃った。幸太も撃った。石崎の肩に当たった。これを見て、若頭の矢代が「いつも偉そうに」と石崎をメッタ撃ちした。

幸太は三浦を担ぎ、雪の降る岸壁に連れ出した。

幸太は「大丈夫ですか?すぐ応援が来る」と三浦に声を掛けた。三浦は両手を差出し「頼むから手錠をかけろ!」と催促する。幸太は断った。すると「刑事になったから逮捕しろ!幸太!」と催促する。幸太は泣きながら手錠をかけた。三浦が「強くなった!」と誉め倒れ込み二度と起き上がることはなかった。幸太が雪の中で三浦を抱き、泣き崩れた。

〇幸太は妻のあやと子供を連れて港を訪れ、小船を手入れする荒川老人を見つけ駆け寄った!幸太の刑事としての新しい人生が始まっていた。

まとめ:

前段では漁師の三浦が盲の幸太に出会い、ふたりの間に友情が芽生え、三浦が「人のためにどう生きか」とヤクザの稼ぎを横取りし幸太の目を救う物語が情愛深く描かれた。ここでの幸太役・尾上眞秀君のどこまでも純真な盲の演技がすばらしかった。

後段、出所した三浦は刑事になった幸太に再会し「おじさんを思いだした、誰のために生れたのか。その問いが人生の支えだった」と告白され、自分の人生は報われたと思った。しかし、石崎組長の挑戦を受け自分のヤクザ人生は終ってないことを知る。

三浦は石崎から「幸太を殺す」と告げられ、三浦は亡き河村親分の「ヤクザの世界は終る」と思い出し、「石崎に組を解散させることが人のためになる」と自らを犠牲にして説得することにした。しかし、そこで聞く「幸太の目は俺のしのぎをつぎ込んだもので俺のものだ」という石崎の言葉。三浦は所詮ヤクザが考える“人のためになる”とはこの程度のものかと反省し、幸太に「“自らの正義と法の元で刑事として強くなれの言葉を贈ること”が人のためになる」と判断し、幸太に自分の手に手錠を掛けさせ人生を終えた。

三浦役の舘ひろしさんの演技、つい高倉健さんを想い出しましたが、渋いいい演技でした。三浦に友情で忠告し続ける田辺刑事役の市村正親さん、そして三浦を支援する荒川役の笹野高史さんの人情はたっぷりの演技に魅せられます。

義理人情を越えた、差別のない、法の元で人としていかに美しく生きるかを描いた作品だった。

                                                            ****

「異端者の家」(2024)シスターの信仰を糺すサイコな尋問劇!宗教とは何か?

 

天才的な頭脳を持つ男が支配する迷宮のような家に足を踏み入れた2人のシスターの運命を描いた脱出サイコスリラー。

タイトルから宗教に関わる作品?無宗教なものに分るかという不安。しかしA24作品なら“きっと社会性のあるテーマで驚かせてくれる”と、これで観ることにしました。

唯一絶対宗教を信じる男。ふたりの若いモルモン教宣教師を自宅に招き自分の宗教の正当性を確かめる。先ずは論理的に全宗教を否定し次いで実証的に。論理的に何とか納得させ、実証試験で思わぬトラブルに遭遇。唯一絶対的と信じた宗教論に破綻が発生、そこで明かされる宗教と何か?

宗教とは何か?納得する結末でした。破綻した宗教論理、これが“宗教とは支配のシステム”というもの、これにも納得し、不安を抱きました。

サイコスリラーと云われているが、

セリフ主体の作品で、映像でそれを訴えるシーンは少ない。安心してみてください!

高市内閣、自民党の教義は何か?

今国会では冒頭、首相は日本の国民を「民(たみ)」と呼びかけた。これは「統一教会」の言葉です。ご承知の通り自民党は統一教会の教義に強く影響を受けています。高市総理の言動、行動を見ると統一教会教祖そのもの。皇室をバカにし、皇室典範改正などがその冴えたるものです。次が憲法改正で天皇を元首にして自由に操る。まさに、ここでいう唯一絶対宗教は自民党が進めたい新憲法ではなかろうかと不安になりました。

監督・脚本:「クワイエット・プレイス」の脚本家、スコット・ベック ブライアン・ウッズ。撮影:チョン・ジョンフン、編集:ジャスティン・リー、音楽:クリス・ベーコン。

出演者:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト、他。

物語は、

若いシスターのパクストン(クロエ・イースト)とバーンズ(ソフィー・サッチャー)は、布教のため森の中の一軒家を訪れる。ドアベルに応じて出てきた優しげな男性リード(ヒュー・グラント)は妻が在宅中だと話し、2人を家に招き入れる。シスターたちが布教を始めると、リードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開。不穏な空気を察した2人は密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、携帯の電波もつながらない。教会から呼び戻されたと嘘をつく2人に、帰るには家の奥にある2つの扉のどちらかから出るしかないとリードは言う。実はその家には、数々の恐ろしい仕掛けが張り巡らされており……。(映画COMより)


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あらすじ&感想:

〇冒頭、モルモン教の勧誘に出たシスタアー・バーンズとシスター・パクストン。

休憩中、マグナムコンドームについて会話する。

パクストンが「マグナムコンドームって本当か?」とバーンズに聞くと「レギュラーと普通サイズ。マーケッティングで何でも人は信じる。モルモン書は嘘だと云われ育てばそう信じる。姉の別れた夫は巨大ペニスでもマグナムよ、象の鼻だって糞くらえのサイズ、サイズなんか関係ない」と、まあとんでもない話でモルモン教の布教意義を説明してくれます。(笑)

パクストンは「セックスの瞬間は神が存在する。お金でするセックスは魂が吸い出される感じで嫌だ」と話す。バーンズが「よく観るの?」と聞くと「観るわけない、興味はない」という。オルモン教の教義でこのあたりが若い娘には気に入らないところがあるらしい。パクストンは今だ勧誘ゼロ、バーンズは8~9人。ふたりに差があるところが見所。

案の定、彼女たちはきつい階段坂を自転車で上り下りし勧誘を進めるがダメ。

モルモン教の勧誘員と気付いた女の子らは「一緒に写真撮らせて!」とパクストンに寄って来て写真を撮り、「魔法の下着、着ている?」(神殿で交わした聖約を思い起こすための目に見えるしるし)とスカートを降ろされる。パクストンが泣き出しそうになった。バーンズが「人にどう見られようと関係ない、あなたが大丈夫!」と励ます。教会から訪問するよう指示された森の中にある古風な一軒家に着いた。ふたりはしっかり自転車をロックして、この家を尋ねた。

〇ふたりは玄関でと思ったが家主のリードに優しく迎えられゲストルームに通された。

リードから「妻がいる」と中へと誘われ、ゲストルームで話すことになった。リードにコートを預けた。リードが「パイは好きか?」と聞き「壁と天井に金属が入ってる」と注意して部屋から消えた。ふたりは雨が降り出した外を気にしなから室内を見まわしていた。リードが「パイは後で!」とコーラとブルーベリーのローソクを持って現れた。

〇ふたりがリードに勧誘を始めると、モルモン教への攻撃が始まった。

リードから「信仰深い、任務完了だね」と誉められ「真の宗教とは何か?」と問われた。バーンズが「教祖ジョセフ・スミスがいろいろな宗教を調べ、長老派、メソジスト、カトリックも、でもどれも合わず私たちの教会を創立しました」と話した。するとリードが「ジョセフの元にモロキイという天使が現れ、ジョセフの家の近くに金版が埋めてあると教えた。その版の神秘的な翻訳がモルモン書だ」とバーンズの説明を補足した。

バーンズはリードから「父親はなぜ亡くなった?」と聞かれ「ルー・ゲーリック病」と答えると「何か徴があったか?向こう側から何か伝えるとか?」と聞かれる。「ない」と答えると「妙だな」という。バーンズは右腕を撫でた。バーンズは「死んだら蝶になって戻り、愛する人の周りを飛び、指を差し出すと停まります」と答えた。バーンズは「素敵な答えだ」と誉めた。

リードがバーンズの信仰心の深さを計っていた。

リードが「一夫多妻制についてどう思うか?」と聞いてきた。

リードは「1890年、この慣習は消えた。これは教会の評判を汚し勧誘の妨げになると判断し“神の啓示”を利用し時代に会わないなった教義のひとつを消した」という。バーンズは「協会員の数を増やすために必要だったが消したのは悪評ではなく必要性が無くなったからです」と反論した。

リードは「ジョセフは使命を口実に女遊びを正当化しただけではないか?啓示を利用して身勝手な性生活を楽しむためだ。大きな力には大いなる責任が伴う」という。バーンズは「それは歪んだ見方です」と反論。リードは「教会そのものの歴史が裏付ける洗脳戦術だ。人間は欠点があり罪を犯し、嘘をつく、だから神の啓示が必要だ。啓示は真実なんだ。大事なのは神と個人的な繋がりだ」と説明した。バーンズの「教会に伝えます」と話し、この論議は終った。

リードがふたりに「ファーストフードは何が好きか?」と聞く。

バーンズは「ハーディーズ」と即座に応え、パクストンは迷った末に「ラリーズ」と答えた。リードが「タコベルはどうか?」とバーンズに聞くと頑なに答えない。ここはふたりの性格が大切、バーンズが返事しない理由は後ほど。

リードは自分に合う宗教を見つけたという。

リードは「好きなファーストフードを見つけるように唯一の宗教を見つけるためのいろいろな宗教をかじった。いろいろなジャンルの宗教、モルモン、サイエントロジー、イスラム、仏教を研究し神に近付いた。天の御父と個人の関係を築き繋がりを深めた。あらゆる宗派、カルト、信条が自分こそ真の宗教を主張するが顕微鏡で覗くと真実とは思えないので他に何かあると探した。そして運よく見つけた」と話した。ここまで聞いたバーンズは「もう説教はいい、奥様に会いたい」と申し出た。

リードが妻を呼びにいった間に、ふたりは帰ることを話し合った。そこにリードが戻って、「妻が会いたがっている」と次の部屋に案内した。バーンズは教会に電話するが繋がらない。自転車のロックが必要だがコートがない。ドアを開けようとすうが無理。仕方がなく次の部屋に入った。そこは祭壇のある部屋だった。

〇ふたりはこの家に封じ込められた、

リードがいて「帰るなら引き留めない。コートはここにある」と言う。ソファーにコートが置かれていた。ふたりはコートを着た。バーンズのコートにはロックがない。玄関の鍵を開けるよう頼むと「鍵はタイマーで話に夢中になりセットされ朝まで無理だ、裏口から出るしかない」という。さらに「すでに説明したように天井と壁は金属が入っており電話は通じない」と言った。バーンズが「奥様に裏口まで案内して欲しい」と申し出ると「聞いて来る。その前に質問したい」と言い出した。

リードが「今まで隣の部屋に妻が居ると思うか?」と問い返した。

リードは「この部屋を見ろ!パイを焼くオープンはなく君たちの儀礼に会わせてある。“信仰”という文脈で考えてみろ“、神を信じるのは子供のころ神はいると云われたからか?そうでない証拠を見たにも関わらず信じるか?それとも嘘と分った時に結果を怖れ真実でないことを信じ続けたか?なぜお前らはモルモンを信じるか?」と問うてきた。ししおどしの音がする。

一気に不気味な雰囲気になってきた。

バーンズが「裏口から出る」とドアを開けたが真っ暗な地下道で外に通じていないと感じ閉め、「教会の指導者は私たちの行先を知っています。目撃者もいます。返して欲しい」と申し出た。

〇教会が異変に気付き捜索に動き出した、

エルだー・ケネディが掃除をしていて、ふたりのシスターが戻っていないことに気付きふたりが訪れた家々を尋ね始めた。

〇リードは既存宗教を批判した。

リードはふたりを椅子に座らせ「パーカー・ブラザーズの“モノポリー”を知っているか?現在47もの言語で作られ114か国以上で販売されている」と説明し、レコード“安らぎの世界へ”を掛け、“欽定訳聖書”をテーブルに置き、「何か思い出さないか?」と聞いた。

リードは「1904年の“地主ゲーム”からスタートして1935年に“モノポリー”に名称変更、パーカー・ブラザーズに権利売却された。権利を買ったタローは考案者を自称し大富豪になったが、本当の考案者エリザス・マギーは影響力を知らず亡くなった。ここで“反復”について理解しておく必要がある」と次の話に移る。

「神は唯一だと信じるか?一神教の3大宗教はユダヤ教、キリスト教、イスラム教だ。ユダヤ教は“オリジナルバージョン”、キリスト教は最も人気のバージョン、イスラム教は2番目に人気のバージョン。最近の人気バージョンモノポリーに相当する“モルモン書”は800年後に登場だ。すなわちふうがわりなスピンオフ版だ。これらはすべて同じ素材の反復だ。これらのテキストは同じ登場人物が歴史を異なる意味と視点で描く」という。

次いで今聞いている曲ホリーズの“安らぎの世界へ”(1974)の反復について話す。

「ホリーズはレディオヘッドの“クリープ”(1992)を盗作で訴え自分たちのメロディーとリズムが使われたことを証明した。ラナ・デル・レイは“ゲット・フリー”(2002)でレディオヘッドから“クリープ”の盗作だと訴えられた」と話し、「“反復は時とともにメッセージは希釈され、オリジナルはぼやけてくる」と批判した。

正しいかどうか分からないが説得力はある。

〇リードは信仰を広めるための自分のアイデア(教義)を信じてみるかと勧めた。

「ユダヤ教が元祖一神教で他のどれよりも信者が多いはずなのだが少ない。世界の人口の0.2%ほどしかいないからか?モルモン教のように宣伝しないからだ。宣教師は家を尋ねるが“アイデア”を売り買うかは家人次第。我々のイデオロギーについて交渉することだ。「今夜、私から君たちに売り込みたいアイデアがある」という。

リードは「我々が崇拝する聖典は古代人が語り継いできた神話的物語の反復だ。“事実でも現実でもない”。古代へ通じる道でしかない、救い主の物語だ」とスライドでキリスト生誕の物語を語り、「この物語が別の物語に与える影響を無視できない。さらにこの物語は“反復”して伝わるのが“スター・ウオーズ ファントムメナス”だ。1000年後にはジャー・ジャーが重要な聖人になりかもしれない。恐ろしいことだ」と言う。(笑)

リードはふたりに「“信仰”は神が存在し我々の自慰行動を見たり神に懇願し称賛するものだけを救い憎まれそうなゲイを作るなら恐ろしいというものなのか、“不信仰”は神が存在せず我々が高みを目指さず宇宙を漂う惑星の好色な蟻ならこれも恐ろしい。“教会は真実か偽りか”教会は神の王国かそうでなければ無駄だ!これに同意するか?」と問うた。リードは「同意する」と言った。ふたりも同意した。さらに「すべての真実が何も真実でない」にも同意した。リードは「信仰に基づき扉を選べ」と指示した(この部屋には信仰と不信仰の扉が準備されている)。

〇ふたりは扉の選択に悩み、信仰の扉を選んだ!

パクストンは「教会の信仰を試されている」と選ぶのを渋る。バーンズは「帰るために必要なこと」と説得。これを見てリードが「信仰か不信仰かを選べと言っている。今日、世界に検証可能な1万の宗教は君たちの教会と同じように人工的だ。茶番で神聖さなどカケラもない。聖典はただの飾りでありゲームのように空虚だ。まだ何も起こってない」と選択を迫った。

パクストンは「あなたは賢い方です。私は学びが足りない、あなたの指摘に納得し不信仰の扉から帰ります。バーンズはこの方の言葉に従い正しい道を選ぶように」とバーンズの考えに従わないことにした。バーンズが「何を言っても無意味。正しさを言っても返してはくれない。帰ろう」と答え、リードに質問した。

バーンズがリードに「あなたは何かを知ろうとしている。これがゲーム?何を求めたいのか?今重要なのは私たちが何を信じるか。あなたの言葉は軽すぎ、不愉快です。ユダヤの人口が世界の0.2%と言いながらホローコストに触れずユダヤ人の宗教迫害に触れない。宣教師のことをバカにしただけ。イスラム教がキリスト復活を信じないことも無視。神話の神々とキリストの相似点をあげ違いについて触れない。神々のひとりには鳥の頭が付いている。私の信仰や不信仰にあなたの説が適合するわけがない」とバーンズのアイデアに反対意見を述べ、パクストンに「何を信じても同じ、まだ神を信じる?」と聞いた。パクストンは泣きながら「ハイ」と答えた。

〇ふたりは「信仰」の扉を選んだ。

ふたりは「エルダーがここを知っていて必ず助けにくる」と励ましながら暗い廊下を奥に進みある部屋に辿りついた。バーンズは「リードに反論し挑戦する。彼に考えさせ優位には立たせない」と天井からの出口を探したが見つからなかった。そのとき人がやってくる。バーンズはパクストンに「“魔法の下着”と言ったら刺して!」とナイフを渡した。

やってきたのが女でテーブルにパイを置きしゃがみ込み苦しみだした。

この部屋は通話管でリードのリビングと繋がっていた。ドアの隙間からリビングを覗くと絨毯にマッチ箱が落ちていた。リードが通話管を使って「今、君たちは神の生ける予言者(女)の前にいる。今夜、君たちを招いたのは私が奇跡を見たいからだ。この奇跡こそ既存の宗教は全て誤りであり、かって真実だった何かの残影にすぎない証拠だ。この奇跡が本物であることを証言して欲しい」と話し掛けた。

この扉はリードが考える唯一絶対的宗教の実証試験場への入り口だった。

「女はトリカブトとベラドンナ入りのパイを食べた。間もなく死に神の恩恵により生き返る、脈を見ろ!」と伝えてきた。バーンズは女の首動脈に手を当て死を確認し報告。リードが「間もなく復活する」と告げてきた。

ベル音が聞こえる。バーンズが隙間から覗くとリードが玄関の方に移動しエルダーに対応しているらしい。ふたりはエルダーに知らせるためマッチを引き寄せ火災を起こすことを思いついた。ふたりで絨毯を少しづつ引き寄せマッチを手に入れた。しかしマッチが点かない。このシーン、恐怖よりイライラ、長すぎた!(笑)

マッチが点き、ふたりはこれで女の顔を見た。

女は「私を呼んだ。天国ではない、彼らは・・・・。私の脳は現実でない」と喋った。そこに、リードが「予言者ありがとう。向こうへの旅立ち感謝する」と現れた。

リードが「君たちのどちらかが嘘をついている。一人はとても大きな秘密がある。何を目撃したか話せ!」と言った。

バーンズは「囚われの身の私たちに意見などない」と答えた。パクストンは「私は見た。向こう側の描写を聞いた。導くものがいたと聞いた。天使のこと、解離というか非現実的な感覚だった」と答えた。

リードは「女は神を見た、死ぬ心構えがあるから痛みなく一時的に予言者のように生き返れる。恐ろしくない、人の存在意識は?目的は?これらの疑問のために宗教がある。私には答えられる。どの宗教にも与えられない安らぎを私があたえた」と主張した。

これにバーンズが「奇跡のトリックだ」と反論した。

バーンズが「タコベルによる食中毒で臨床的に死んだ状態になり予言者が言った同じ光景を見た。そこは天国ではなかった。予言者が言うのは臨死体験だ。あなたはあの女性を死の淵に立たせ無意味な幻覚を喋らせ唯一絶対の宗教を立証しようとしているだけ」と反論した。これにリードは「君の反論は記憶の記憶の記憶、きりのない記憶の重畳だ。我々は奇術の話ではない、目の前で起こったことだ」と答えた。

バーンズが「違う!私は魔法の下着の話をしている」と反論した。

その瞬間、リードによってバーンズの首は斬られ出血し倒れた。怯えるパクストンにリードは「彼女は生きている。復活する」と慰めた。リードがバーンズを起こそうとするがダメで、「生き返らない」とナイフで右腕を切り裂きチップを引き出し「バーンズは人間ではないプログラムだ」と言う。そしてパクストンに「今、我々は高度なシミュレーション理論の中にいる。現実か人工的な夢なのか予言者が言った“これは現実でない”世界だ。君なら死を乗り越え目覚める」と告げた。

パクストンは「マイクロチップじゃない、避妊インプラントです。バーンズは教会には言いにくいが避妊処置をしていると言っていた。これでシミュレーション理論はどうなるのですか?検証は不能ですよね」とリードに聞いた。リードは「奇跡を信じるだろう」と言った。

パクストンは「予想外のことが起き、シミュレーション理論で説明しようとしているが上手く行かない。上手く説明できないが、あなたは死体を入れ替えただけです」と反論した。リードは「それが本当なら地下に通じる別の入り口が必要だ」と言い、「水を流してみろ」と教えた。

パクストンは床に水を流し地下入口のマンホールを発見。

地下に降りて部屋を見た。女がいた形跡がある。次々にドアを開け奥の部屋に進んだ。すると自転車の鍵で閉められた部屋に行き着いた。ロックで開け中に入ると女性が檻の中に入れられていた。そこにリードが現れた。

〇リードがパクストンに「唯一絶対な宗教とは何か」と問うた。

パクストンは「ロックで最後の扉を私が開けるよう全てあなたが仕組んだ罠で私はここに立っている。私は自分の選択ではなくあなたの操作でここに居る。“唯一の宗教は支配だ”と私に信じさせるためです」と答えた。リードは「その通りだ!宗教とは支配のシステムだ」と言った。女が檻から出たがる。これにリードは「女は助を求めてない、放っておけ!」という。パクストンが「あなたはすでにひとり殺している」と責めると「自分で毒入りパイを食べた。彼女たちは寒く空腹な状態に置くと食べる人民寺院だ。君たちがハリケーンの後で聖書を配るのと同じだ。全てを失ったものが簡単に支配できる」と弁明した。

もうリードの頭はサイコだと分る。

リードが「君は他者の考えに影響され決断する。人生の全てを他者に委ねた。誰をどこで何を崇拝するか、どういう下着を着るかも彼らが決めた」とパクストンの信仰を貶した。パクストンは「何ですって?」と怒った。リードが「魔法の下着だよ」と言った瞬間、パクストンはリードの喉をナイフで突きリビングに逃げ出した。リードが追ってきてパクストンの腹を突いた。

〇パクストンはひたすら祈り、宗教とは何か?を知った。

パクストンはリビングの壁絵“天国はエルサレム、地獄はルシファー”を見た。こんな宗派はない。リードがナイフを持ってにじりよってくる。彼女は「祈りは効果がない、信者でも信者でなくても互いに祈るのは美しい。例え何も生まれないと分っていても。自分以外の誰かを想うことはいいこと。それがあなたでも私に人生を与えてくださった。試練をお示しくださった道に感謝します」と懸命に祈った。そこにバーンズが現れリードを釘がついた板で殴り倒し亡くなった。パクストン手に蝶がとまり、窓に導かれ外に逃げ出した。

まとめ:

唯一絶対宗教を信じる男が全ての宗教を批判し、自らの宗教の正当性を実証実験する話。

前段の現代宗教の欠陥を論じるリードの熱弁、その熱弁が面白かった。しかし、後段の実証実験でバーンズの信仰心に疑問を抱き実証実験の失敗し宗教とは何かが明かされる、このドンデン返しも面白かった。ミステリーとして十分だと思う。

宗教とは何かに応えようとするメッセージ性に価値がある、A24らしい作品だった。

リードの熱弁、

既存宗教は“反復は時とともにメッセージは希釈され、オリジナルはぼやけてきて、行き着くところ“スター・ウオーズ ファントムメナス”となりジャー・ジャーが重要な聖人になりかもしれないという話。笑ったが、面白い見方だと思った。彼の熱弁の真実か嘘はバーンズが問い詰めたが、ここで語られる話を無視することはできないと、面白く観ました。

異様な雰囲気の中での死からの復活検証実験。

信仰心は薄いとみたパクストンを強引に検証実験は嘘と気付かせ、「宗教とは支配のシステムだ」と説く件、バカバカしい話だと思えるが、宗教にはこの一端があると見逃せなかった。

そして検証実験の嘘を暴いたパクストンを殺しに掛かるリード、このリードさえパクストンは「祈りは効果がない、でも互いに祈るのは美しい。例え何も生まれないと分っていても。自分以外の誰かを想うことはいいこと。それがあなたでも私に人生を与えてくださった。試練をお示しくださった道に感謝します」と許し、このことで奇跡が起こるという宗教観、まっとうな宗教論だと思った。

ヒュー・グラントはいつもの優しいで、厳しい言葉を喋り、説得力があった。

ふたりのシスター、ソフィー・サッチャーとクロエ・イースト。どちらも可愛かった。これだけでも見る価値ありです。(笑)ふたりには信仰の深さに差があり、これを上手く演じた。クロエ・イーストの優しさが宗教を持つことで強さに替る、よかった。

最後にくりはえしになりますが、高市政権は危ない!いまの日本は危ない!と思った。

              ****

「恋愛裁判」(2025)自らの恋を裁判にかけ、恋とは?人生の意味を問う!

 

「淵に立つ」「LOVE LIFE」の深田晃司監督が、アイドルの恋愛禁止ルールを題材に描いたオリジナル作品。

恋愛禁止ルールを破ったとして裁判にかけられる女性アイドルの姿を通して、日本で独自に発展したアイドル文化と、その中で暗黙の了解とされてきた「アイドルの恋愛禁止」問題について切り込んだ社会派ドラマ。

2025年第78回カンヌ国際映画祭・カンヌ・プレミア部門の正式出品作。

深田晃司監督作品ということで「あなたはどんな人生を選びますか?」と期待し、観ることにしました。

契約事項に反して恋愛してしまったアイドル。

会社から契約違反として訴えられたアイドル、恋のために裁判で闘い始めたが、相手の和解条件に揺れる。彼女が下した判断は?それは彼女の人生、女性の自立という結末に納得。自らの恋を裁判にかけた作品だった。ところがもっと強者がいた。恋とは何か、“相手は男だけではないぞ”と。

アイドルの恋愛はご法度なのかとひりひりしながらその行方を追う。面白かった。

監督:深田晃司、脚本:深田晃司 三谷伸太朗、撮影:四宮秀俊、編集:シルビー・ラジェ、音楽:agehasprings、主題歌:yama。

出演者:齊藤京子、倉悠貴、仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなの、唐田えりか、津田健次郎、他。

物語は、

人気上昇中のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める人気メンバーの山岡真衣(齊藤京子)は、中学時代の同級生・間山敬(倉悠貴)と偶然再会し、意気投合して恋に落ちる。アイドルとしての立場と恋愛との間で葛藤していた真衣だったが、ある事件をきっかけに衝動的に敬のもとへ駆け寄る。それから8カ月後、真衣は所属事務所から「恋愛禁止条項」の契約違反として裁判所に召喚されることになる。裁判では、事務所社長の吉田光一(津田健次郎)やチーフマネージャーの矢吹早耶(唐田えりか)らが真衣を追及するが……。


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あらすじ&感想:

冒頭、ハッピー・ファンファーレの会場入りから物語が始まる。

5人グループのハッピー・ファンファーレがボックスカーで会場に到着。センターの真衣が居眠りをして降りてこない。起こしたのが梨沙(小川未祐)。

結成されて4年目、今日は先生が観にくると気合を掛けて舞台に。彼女たちのパフォーマンスが始まった。2024年10月27日、次の出演決定をフアンに発表して大盛り上がり!

その後の握手会、

菜々香(仲村悠菜)に男性フアンが「CD50枚買った」と近づく、その後も次々と。センターの真衣には気になるところ?これが彼女たちのモチベーションに繋がる。

夜、ボックスカーで彼女たちは宿舎に届けられる、

早那マネージャーから「ダンスもばらばら声も出てない、このままでは恥かくよ。真衣は居眠りが多い、ゆっくり休むこと」と注意される。

真衣、梨沙、菜々香の3人はルームシェア、

菜々香はゲームをしながら化粧を落しSNSのコメント“超可愛かった”を読む。そこに真衣と梨沙が集り、明日どこに遊びに行くか?真衣の希望で動物園に決まった。

〇真衣は動物園で大道芸人の間山に出会った、

真衣たち、梨沙の女友人も加わって6人で動物園に。皆は人気のお猿さんの展示会場に奔ったが、真衣は玉を宙に浮かせ奇妙な芸を披露する大道芸人が目に入った。その芸人と目が会った、お面を外すと中学時代の同級生・間山だった。

〇真衣たち、カラオケで本音をぶつける!

メンバーたちはしっかり練習した後、夜、カラオケに繰り出した。

これにはそれぞれの友人も加わっていた。真衣は間山、梨沙は例の女性、菜々香はゲーム・ユチューバーの裕也と参加。菜々香と裕也が唄っている間に梨沙と女性、そして真衣は間山は屋上に出て休憩。

梨沙は「今だ、東京に充実感がない」と言い、街の灯を見て「私の家は太平洋が広がっていて水平線からゆっくり朝日が出てくる。下の方がダルマに見えるんだ」と故郷を懐かしむ。梨沙と女性が去ったあと、真衣と間山が屋上に残り話し合った。

間山が菜々香と裕也の関係を聞いた。

真衣は「ふたりはオンラインで知り合った。裕也はゲーム配信をしている」と答えた。

「アイドルは厳しいのか?」と聞かれ、真衣は「そうだけど、幸せオーラを出してくるから(必要)、今の話は絶対大事なので言わないで!」と釘を刺した。間山が「校則違反を言わなかったろう」と問うと「あなたも中学の時、アルバイトしていた」と言い返した。(笑)

間山は「お陰で、イギリスに留学でき、これで修行できた」という。真衣は「最近落ち込んでいる。歌もダンスも上手く出来ない、舞台で歓声を聞いてるだけ、これでいいのかな?と思う」と話した。間山は「それでいいんだ!大道芸の爺さんは50年やって、まだ未完成だと言ってる」と答え、特別なマジック芸を見せた。真衣は感動した。

ふたりがカラオケボックスに戻ると、皆はもう帰っていた。ふたりは頭の上にグラスを立てるゲームで盛り上がった。

〇新曲“君色ナミダ”の発表でメンバーのポジション入れ替え!

メンバーに新曲を聞かせる。そして新しいメンバーポジションが発表された。センターは菜々香、2番真衣、3位美波(今村美月)、4番梨沙、5番姫奈(桜ひなの)。早那から「菜々香は初センターだから緊張せず頑張るように」と注意があった。そして新しいポジションでダンスレッスンが始まった。

真衣は間山のことが気になってしかたがない、

レッスンが終わって暇が出来れば街に出て、間山の芸を見た。「今日は儲かった」という間山。「地方周りの仕事で家賃がもったいない、食事も自分で作る」と車の中で生活していた。

真衣は「曲もダンスも全て作ってもらってる。センターも曲で変わるが人気順かもしれない、グループだから与えられたものの中で精一杯やるのがプロ」と自分の立場を説明した。

真衣は間山に車で宿舎まで送ってもらった。車の中で真衣は「出来たら教えてくれ!」とジャングリングの玉を渡された。真衣が「これで男の子とふたりきりということになるとリーダーに殺される。厳格だから」と話した。間山が「俺も殺されるか?」と聞くから「しょっちゅう誘ってるの?」と聞くと「たまにだ!」と言った。

梨沙から携帯で「いつ帰る、早那ちゃんにチクるよ。これみろ!」と菜々香と裕也のデート写真を送ってきた。写真には早那の叱責コメントが載っていた。

〇菜々香と裕也の関係に吉田所長が気付き、他の4人のメンバーに注意がなされた。

「今回のものは菜々香が使っていたウラアクントで流れた。本人は反省しているし処分についてはあとで決める。事務所以外の人には何を聞かれても答えない。皆に迷惑、遊びではない!」と厳重な注意があった。早那マネージャーから「処分は決まってない、解散!」と云われ、終わった。

美波が「他にいないよね!ここに私は人生掛けているんだから!絶対に許さない、裏切る子がいたら」と声を上げた。

真衣は街頭で間山の芸を見ていた。その帰り、菜々香が別れることを知った。

間山に車で送ってもらう車の中で、梨沙からのメール「菜々香、別れるって」を受け取った。「別の方法ないの?」と問うと「無理、ルールだから。辞めるか別れるしかない」という。「お互いに好きなのに」と問うと「仕方がない」という。間山が「俺も会わない方がいいの?やっぱりおかしいよ」と言った。

〇菜々香がSNS動画でフアンに謝罪した。

菜々香は「今日は話さないといけないことがあります。SNSでプライベート写真が拡散、嘘も多くてユーチューバーの裕也さんとはいいお友達です。私の軽率な行動でご迷惑を掛けました。皆さんの会いたい人になるのでよろしくお願いします」と謝罪した。菜々香は泣いた。美波と梨沙が菜々香を抱いて慰めた。菜々香は「実家から通うことになった」と荷物をまとめていた。

美波が裕也のアカウントの削除を求めた。菜々香は「アイドルは辞めたくない!」と同意し、梨沙が削除した。

菜々香が宿舎を出ようとしたところに裕也と間山が現れた。

裕也が「迷惑かけた、ちゃんと話したい」というが、菜々香は「ごめんなさい」と断った。逃げる菜々香を追って間山が「ちゃんと話せ!」と止めた。美波が「菜々香を思うなら来ないで欲しい」と断り、ふたりがエレバーターに乗った。間山が「裕也、おかしいだろう。何でもかんでも上のいう通り。大人なんだろうが」と怒り声を上げた。

〇以前と変わらず、メンバー5人によるレッスンが続く。

真衣はジャングリング玉を見ては間山を思い出し、彼の大道芸を覗きに街に出た。

間山から「どうにかならないのか」と問われるが「ルールだからね。ばれたら辞めるか別れるしかない」」と答えた。「お互いに好きなのに」と云われても「仕方がない」が返事だった。

〇新曲「君色のナミダ」発表イベントで事件が起きた。

5人のパ-フォマンスが終った。握手会、菜々香にはフアンが少くなかった。そこに白いフードを被った山ちゃんが近づき発煙筒を投げ会場は一瞬に煙に巻かれた。警備員が山ちゃんを取り押さえた。メンバーは早那の誘導で退避。真衣は倒れた菜々香を救出し、山ちゃんがストレッチャーで救急車に載せらるのを見た。

菜々香が「これTVに出るよ、名前が出るのは初めて!」と言った。事務所のスタッフが駆けつけた。梨沙が「犯人は私たちのフアンです」というと「今警察が調べている。マスコミに何を聞かれても何も話すな!犯人を悪くいうのはダメだ」と発言を禁じた。

姫奈が「山ちゃんはいつもきている」と口答え。真衣が「イベントに来てCDを何10枚も買う、数分私たちと話すために。私たちは山ちゃんを知っている。が、怖かった。でも私たちを守ってくれたのはフアンの人たちだった」と答えた。菜々香が怪訝な顔で真衣を見ていた。

メンバーは宿に戻るボックスカーに乗り始めたとき、間山が車で現われた。真衣は間山の車に飛び乗り、「山ちゃんと目が会った時、間山君の顔を思い出した」と話しここを走り去った。ふたりは車の中でキスした。

〇事件から8か月後、

真衣と間山がパーレル事務所から“契約不履行罪”で訴えられ、“損害賠償請求事件”裁判が始まった。

証人・早那に対するパーレル事務所弁護士の尋問、

Q 契約の現場にいたか はい

Q 強要、誘導されたか  ない、自分で確認し押印した。

Q 疑問や質問があったか ない

Q マネージャーの前の仕事 アイドルとして同じ事務所で仕事をしていた。

Q こういう契約を交わしたか はい、同じ契約です。

Q なぜ恋愛という項目があるか 

  アイドルは一般的な仕事と異なる。応援してくれる人がいて成り立つ。握手することで収益になっている。フアンも楽しみにしている。本気で触りフアンも恋している。恋愛禁止は当然のルールです。

Q 間山との恋愛が発覚、800万円の損害は妥当か 返事せず

真衣に対する真衣の弁護士・笠原の尋問、

Q 恋愛禁止を確認したか 何が書いてあるかよく分らず、何んとなく読んだ。

Q 恋愛を認識していたか 

子供のころから見てるアイドルだからそういうものと思っていた。でも恋愛がどういうものか認識していなかった。

Q 契約書を見た時の気持ちは

  子供のころからアイドル希望だったがなかなかオーディションに合格しなかった。やめようと思ってるときにここに合格した。合格したとき嬉しくて早く契約したいと思った。

〇メンバー4人でハッピー・ファンファーレがツアーを開始、

夜、真衣と間山はツアーに出る梨沙に会った。梨沙がお金を心配してくれた。真衣が「損害賠償が出ている、過失ですいません」と謝ると梨沙は「過失じゃない、判決は?」と聞いた。「あと2か月」と答えた。梨沙が「ひどすぎる、私も辞めたい」と云うので「大事なときよ」と真衣が止めた。梨沙が「応援する」と言った。

賠償金がふたりでは違うらしい。賠償金の支払いで、真衣は父に借りて全額払うつもりにしてるが間山は「バイトして払う」と言い、気になった。

裁判が続く、

間山に対する間山の弁護士の尋問、

Q 真衣がアイドル活動してることを知っていたか 知らなかった

Q あなたはフアンでなかった はい 

Q 契約書には“フアンと交際が発覚したとき”となっていますが

  原告は(フアン以外に)破棄し損害請求が無いからこの契約に違反してない。

Q 再会はどちらから 覚えてない

Q 契約のこと聞かされていたか 聞いていない

Q 巻き込まれた被害者であることを強調させていただく

  暗黙の契約があるとは聞いていた。

Q 契約書を見たことは  ない

 

真衣に対するパーレル事務所弁護士の尋問、真衣の弁護士は笠間。

Q 交際していたことは認める はい

Q 恋愛が始まったのはいつから 再会したとき

Q 告白はどちら わたし

Q 性的な関係は

笠間 個人的な質問で不適切

Q 項目がある

裁判官 続けて 「言いたくない」

笠間 最後の質問、交際がフアンや仲間を裏切行為になることを知らなかった 

   そのときはそこまで思い至りませんでした。

Q アイドルには清らかな性が求められる。分っていたはずですね、だから犯人に接していたのではないですか。フアンのみなさんにどう感じていた

  申し訳なかったと思っています。

Q 交際を止めなかったんですよね はい

Q なぜですか 自分の気持ちに嘘つくのが嫌だった

真衣の答弁には結構不利と思えるものがあったように思う。

〇賠償金支払いで真衣と間山の間に齟齬が発生。

真衣は父から借金して払うと決めていたのに間山が「支払いのため車を売った」という。真衣が買い戻しに奔り出すと「結婚式場で働くことになった」という。真衣は「好きなようにしたら」と呆れ、喧嘩になった。真衣が間山を好きになったのは大道芸を演じる間山だったのだ。そこに笠原弁護士から「進展あり、至急電話を」と連絡が入った。

〇大手通販会社がパーレル事務所を買収し和解案を提示。

真衣、間山、笠原弁護士が通販会社を訪れた。伊藤代表が「健全な形で芸能界に関わりたい。謝罪文と守秘義務をお願いし全額取り下げしたい」と和解案を提示した。伊藤代表は子供のためにと真衣と一緒の写真を撮りたいと好意を示した。

その帰り、間山は「和解したい、人生の方が裁判より大切だ」と言って、ひとりで帰っていった。

〇真衣は実家にいる菜々香を尋ね、恋を捨てアイドルに生きる彼女を見た。

真衣は「裕也のことは今でも好き?あのとき本気で庇ってあげられなくて後悔してる」と話し掛けた。菜々香は「裕也はもう関係ない。今が絶好調、ここしかない。私たちはメジャーになった」と言い、「真衣は(チームに)戻れないから後悔している。毎日死にたい!顔みれば分る、私は真衣とは違う。私を利用しないで」と真衣の考えを全面否定した。菜々香はもうあの時とは違うアイドル人生を歩いていた。

その帰り、「ハッピー☆ファンファーレ」の4人のデカい顔が描かれた宣伝カーに出会った。真衣は「自分はここには戻れない」と泣き崩れた。真衣は事務所ときっちりと決着をつけることにした。

真衣は笠原弁護士に“和解しない”場合の弁護について意見を求めた。

笠原は「完全に勝ことは難しい、その場合は別の方を紹介します。間山さんは和解に決めたようです」と話した。

真衣はダンスレッスン教室で子供たちにレッスンを頼まれ、自分の道を見つけた!

5人の女の子に「真衣ちゃんに似ている、さっきのダンスがよかった。教えて」と頼まれ、教えた。そこに間山が久しぶりに尋ねてきた。

間山が「真衣は楽しそうだ。ダンスが上手くなった」という。ふたりは食事をした。間山にはまだ真衣に未練があるようだった。

〇和解案に応えるため真衣、間山は通販会社に集まった。

間山と代理弁護士が待ってると、そこに真衣が女性弁護士・杉浦と部屋に入って来た。通販会社弁護士が「和解条項を確認します」と切り出しと、杉浦弁護士が「和解しないことにしました」と発言、真衣も「和解しません」と伝えた。間山は和解に応じた。

杉浦弁護士から通販会社弁護士に「原告に対して別訴を準備します。基本的人権、幸福権に鑑み、不当な契約で精神的苦痛を与えたことです。株式会社ファーレスに対して証人尋問をお願いします」と申し入れた。

〇裁判が終わり、真衣は梨沙の故郷で日の出を仰ぐことにした。

真衣は裁判で梨沙の証人出廷に感謝し、梨沙の新曲がすばらしく成功したことを誉めた。梨沙から「裁判はお芝居のようだった。1年間よく頑張った、仕事は?」と聞かれ「今、ダンス教師をしないかと誘われている」と答えた。梨沙が「今暇なら恋人でも作ったら」という。「貴方は?」と」聞くと「ずっといるよ!動物園でもカラオクでも会っているでしょう。会社の契約書には“異性との交際”としか書いてない、今一緒に住んでいる」という。真衣は「本当だ、最高だ」と誉めた!(笑)ふたりはすばらしい海から昇る朝日を眺めた。

まとめ:

前段、それぞれのアイドルの生き方描かれる。

真衣は間山との恋に、新曲発表イベント事件でアイドルとして生きることに疑問を持つ。一方、菜々香は恋を捨てアイドルで生きる覚悟ができ、梨沙は契約書を守りながら「今だ、充実感はないが、これで生きるしかない」と覚悟が出来ていく。

冗長なようで丁寧に日本のアイドル文化が描かれ、面白く観ました。

深田監督が10年をかけて完成させたというのが分かります。

後段、“契約不履行罪”による“損害賠償請求事件”裁判

恋愛禁止条項そのものは直ちに違法とはいえないが、運用や罰則しだいでは無効や制限的解釈になりうると云われている。

裁判そのものは面白くなかった!

事務所側と激しく論争することもなく、間山は自分の罪は軽いと判断、和解したいと傾いた。一方の真衣は自分の責任は逃れられないが、和解して事務所に残れるのかという不安があった。賠償金支払いの考え方の相違から、“この愛が続くのか”という不安が出てきた。菜々香に会い「そこに自分の居場所はない」ことを確認し、会社とはきっちり決着をつけ新しい生き方を見つけた。

間山は和解を選び、真衣は人権で争う道を選んだ。

真衣は自立しダンス教師も道で生きることにした。間山とは別れることになるが、女性の自立という視点から長い将来を考え良い選択だと思う。

ラストシーンで真衣と裁判を援護した梨沙が朝日を見る旅の中で、梨沙の告白「会社の契約書には“異性との交際”としか書いてない、今一緒に住んでいる」、真衣の恋愛裁判を越えたレスビアンとしての生き方、なるほどこの手があったかとこれは驚きだった。(笑)

齊藤京子、倉悠貴、仲村悠菜、小川未祐さんのお芝居はとてもよかった。

初めての女性総理誕生でも「天皇は男系男子でなければならない」という時代遅れの日本。この作品で、アイドルもいいが、“女性は自立を基本的に生きなさい”と訴えたのが良かった。

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劇映画「孤独のグルメ」(2025)料理の味、食材だけではなかった!美味い秘訣は?

 

原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる同名漫画を実写化し、グルメドキュメンタリードラマの代名詞的存在として長年にわたり人気を集めるTVドラマ「孤独のグルメ」シリーズの劇場版。

TVドラマは観ていない、人気ドラマシリーズの劇場版ということで観ることにしました。

主演の松重豊が自ら監督を務め、主人公・井之頭五郎が究極のスープを求めて世界を巡る姿を描くというもの。

孤独のグルメってどういう意味?

松重豊さん演じる井之頭五郎が“腹減った!”と彷徨、店を探して美味そうに食べる?

ストーリーはパロディーかと思っていたが、 “調理の味は何で決まるか、そこには人生がある”という結末に良い話だと思った。フランスのオニオンスープで始って日本のラーメンで終る料理、どの料理も食べてみたくなるものでした。美味そうに食べる松重さんが最高だった!

監督:松重豊、原作(作):久住昌之、原作(画):谷口ジロー、脚本:松重豊 田口佳宏、撮影監督:赤松比呂志、撮影:金子圭太郎、編集:相羽千尋、音楽:Kan Sano The Screen Tones、主題歌:ザ・クロマニヨンズ。

出演者:松重豊、内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、ユ・ジェミョン、塩見三省、杏、オダギリジョー。

物語は、

輸入雑貨の貿易商・井之頭五郎(松重豊)は、かつての恋人である小雪の娘・千秋(杏)からある依頼を受けてフランスへ向かう。パリに到着するといつものように空腹を満たし、依頼者である千秋の祖父・一郎(塩見三省)のもとを訪れる。一郎は「子どもの頃に飲んだスープをもう一度飲みたい」と願っており、五郎にそのレシピと食材を探してほしいと依頼。わずかなヒントを頼りに、究極のスープを求めてフランス、韓国、長崎、東京を駆け巡る五郎だったが、行く先々でさまざまな人物や事件に遭遇し、次第に大きな何かに巻き込まれていく。(映画COMより)


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あらすじ&感想:

〇五郎は機内食を喰いそびれてパリに着いた。

五郎は機内食で喰い逃がしたビーフシチュウーが恨めしい。早速ル・ルクテルというレストランでビーフブルギニョンを注文。出てきたオニオンスープを「スープに国境はない」と味わい、ビーフブルギニョンを「やっと捕まえた、今俺はナポレオンだ」と食らいつく。(笑)

五郎が食べるだけの映画だが味に説明をつけてくれるのでその美味さが伝わってくる。

〇千秋からの依頼ものの絵画を持って、一郎を尋ねた。

千秋と一郎は洒落た小さなアパートに住んでいた。千秋からの頼まれものは一郎がかって住んでいた長崎・福江島の家並みの絵だった。この絵を見て、一郎は「子供のころお袋が作ってくれた汁、これをもう一度飲みたい!いっちゃん汁、五島列島の食材をアレンジして作ったもので、動物、魚、野菜、いろんなうま味がちゃんと分る汁、これを頼まれてもらえないか」と持ち出された。五郎は「やれるだけやってみます」と引き受けた。

五郎は仕事仲間の滝山(村田雅浩)に連絡するが、「分らん」というので自分で探すことにした。

〇五郎は福江島にやってきて、食材を探し始めた。

役場で話を聞く、「田中乾物店を尋ねたら」と案内され、先ずは“腹減った”と食堂“みかんや”に。そこで“長崎ちゃんぽん“を美味そうに「具材が麺と口の中でちゃんぽんになる」と食べた。(笑)具材は昆布、イリコ、豚骨でいっちゃん汁に近付いていると思った。

田中乾物店を尋ね、“エソの煮干しに豚骨だ”と教わった。“エソは向かいの島で作っている”と聞いて尋ねることにしたが、船便がない。

五郎は目の前の島だからとSUP(スタンドアップバドルボート)で渡ることにした。ところが天候急変で謎の島に流れついた。

目覚めた五郎が“腹が減った”とあたりを探すとキャンプ用炊事セットが見つかった。かなり怪しげな設定だが我慢して観る。(笑)

キノコを見つけ、貝を獲り、これにパリ行きの飛行機で貰った干し納豆を加えて“海鮮納豆キノコ鍋”を作って食べた。(笑)すると腹の調子が悪くなって、夢かと思ったが目覚めると部屋の中にいた。ここは韓国領の孤島だった。

〇五郎は韓国領の孤島ナンブンドに辿りつき、美しい日本女性に出会った。

五郎は目覚めるとこの島の連絡員で船長のダニエルの案内で美しい日本女性・志穂(内田有紀)に会った。

志穂が「ここはナンブンドという韓国の島で食品研究所しかない、男たちに愛想尽かした女たちの島です」という。

五郎は連絡便を待つまで滞在されてもらいことにした。志穂は「東京でラーマン屋をやっていて、こだわりのスープを作っていた」と話す。五が郎が「いっちゃん汁を探していて、海草と山の幸がまだ分からない」と話すと、「今晩の食事は島の食材です」と誘ってくれた。

夕食、吾郎は女性たちが見つめる中で、ここで採れた食材の料理を食べた。

オクラトマト魚介の酢コチュジャンかけ、韓国カボチャ炒め、鶏のポッサム、野菜のスープ、干し椎茸焼きのカンニョムソースにご飯。感想は「蒸鶏はとんでもなく美味い、青唐辛子、網エビがめしを呼ぶ。椎茸のうま味、野菜の出汁の向こうに海が広がる」だった。どんな味だ?食べたくなりますね。(笑)五郎の美味そうに食べる姿に料理を作った女性たちが歓声!

志穂が「ラーマン屋を夫とやっていた。夫はフレンチだけど独立するときラーメンで勝負し大成功だった。コロナ禍と食材の高騰で経営が苦しくなり、ふたりの関係も悪くなりお互いに不幸になると一旦別れようとこの島にきました。いまやっているかどうか分からないですがもし近くに行くことがあったら」と話し、名刺を渡した。

島を離れる際、志穂から“昆布と椎茸”をおみやげに貰った。そして船長のダニエルから「韓国にはヘジャングというスープがある」と紹介された。

〇五郎は韓国旧助羅(クジョラ)港に着き、ここから日本に帰国することになった。

港に着くや“腹減った”とサバが美味そうな店で韓国入国審査官を待つことにした。

サバを注文するとミッパンチャン(前菜6皿)が出てきた。そこに入国審査官(ユ・ジェミョン)が現れた。五郎は入国審査官を横に置いて食べ始めた。

「キムチ、カシリ(青のりでない)、前菜軍団がすばらしい」と美味そうに食べる。入国審査官に勧めたが彼は断ったが、彼は“実はいい加減にしろ”という気分だった。(笑)

そこにファンテヘジャンクが出てきた。五郎はめちゃめちゃに気にいった。食材について入国審査官に聞くと“明太子”と日本語で書いてくれた。“スケソウタラの干物”と分った。サバが出たがもう腹いっぱいで食べられなかった!

東京に戻った五郎は食材“椎茸、昆布、豚骨、エソ”をパリの千秋に送った。

千秋から「いっちゃん汁のいっちゃんは祖父が“幼い頃に呼ばれていた名前”からきてる」と伝えてきた。

〇五郎は志穂から紹介された食堂“さんせいぜ”を尋ねた。

狭い店で暗かった。「チャーハンしかない」と店主がぶっきらぼうに云う。五郎はチャーハンを食べた。“この味は何だ!”と美味かった。

数日後、店を訪れると先客があった。ふたりはチャーハンを食べた。先客が「ラーメンが気になる」というと店主が「ラーメン喰いたいなら他へ行け」と怒った。店を出た先客・中川(磯村勇斗)を五郎が追った。五郎が「そこのラーメン好きなんですか?」と聞くと、中川が「あそこのラーメンはやさしい味でうまい。いろいろと混ざっている」という。

ふたりはカフェで話合って、スープ鍋と食材持ち込みのスープ作りを依頼してみることにした。

ふたりは食材と鍋を持って再度見世を訪れ、「これでラーメン汁を作って欲しい。食材がいくらでも手に入る」と依頼した。店主が「この椎茸はどこで仕入れた」と聞くので「安く手に入るルートがある。イリコはエソという深海魚だ」と説明すると、「3日かかる」と引き受けた。

3日後、ふたりで店を尋ねた。

もうすこし時間をくれという。出来上がったラーメンを食べて、中川が「何か足りない、以前のさんせいぜにはいろいろなものが混ざっていた」と指摘した。店主も「そうだな、エソはいい味が出るが豚骨と混ぜるとうま味が消える、もっと濃いうま味の魚はないか?」と聞いた。五郎が「ファンテ、出直しますので少し時間ください」と店を出た。

五郎はダニエルにファンテを、滝山に“さんせいぜ”の印の描いたどんぶりを注文した。

ダニエルが「墓参りのついでだ」と大量のファンテを持ってきてくれた。滝山も食器を整えてくれた。4人でさんせいぜに急いだ。

ラーメンが出来上がった。4人の喰いっぷりがいい。やはり松重さんがトップかな。(笑)4人とも「美味い」と言った。五郎は友人に送りたいと申し出た。中川が「前にお願いしましたが番組で取り上げさせて欲しい」と頼み、店主も了解した

撮影日、

孤独のグルメの撮影だった。(笑)遠藤憲一が出演でラーメンを食べ、五郎がその横でチャーハンを食べる設定。遠憲さんが「うまそうに食べますね」と五郎に声を掛け、ラーメン食べて「美味かった」と店を出る。

この番組が韓国にも流れ、入国審査官家族があの店でサバを食べながらみた。

吾郎は志穂にもスープを送ろうと店を尋ねた。

“さんせいぜ”店は大繁盛となっていた。五郎が客のいなくなった時間にスープを分けて貰いにくると店主が「あのどんぶりのデザインはかみさんなんだ、フランスに送ったのに家で飲むのか?」と聞いた。

〇この汁に対する志穂の反応、

汁はダニエルから志穂に届けられた。志穂は吞んでみてにっこり!研究所の皆に「ラーメン食べよう」と声を掛けた。

〇この汁に対するフランスの一郎の反応、

吾郎はリモートで感想を聴いた。一郎は「違うな、違う、美味すぎる!まだ、くたばれない!食材は間違いない、千秋ならもっと下手につくれる」と言った。

ラストシーン、吾郎は腹をすかせ料理を求めて今日も街を彷徨う、孤独感がよく出てる。タイトルはこれかな!

まとめ:

料理を食べ歩く作品?

松重さんの喰いっぷりが美味そうでよかった。(笑)ちゃんと味を説明してくれるのがいい、食べたくなりますね。

料理の味は食材だけでなく、作った人にある。そこには沢山の思い出が詰まってるという一郎は母の味。

志穂にとっては夫の味だった。これで人生を取り戻すかもしれない魔法の味。

一番美味そうだったのは、腹が最高に減っていたナンプンド漂着時食べた“海鮮納豆キノコ鍋”。(笑)

五島列島を尋ねたことがないので、これは参考になりました。ずいぶんと孤島ナンブンドを探しました。(笑)

この作品を観て、おふくろの味、祭り寿司を思い出しました。

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「ブゴニア」(2025)坊主頭のエマ・ストーン、何の罪で捕まった?人間が裁かれる罪は?

 

「哀れなるものたち」「哀れみの3章」(2024)などのヨルゴス・ランティモス監督が、5度目のタッグとなるエマ・ストーンを主演に迎えて描いた宇宙人誘拐サスペンス。韓国映画「地球を守れ!」(2003)をリメイクしたとのこと。

ランティモス監督が人類の悪行をどう描くかと監督、エマ・ストーンで観ることにしました。

養蜂家の男が社会で起きる不条理を研究した結果、大手製薬会社CEOをCCD(蜂群崩壊症候群)施策を進める宇宙人と断定して逮捕。男はこのCEOの案内で宇宙人帝国の帝王と交渉し地球から宇宙人を退去させ地球を救おうと尋問を開始。しかし、尋問中どちらが地球を救うのか混沌としてくる中で迎える結末。CEOが認識した地球情勢が今の世界情勢にぴったりで、ランティモス監督らしい“地球の哀れなるものたちの姿”が描かれます。

このような世界の中で渡米し「トランプを信じる」と唱える高市総理、国連のステージはスッカスカでいくら訴えても世界に何の効果もない!どこか狂っている憐れなる日本人です!

囚人として捕らえられ丸坊主にされたCEO演じるエマ・ストーンの鬼気迫る演技、これは見る価値ありで、この姿こそ首相の姿です!

監督:ヨルゴス・ランティモス、オリジナル脚本:チャン・ジュナン、脚本:ウィル・トレイシー、撮影:ロビー・ライアン、美術:ジェームズ・プライス、編集:ヨルゴス・モブロプサリディス、音楽:イェルスキン・フェンドリックス。「ミッドサマー」の監督アリ・アスターがプロデューサーに名を連ねています。

出演者:エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス、スタブロス・ハルキアス、アリシア・シルバーストーン、他。

物語は、

世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェル(エマ・ストーン)が、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディ(ジェシー・プレモンス)と、彼を慕う従弟のドン(エイダン・デルビス)。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へということ。と転じていく。(映画COMより)


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あらすじ&感想:

冒頭、テディがCCDをドンに説明し、ミシェルを捕らえる意義を聞かせるシーンから物語が始まる。

CCDとはパンデミックと同じで働蜂が女王蜂を見捨て、女王蜂と幼虫が残されコロニーが崩壊する現象。何故女王蜂を見捨てるのか?原因は農薬や生息地の減少や世界政府と農業関係者が人工的にCCDを作ったという説がある。目的は食料供給の操作。

テディは地球や星々について詳しく調べた結果、“もっと大きな原理”「“やつら”は俺たちを檻に入れ毒を盛り窒息される」を突き止めたとドンに説く。テディは自閉スペクトラム症のドンを唯一の協力者として選定、メドロキシスプロチステロン薬を使って性的行動を押さえている。ふたりはその時を待ち、精神・体力を鍛え、変装衣類と道具を整えた。

一方のオークソリス社を率いるカリスマCEOのミシェル、

会う人ごとに声を掛けて自分のオフィスに入る。「どの企業よりも多様性を目指す」とフォーブス誌の表紙“今年のリーダー”を飾るコメントを語り、撮影に応じる。「元旦から5時半に帰る」というルールを徹底するよう秘書のコーリーに指示して退社。

〇ミシェルがテディとドンによって誘拐された。

車で帰宅するミシェルをテディとドンが待ち伏せて逮捕、ミシェルの車に乗せてテディの屋敷に戻った。車の中で「髪の毛はGPSのアンテナ」とドンがバリカンで剃り上げた。ドンが「本当にエイリアン?」と聞と「幅の狭い足、薄い甘皮、わずかに上に出た歯、少し出っ張った耳たぶでよく見ないと分からない」という。(笑)そして、顔と手足に抗ヒスタミン剤を塗り神経系の動きを弱める処置をした。

〇テディとドンはスーツに着替え、正装でミシェルの尋問を開始。

テディが「ここは人類の抵抗本部。現存する政治拷問を全て拒否する。「アンドロメダ星人のあなたはジュネーブ条約(捕虜規定)の対象外である」と宣言して始まった。

ミシェルが「48時間で警察とFBIがあらよる手段で捜査を開始する。私の会社は雇用を創出し地域に貢献している。知事の誘拐より緊急事態、あなたたちが助かる方法は私に協力する以外にない」と反論した。テディはこれを無視!

テディは「あなたがアンドロメダ宮廷における高い地位のもの。母星のために人類のテクノ奴隷化と農業企業による地球の崩壊を手助けした。俺たちを月食の夜に宇宙船に連れていってくれ、王家のものと会談するためだ」と切り出した。ミシェルがにやりと笑い「私はエイリアンではない」と拒否。テディがサーモグラフィからの分析、インスタがアンドロメダコードで一杯なことを聞いてもミシェルから真面な返事が帰ってこない。

テディはミシェルにスマホを渡し「一晩待つ、帝王に俺たちを宇宙船に呼び地球からの撤退を交渉させろ」と指示した。ミシェルが「何を求めているのか分からない」と反抗。テディは「俺の家族を殺し、コミュニティを殺し、同僚を殺し、蜂を殺した」と言い残し、少し眠ると部屋を後にした。

テディはダイニングルームで飯を食いながら、ドンに計画の細部を明かした。

「あいつは人間の形をしたミシェルだ。邪悪な企業で俺らの地球人を殺している。蜜蜂を死を招く農業会社の最高幹部で冷酷極まりない。あと4日で計画は終る。アンドロメダ船が密かに帰還する月食だ。ミシェルに交渉の場を用意させ人間の尊厳を掛けて戦う」と明かした。

その夜、テディは入院中の母の夢を見た。

母・サンディ(アリシア・シルバーストーン)は「中身は何か分からない。与えられた毒を食べた。私に病気を売り、治療法も売る。マインドコントロールで稼いでいるとんでもない会社よ。私はあなたのためにやる、こうならないで」と泣く母の姿を見た。

次の日、テディは物流会社に出勤

テディは自転車で出勤中、「銀河系に存在する知的生命体を認めないのは見識に欠ける」というニュースを聞く。会社では同僚のユアンから作業で怪我した腕を見せられる。テディは「賠償に該当しないのはおかしい、悪魔だ!心配するな!奴らに責任取らせる」と慰めた。

昼のニュースでミシェル誘拐事件が報じられる。

「48時間が過ぎても行方が分からない。警察の大捜索が続いている。身代金目的の犯行の可能性があるが現段階では何の動きもない」と。

〇テディが会社から帰宅しスーツに着替え、ミシェルの尋問を再開した。

テディはミシェルに渡したスマホの通話内容を確認した。「私は宇宙からきたエイリアン。地球で生きていけるけど人間ではない。宇宙船が地球にやってくる時に新しい友達を連れていう、よろしく」とあった。

テディは「母語でない、ジョークか?」と怒った。

テディは再度「皇帝に会い話し合えるよう手配して欲しい」と要求した。ミシェルが「何度も言うが私はエイリアンでない!」とスマホを投げ、「あなたは一種のエコーチェンバーに陥ってる。ネット上のコンテンツのせいで現実に対して主観的で歪んだ考え方を強めている。対話をしよう」と訴えた。

テディは「俺がネットで頭がおかしいなどというのは屁理屈だ。人類の反乱を押さえつけるための弁証法だ。それによって75億人を騙してきた。人類は捕虜ではない、信じさせるためのクソの闇の論法だ」と反論。するとミシェルが「シボレスよ、文法もアンドロメタ的曲解なわけだ」と答えたから、テディは激怒し椅子で殴ろうとしたが思いとどまった。

ミシェルが「具体的に何を求めているの?本当に欲しいものは金、セックス?」と問うと「お前に性的興味はない。俺もドンも化学的に去勢している。取引、見返り、金、法制度でもない。地球的民主主義でもない。舐めるな!俺はバカではない、お前は俺に勝てない。腐れアンドロメダのクソ!」と答えた。ミシェルが「気の毒だ!助がいる、あなたが精神病だ」と言った。テディは「誰でも最初は否定するがやがて告白する」とミシェルの顔を殴って部屋を出た。

テディはドンに“ミシェルに何を求めているか”を明かした。

テディは「PA―99―N2重力レンズ効果が太陽系外惑星の存在を証明、これがアンドロメダの侵略という研究の道を開き、奴らの見分け方を発見しコンテンツを作った。奴らは知っているはずだ、俺たちが名誉と尊厳のある人間であることを、そして地球に眠る膨大な資源と人類の豊かな知識を提供できることを。カオスへと突き進み死のスパイラルを脱し、多くを提供できる。連中が耳を傾けないならそのための計画もある」と明かした。ドンが「宇宙で生活するのか?」と聞くと「数時間で地球に戻る。俺たちは地球を救うんだ」と答えた。テディがバカとは思えない!

〇あと2日で月食という時期、

ミシェルがこれまでの態度を変更、エイリアンであることを認めた。

ミシェルが繋がれている足かせから抜けようとしているところ(部屋)にテディが入って来た。ミシェルは「最初からやり直すべき、私はエイリアンだ」と告白した。テディは自作の嘘発見器でその真意を確かめることにした。

脳に電極を埋め、電圧をかけた。400Vという異常電圧に耐えたことで、テディはミシェルに「家臣だと思っていたが陛下、心からお詫びする」と詫びた。

そしてミシェルが母・サンディの人体実験に失敗したときの謝罪を認める姿を思いだした。

〇あと1日で月食という時期、

テディはミシェルの拘束を解き、皇帝として食事に招き話し合うことにした。

テディはミシェルを正装に着替えさせた。ミシェルは「この衣類着けてあるタグ“サンディ”から母・ミシェルのものだと分かった。

食事しながら会話が続く、

ミシェルがテディの運動について説明を求めた。テディは「俺ひとりだから運動ではない」と答えた。ミッセルは「つまり活動主義ということ」と言った。テディは「活動主義は実のところ自己顕示欲と偽りのブランド維持で、似たような道を堂々巡りした。やっとあなたに辿りつけた」と答えた。

ミシェルが「あなたは養蜂家、蜂蜜は崇高な生き物よ」と話したことでCCDの話題へと進んだ。

ミシェルは「蜂は複雑な社会や労働倫理、義務を果たし文句を言わず世界を築き自己中心でない」という。テディは「だから搾取されやすい」と反論。ミシェルが「彼らの決断力を称賛する。危機に際しても同意しかない」と答えた。テディは「どんな危機か?」と聞いた。ミシェルは「あなたが云って!」と答えなかった。テディが「CCD(蜂群崩壊症候群だ」と答えた。

ミシェルは「あなたの研究は古い。近年のCCDは大幅に減少し蜂が戻っている。そもそも農薬が原因という総意なない。蜂は死ぬ方がいい。私のせいにすれば蜂の本当の死因を考えずに済む免疫不全や環境変化、遺伝的要因、時に“種“は滅んでいくかもしれない」と説明した。テディは「時に“種“は滅んでいくかもしれない?」の説明を求めた。「突然、何かが彼らの脳に命じるのかまたは直感で全ては無益だと知るのかも。誰も分からない」と答えた。

テディは「あなたは嘘をついてる。蜂を殺している」と反論した。

ミシェルは「あなたはお母さまのことに拘ってる。私が悪かった。オピオイド離脱症を薬で救えると信じていた。臨床試験の謝礼も助けるためだった。合併症は予見できなかった。賠償額が適当だと思ったけど不十分のようね。私への不信感は当然、自分を見失っていた。お母さまを助けられる」と釈明した。

テディは「おのれ!殺してやる」と激高し、ミシェルの首を締めようとしたところに警官のケイシー(スタブロス・ハルキアス)が訪ねてきた。ミシェルの監視をドンに委ね、テディがケイシーに対応した。

ミシェルはドンの懐柔を謀った!

ミシェルはトンに掛けられたテディの呪文を解くために時間が掛かった。ドンがミシェルが説く「エイリアンの宇宙船に連れてゆく。時間がない、警察が突入したら助けられない」を受け入れ「決心が出来た」と小銃で首を撃った。その血液を身体中に浴びたミシェルの姿は鬼に見えた!

テディはケイシーの捜査質問を受け全部否定、養蜂場に案内していた。

ケイシーの尋問はミシェルのスマホ発信がこの付近であったこと、彼女の車を見たという情報だが、テディは全て「知らない」と否定した。ふたりは幼いときからの仲間でテディがケイシーを養蜂場に誘った。

銃声を聞いたテディはケイシーを殺害し、部屋に戻った。

ケーシー殺害シーン、テディは蜂にケイシーを襲わせ、倒れたケイシーの頭部をシャベルで叩き割った!

部屋の戻ったテディは「自分でやった」というミシェルの言分を「あんたがそそのかした」と認めなかった。ミシェルは「お母さまを治す方法がある。車の中の不凍液容器、中味は違う。彼女の体力に大きな変化が起きている」と話した。テディはミシェルの脚を傷つけ、この容器を持って自転車で病院に急ぎ、母親に注入した。母親の心臓が止まった。

ミシェルはテディが病院に奔った間に、ここを逃げようとしてテディの秘密の部屋に紛れ込んだ。そこで見たものはビニールに包まれた遺体、宇宙の研究書、人体実験のアルバム。そこにテディが戻って来た。

ミシェルが「アンドロメダ星人を何人殺した?惨めな愚か者」と貶した。

テディが「お前は母を殺した」と反論。ミッシェルが地球にやってきた訳を話す(もっとも重要部分)。

「75代皇帝が地球を発見したとき地球は恐竜に支配されていた。複雑だが安定した生態系の壮大な生物たちだった。我々のミスで致死性ウイルスが広まり生物が全滅した。そこで我々は似た新しい生命を誕生させた。ろくに立てなかった人間はやがて歩き繁殖を始めた。自然と調和する文化が生まれた。我々は神を崇められた。だが我々を越えたいと願う人間が実験室で新種を作り出した。だがその新種は攻撃的で争いが起き熱核戦争に繋がった。その結果人類は消滅したが一部が箱舟で逃れ100年大海を渡った。やっと陸に上がった時、箱舟の指導者たちは死亡、残されたものは突然変異による劣化した類人猿だ。進化はカオスへと向かった。

新たな人類であるお前たちの先祖は終わりのない戦争を繰り返した。ゼノサイトだ。生態系を破壊し水を汚染し、気候を破壊し、薬物と技術で自らを蝕み、人類が滅亡するという証拠を突きつけられても抑制しようとしなかった。人間はこの先も変らない遺伝子のせいだ。より強くなるため受け継がれた遺伝子が体内で再生されさらに強くなる。私はその自殺遺伝子を排除するためにやってきた。人類を救うためだ。そしてお前たちから地球を救うためだ。皇帝はまだ希望があると信じ実験を始めた。お母さまはその実験に選ばれた。彼女が修正できたら全人類は糺せる、ところがあなたが殺した」と話した。

テディが「母はお前が殺した」と譲らない。ミッシェルは「愚かな類人猿め!進展がある被験者がまだいる。皇帝に知らせないといけない。明日の月食までに。地球を救うための情報がある、それはサンディよ」と告げた。

〇月食の夜、

ミシェルがはテディを皇帝に会わせるために、彼を連れてオークソリス社の自分のオフィスに戻った。

ミシェルはテディに「皇帝はリモートで連絡しビームで転送してもらう、クローゼットでテレポートする」と指示し、クローゼットに入れた。テディは万一の場合に備え自爆装置を着けていた。

テディがクローゼットに入ったことを確認し、ミシェルがリモートのスイッチを押すと爆発が起き、ミシェルは吹っ飛ばされ気絶。テディの首が飛んできた。

救急車で搬送される中でミシェルが目覚め、車を降りて会社に引き返しクローゼットに入り、アンドロメダ宇宙船に戻った。

ミシェルこそが皇帝だった。

配下から「実験は全て失敗です。残り被験者は2名だが成功の可能性はゼロです。それが人間です。決断を下さねばなりません」と報告を受けた。ミシェルは「人類の時間は終りだ」とすべての人類を殺した。地球には人類のいない、花と蜂の世界となった。

まとめ:

テディとミシェル、どちらが地球の救世主なのか?

このミステリーは楽しめた!まさかミシェルが宇宙人で地球の救世主であったとは!

ふたりのCDD論争が行き詰まり、テディは腐った遺伝子を持つ人間であることを露呈してしまう。そのためミシェルが「地球を救う」と“人類を絶滅させ、蜂と花を生かす処置をする”結末、納得の結末だった。

ミシェルが人類を罰した理由は

「人間が劣化し生態系を破壊し水を汚染し、気候を破壊し、薬物と技術で自らを蝕み、人類が滅亡するという証拠を突きつけられても抑制しようとしなかった。人間はこの先も変らない遺伝子のせいだとその遺伝子を排除するためにやってきた」という理由。この理由が現実地球状況にぴったりで受け入れざるを得ない。

心理戦と恐怖演出が楽しめる!

前半、テディがミシェルを拉致し尋問する段階ではテディの研究の成果でテディの言分に利があると思われる。が、後段、CCDの論議でテディの矛盾がミシェル看破され、逆転しテディがミシェルの罠に嵌まっていく心理戦は見ものでした。

ケイシー警官殺し、ドンの銃による自死、テディの爆死、ドンの自爆により、度肝を抜かれる演出で、恐怖に叩き込まれた。

エマ・ストーンの乱暴なテディに対して一歩も譲らず説得する“目の輝き”がすばらしかった。ジェシー・プレモンスの狂気に揺れる演技がよかった。会話にブラック・ユーモアがあって飽きさせなかった!

トランプ、プーチン、習近平が支配する世界。

戦争が絶えない。戦争は自然を壊すだけでなく人間を壊している。そして目の当たりにする自然崩壊、気象災害。まさにここに描かれる世界。それだけにこの物語が嘘の話に思えない!こういう世界にはならないよう地球の保全が必要で、日本の役割は何かを考えさせられます。高市首相、あなたの目指す世界は?

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「ナイトフラワー」(2025)私は薬売人、母親の私がやってることは善なのか悪なのか?

 

「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が北川景子を主演に迎えて撮りあげたヒューマンサスペンス。内田監督と北川景子のタッグで観ることにしました。

借金取りに追われる母親が子どもたちの夢をかなえるため危険な世界へと足を踏み入れていく姿をスリリングに描き出すというもの。

内田監督らしい社会正義の作品でした。

母親は薬(MDMA)のバイヤーだった。その薬で中毒になった富豪の嫁の娘が死亡。嫁は母親の家族を抹殺!どちらが善か悪かと問われるラストシーン!一番悪いのは母親が真っ当な仕事が持てない世の中を造った、自民党だ。(笑)

ストーリーがちょっと荒過ぎた!(笑)しかし、北川さんと子供たちがすばらしい。これに森田望智さんの格好いい格闘技が加わる。最後まで楽しく観ました。

監督:内田英治、原案:内田英治、脚本:内田英治、撮影:山田弘樹、編集:小美野昌史、音楽:小林洋平。

出演者:北川景子、森田望智、佐久間大介、渋谷龍太、渋川清彦、池内博之、田中麗奈、光石研。

物語は、

借金取りに追われ、2人の子どもを連れて東京へ逃げてきた永島夏希(北川景子)は、昼も夜も必死に働いてもなお、明日の食べものにさえ困る生活を送っていた。そんなある日、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇した彼女は、自らも売人になることを決意する。心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵(森田望智)と出会った夏希は、ボディガード役を買って出た彼女とタッグを組み、さらに危険な取引に手を伸ばす。しかし、ある女子大学生の死をきっかけに、夏希と多摩恵の運命は思わぬ方向へ転がりはじめる(映画COMより)


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あらすじ&感想:

冒頭、夏月はスナック「楽園」のホステス。ふたりの子が彼女の帰りを待っている。彼女はトイレで時間稼ぎをして席に戻り、客がすすめるお酒をラッパ飲みし“深夜高速”を生活の苦しさをぶちまくように歌うシーンから物語が始まる。ここでの北川さんの熱唱もみどころかな(笑)

〇夏月は3つの仕事を掛け持ちしながら二人の子育てに必死だった。

長男の小太郎(加藤侑大)が騒ぐ中で目覚ると夫の借金の返済催促、食事を造ろうとガス栓を捻ると“出ない“。請求書の山、それを小太郎が紙飛行機にして遊ぶ。(笑)

朝、バイオリン教室に通わせている長女の小春(渡瀬結美)に「見学にいく」と告げ、小太郎を幼稚園に送り、ラブホテルの清掃員として働く。さらにこの後、地球儀製造会社で働く。ここでは疲れが出て作業が遅いと社長から文句が出る。小春は学校給食が楽しみで、お代わりしてたっぷり食べる。(笑)

〇格闘家の多摩恵もまた生きることに必死だった。

孤児といて育った多摩恵は小さなジムに所属。今日は試合に勝利し、大きな試合を夢見て多田会長(光石研)に稼ぎを全額渡す。彼女には風俗店員の彼氏・池田(佐久間大介)がいるが稼ぎがない。そこでスカートに着替え、デリヘルとしてガニ股でピンクホテルに急ぐ。(笑)

〇夏希の生活の苦しさが続く。

夏月は市役所に「児童手当の先借りは出来ないか?」と相談した。

しかし、無理だった。地球儀屋では相変わらず嫌味を言われる。アパートに戻れば小太郎から「餃子を食べたい」と泣きつかれる。“王将の廻し者か?”と叱れば大泣する小太郎。こんな小太郎が愛しい夏月。

そんな夏月にも希望があった。

小春のバイオリン教場に顔を出して演奏を聞く。先生から素質があると褒められ月謝の値上げを告げられるが、これだけは断れない。(笑)

スナック「楽園」でたっぷり飲まされての帰り、とんでもない拾い物をした!

夏月は気分が悪くゴミ捨て場で吐こうとして、捨てられた3コの餃子弁当を見つけた。(笑)拾おうか止めようかと悩んでいると怪しげな男がふたり組に襲われ何かを盗まれ倒れ込んだ。夏木が男に近寄るときれいな錠剤の入った袋があり、これと先ほど見つけた餃子弁当を持ち帰った。錠剤はMDMAだと分かった。これはひとまず子供の手が届かないところに置き、三人で餃子弁当を食べた。小太郎が喜んだ。夏希は「又買ってくる」と約束した。(笑)

母親思いの子供たちの行いに、もう何も言えない夏希、

夏希は駅裏で、賽銭箱を前に小太郎を遊ばせ教室から借りたバイオリンで演奏する小春姿を見つけた。しかし、夏希は叱らず涙を流した!

〇総合病院院長夫人・星崎みゆきの生活

みゆき(田中麗奈)のする仕事は夫にコーヒーを出し、大学生で娘の桜(瀧七海)から「お金頂戴!」と催促され、何も聞かずに渡すことだった。(笑)

〇夏希、ついに薬の売買を始めた。

夏希は地球儀作業でのミスをひつこく注意され、ついにキレタ!

大暴れして6個の地球儀を壊し倍賞を迫られる。その夜、アパートに戻り隠していた薬を取り出し、「もうこれしかない!」と決めた。

夜、夏希は街頭で薬を売り始めた。

「エクスタシーはどう?」と1シート1万円で男に上手く売りつけた。しかし、それを女の子たちに見られ、ヤクザにチクられ、残りの薬を取り上げられ立つことが出来ない程に殴られた。そこにボクサーの多摩恵が通り掛かった。

多摩恵が夏希をタクシーでアパートに送り届け、ボディーガードを引き受けた。

多摩恵はボクサーだけに夏希の治療を上手く行った。多摩恵は「あそこで商売してはダメだ」と云うが夏希は「金が必要なの」と諦めない。多摩恵は「腹減った」とチキンライスをチンしてもらって食べた。美味かった。多摩恵には母の味に思えた。稼ぎの半分をよこすことを条件にボディーガードを引き受けた。

多摩恵は夏希を薬売買元締のサトウに会わせた。

多摩恵は池田を通じてサトウ(渋谷龍太)に会わせた。サトウは夏希が「子供を育てるために稼ぎたい」が気にいって、薬売買を任せることにした。サトウの方が役所より世の中の役に立っている。(笑)

多摩恵が売買の仕方を指南し、夏希は薬売買で稼げるようになっていった。

多摩恵は先ずSNSのアカウントを準備し「一押し、手渡し」のCMを打った。これに喰いついた人には多摩恵が人見して、夏希に会わせ薬を渡す。これが上手くいうようになって次の段階、直接夏希が客と交渉、トラブルが起きると多摩恵が姿を現す。

こうして売った客の中に桜が居た。1シート3万円で売った。

夏希はこのお金で子供たちのためにひき肉を買い、ハンバーグを造って食べさせた。子供たちに格闘技の選手として多摩恵を紹介した。子供たちは喜んだ。

多摩恵も試合で勝利し、トレーナーの柳(池内博之)に「この実力なら次、行けるぞ」と励まされた。

〇星野みゆきが探偵に娘・桜の行動調査を依頼した。

みゆきは「桜が2週間前から帰らない、主人には相談できない。私に任されている」と元刑事で探偵の岩倉(渋川清彦)に調査を依頼した。

〇夏希は子供のためのもっと稼ぎたいと思うようになった。

夏希は小春のためにバイオリンを買った。夏希は安いものでもと思ったが、多摩恵が協力してそれ相当のバイオリンを買った。小夏はこのバイオリンが気に入り喜んだ。小夏の喜ぶ姿を見て夏希は泣いた!夏月は一層売り上げを増やしたいと思った。

多摩恵の試合相手が決まった。

相手は高田セイコ。池田が「あの女とやったらふっとばされる」と忠告した。しかし、この話は多田会長の借金返済で立ち消えた。多摩恵は将来に不安を覚えた。

夏希と多摩恵は小夏のバイオリン発表会に参加した。

小夏のみごとな演奏で夏希は感激し泣いた。先生から「もっといい教室に」と勧められた。

夏希と子供たちに玉恵恵も加わりファミレスで食事をした。そしてこれ以降、多摩恵を家に招き、一緒に食べ、遊び、家族のようになっていった。

小夏が新しい教室に通うようになった。

小夏の練度は低く先生から基礎をしっかり練習するよう指導を受けた。その帰り、小夏に嫉妬した仲間に襲われ、バイオリンの絃を斬られた。多摩恵は復讐を考えたが、夏希が止めた。夏希は自信を失った小夏を抱きしめ励ました。

その時、夏希に幼稚園からお呼びが掛かってきた。

小太郎が仲間と喧嘩して相手の目を傷つけていた。相手の親から「倍賞金を要求する」と云われ、夏希は土下座して謝った。その夜、小夏が造ったオムライスを食べた。「ママが絶対負けない、多摩ちゃんに似てきた」とメッセージが抱えていた。朝、夏希は携帯で多摩恵を呼び出した。

夏希は多摩恵と一緒にサトウを尋ね5倍の薬を売りたいと申し出た。

サトウは「子供のために尽くす、そんな立派な母親はいない」と認めた。その帰り、夏希は多摩恵に「家族になって欲しい!子供とふたりでは生きていけない。子供たちに未来を見せてやりたい」と申し込んだ。

夏希は多摩恵のガードのもと以前に増して積極的に商売に励んだ!このふたりの行動を探偵の岩倉が見ていた。

〇薬売買人の夏希に危険が迫り始めた。

岩倉は「夏希と多摩恵が桜に薬を打った」とみゆきに報告した。

岩倉はみゆきに「娘さんに薬を得る人たちだ」とふたりの顔写真、夏希の住むアパート写真を示した。みゆきは「このふたりに家族がいるんですか?」と聞いた。「います」と岩倉は答えた。

池田は多摩恵がサトウの手下から受け取る大量の薬を見て「十分稼いだろう、止めとけ!取返しが出来なくなる」と注意した。しかし多摩恵はこれを無視した。

桜が薬の影響で亡くなった!

太った桜がふらふらしながら歩いていると警察官の訊問に引っ掛かった。桜が拒否して走り出し車にぶち当たった。警察からみゆきに「今朝亡くなった、警察にまでご足労願いたい」と電話が入った。

この事故現場にサトウ一味が車で通りがかった。これを見た岩倉が「女ふたりの売人は分かってるぞ」と声を掛けた。

サトウの配下が「処分しましか?」と尋ねた。サトウは「もういない」と無視しようとしたが配下が「見た者がいる」という。

多摩恵の試合相手が決まった、

相手は疾風ジムの京香、12年前のチャンピオンだった。柳は「ダメもとで推薦していた、勝てる」と励ました。

多摩恵は池田から桜が亡くなったことを聞いた。多摩恵は夏希にこのことを伝え「警察が追っている、そろそろ塩時だ」と伝えた。

帰宅した夏希は基地に薬を投げ上げ口で受け取るゲームに熱中している小太郎を見た。夏希は小太郎の口から薬を取り出し、激しく𠮟った。泣く小太郎を見て自分が悲しくなり泣いた!

岩倉がみゆきを尋ね拳銃を渡した。

みゆきは300万円を支払った。岩倉は夏希と多摩恵の住所を渡した。みゆきは「ふたりの子持ち」と再確認した。岩倉は「変なことはないですよね」と確認した。

多摩恵と京香の試合。お互い強烈な打ち合いの末、多摩恵は負けた!

夏希一家、池田も試合に駆け付けた。夏希が試合を見るのは初めてだった。その壮烈な試合に驚いた。

試合はお互いに趙烈な打ち合いで勝負はつかなかったが、次第に多摩恵が劣勢となり顔面に傷を負いダウン、これで負けかと思った。夏希は泣けて見ることが出来なかったが、小春の「ママ、ちゃんと見なアカン」に励まされ、ダウンした多摩恵に視線を送った。これに気付いた多摩恵が立ち上がり再挑戦、しかし激しく殴られダウン、敗北した。夏希はリンクに駆け上がり傷ついた多摩恵を抱き上げ「よくやった、あんたの勝や!」と誉めた。多摩恵が泣いた。人生で最高の幸せを感じたかもしれない。会場からは暖かい声援が送られた。このシーンはすばらしい。

〇夏月はこの商売を止めると決意し旅に出ることにしたが、残念ながらこの夢はかなわなかった。

多摩恵が「もうダメかもしれない」」という。夏希は今が最高に幸せだと思った。これから新しい人生をと“海を見に、旅行しよう”と決めた。

みゆきが拳銃を忍ばせ家をでた。サロウ一味がアジトを出た。小夏はバイオリン教室を終え、アパートに急いでいた。池田がサトウ一味に捕まり、多摩恵の居所を聞かれるが明かさず日本刀で斬られた。

夏希は小太郎を側に置いて新しいスーツケースに持物を詰めていた。

サトウはボクシングジムで多摩恵を捕まえ、「今からお前の決断だ、あの団地の女は・・・、答えれば許す」と尋問。サトウはジムから出てきた。が、多摩恵の姿はない!

アパートに近付くみゆき、小春に会った。みゆきが拳銃を出す。

アパートで旅行準備中の夏希と小太郎、パンという音を聞く。ドアが開き、小太郎が駆け寄った。

部屋に「そこで多摩ちゃんに会った」と小春が部屋に。夏希は「小太郎も」と4人を抱き寄せた。

まとめ:

子供の幸せのために、夏希の仕事は薬売人。これは善か悪かを問う?

分かり易い!善だ!しかし、家族が亡くなっているのが残念!(笑)そんなことより、シングルマザーの息苦しさを描いたとこころに内田監督の社会的正義があると思いました。

夏希と小春、小太郎の家族。夏希が泣き笑いなら愛情一杯で育て、これに応えるように伸びやかに成長する子供たちの姿がいい。小春と小太郎が母の苦労を知って辻立してバイオリン演奏で稼ぐシーン、こういう気持ちの子が持てた母親は最高でしょう。

第49回 日本アカデミー賞で5部門受賞、これにはびっくり!

✿優秀監督賞 内田英治

✿優秀脚本賞 内田英治

✿優秀主演女優賞 北川景子

✿優秀助演女優賞 森田望智

北川景子さんの笑う演技にとても癒されますが、泣きの演技は苦手なように見受けました。初出演の「間宮兄弟」(2006)、森田芳光監督もこんなことを言ったように思いましたが。それでも監督の「辞めるな!」を守って、いい女優さんに成長しましたね。

森田望智さん、男っぽい女性でキックボクサー役。これはよかった、京香との壮烈な試合、これは見事でした。日アカの最優秀助演女優賞、納得しました。

こういうお母さんを応援したいですね。児童手当、抜本的な見直しが必要だと思います。

                                                           ****

「遠い山なみの光」(2025)このミステリーは手強いぞ!何故日本人の母は長崎を離れたか?

 

原作はノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作。広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊が出演。カズオ・イシグロの日本人へのメッセージを大切に、三人の女優さんの演技を楽しみに観ることにしました。

日本人の母とイギリス人の父(死亡)を持つ作家志望の娘が「長崎 家族の物語」を命題に小説を書くため母の証言を集め始める。母は新婚時の家族から始まって、ある女性とその娘さんとの交流を通じ女性の自立に目覚めていく。ある女性とその娘さんは何者なのか、母の秘密は?とミステリアスに展開、その結末に母が長崎を離れた真の理由が分かるという感動的なストーリーになっている。

女性の自立・希望を訴えた作品ですか、母が長崎を離れた理由が強烈に印象に残ります。理由は被爆者差別、根強い軍国主義、封建的な家族制度や女性蔑視思想です。お分かりのように高市政権の施策に真っ向からぶち当たる理由です。高市政権はいかなる希望を目指しているのか?と考えさせてくれます。

ある女性と母の関係にはちょとしたトラップが掛けられており、最初は気づき辛いですが、これが分かったときに大きな感動が生まれます。

広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊さんが強い日本の女性を演じてくれます。これが凛として美しいです。全編英語で話す吉田羊さんが全てを物語っています。“愛想笑いなんぞいらない”、これが日本の女性だと思いました。(笑)

監督:石川慶、原作:カズオ・イシグロ、脚本:石川慶、撮影:ピオトル・ニエミイスキ、編集:石川慶、音楽:パベウ・ミキェティン ミュージックスーパーバイザー 千陽崇之。

出演者:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平、三浦友和。

物語は、

1980年代、イギリス。日本人の母とイギリス人の父の間に生まれロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉が亡くなって以来疎遠になっていた実家を訪れる。そこでは夫と長女を亡くした母・悦子(吉田羊)が、思い出の詰まった家にひとり暮らしていた。かつて長崎で原爆を経験した悦子は戦後イギリスに渡ったが、ニキは母の過去について聞いたことがない。悦子はニキと数日間を一緒に過ごすなかで、近頃よく見るという夢の内容を語りはじめる。それは悦子(広瀬すず)が1950年代の長崎で知り合った佐知子(二階堂ふみ)という女性と、その幼い娘(鈴木碧桜)の夢だった。(映画COMより)


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あらすじ&感想:

冒頭、1982年イギリスのある田舎に住む悦子は忘れられない記憶があった。

この家を間もなく手離すことになるが、思い出すのは1952年の長崎のことだった。悦子は会社員の夫・二郎(松下洸平)と団地住まいだった。悦子は妊娠中で、朝、夫を送り出して、川向こうのバラックに住む女性(二階堂ふみ)がタバコを吹かし嬉しそうに米兵を迎える姿を見たこと。当時の長崎の風景写真の中に、稲佐山ロープウエーで案内係として米兵を案内している女性の写真がある(※これを見落とさないように!)。

〇悦子の娘・ニキが何故母の長崎の生活に興味を持ったか、その背景と動機(母・悦子とニキの会話は英語)。

悦子は夫を亡くし、ニキもロンドン住まいで作家を目指しており、手離す家の整理のためニキを呼び寄せた。屋敷には小さいな日本庭園はあり部屋は東洋風で直ぐに買い手が付いた。

ニキは「落ちつける」と父親の部屋を使い、奥にある亡くなった姉・景子の部屋を「思い出したくない」と嫌う。この部屋は姉・景子が首吊り自殺した部屋。しかし、母には特別の部屋で景子の思い出の品々は保管され、写真がたっぷり飾られている。自死というのは普通の死ではなく、まして母である悦子には「何故自死した?」と特別な衝撃的なことと理解しておく必要がある。

ニキは核基地問題に興味があり、原爆を経験した母の物語を書きたい!

英国では米国核ミサイル配備に関する抗議運動が起こり他の抗議行動が火種になりつつあって、ニキはグリーナムの抗議運動(1982)について記事を書いた実績をもっていた。

大学時代の友人で出版社に勤務する彼氏から「長崎は今、注目されている」と彼の勧めで“母の長崎の物語”を書き始めた。

ニキは彼と不倫中だが、彼が「今は妻と別れられない」と言い出し、ニキは自己診断で妊娠していると知った。ニキはひとつの大きな人生岐路と考え、母が当時日本に悪感情のある英国に何故移住したのかその理由、母の生き方を知りたかった。

母は「最近怖い夢を見る」と言いながら、長崎の話を始めた。ニキは疑問をぶつけながら母の話を聞き、文章を仕上げて行く。

※母・悦子は「この時代、朝鮮戦争が起こりアメリカ兵が多かった。そして世の中が変わるとする気配があった」という。

〇1952年 悦子は佐知子とその娘・万里子に出会い、アメリカ行きの話を聞いた。

悦子は川辺で男の子たちに虐められている万里子を目にし、この周辺では幼児絞殺事件が頻発していて、助けに奔った。万里子は猫好きな子で「川向うのおばさんが連れて行こうとした」と話す。悦子は万里子の左腕に大きなケロイドがあることが気になった。

悦子は万里子を連れて川辺のバラックに住む佐知子を尋ねた。

佐知子は美しい、気の強い女性だった。「東京から引っ越し城山に住んでいて原爆でふっとばされた」と話す。テーブルには花は活けてあり、立派なコーヒーカップでコーヒーが出された。彼女がどんな仕事をしているかは直ぐ分かる。「一時は恥を忍んで何でもやった。基地で通訳をしているフランクと知合い近くアメリカに行く。アメリカは何でも出来る。万里子も将来働けるかもしれない」と話し、「仕事を紹介して」と頼まれた。

悦子は知合いの藤原さん(柴田理恵)の“うどん店”を紹介した。

〇福岡から義父が訪ねてきた。悦子は夫に隠している秘密に触れられるのではと不安になった。

義父の誠二(三浦友和)は元小学校の校長だった。二郎は実の父でありながら、父を嫌がる。二郎は「出征時、父の得意顔が忘れられない」という。軍国時代の先頭に立った男だった。「ここの高校で教師をしている教え子の松田が自分の教育法を雑誌で批判した」と怒りを露わにするが、夫は「伝えておきましょう」と当たり触りのない感想しかなかった。悦子は義父と夫が話す席で団扇で風を送るよく出来た嫁だった。

悦子は夫に隠している秘密を持っていた。

夜、寝ていて「あの日、君が城山で被爆せんでよかった。放射能は子供に出る」と起き出し、煙草を喫う。悦子は「夫は本当は知ってるのではないか」と不安になる。

〇悦子はうどん屋で働く佐知子を尋ねた。

悦子は佐知子がしっかり仕事に馴染んでいてほっとした。万里子が配膳の手伝いをしていて客が万里子のケロイドに気付き「放射能はうつる」と万里子を虐めた。すると佐知子がその客に水をぶっかけて万里子を守る姿を目にし、悦子はお腹の子の将来に大きな不安を持った。

ここまで話を聞き、ニキは“母が何故姉の自殺を隠すか”と喧嘩をした。

ニキは母と散歩中、ウーターズ先生に出会った。先生はニキに挨拶したあと「景子さんは?」と聞いた。母が「マンチェスターでピアノを弾いてます」と答えた。

このあとふたりになった時、ニキが「姉が自殺したと言えないの」と聞くと母から「馬鹿なことをいいなさんな」と殴られ、母は姉の墓参りに出掛けた。悦子は何故景子の自殺を隠したがるのかが分からなかった。

〇長崎の話、悦子は義父から被爆時の状況を聞き不安になった。

義父が隠していたバイオリンを探し出し弾いていて、悦子は驚いた。義父は謝った。悦子はバイオリンが弾け、これを知った校長先生の雄二が小学校の音楽の先生(臨時教員)として採用してくれ、悦子はこの小学校で被爆した。このあと悦子は雄二の田舎に疎開、そこで戦地から帰還した二郎に出会った。

義父が「南方から帰還したばかりの二郎が寝ているのにバイオリンを弾いていた」と話す。悦子は「どんな具合でしたか?」と聞くと「2~3日は頭がおかしかった。ひどいショックを受けていた」云われ、どの程度の被爆なのか不安になった。義父もそれ以上は話したくないようだった。

夜間、佐知子が「万里子が行方不明」と訪ねてきて、悦子が一緒に探した。

この夜、夫が突然友人ふたりを連れて帰宅、悦子はお酒の準備を終わったところだった。派手な衣装で現われた佐和子に皆が驚いた。悦子は佐和子を助にけたいと飛び出した。「川には行かない」というのでそっちを一生懸命探した。

佐和子が「2~3日中にアメリカに行く」と云うので「直ぐ?」と返事すると「何で行くのとか誰と行くのとか聞かないの?私は何も恥かしいとは思ってない」と不機嫌に話す。「早く探しそう」と川の方を探すと万里子は川舟の中でロープを握って寝ていた。

三人はバラックに戻った。部屋はきれいに整頓されテーブルには花が活けてあった。悦子は「おばさんが迎えにきたの?」と聞いた。佐和子は「あれは万里子の嘘。城山でひどい風景を見たからよ。喉を切って死んだ女で、その女は万里子に近づき川辺に誘い亡くなった赤ちゃんを取り出して見せた。その時から万里子はあの女のことをおばさんというようになった」と話した。

佐和子はフランクを探すと出て行った。万里子が「フランクは好きでない、死んでしまえ」という。万里子は悦子が止めるのを無視し「蜘蛛を食べると放射能みたいになるかな」と蜘蛛を捕まえて食べた。

※佐和子は嘘を云っていないか?おばさんって本当は誰か?万里子は何がしたいのか?答えはない!これが面白いところ。

ニキと母は庭の手入れをすることで喧嘩状態から元の状態に戻った。

母が「あの時代、子供を連れて長崎を離れるのは難しかった。子供とくだらない夫に縛られ人生を送る女性が多かった」と話し掛けた。ニキが「ママは違った、だから書き残した」と訴えると「パパがいたから」と言った。ニキは「嘘だ!パパは日本にいてもよかった」というと「景子のためだった。イギリスに行けばなんとかなる、世界を股に掛けたピアニストになれると思った」と答えた。 ニキは「ママは何から自由になりたかったの?」と聞いた。

〇悦子はガイドとして働く佐知子から将来の夢を聞いた。

悦子は稲佐山のロープウエーでガイドしている佐和子を尋ねた。この日は別に特別なことがあった。万里子が男の子と木登りで遊んでいて、少年が木から落ちた。母親が「蹴り落とした」と抗議したが、悦子は「自分で落ちた」と母親を言い負かすほどに強くなっていた。

悦子と佐知子は稲佐山の天望台から長崎市内を見下ろしながら、悦子が「あのあたりが原爆でめちゃめちゃだった。ここにきてよかった。前原さんは将来に希望を持てというが、今日は本当にそう思った。佐和子さんはアメリカに行くべきだ」と勧めた。佐和子から「子供のころからアメリカで女優になりたくて、父が買ってくれた英語の本を読んだが、結婚したら夫に禁じられた。子供のことなら心配いらない。万里子を見ればわかるでしょう。子供を言い訳にしてはダメ!もっと目覚めなければ!」と云われた。

その夜は渕神社のお祭りで、悦子がお金を出し万里子が射的で猫を飼うボックスを射落とした。

〇義父が教え子の松田と会うお出かけに同伴、義父の許せない言葉を聞いた。

この日、夫が葬儀に参加するためシャツにアイロンをかけネクタイを締めてあげて送り出し、そのあと義父のお出かけに同伴した。

義父は高校教師の松田(渡辺大知)に会い、松田が書いた雑誌記事“子供教育のダイジェスト”を渡し「仰天だ!バカげている」と批判した。松田は「時代が変わった。あなたの教育は洗脳だった。不幸に突入してしまった。投獄された人たちが釈放され新しい世界を説いている。私の考えは変わらない」と義父の考え方を否定した。義父が記事を投げつけ「日本は原爆に負けたんだ」と怒鳴りつけた。被爆者の悦子は「まだ分かってない」とこの言葉が許せなかった。

悦子は夫と一緒に長崎駅に義父の見送りに行き、ある決心を義父に伝えた。

義父から「二郎と幸せにしているか?あの時は結婚に前向きかどうかわからなかった」と聞かれ、「あのときはひとりで立っておれなかった。“小諸さん”も変らないと。私たちも変るんです」と返事した。団地に戻って、夫に「被爆していたら結婚しなかったですか?」と聞いた。夫は「答えて何になる。バカバカしい」と言った。悦子は離婚を決意した。

〇ニキは佐和子が母の記憶であることに気付き、強い母の生き方に感動し泣いた。

ある日、悦子はバラックの方に歩くおばちゃんの姿を見つけ、急ぎバラックを尋ねた。そこには猫を抱いた万里子がいた。「誰か来た?」と聞くと「誰も来ない」という。佐和子が現れたので「黒ずくめの人が来た?」と聞くと「誰も来ていない。今夜アメリカに行く。悠長なこと言っていたら行けなくなる。アメリカに行けば何とかなる」とコーヒーカップなどの梱包を始めていた。「真里ちゃんはどうなの?」と聞くと「行きたくない、フランクなど死んでしまえばいい」という。佐知子が「猫を捨てて行きます!」と万里子を諭すが聞き入れない。佐知子は猫をボックスに入れ、川に漬けて殺した。

ここまで母の話を聞いたニキは母の思い出の箱を調べてみた。

そこにはロープ、望遠鏡、コーヒーカップ、読本“クリスマス・キャロル”があった。ニキは姉のアルバムを調べた。そこには猫と遊ぶ景子の写真があった。

ニキは佐和子を悦子に書き換え、文章を修正した。

母・悦子は「景子、景子!と探し、小舟の中で眠る景子を見つけた。景子が「イギリスに行きたくない」と云い張る。母は「大丈夫!きっとうまくいく」と励ました。景子が「ママ、何を持ってるの?」と聞いた。「ロープよ、サンダルに絡まったの」と答えた。景子が「どうしてそんな顔で私を見るの?」と聞いた。

ニキは姉・景子の写真を見る母を見て泣いた!

母は「景子が幸せになれないことは最初から分かっていた。それでもそうした」と打ち明けた。ニキは「そうじゃない、ママはお姉ちゃんのために出来るだけのことをした。たぶん、私には理解できないことだと思う。お姉ちゃんのことも、あの時代のことも。でもお姉ちゃんの死はママのせいではない」と話し、連弾でピアノを弾いた。

母の持つ写真には、母がうどん屋でお客に水をぶっかけたもの。スカーフを巻いたガイド姿の母のものなどがあった。

ニキは母から「好きな人は?」と聞かれ、「女性はもっと目を覚ますべき!人生はただ子供を産むだけじゃない。これからもママはやりことならいくらでもある。ママも変らないと、私は変わる」とロンドンへ帰っていった。

まとめ:

女性の自立、これが女性の希望に繋がる!

悦子は原爆症の娘・景子の将来を守るため、イギリス人のエリンガムに出会い、長崎を離れた。しかし、景子は自殺してしまった。悦子はこれを認めることが出来なかった、認めることは自分の行動を否定してしまう。しかし、次女のニキに自分の行動は間違ってないと認められ、やっとまた新しい希望が見えてきた。一方のニキは母・悦子の生き方から、シングルマザーとして作家への道を進むという希望の光を見出した。

佐知子の話は悦子の作り話、佐和子=悦子で怖いミステリー、だが強い母性の話だった。

佐知子は悦子だったが、悦子の知己の人ではあった、エンデイングでふたりが天望台で撮った写真が出てくる。万里子が話すおばさんはフランク、万里子が持つロープはフランクが訪れたときにバラックから追い出されロープで括られていたのではなかろうか。悦子はこの仕事で英語を覚え、観光ガイドになり夫エリンガムを掴んだ。こんな努力をしてでも景子の未来を守りたかった悦子の強い母性。このことに気付いたニキは泣いた!

佐知子が語る被爆直後の壮絶な体験は悦子が経験したもの。この体験は被爆者にしか分からない歴史的な遺産です!

悦子が長崎に絶望した訳、

最大の理由は原爆の子・景子の未来が長崎では考えられなかったこと。中でも義父の言葉「原爆に負けただけ」に失望した。被爆者の悦子が絶対に受け入れられなかった。更に日本の古い家族制度・しきたりに縛られる女性蔑視の中で生きなければならないこと。

広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊さんの演技、これはすばらしい。

大人しい典型的な日本女性の広瀬すずさんが佐和子に会うことでどんどん強くなっていく演技。二階堂ふみさんのアプレガールと云われた放縦で謎に包まれた魅力的な女性演技、吉田羊さんは英語を自由にこなしきる日本女性、いずれも強く美しくてすばらしかった。

悦子が長崎に絶望した訳が今の高市政権のやっていることに直結している。日本の希望がこれでよいのかと愕然としました。

日本の未来は何なのか“強く豊かな日本”とはどんな世界なのか?

高市総理は皇室典範を改正して象徴天皇を排し、憲法改正と緊急事態条項の創設へと恐ろしい戦争への道に進んでいるように思える。

このレビューを書いている時、沖縄知事選が秒落ちで投票箱を開ける前にデニー氏の落選が決まった。先の戦争で学んだことは“記憶にない“、これは怖いことです。政権が目指す戦争への道が開かれたと思った。

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