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「街の上で」(公開2021)平凡な日常のなかで大切なものは?

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今泉力哉監督の「愛がなんだ」「アウネクライネナハトムジーク」に次ぐ作品(製作年次)。コロナ禍の中での公開。監督がツイッターで「絶対にネタばれしないで!」「見てください!どうか!」と叫び続けている作品!やっと当地で公開となりました。全くネタなしで観ました。抱腹転倒!プロットの確かさ!これまでの最高傑作だと思います。

感想を読まないで劇場で観てください。😊

「街の上で」のタイトル名はマルク・シャガールの絵画「街の上で」から採ったもの。ヴィテブスクに代えて、ここでは下北沢を舞台に1人の青年と4人の女性たちとの出会いが描かれています。監督の描く不器用な恋バナですが、今回は主人公に感情がよく乗り“ぐっと”きますね!結末が見事でした。😊

下北沢を全く知らない者が観た感想ですが、主人公はきっと下北沢“人“なのかなと、作中で出てくる魚喃キリコ邸周辺をぜひ訪ねたいですね!(笑)

監督・編集:今泉力哉、脚本:今泉力哉大橋裕之。大橋さんとの共同脚本が作品を面白くしています。撮影:岩永洋、音楽:入江陽、主題歌:ラッキーオールドサン「街の人」。

出演者:若葉竜也、穂志もえか、中田青渚、古川琴音、荻原みのり、成田浚、他。

あらすじねたばれ:最小限に(笑))

冒頭、美大生の映画監督による撮影現場。老人、メガネ美人さん、俳優さん、古着屋さんが街中で“本を読む”姿が映し出され、監督の「これが私の見たかった映像です。しかし誰も観ることはないが、確かに存在している街の上で!」とナレーションが入ります。誰も携帯を見ない映像が良い!しかしこれが下北沢?作品のテーマです!

古着屋“ひっこりー”の店員・荒川青(若葉竜也)。店が終わって“泯亭”でラーメン食べていると、ラーメン食べてる可愛い女性と目が会った。“元気!”と目で挨拶。(笑) この女性は何者か?“伏線繋がり”がとても楽しめる作品です。

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チーズケーキを買ってアパートに戻り、恋人の川瀬雪(穂志もえか)の誕生日を祝おうとするのに突然「好きな人ができたから分かれてください!」と言い出す。“誰だ?”と迫るが明かさない。「俺は別れたくない」と青。誰だ!誰だ!。

雪への想いを諦められない青。古着屋の番台で“小説を読みながら”の勤務。若いとんでもないカップルを見て「これはひどい!!」と。仕事が終わるとライブハウス“THREE”でマヒトゥ・ザ・ピーポーの「END ROLL”を聴いて、ちょっと素敵な女性にタバコを貰って、「俺に気があるのかな?」と思ったが向こうの男たちのほうに。(笑)。小劇場ザ・スズナリの前でポリス(左近洋一郎)に喫煙歩行で捕まって「好きなんだけど姪だから結婚できない!」と泣きごとを聞かされる。俺の辛さが分からないのかと!(笑)

馴染みのマスター(小竹原晋)がいる飲み屋“水蓮”に寄る。しばらく見ないうちに太った小説家の五叉路(広瀬祐樹)に会う。映画出演で役つくりだという。マスターが雪のことを聞き、「もう連絡やめとけ!」という。「相手は誰ですか?」と聞いたが返事はなかった。酔ってアパートに帰って雪のことを思い出した。

次の日。貸本屋古書ビビビに顔を出す。店員の田辺冬子(古川琴音)が「音楽やってたの!」と聞くから、調子に乗って「(亡くなった店長)カワナベさんとできていたの?」と聞いた。これが拙かった、田辺を怒らせてしまった。(笑) 「金沢の女の子」という赤表紙の単行本を買って店に戻っり、カワナベさんの留守電に、まだカワノベさんの声が残っていて、田辺への謝りの電話を入れておいた。青は素っ頓狂なようで思い遣りがある。今の世にはめずらしい!😊

青は昵懇の店主(芹澤興人)のカフェ“CCC”でパスタを食べながら、客の話を聞いていた。ここでヴィム・ヴェンダースが撮影したらしい。女性が魚喃キリコ邸周辺を散策したいと言っている。

店主が「文化は良いね、残るから。人も街もどんどん変わる。カワノベさんが死の前に来たのに満席で何も出してやれなかった」と悔しがる。青は店長とこうして取り留めもない話をする。これがまた良いんだな!😊

こうして下北沢の空気を描いてくれます。街も人も変わっていく、古着や古本が売れる若者の町、映画や音楽、小説、マンガ、写真が身近にある芸術っぽい街、馴染みの店で癒されるゆるい空気が流れている街。

青が店の外でタバコを吸って店の中に入り番台で本を読んでいると、美大4年生の高橋町子(荻原みのり)が映画撮るので出演してくださいと脚本を渡す。青が断ったがセリフなしで座って本を読むだけでいいというのでこの役を受けた。

“水蓮”でこの話をすると「監督の告白だぞ!」と言われる。ならば雪のこともあるから断ろうかと思ったが出演することにした!

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青は自撮りで本を読む姿を観たが不安。夜、田辺に店に来てもらって撮ってもらうことにした。田辺に撮ってもらった。すると田辺が黒いワンピース姿になって「撮って!」という。なんで田辺が・・。ネタバレになるので止めます。泣く田辺さんに青がカワノベさんの留守伝の声を聞かせるんです!😢

撮影日。青が撮影現場にやってくると控え室(アパート)に案内される。そこで耳の遠いエキストラの老人に会うが、丁寧に挨拶し会話がはずむ。美術担当の城定イハ(中田青渚)から衣装を渡された。この女性は良い感じ!

着換えようとするとそこにメガネ美人(中川有伽)が部屋に入って来て本を読み始めた。別室で着かえた青。彼の椅子に男が座っていた!青は椅子がないので床に座って自分のバックを引き寄せ、「朝ドラに出ている間宮さん(成田浚)ですね?」と話しかけ、「彼女がフアンです」と話しかけた。朝ドラ俳優というのは随分と横柄な態度なんですね!

青の撮影。青は緊張しまくって何テークも撮って、終った。監督がカメラマンとひそひそ話をしていたので気になって「大丈夫なの?」と聞くと「つないで見て決めます」という返事だった。

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撮影が終わり、“にしんば”で打ち上げ会。青の耳には「あんなやつ何で使った!」と監督に詰め寄る声が聞こえる。青はもうおろおろするばかり。(笑)イハが寄って来て「あの人たちは会ったり別れたりです。お疲れ様!」と挨拶。

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二次会には参加せず帰ろうとすると、イハに「ホームでつき合わない」と誘われ、彼女のアパート(撮影時の控室だった)に上がり込んだ。どういうことになるのかと・・・。お酒でなくお茶が出されて(笑)話がはずみ、青は「あたたには嫉妬心がないから!」と雪とダメになった話や風俗嬢の話をする。(笑)これにイハが二番目の男だという、関取との恋バナを話す。(笑)このふたりの話はこの物語のハイライトと言えるほどに濃いシーンでした。爆笑でした。

朝、青は何事もなく眠ってイハに起こされ、帰宅・・・・。ここからが本番です!

ネタバレ禁止ということで止めます。はたして青の撮影はうまく行ったのか?

雪の浮気相手は誰か?ふたりの先行きはどうなるの?いや、イハや田辺との関係は・・・。

感想:

青とまわりの女性たちの関係は予測不能、ミステリアス(笑)、最後に大円団で終わるといううまい脚本・演出でした。

4人の女性は青をどう見たの?これを観客が映像の中に入ってそれぞれの女性の気持ちを推し量るという演出が冴えています。

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町子は青が好きなの?作品に青が載らなければ「下北沢の上で」にならない! (笑)

雪は青のアパートで別れたあと全く姿を現さない。このふたり元の鞘に戻るのでしょうか?雪が青をどう見ていたか?青のなんとも言えないバカっぽさのなかに絶対に外さない良いものがある。若葉竜也さんの演技がうま過ぎてこんな青は大好きですね!最高でした。😊

イハと青はとてもお似合いだと思います。どうなるんですかねこのふたり!イハは大阪弁の混じった東京弁で肝の据わった、親しみがあり、どんどんこちらに入ってくる人。ちょっとネタバレになるんですが彼女の元彼の関取(渡辺紘文)が“水蓮”にやってくるんです!(笑)体は大きいですが心は青に似てた!

イハ役の中田青渚さん、役に嵌っていました!関取との恋バナ語り、青とのやりとりは長回しの中で、自然な演技が最高でした!これからの活躍が楽しみです。

田辺もカワナベさんの留守電を聞いて画面から消えてしまいましたが、また出てくるんです。なんで出てくるの?これが堪らない!😊 水蓮のマスターって雪と出来ていたんですかね?また出てくるんです!

平凡な日常のなかで大切なものは何か?これが下北沢に、そして青にある。優しい居心地の良い映像で見せてくれました。特に下北沢の風景!

チーズケーキって、時間を置くと美味くなるんですかね?チーズの味の利いたいいラストシーンでした。

                           *****

「サンドラの小さな家」(2020)とてもいい音楽とテンポで、スカットしたラストシーンに“マンマ・ミーヤ”!

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アイルランド・ダブリンを舞台に、住居を失った若い母親と子どもたちが、周囲の人々と助け合いながら自分たちの手で小さな家を建てる姿を描いたヒューマンドラマ。「家を持つには苦労したな!」という軽い気持ちで観ることにしました。(笑) ところがある出来事で原題:Herselfがテーマとして浮かびあがる。邦題は当てにならない!(笑) 魔法にかかったような作品で、うまい脚本・演出だなと感動しました。

脚本はダブリン生まれで主として舞台で活躍しているというクレア・ダン、本作で主演も努めます。本作で初めてお目にかかりますが、リドリー・スコット監督、マットデイモン、アダム・ドライブ共演映画「The Last Duel」への出演が決まっているとか。

本作は彼女の友人がホームレスになったという電話から、3人の子供がいる女性がなぜ家が見つからない!社会システムが崩壊しているのではないかと考えるなかで出来上がった物語だという。

これに共感して監督を買ってでたのが「マンマ・ミーア」(1999)「マーガレット・サチャー」(2008)のフィルダ・ロイド。これを“低予算で作る”ことに共感したのが撮影監督のトム・コマーフォード、衣装デザインのコンソラーダ・ボイル、作曲のナタリー・ボルト、他です。

クレア・ダンが動いたことでこのようなスタッフが集まったことが、作品のテーマの“Herself”「コミュニテイーを見つけ、その中で自分を立て直していく」に繋がっています。とても前向きで暖かい物語になっています。

出演者:クレア・ダン、ハリエット・ヴォルター、コンリー・ヒルルビー・ローズ・オハラ、ルビー・ローズ・オハラ、エリカ・ローズ、イアン・ロイド・アンダーソン、他。

あらすじ(ねたばれ):

冒頭、ぼんやりした人影、母親と娘たち。楽し気に唄いながら長女エマ(ルビー・ローズ・オハラ)、次女モリールビー・ローズ・オハラ)が楽しげに歌い母親サンドラ(クレア・ダン)の化粧を手伝っている姿。父親ガリー(イアン・ロイド・アンダーソン)が戻ってくると場は一転、父親の激しい暴行の耐える母親。この光景がラストでどう変化するかがこの作品のテーマです。

サンドラは娘たちを連れて逃げ出し、役所の女性を支援する課の指示でホテルに避難する。ホテルといっても正面からは入れってもらえず、3人には狭く汚い部屋で、子供は地下の駐車場でしか遊ぶところがない。

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サンドラは清掃婦としてひとり暮らしの老女ベギー(ハリエット・ヴォルター)やパブなどを車で訪問して生計を立てている。ホテルから遠いしガソリン代がかかると公営住宅を申請するが希望者が多くてなかなか入れそうもない。

終末には離婚時の協定で娘たちをガリーのところに連れていくと復縁を迫られるが、DVの記憶で過呼吸に陥ることがある。

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夜、エマが学校で教わったという聖ブリッドが教会を建てたという話を聞き、側でレゴの家を作るモリーを見て、携帯で「家を作る」で検索すると、12m×4mの広さの家を3万5000ユーロで作ったという人のWebサイトを見つけた。実際にあるらしいです!サンドラは私にもつくれるか?と尋ねると「出来る」と。

資金について、クリスマスまでに家を建てれば家賃節約になると役所に資金援助を交渉したがダメだった。(笑)役所は紙に書かれたこと以外はしない!

ベギーの家に掃除に伺うと、彼女がトイレで倒れていた。前回はベッドから立ち上がれなかった。手を貸すと、「あんたのその包帯は?」と見た。夫と別れ家がなくて困っている話をすると「何でそれを言わない」と言い、広い庭を指して「使いなさい」という。「それは!」と断ると「時間かけて返せばいい」と。

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ホームセンターで具体的にどうしたらいいかを相談すると相談所に行けと言われた。そこで母の代からの知合い土木建築業者エイド(コンリー・ヒル)に出会った。

建設プランを見せると「手伝うことは出来ないが土地を見てやる」という。ベギーの庭を見て「十分だ!土地取得証明がいる」という。ベギーが娘クローニャを説得してサンドラのものになった。

サンドラは「一人では無理!」ともう一度エイドの援助説得に自宅に出掛けた。サンドラの話をエイドの息子でダウン症のフランシス(ダニエル・ライアン)が聴いていて、作業靴をプレゼントしてくれ、これを見たエイドは渋々ではあったが手伝ってくれることになった。😊

役所には家の建設を隠すことにした。そして娘たちに父親ガリーに家を建てることを絶対に喋らないと約束させた。

ここからの建設は、Webの建設プランに従って建材を購入し建材の加工や組み立てはエイドに教わることになる。

庭にエイドが持ち込んだユンボで基礎工事が始まった。整地した敷地にセメントを流し込み工事が進捗していく。いよいよ建材を加工する段階で、エイドが「皆で家を建てるんだ!ボランティアを集めろ!」という。サンドラは「都合がつくときにお願い」と娘の友人の母親やパブ仲間に声を掛けた。母親のローザ(アニータ・ペトリー)とパブ仲間のエイミー(エリカ・ロー)の協力が得られるようになった。他にサンドラと同じように家のない者3人が加わってくれた。エイドの息子フランシスも加わった。

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みんなの力で家が出来上がっていく。協力することで自らが癒されていく。腰が悪くて立てなかったベギーが今ではサンドラより元気だ。なまけ者だったエイドが働き者になったと笑う。時間が出来たと駆け込んでくるローザ。皆のためにカメルーン料理を作るというユワンデ(マーベル・カー)。

日曜日、娘たちは父親ガリーのところで過ごすのだが、モリが「嘘が言えない!」と嫌がる。モリをガリーのところにやらず建築現場に連れてきて遊ばせていた。そんなとき、サンドラが釘打ち作業中にモリの腕を強打した。お医者さんだったベギーが治療処置した。モリを怪我させたことで、サンドラは家を建てることが本当によかったのかと悩む。ベギーに「何のために家を建てるの!」と励まされ、自分を取り戻していった。

ガリーが娘の取り扱いについて裁判所に訴え裁判が始まった。

「家もなく娘に傷を負わせるようでは母親として失格だ」とガリーの女性弁護士が主張してくる。休憩になりベギーが「モリの声を届けなさい、そしてもうひとつあなたの傷をみせなさい!」とサンドラの瞼の化粧を落として傷を露出させた!

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サンドラは「書類で主張するより大切なことがある。クローゼットでエマがお漏らしをしたのは暴力を見ていたから、あの日のあなただ。そしてそのときの傷がこれ!何度だって蹴とばす!あなたたちは私を呼び出しこの男と一緒になって・・・」と主張した。瞼の傷が強烈だった!

これに裁判長は「親権はあなた!援助を打ち切ります!」と判決を下した。日本だったら父親の言い分なんぞ聞かないで絶対的に母親有利。(笑) こんな裁判にはならないでしょう。

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家が出来上がり、台所やテーブルもそろった。建設に関わった仲間が集まって、ベギーの家でお祝をしていたとき、ガリーが建てたばかりの家に火を放った。

サンドラは失意のあまり寝込んでしまった。そんなサンドラに「外を見てごらん!」とベギーが窓を開けた。そこではエマとマリーが焼け跡の始末をしていた。サンドラは駆けだした!

感想:

作ったばかりの家が火事で焼失しサンドラが打ちひしがれて寝込み、ベギーの声で起き上がるまでの数分間の描写。この作品はこれで決まりでした!作品のテーマが何であったかが浮かび上がってくるというカタルシス、感動的なラストシーンでした。

確かに家は欲しいですが、それ以上に大切なものをサンドラは手にいれていた。いつでも家を作れるという自信、このための友人たち、そして何よりも大切な娘エマとモリー、その娘たちが立派に成長していた。行動を起こすことで運命は開けていく。自分ひとりでは生きていけない!

演出的に「家を作る過程が調子良過ぎる!」と思うのですが、この思いが火災で家が焼失し、こんなことはどうでもいい、作品が言いたいテーマはこれだと分かり、それほどには気になりませんでした。😊 それよりもうまい物語の展開に満足!「マンマ・ミーア」の監督が作る作品、とてもいい音楽でテンポよく、スカットしたラストシーン、「マンマ・ミーヤ」でした。人間描写の細かい描写に気が付かないのだろうと思っています。😊

グレア・ダン、瞼に痣があるんですね!これには驚きました。おそらくこの痣が彼女を芯のある女優にしていると思います。これからの活躍を期待したいですね!

エマとモリーを演じる子役さんの演技がとても可愛いくて自然、ある意味で本作の主演で、さらに建築過程が実際の手順書を基に描写されており、とてもリアリティを感じさせてくれました。

         ***

「Mank マンク」(2020)

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名作「市民ケーン」の影の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツの伝記を描いたNetflixオリジナル映画作品。第93回アカデミー賞で10部門にノミネートされ撮影、美術の2部門受賞というこの機会に、当地では一日一回の上映、やっと観ることができると駆けつけました。(笑)

市民ケーン」(1941)は、

アメリカの新聞王チャールズ・フォスター・ケーンが自宅で息を引き取る直前につぶやいた「薔薇のつぼみ・・・」に彼の人生の糸口があると考えた記者が、ケーンの別れた妻などゆかりの人物たちに話を聞き、「薔薇のつぼみ」の謎を探るという物語。」

監督・主演を務めたオーソン・ウェルズの功績と認識されているが、マンクがクレジットの権利を契約上破棄したことから、真の貢献者を誰かという議論があるという。この作品ではマンクの“執筆動機”をあぶりだし“彼の生き様”を明らかにしようというもの。

本作を観る前に「市民ケーン」を観ておくべきなんですが、いろいろありまして(笑)、あらすじだけ読んで観ることにしました。これは良くなかった、作品を観ておくべきだと反省です。😊

この作品を選んだ理由はデヴィッド・フィンチャー監督作ということでしたが、脚本が監督の父ジャック・フィンチャーの遺稿だと知り、何としても父の遺作を伝えたい、今の“ハリウッドへのメッセージ”ではないかと思いました。

脚本:ジャック・フィンチャー、監督:デヴィッド・フィンチャー、撮影:エリック・メッサーシュミット、美術:ドナルド・グレアム・バート、衣装:トリッシュサマービル。編集:カーク・バクスター、音楽:トレント・レズナー アティカス・ロス。

出演:ゲイリー・オールドマンアマンダ・セイフライド、リリー・コリンズ、アーリス・ハワード、トム・ペルフリー、チャールズ・ダンス、他。

あらすじ(ねたばれ):

1940年、新鋭の映画監督オーソン・ウエルズ(24歳)はRKOから何を書いてもよいという権利を得て、マンキーウィッツ(マンク)(ゲイリー・オールドマン)に新聞王ハースト(チャールズ・ダンス)をモデルにした脚本を依頼した。

マンクは自動車事故で入院していたが、差し向けた車でハリウッドの映画牧場ヴィクターヴィルに閉じこもって90日間で仕上げるというものであった。執筆のために秘書として英国人のリタ・アレクサンダー(リリー・コリンズ)、家政婦としてフリーダー、さらに俳優のハウスマンが付き添った。

ウェルズは電話で「週一度報告、権利は俺だ!」と電話で言ってくる。マンクは「24歳のくせに!」と。

マンクは映画業界で経験してきたことに思い出しながら口述、リタにタイプさせる。するとリタが「分かりました!誰がモデルか」と言い出す。

物語はマンクの執筆活動とその背景となるマンクの記憶が交互に描かれます。

1930年、ハリウッド撮影所。

マンクはパラマウント社で「天才が仕事中」と銘打った部屋で弟ジョセフ(ジョー)らライターと脚本作りをしていたが、不況で社は経営難に陥っていた。部屋で賭博をやるという状況でいい脚本が出て来ない。

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マンクは酔払って隆盛を極めるMGM社の撮影セットに潜り込む。まさにインデアン西部劇の撮影中で、女優のマリオン(アマンダ・サイフレッド)に会った。マリオンとは「タバコ頂戴!」と言われる仲。彼女が「パパ(ハースト)に気に入られた」という。(笑)このシーンで、明るいライトが当てられます。これが「市民ケーン」のライティングらしい!

ここで監督のアーヴィング、社長のメイヤー(アーリス・ハワード)、ハーストに出会う。ハーストが「新しい時代が来るぞ!」と声を掛けて来たので「マックレーカーのあんたに言われてうれしい」と答えたのが気に入られ、つき合いが始まった。

マンクは妻サラからの電話にも出ず原稿を考えるが、つまらん冗談でリタを怒らせてしまった。仕事にならないと酒を飲んで寝た。そこにウェルズが「見舞いだ!」とやってきた。ハウスマンが「原稿が少なすぎる!60日間で書いてくれ」という。「2時間で男の人生は描けん!」と言い返す。ウェルズはマンクの作業進捗だけはしっかり管理している。(笑) 

原稿をリタに読ませると「白い服で白いパラソルを持っている女性」のところで「これはあなたの記憶?」という。「そうかもしれん!」とマンク。

1934年、MGMの回想

弟ジョーもMGMに移った。「“ライオン”のボスだ!」と困惑する。(笑)メイヤーは組合員、俳優を一同に集めて「大不況を乗り切るために8週間の解雇」をいとも簡単に取り付ける。

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これまでの原稿をジョーが目を通した。ジョーが電話で「相手はハーストだ、喧嘩するな!」と言って寄こした。

1934、ハーストの大邸宅でのメイヤー誕生祝い!

ハーストとメイヤーの蜜月関係をアピールしたものだった。女優さんたちも大勢参加。アーヴィングが英国から帰ってきたことでヒトラー社会主義共産主義が話題になり、カリフォルニア州知事選が話題に上がった。ハーストが推すのはメリアム、対抗馬は社会主義者で小説家のシンクレア。マリオンが席を外して庭に出た。これを追ってマンクも庭に。ふたりは麒麟や象のいる庭を散策。マリオンが「知事選の話は絶対にダメよ!私とパパとメイヤーだけ」という。マンクは「小説家だ!」と言うと「あんたは本当のことが分かってない」と。

マンクは原稿を書きながら寝てしまった。リタが「また酒を飲んでいる!」とカーテンを開けた。光が差し込む!ハウスマンの原稿が進むようにと酒を持ってきてくれた。ウェルズが電話で進捗状況を確認する。リタが「もう辞めたい!」と言い出すが、フリーダが「ユダヤ人を100人もこの国に入れてくれた人だから応援する」と言い、リタも思い止まった。

1934年、MGMの回想

マンクがMGMに顔を出す。ジョーから「組合に力を貸してくれ!」と言われたが断った。アーヴィングから「カリフォルニアはハーストの天下だぞ!」と選挙基金に寄付を求められたがこれも断った。街頭では選挙運動が始まり、ワーナーもMGMもメリアム支持だという。

マンクの原稿も進んで、リタが「間違いなく傑作だ!」と言い出す。ハウスマンが「327ページが気に入らない」。そして改めて「クレジットには名を載せない」と言う。「何故ハーストなんだ!」と聞くので「“オルガン弾きと猿”の話を聞いたことはないか」と言う。マンクがこれでハーストを書く動機になっていると思います!

1934年、MGMの回想(続)

マンクがMGMに出向くと「知事選ニュース」を見せられた。それはニュースと銘打ったメリアム候補宣伝映画だった。昵懇のシェリーが「メイヤーが監督にしてくれるというから撮った」という。「人は映画を観て信じるぞ」と諭した。メイヤーの命令には逆らえん!マンクはマリオンに止めて貰おうとおもったが、マリオンは10年に1本の当たった作品がないと首にされていた。マリオンが寂しくスタジオを去って行った。

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選挙当日のトロカデロナイトクラブ。

マンクはここで選挙速報を見守っていた。このシーンは緊迫感が伝わるように票結果を映し出すスクリーン、マンクや観衆の表情などとても工夫された映像になっていた!結果はメリアムが当選。シュリーがこの結果に責任を感じて自殺した。

ヴィクターヴィルにジョーが訪ねてきて「脚本を読んだ。ハーストが読んだら破滅だ!マリオンが可哀そうだ。兄貴は雇われた道化だ!」と説教する。「ハーストの薔薇のつぼみは女のあそこか?」という。(笑)マンクは「俺は何年も前から終わっている!」とジョーの諫言を意に介しなかった。

次に、マリオンがやってきて「パパが弱っているから虐めないで!最初は親切にしてくれなかったが、今はお互いが大切なの」とマンクに訴えた。

ウェルズから「初稿を見た、直しが必要だ!」とクレームが付いた。ハーストからの圧力によるものだった。

1937年、サンメンスのハート邸食堂。

大勢の客を招いてのディナーパーティー。マンクはべろんべろんに酔って妻サラを伴って食堂に入り、ハーストに知事選挙での恨み辛みをぶつけた。「いかれた爺さんのあんたが理想を持って現代のドン・キホーテになり、大統領になって社会主義を成し遂げるんだ!ハーストどうだ!」と大騒ぎして、食べ物を吐いた!(笑)マリオンは怒って出て行き、メイヤーは「お前の給料の半分はハーストから出ている」と激怒した。(笑)

ウェルズがやってきて「10万ドル乗せでどうだ!」という。マンクは「俺の最高傑作だ!クレジットに乗せろ!」と引かなかった。それは、サンメントのディナーパーティーから追い出されるときにハーストに掛けられた言葉だった。

オルガン弾きと猿。着飾った猿はオルガンで踊らされているのを忘れて、主人は自分でオルガン弾きは従者だと考えだす」。

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ウェルズは「クレジットには乗せるがプロデュースは俺だ!」と帰っていった。脚本はウェルズと共同脚本となった。

1942年2月、ピルトモア劇場。

市民ケーンアカデミー賞に9部門ノミネートされながらも、脚本賞のみだった。そこにウェルズとマンクの姿はなかった。

スタジオでのインタビュー。記者が「脚本賞だけだったですね!」と言ったことに「それがハリウッド」と答えた。「ここにウェルズがいませんが?」に「映画の魔法だよ!」と。11年後マンクは55歳でアルコール依存症により亡くなった。

感想:

脚本を作ったのはマンク!ウェルズは脚本製作に物的面支援したのみでした。

映画館で観て正しいと思っていることがそうではない、ハーストの実像なんか分からない。が、クレジットだけは正しかった!😊

ハーストから投げられた!“オルガン弾き猿“の話しから自分を猿に置き換えクレジットを取り戻したマンクでしたが、それだけではなかった。「ハーストも猿、男の人生なんて2時間で描けない」とこの男を踊らせた。

「映画の真実とはなにか!」に苦悶したシュリーの死はハリウッドへのメッセージ!

ソーシャル・ネットワーク」(2010)を撮った監督、映画をNetflixに期待しているでしょう。この作品はNetflixに適した作品でハリウッドへの挑戦状。

監督の“薔薇のつぼみ”は父ジャック・フィンチャー!監督が望んだと思われるアカデミー脚本賞、無念でしたね。主演男優賞のアンソニー・ホプキンスがこのとき眠っていて表彰式を欠席、まるでマンクでした。(笑)これがアカデミー賞です。😊

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「ディア・ハンター」(1978)

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久しぶりに本作、アカデミー賞受賞式に合わせて放映されたWOWOWシネマで、観賞しました。ベトナム戦争で心身に深い傷を負った男たちの苦悩と友情、そして戦争の狂気を描き、第51回アカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞など5部門を制した戦争ドラマです。

ロシアンルーレットの話しか覚えてないと言う状態でしたが、戦争の悲惨さ、友情や家族の絆や戦争のない日常がこんなに愛しく感じられる作品はないと改めて感じました。

ベトナム戦争の末期。米軍がサイゴンに追い込まれ段階。こんな時期でありながらほとんどベトナム戦の苦戦を知らない若者が徴兵で戦場に駆り出されて、そこで体験した戦闘。その大半は捕虜としての体験とその後の苦闘。

戦争映画と言われますが、無残な戦争シーンは瞬間的でしたが、他のベトナム戦を描いた作品に劣らぬ戦争の惨さが読み取れ、それだけにこの戦争がアメリカ社会に与えた影響の大きさが分かります。

監督:マイケル・チミノ、脚本:デリック・ウォッシュバーン原案:マイケル・チミノデリック・ウォッシュバーン、ルイス・ガーフィンクル、クイン・K・レデカー。音楽:スタンリー・マイヤーズ、撮影:ヴィルモス・スィグモンド、編集:ピーター・ツィンナー。

出演者:ロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンジョン・カザールジョン・サヴェージメリル・ストリープ、他

当時デビュー間もないメリル・ストリープが出演、アカデミー助演女優賞にノミネートされました。

あらすじ(ねたばれ):

ベトナム戦の終末期。ペンシルベニア州ロシア系移民の町クレアトン。この町にベトナム戦の惨状など届いておらず、平凡な毎日が続いていた。製鉄所で働くマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スティーブン(ジョン・サヴェージ)に徴兵状が届いた。この日、スティーブンはジュリアン(ピエール・セグイ)と結婚式を挙げる日だった。スティーブンの母親は「私に嫁を預けて戦場に!」と子の結婚には反対。しかしジュリアンは妊娠しているからスティーブンは出征まえに結婚しておきたかった。結婚式にはリンダ(メリル・ストリープ)が新婦の介添え役として参加することになっていた。彼女は閉じこもりの父親の面倒を見ており、ときに暴行を受けていた。

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ロシア教会での結婚式。コミュニティー挙げての静粛な式だった。ホールでの結婚披露パーティー。飲んで、歌って、踊ってのとても楽しいパーティーだった。マイケルはもっぱらの飲役で “ホモか?”と言われるほどに女性には淡泊。孤高的な性格で「鹿を1発で仕留める」を狩の鉄則にしていたがニックを狩の本当の友だ!」と思っていた。

ニックが陽気にパーティーを盛り上げる。女癖の悪い(笑)スタンリー(ジョン・カザール)が「ジュリアンには男がいた!」とつまらんことを言い出す。ニックが「気にするな!」と忠告すると「関係ない!」とスティーブン。ニックは気配りの出来る男だった。

パーティーの終わりにニックが「兵役が終わったら結婚したい!」とリンダに求婚した。リンダは嬉しそうにこれを受けた。実はマイケルもリンダに好意を持っていた。

ベトナム帰りのグリーンベレーに会うが、彼は何も語らない。ベトナム戦場に異変があることに彼らは気づかなかった。しかし、披露パーティーが終わって、静かになるとマイケルが「帰れるか?」と不安を漏らす。ニックは「何かあったら必ずこの町に連れて帰ってくれ!」と。

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新婚夫婦を送り出し、夜明けにマイケルとニックがコンミュニティの若い連中スタンリー、ジョン、アクセルと一緒に鹿狩に出掛けた。鹿狩ではマイケルの独壇場、みごと1発で鹿を射止めた。町に戻って、バーでいつものように皆で歌って翌朝出征した。

ベトナム戦場。空爆支援を得て村のベトコンを一層して休憩中のマイケル。そこに生き残りのベトコン兵が近付き、防空壕に避難している住民を擲弾で襲う。そこに救援ヘリでニックとスティーブンが送り込まれてきた。大量の爆撃で村を焼き尽くすという「ソンミ事件」を絵に描いたような戦闘シーンだった。

3人はベトコンの捕虜となり収容所?(泥水の水牢)に収容された。

ここではロシアンルーレット賭博という方法で処刑される。6発入り回転弾倉付拳銃に1発の弾を込め、弾倉を回転して渡された拳銃を頭につけ引き金を引くというもの。引き金が弾けない場合は銃殺される。ティーブンは恐怖で半狂乱。マイケルが「意地を見せてやれ!」と励まし引き金を引かせたが、恐怖のあまり手がぶれて弾が外れ、水牢に戻された。

マイケルはこの牢から脱出するためにニックと敵を欺くことにした。「ふたりが勝負する場を作る。敵に賭率がより高い弾倉に3発込める案を提案し、その銃でマイケルが頭を撃つ振りをして敵を撃つ。その瞬間にニックが敵の自動銃を奪い射殺するというもの。

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3発弾込めした拳銃が“ニック”に渡された。ニックは恐怖で引き金を引けなかった。マイケルが励ますなかでやっと引いた。“空撃ち”だった。次はマイケルの番。マイケルが番兵を撃った。ニックが番兵から軽機関銃を奪い撃った。ふたりは水牢からスティーブンを救い出し、枯れ木にすがって河を下った。

破壊された吊り橋に辿りつき米軍ヘリにロープで救出される際、ニックが救出されたが、敵に攻撃されマイケルとスティーブンはヘリの脚にすがったままの状態で飛び立ち、ティーブンは力尽きて河に落下。マイケルがこれを追って河に落ちて行った。ニックはこれを機内から見ていた!

マイケルとスティーブンは河を下り、河岸に辿り着いた。ティーブンは左足を怪我して歩行不能だった。マイケルが背負い、サイゴンへ避難する民衆の群れに辿り着き、護衛の米軍部隊にスティーブンを預け、自らは歩いて基地に辿り着いた。

ニックは病院に収容されていた。精神的なダメージで母親の誕生日を思い出せない。休暇で街に出てマイケルを探したが見つからなかった。そのとき偶然出会った男にロシアンルーレット賭博に誘われ、賭場に顔を出した。勝負を目の当たりにしていきなり拳銃を頭に突き付けて引き金を引いた。“空撃ち”だった。男にこの勇気を買われ、男とともに去って行った。そこにマイケルがいて「ニック!」と声を掛け追ったがニックは気づかず闇の世界に去って行った

マイケルは帰還した。友人たちにより歓迎幕が張られ歓迎準備がなされていたが、そこには顔を出すことは出来なかった。こっそりリンダが住む部屋に戻った。ニックから知らせのないリンダは悲しいが、それでもマイケルの帰還を喜んでくれた。一緒にリンダの勤めているスーパーに顔を出し、仲間に会い、「功績を挙げたな!」などと言葉をかけてくれるが、そんな気分にはなれなかった。町は昔のとおりで何も変わったところはないが、マイケルの心は空虚、戦場にいるままだった。

リンダの誘いで彼女を抱いたがそんな気持ちにはなれなかった。アクセル(チャック・アスペグレン)から「ティーブンが帰還している」と聞かされたが、ジュリアンが居場所を明かさないという。ジュリアンを訪ねると病んで寝ていた。スティーブンの居場所の電話番号を教えてもらったが、戦場を思い出すので電話する気分になれなかった。

マイケルはリンダや友人たちの仲間と一緒に遊んでも昔のように遊ぶ気はなれなかった。そんなとき、これなら昔を取り戻せると仲間たちを誘って鹿狩りに出かけた。しかし鹿を撃つことが出来なかった。その夜、拳銃を弄ぶスタンリーを見てジョン(ジョージ・ズンザ)が“弱虫!”と冷やかすとジョンに銃口を向けた。これを見たマイケルは銃を取り上げ1発、弾を込めて引き金を引いた。“空撃ち”だった。マイケルが動揺しその銃を山に捨てた。これでやっと昔の自分に戻った。町に戻りリンダを抱いた。そしてスティーブンと会うことにした。

マイケルは復員軍人病院にいるスティーブンを訪ねた。下半身を失っていて、家には戻らないという。彼が「毎月サイゴンから現金が届いている」という。マイケルはスティーブンを家に連れ戻し、「ニックが生きている」と再びベチナムに飛んだ。

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マイケルは男に大枚を叩いて、ロシアンルーレットの店に案内させた。そこにニックがいた。マイケルが話しても何も分からない状態。大枚を叩いて死を覚悟してニックとの勝負に挑んだ。最初はマイケルの番だった。躊躇なく頭に拳銃を向け撃った!“空撃ち”だった。次はニックの番、「山を覚えているか」と聞くと笑って「1発か」と叫びすばやく拳銃を持って頭を撃った!マイケルはニックの頭を抱えて泣いた!ニックの記憶には戦場の記憶しか残っていなかった!

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マイケルは約束どおりニックをクレアトンの町に連れて戻り、結婚式を挙げるはずだった教会で葬儀、埋葬を終え、ジョンの店で仲間とゴッド・ブレス・アメリカ(神よ!アメリカに祝福を我が愛する祖国に・・マイスィートホームに)唄っでニックの冥福を祈った!リンダに少しの笑みが戻った!

感想:

1978制作の作品。ベトナム戦争を描いた作品としては初期のもの。戦争が終わり、戦争の評価そのものが少ない時期のもので、アメリカ政府を攻撃するような描写が全くない

前段の派手に飲んで踊り歌ったダンスパーティーが、ラストではジョンの店で「ゴッド・ブレス・アメリカ」を静かに唄うシーンになる。この落差が戦争の虚しさが強烈に伝はえてくれます。何ひとつ国に不平を言わないで“ゴッドブレッス”を唄う、これに泣けます。この結末があまりにも悲しい!

製鉄会社での過酷な労働、終ってバーで飲むビールの美味、ボーリングや玉突きでの癒し、大自然をバックに憑かれる狩り、友人の結婚式、こんな幸せな平凡な日々が一杯描かれるが故に、惨めな戦場にあってニックの行方不明、スティーブンの負傷、マイケルの悲しい帰還に戦争の悲しみがこみ上げてきます。

なんでニックはアメリカに帰って来なかったか!

友を見捨てたという思い。これが許せなかった?この戦場で自分は何を成し得たか?マイケルとスティーブンを失っては帰れない!彼は死に場所を求めていた。マイケルが迎えにきたことが分かってほっとしたのではないでしょうか! とても悲しい!

戦場の描き方。戦闘は米軍が爆撃で村落を襲撃しその反撃を喰らワンシーンのみ、大部はロシアンルーレットベトナム戦場における恐怖心理のメタファー)で恐怖に苦しむ兵士だが、これが強烈で、戦場の悲惨さを伝えるには十分だった。

俳優たちの演技、その繊細な感情表現がすばらしかった。ロバート・デ・ニーロクリストファー・ウォーケンジョン・サヴェージの三人によるロシアンルーレットに悲鳴を上げるシーン。そして、ニックの葬儀からジョンのバーでのニック追悼に見せるデ・ニーロとメリル・ストリープの表情の変化、硬い表情が次第に崩れていくシーン、すばらしかった!

友情は人生の宝物。戦場で友人を失って、その悲しさのなかで生命の大切さを知り一層友情を深めていくところに感動しました。

          *****

「デッド・ドント・ダイ」(2019)

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ゾンビ映画は苦手ですが、ゾンビコメディだということで安心してWOWOW初放映で観ることにしました。前知識ないで観ましたので怖かった!この作品、「怖くないと言ったら作った意味がない」ですよね。(笑) ゾンビが襲うほどに“人間の業が怖い”という作品でした。(笑)

監督はジム・ジャームッシュ。監督の作品に初めてお目にかかります。鬼才と称されるようですが、“そうなんだ!”と思える作品でした!

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ、撮影:フレデリック・エルムス、編集:アフォンソ・ゴンサウベス、音楽:スクワール、主題歌:スタージル・シンプソン「デッド・ドント・ダイ」。

出演:ビル・マーレイアダム・ドライバーティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミダニー・グローバーケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、サラ・ドライバー、RZA、キャロル・ケイン、オースティン・バトラー、ルカ・サバト、セレーナ・ゴメス、トム・ウェイツとても豪華です。狙いはアダム・ドライバーでした!

観る前と、観てからの感想が180度違う作品、前知識なしで観ると面白いと思います。

あらすじ(ねたばれ):未観の方は読まないでください!

アメリカの小さな田舎町センターヴィル。警察署長のクリフ(ビル・マーレイロニー巡査(アダム・ドライバーが鶏がいなくなるという情報で墓場の奥の森の中を捜索。皮を剥がれたキツネ?を発見。世捨て人のボブ(トム・ウェイツの仕業だと大声で叫ぶと「穴に棒でも突っ込め!」と1発ぶっ放してくる。「法律は破るな!」と声を掛けて次のパトロールに移動。ボブが世捨て人とはとんでもない、自然の中で自立し自然とともに生きているんだ!

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サマータイムで「夜になっても明るい」と文句が出るロニー。署で連絡に当たってるミンディ女性巡査(クロエ・セヴィニー)から「外が変だ!」というニュースがあると連絡が入る。

カーラジオから流れるカントリーミュージックデッド・ドント・ダイ」(死者は死なない、人並み以上には。彼らはただの幽霊で見果てぬ夢にいる・・)を「テーマソング」だからと聞きながら(笑)、センターヴィルの町をパトロール。葬儀場、少年拘置所、モーテル、ボビーの店(ガソリンと雑貨)、ダイナといつものパトロールコース。

ダイナ店長のファーン(エスター・バリント)、昔は美人だった。 “アメリカをもう一度白人の国に“のキャップを被った牧場経営者のフランク(スティーヴ・ブシェミはコーヒー好きで「デッド・ドント・ダイ」が大嫌い。隣席の金物店主の黒人ハンク(ダニー・グローヴァーがフランクに「あんたがボピーのことを警察にチクった」と絡む。するとフランクが帰りに「ここのコーヒーはブラックすぎる」と言い、「濃いコーヒーだ」と言い直して出て行った。(笑) アメリカの人種差別はいつ終わるのか!

ラジオから「極地での水圧破砕工事により地球の自転に与える影響は否定できない。日照時間を狂わせている」とニュースが流れる。お前らが石油を使い過ぎるんだよ!

少年拘置所のでは子供たちがTV室で地球の自転軸が狂っているというニュースを見て、「生態系に大きな影響が出る」と論議しているところにデカい白人看守がやって来て黒人の子に「女の子になりたいのか早く男子室に戻れ!」と嫌味を言い、TVを観るのを止めさせ寝かせる。ここでも人種差別か!、罪に差はなかろうに!。しかし子供たちは真面目に自然破壊を憂いている、真っ当だね!(笑)

ボビーケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)の店。そこに宅配便屋のディーン(RZA)が“地球の自転軸がずれる”の新聞を見せて「悪いニュースだ」と言い、骨とう品のホラー雑誌をプレゼントして、「クーラーは壊れているのか?暑い!」と配達物を渡し「この世界は完璧だ。細部まで味わえ」と言い放って帰った。訳わからない!(笑)

署に戻ったクリスとロニー。今夜の当直はクリス。不審死体マロリー(キャロル・ケイン)を署で預かっていて、彼女と一緒に泊まることになった。ロニーが「まずい結末になる」と言うのでクルスが起こる。(笑)

ダイナの店で葬儀場主ゼルダティルダ・スウィントン)が話題に上る。アイルランド出身?の女性で日本刀を“菩薩像”の前で居合抜刀演技。みごとな刀の扱いでした!

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その夜、ふたりのゾンビがダイナのファーンとリリーを襲った。頭ではななく、内臓をえぐり出して喰った!そしてコーヒーをガブ飲み。(笑) そのひとりのゾンビがイギー・ポップ。このゾンビの喰い方が“えぐいったらない!”すばらしい演技でした!

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朝、ハンクの知らせて駆けつけたクリフ。見ていられない!そこにミニカースマートで駆けつけたロニー。ドライバーにスマート。(笑) この映画では「こんな車に乗れ!」と推奨している?(笑) クリフは「史上最悪の事件?」と訝ると、ロニーが「ゾンビだ!」と明言する。

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町に3人の若者がデカい68式ポンテアック・ルマンに自慢げに乗って訪れた。「モーテルに泊まりたい!」と紹介を頼んでくる。こんな若造がこんなデカい中古の排気の大きな車に乗る!都会から来て自然を荒らすバカがと言わんばかりだ!

セルダが「マロニーの遺体を預かりたい!」と署を訪ねてきて、“家庭調査”だと警察がしっかり町民を守れるかを確認して戻って行った。

FBIがマロリーの遺体を検視することになり、異常な雰囲気が漂うになってきた。クリフとロニーは墓場を調べた。掘られた穴が見つかった。「やはりまずい結末になるな!」とロニー。ロニーは何かを知ってるな!穴と見たボブが「ゾンビが大挙して人間の肉を喰いにくる」と呟く。パトカーのなかのクリフとロニーの会話がおかしい。(笑)「それアドリブか?」「聞いただけだ!」。ふたりは“警報”を出すことにした。

ハンクの金物店は大繁盛で、ゾンビ対処用に頭を攻撃するハンマーと首を飛ばす刀とハサミが売れた。ハンクとボビーはホビーの店に立てこもった。

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夜、沢山のゾンビが動き出した!フランクは猫が居ないと外にでたところを襲われ亡くなった。ハンクは店帰りに、町の家や施設を襲ってきた。警察署はボビーの店でしっかり厳重にドアを閉ざして、困難が収まるのを待つことにしていた。ところがそこに老婆が現れた。ロニーが太刀で首をぶっ飛ばした!まるで“スター・ウォーズ”だった。(笑)

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葬儀屋ではゼルダがゴルフ場の老夫婦の遺体に化粧していると、突然死者が起き出して襲ってくる。ゼルダは見事な刀捌きで首を飛ばし、警察署にやってきた。

ゾンビはスナック、ジュース、チョコバーオモチャ、WI=FI、ブルーツース、抗不安薬、鎮痛剤、ギター、工具などを求めてとホビーの店を攻撃。ふたりで懸命に交戦するが・・・。少年拘置所にもゾンビがやってきた。少年たちが院を抜け出して、森に逃げ出した。

警察署にゼルダが近付くゾンビの頭を落としながらやってきた。彼女に急かされるようにクリフ、ロニー、それに内勤のミンディも一緒にパトロールに出た。ゼルダには署の電話当番を依頼しロニーのスマート車のキーを渡した。ロニーが車から乗り出して近づくゾンビの首を跳ねて前進する。「生前の生活に引き寄せられている」とロニー。平気でゾンビにパトカーをぶつけて「死んでいる!」と平気なリニー。これにはミンディが「やめて!」と嫌悪を示した。

モーテルを訪ねると3人がゾンビに襲われ無残な姿だった。ロニーが「こいつらもゾンビになる!」と刀で首を飛ばす。ロニーのアダム・ドライバーがこの作品に呼ばれた意味が分かるほどの斬り方だった。(笑)

トロールカーを見つけてゾンビが大量に押し寄せてきた。ゾンビの中にミネルヴァのお婆ちゃんが居て、ミンディは止めるのも聞かず、車外に去ってしまう。ロニーが落ち着いていることにクリフが「お前は初めから落ち着いている」と腹を立て始める。(笑)もはや車を動かすことは出来ない。ロニーが「台本にこれ、あった。読んだ!ジムがくれた」という。「俺には出演シーンだけだ!」とクリフ。“そういうことか”!!このあたりから様子が変だ!(笑)

ゼルダはロニーの車で署を抜け出して広場に。UFOが迎えが来て去って行った。「これ台本にあったか」とクリフ。「僕の台本にはなかった!」とロニー。(笑)

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クリスとロニーは車から出て、ゾンビを斬って斬りまくり、撃って撃ちまくった。その中にあのファーンもハンクもポージーも、そしてミンディもいた。

この様子を眼鏡で眺めながら、ボブが「クリスとロニーが死者の中に。ゾンビは物質主義の遺物だ。連中は最初からゾンビだった。幽霊だ。無数の人間の名状しがたき悲惨。底なしの欲に駆られて、もうだめだクリフとロニーの悲しい結末さ。なんていかれた世界だ!」と呟く。

感想:

「ゾンビは物質主義の遺物だ。連中は最初からゾンビだった」とゾンビの怖さを笑いで希釈しながら、人類がこのままの浪費を続けたら世紀末だぞ!とユーモラスに描かれました。

観終わってゾンビにやられず残ったのは。ゼルダとボブと少年拘置所の少年たちだけだった。ゾンビにやられた人たちは何故ゾンビに襲われたか。「そういうことだったのか」と監督のメッセージというか“監督の怒り”を感じ取るような作品でした。(笑) あらすじのなかに、監督が言いたかったと思われる?つぶやきを入れて置きました!

日本の「欲を断つ!」という文化が取り入れ「大切な生き方」をしているのが印象的でした。これを演じるティルダ・スウィントンにその雰囲気がよく出ていました!

なんでこんな映画にと思われる豪華な俳優さんの出演。作品を特段に面白くしてくれました。特にイギー・ポップのゾンビは嵌っていました。

この作品を観て、「そうだ!」と思うなら「何か行動に移すことはないか!」と考え、断捨離をお勧めします!断捨離は何が大切かを考えさせてくれ、物を大切に、無駄使いをなくするに繋がります。😊

                                     ***

「るろうに剣心 最終章 The Final」(2020)

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これまでの“るろ剣”過去3作を観ていて、7年ぶりの本作を楽しみにしておりました。コラナ禍の中での公開でしたが早速観て参りました。

最終章は“The Final”と“The Beginning”の2編からなり、物語の完結はこの“The Final”、ラストでなじみのキャラクターが集合し大円団で終わります。じゃなんで“The Beginning”があるんだということになるんですが、シリーズを通して「なぜ、剣心は2度と人を斬らないと誓ったのか?」という最大の謎に迫るというもの。

“The Final”、

剣心は斬れない“逆刃刀”を手に“不殺の誓い”で、志々雄真実との死闘を乗り越え、今は仲間たちと平穏な日々を送っていたが、彼には妻巴を斬ったという拭ってもぬぐい切れない心の傷があった。巴の弟雪代縁は剣心が巴を斬るのを目の当たりにし、姉の仇をとるため清国に渡り身体と剣技を鍛えマフィアの長となって帰国、想像を絶する憎しみで剣心に挑んでくるのだが・・・。

原作:和月伸宏さんの人気コミックス「るろうに剣心明治剣客浪漫譚―」の“人誅編”。未読です。この未読は“The Final”を観るには” ちと“痛かったですね!

監督・脚本:大友啓史、撮影監督:石坂拓郎さん、音楽:佐藤直紀、アクション監督:谷垣健司、美術:橋本創、

出演者:佐藤健武井咲青木崇高蒼井優伊勢谷友介江口洋介らこれまでのシリーズで活躍してきたメインキャラクターに雪代縁として新田真剣佑が初参戦。

るろ剣”は剣劇圧倒的なスピードアクションで観せるという新風を吹き込んだ作品。本作はこれをさらにアップして見せようという大友監督の気概を感じる作品で、すばらしい剣劇を見せてくれます。おそらく世界にもっていっても負けないと思います。

本作は縁の剣心に対する仇討ち劇剣劇をエモーショナルなものにするためには仇討ちの動機がしっかり語られなければならない。が、この部分の大部を“The Beginning”で描くことになっているので、確かに描かれているのですが、私的には不満でした。そんなわけで早く“The Beginning”を早く観たいです。監督はこれを期待したのかな!(笑)

あらすじ(ねたばれ):

1879年(明治12年)、西南戦争も終わって、剣心は彼に思いを寄せる神谷道場師範代、神谷薫(武井咲)や、道場でともに暮らす門下生の明神弥彦(大西利空)、喧嘩屋の相楽左之助青木崇高)、女医の高荷恵(蒼井優)ら仲間たちと平穏な日々を送っていた。

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このころ上海で身体を鍛え裏社会のボスにまで上り詰めた雪代縁(新田真剣佑)が帰国していた。彼は姉巴(有村架純)を斬殺した剣心(佐藤健)に「痛みだけでない、苦しめてやる」、そのためには剣心だけでないぞ、國も、彼を育てた人、仲間も痛めるという激しい復讐心で“己が下す”という“人誅”を策していた。これほどの復讐心がどのようにして生まれたか?

縁は密貿易組織(長:呉黒星(音尾琢真))を持ち、同志として乙和瓢湖(栁俊太郎)、鯨波兵庫(阿部進之介)、乾天門(丞威)を擁していた。

先ずは剣心への仇討ち宣言として浅草に大筒弾をぶち込み火災を起こさせ、“人誅”という痕跡を残した。薫や恵、相楽の間に不安が走った。剣心には思い当たることがあったが、薫に明かすことには躊躇していた。

そんなときに、薫と昵懇の前川道場と剣心にとって身近な人物として神谷道場がある町を管轄する警察署所長宅が、それぞれ乾大門と乙和瓢湖に襲われた。

剣心が浦村警察署長宅に、相楽が前川道場に走った。

剣心と瓢湖の格闘。大鋏を振り回す瓢湖との闘い、剣心の回転、壁を伝うスピードのある動きに瓢湖は対応できない。前川道場では多くの巡査が斬られた。これに警視庁警官の斎藤一江口洋介)が激しい怒りを見せ、タバコを投げ捨てた。(笑)

浦村警察署長宅からの帰る剣心を掴まえ、縁が「人誅」を宣言した。縁は剣心の周りから復讐し始めた。

剣心は薫、恵、相楽に「俺が斬った妻巴の仇討ちに縁が現れた」と告白し、「顔にある“十字傷”はもう斬らないと誓った傷だ」と話した。薫が動揺したが恵の「剣心は生きている!新しい思い出を作ればいい」という言葉に励まされた。

年末、稽古納めが終わったところに、巻町操(土屋太鳳)が京から、剣心が寺に預けていた巴の日記を届けるために、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)と伴って訪ねてきた。蒼紫は警視庁の知合いから「剣心が絡む案件で東京に血の雨が降る」という情報を得て街に出掛けた。

斎藤が率いる警察隊は中華人街の“倉庫”で待つ乾大門逮捕に向い、組合員たちとの戦闘になった。まんまと縁の策に嵌った!(笑)

夜間、気球に乗った縁が空から「人誅」のビラを撒く。大筒で砲弾を街中にぶち込んでくる。火災の発生、縁の東京襲撃が始まった!ビラを拾った蒼紫が剣心の居場所を探す!

浅草にいた剣心に鯨波兵庫一派が襲いかかり、駆けつけ蒼紫と操に無名異が襲い掛かった。

縁自らが手土産に刀狩の沢下条張(三浦恭介)の死体を持って神谷道場に乗り込み、相楽を倒し、道場を荒らし、薫をさらって自邸に戻った。薫の首を絞めて殺そうとするが殺せなかった。そして泣いた!

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剣心と鯨波兵庫の格闘、いきなりアームストロング砲を撃ってきたが、剣心は屋根を走り、空を跳んで斬っていく。兵庫の最後、「俺を斬ってくれ!」というが剣心は「人を殺めぬ!生きてくれ!」と去った。

神谷道場に戻ると薫は連れ去られ、相楽は無様な姿だった。(笑)最後のときが来たかと縁の屋敷に向かった。斬りかかってくる黒幕の男たち。斬りまくって、先ずは呉一派を倒して縁と対峙と、呉の館に入るとそこに瀬田宗次郎がいた。(笑)

呉は縁の仇討ちが終わった暁には組織を譲り受ける約束が出来ていたが、剣心が生きていては叶わない。そこで宗次郎を呼び寄せていた。

宗次郎は「お久しぶりです緋村さん!私もるろう人になっています」と挨拶。(笑)ふたりで息を合わせて、空と飛び壁を走り、男たちを斬って、斬って、斬りまくる。最後は宗次郎に任せて、縁の待つ館に。

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館で待ち受ける縁。空間を利用して倭刀を振回し、四阿を斬ってしまうほどの怪力の持ち主。さらに限界のない復讐心をもつ。これに対し、許しを請う剣心の剣。最期に宗次郎の小刀を腹に受け止め、駆けつける薫の姿に「薫を守ってくれてありがとう、悪かった!」と。縁が泣いた!

縁は牢のなかで姉巴の日記を読んで泣いた!そこには「あの人は人を斬り、その先に殺すより、大勢の人を守る。ここで死なせてはならない。私は彼を斬ろうとする人に、替わりに斬られたい!私が命を替えて守ります」とあった。

感想:

スピードと空間を使った剣技が最高でそのバックの建物や美術品が素晴らしい。ロケ地がまた良い!この時代の独特の世界感、空気に酔わされました!あっという間の138分だった。

あの人も、この人もと無理して出てくるキャラクターたち。(笑)そして迎える剣心と縁の死闘、憎しみを押さえきれない縁の剣、どう贖罪するかの剣心の剣。剣を交えながらお互いの心を探る。剣心は死んだほうが良いのか生きてどう贖罪するか?縁は剣心の謝罪に何を求めるか?これがハイライトでした。ラストで見せる剣心と薫の愛の姿、泣けますね!

ストーリーも面白い。それ以上に剣術アクションが圧巻だった。剣心を始め、敵役の方々みなさんも含めて、皆さんの演技がすばらしかった。きっと随分練習したんでしょう。新田真剣佑さんのキャラクター作り、剣技演技が目を惹きました。すばらしかったです。冒頭の横浜駅での大暴れシーン。彼の身体能力の高さを示してくれました。

そして土屋太鳳さん、いつの間に蒼紫が消え(笑)、ひとりで八ツ目無名異に“舞うように”立ち向かう剣技は見事でした。武井咲さんの柔らかくなった演技にうっとりしました!

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大友監督の大河ドラマ龍馬伝」から始まったと言ってよい“るろ剣“シリーズ作品、「3月のライオン」「影裏」を経て、すべてがここに結集された作品に出来上がっていたように思います。

さて“The Beginning”、愛の物語であり、戦の絶えない今の世界にどんなメッセージをくれるかと楽しみにしています。

           ****

「悪の偶像」(2019)バックグラウンドの国内事情に、粘っこい韓国ドラマのエネルギーを見た!

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WOWOWの韓国サスペンス特集「真相への執念」4本の内の1本。轢逃げ事故を起こした息子を庇う議員とその事故で息子を亡くした父親の葛藤を綴るサスペンス作品。轢逃事故はよくある事故。これなら韓国社会の実情が分かりやすいだろうとこの作品を選びました。

監督・脚本:「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」のイ・スジン、撮影:ウォンホウ・サ、編集:チェ・ヒョンソク、音楽:キム・テソン。

出演者:「シュリ」「ベルリンファイル」のハン・ソッキュ、「オアシス」「殺人者の記憶法」のソル・ギョング、チョン・ウヒ、ユ・スンモク、他。

あらすじ(ねたばれ):

冒頭で被害者の親父が「息子の射精を手伝った知能は4歳だが体は成長し・・」と息子への想い出を語るシーンから始まります。

ク・ミョンフェ(ハン・ソッキュは病院長で政府の原子力委員長原子力推進派から次期知事にと嘱望されている。米国での視察を終えて帰国し、空港でキム議員と懇談中に妻から息子ヨハンが交通事故を起こしたという連絡が入った。夜、帰宅してガレージをのぞくと妻が必死に洗車している。よく見ると血だらけの死体がある。

息子が飲酒運転で事故を起こし被害者をトランクに収めて持ち帰ったもの。すでに1日が経過し、事故の目撃者はいないと知ったミョンフェは死体を事故現場に戻し事故車を処分して、息子に自首させた。記者会見で息子の過失事故だと謝罪し、知事選立候補については明言しなかった。

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被害者親父ユ・ジュンシクソル・ギョング)が警察で遺体を確認する。見せられた遺体は年寄りでほっとしたところに、もうひとつあるという。足を見ただけで泣き崩れた。息子・ブナムには嫁のリョナ(チョン・ウヒ)が付いている、リョナはどこに行った?と事故に疑念を抱いた。リョナは不法入国の中国人でマッサージ店に勤めていた。ジュンシクはブナムの嫁にとリョナを引き取っていた。この事故はブナムとリョナたちの新婚旅行中の出来事だった。

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ミョンフェは報道陣を伴ってジュンシクを訪ね謝罪するが、嫁リョナが見つかっていないと受け付けなかった。ミョンフェはリョナが一緒だったと聞いて驚いた。

ミョンフェは家に戻りガレージの防犯カメラを調べた。驚くことに被害者はトランクの中で生きていて、彼を引き出して妻とヨハンが殺害したことが分かった。

ジュンシクは新婚旅行先のホテルを訪ねるがリョナが消えていた。残されたリョナの妊娠映像写真を見て何としても探さねばと思った。ジュンシクはかってリョナが務めていたマッサージ店に出向き、どこにいるかを聞くが分からなかった。結婚して国籍を欲しがっていたことを聞いて悔やんだ。

ここからはミョンフェとジュンシクがリョナを追うという追跡劇。

ミョンフェは原発汚水の処理弊害を無視できないという理由で原子力委員長を辞任した。辞任理由をすり替えた。そして、私立探偵キム・ヨングを雇いリョナを捜索することにした。

事件当時、現場付近住んでいる老人が変な音を聞いたと警察に現れた。この聴取にはジュンシクも立ち会った。キム刑事に詰問に「事故は見てないが、女が追われていて、この男(ジュンシク)がいた」と証言。ジュンシクが「バカ言うな!」と怒った。ホテルの防犯カメラ映像を解析して「バスターミナルからインチョン行きのバス停に走っており、誰かに追われている?」と分かった。実は、この老人、次期知事との関係を築きたいという魂胆があった。「事故車は見てないが逃げる女は見た」とミョンフェに伝えた。

ジュンシクはブナムの死亡推定時刻が、事故よりも6時間以上の差があるとキム刑事から聞かされた。

ミョンフェは姉の家からヨングに「リョナの居場所捜索してくれ、その先はいい」と依頼した。1000万ウォンと義理の兄の携帯を姉から借りた。

ジュンシクは大量のリョナ捜索ピラを準備し、マッサージ店を内偵していた。家に戻るとそこにジュンシクが妻と叔母を伴って示談に来ていた。叔母に「このあたりで示談が良い」と示談を持ち出されたが、ジュンシクは「息子は事故後6時間生きていた。あんたを疑っている。リョナに手を出したら皆殺しにする」と示談を断って部屋を出た。追って部屋を出てきた妻が「この家には悪霊が付いているのか?」という。「国一番の人物の首を狙え、そうしなければ見つけられない」と言われたとジュンシク。妻が「あの子の姉に連絡してみたら・・」と。「なんで早く言わんか!」。部屋に残っていたミョンフェはリョナの写真を探しカメラに撮った。

ジュンシクが弁護士フアン・ウシクにリョナの姉イ・スリョンの捜索を相談すると「相手は懲役5年か!議員は判事や検察に繋がっているから、示談は?」と言いながら(笑)リョナの姉イ・スリョンの夫の携帯に繋がった。

教会にいるミョンフェに「あれは事故だ!選挙に出ろ!」と勧める支持者。彼には人を惹きつけるドラマがあると。「プサンライオンズクラブ2階へこい!」とヨンクからメールが入った。

ジュンシクはリョナの姉イ・スリョンが居るテベクの養鶏場を訪ねリョナの消息を尋ねた。スリョンは火傷を負った顔を隠し、鶏の首を落としながら話すという異様な雰囲気のなかでの会話。スリョンも同じように韓国に密行していた。リョナとは異父姉妹で「リョナはエンペン人なのにハルビンと偽って働いている、この傷はリョナが付けた。とんでもない怪物女だ!」と話すが、リョナの消息は得られなかった。その帰りに「2000万ウォンでリョナの居場所を教える。他のも探している人がいる・・」と携帯でヨンクが伝えてきた。

夜間、ミョンフェはライオンズクラブの前で駐車してリョナが出てくるのを待っていた。酔っぱらって出てきたリョナを拉致し隠れ屋に連れ出した。リョナは仲介人のチョイさん?彼の喉を切ったのはスリョンよ」と仲介人に捕えられたと思ったようだ。無言でミョンフェが嫌がり抗うリョナに“ある薬品”を注射すると、「お義父さんごめん!朝までブナムを探したけど見つからなかった」と謝罪する。ミョンフェが注射が終わって車に乗るとそこにヨングが「よく準備したな!」と現れた。ところが手違いがあった。リョナが隠れ屋から出てきた。ミョンフェはヨングに「彼女殺してくれ!」と頼んで下車したところを何度も車で轢き、逃げ帰った。恐怖を演出するとても凝った演出でした!

ジュンシクは2000万ウォンで買った情報の場所ライオンズクラブやってきて病院に収容されたリョナに会った。最初リョナは殺されると思ったが、あの男が義父でなかったことを知って、「ブナムは見なかった、水路にいなかった。」と泣いて訴えた!

ジュンシクはこのことを弁護士に申し出て、道路監視カメラの映像を点検してもらった。すると事故当日現場に遺体がなかったにもかかわらず、3日後に遺体があることがわかった。ミョンフェの車庫を調べると何の痕跡もなかった。ふたりは刑務所のヨハンを訪ね「死体遺棄」を認めさせた。

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リョナが警察病院に収容された。ジュンシクは訪ねると「お義父さんが告訴したの!ここだと強制送還される!韓国に来るために人を殺した。だからこのことを訴えて拘置所に入れて!」と叫ぶ。このことを弁護士に相談すると「ヨハンが自殺を図った、事故車が取り換え、一滴の血液も残ってない。処置なしだ」と。ジュンシクが「告訴したのは誰か?」と聞くと「ウェグァン町のオ・ソッキだ」と言い「とんでもない政治家だ、再踏査を願い出る」と弁護士。

ミョンフェは病室のヨハンに付き添い人工呼吸器を外してヨハンを死に追いやった。

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ジュンシクはオ・ソッギを訪ねたが、居なかった。近所の人から不法入国の女の子を追っていって溺死したと聞かされた。携帯に残っていたその男を見せてもらうと結婚式の写真があった。リョナは偽装結婚をしていた!ブナムの遺体を確認したとき最初に見せられた男だった!ジュンシクはそれでもリョナの腹の子が欲しかった。

ジュンシクはミョンフェを訪ね「リョナの送還を阻止してくれたら、あなたの選挙を応援する」と取引をした。

ジュンシクはやっと息子ブナムを火葬に付し、ミョンフェの知事立候補公演会の演台に応援者として立っていた。原稿を忘れて喋った一部が冒頭の息子ブナムを想う一節。素朴な語りの演説に好感が持たれ、ミョンフェの人としての大きさに感動して、彼の人気は上々だった。

リョナはジュンシクと結婚という形で国籍を得て、大きな腹を抱えながらマッサージ店で働くことになった。リョナは泣いて喜んだ!

ミョンフェのパーテイーにジュンシクとリョナが招かれた。このときリョナはミョンフェの香水の匂いに「どこかで会った人!」と言い出す。ミョンフェの母がリョナのなまりに、「エンペンの人?ハルピンと言うのよ」と話しかけた。リョナはハルビンだと偽っていたから、「傷は治るが、言葉の傷は治らない!」と怒りを露わにした。

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リョナはPCでジュンシクに情報を送ってきたヨングに接触し、自分を殺そうとしたのは誰であったかを知った。

そんなときにリョナのところに「妊婦がいい」と姉スリョンの首を持った男が訪れて、サ-ビスさせて金をせびった。男は仲介屋だった。リョナはこの男をナイフで刺殺して逃げ出した。

選挙運動中のジュンシクはリョンの事件を知らされマッサージ店を訪れたがリョナはいなかった。夜、リョナが家に戻り「ブナムには子供が出来なかった、何故隠したの!約束は守ります」と包丁を持って出て行った。ジュンシクはブナムにパイプカットさせていたのだった。リョナが去って、録音していたブナムの声を聞いて泣いた。

ジュンシクは「すべてを失った!」とイ・スンシン将軍の銅像に上りその頭を爆破させ逮捕された。TVで犯人ジュンシクの妻はリョナだと報じられていた。

リョナは匂いの男を見つけたとミョンフェの家に侵入し、エンペン人と貶した叔母を刺殺し、妻をテープで縛り上げ、ミョンフェを呼び寄せ「ジュンシクに2000万ウォンを返せ!善良に生きてよ!私を1000万ウォンで殺そうとした」とガス管を切ってライターで火を点けた!

弁護士がジュンシクを刑務所に尋ね「殺せ!と言ったか?」と聞く。彼は笑った!監獄のなかで「俺は悪い病気に罹っていた。だが痛くはなかった」と呟いた。韓国が狂っていると!

ミョンフェは選挙演説の壇上で「裕福なのになぜ整形手術しないのかと問われるが、・・・・・」と話すと、何度も何度も繰り返す大喝采を浴びていた。

感想:

胸糞が悪くなるほどの力の入った作品だった!(笑)

悪の偶像とは誰か?真相が明かされない大衆がミョンフェの演説に何度も何度も惜しまない拍手を送るラストシーンに、最大の恐怖を感じるというサスペンスドラマでした。これほどあからさまに政治権力をこき下ろして描くところが韓国風なのかなと思いました。

息子ブナムの手淫を手伝ってやり、一緒にマッサージ店に通い、そこで見つけたリョナと結婚させ新婚旅行に出すというこれほどに息子愛に富んだ母なる証明」(2009)に匹敵する父親ジュンシクが、ミョンフェの息子ヨハンに車をぶつけられてブナムは殺され、何の因果かリョナと関わったことで、狂って韓国救国の英雄イ・スンシン将軍銅像を爆破したことで韓国最悪の権現にされる。ジュンシクの行動になんとしても血を絶えさせないとする韓国家族の絆を見たように思う。

中国のエンペン出身のリョナ。韓国に密入国して国籍を取得するために偽装結婚をするが、ジュンシクに請われてその息子ブナムと結婚。新婚旅行中にブナムは政治家ミョンフェの息子ヨハンに車をぶつけられ、生きていたにも関わらず証拠隠滅のために殺害された。リョナはブナムと一緒に行動していたという理由だけで殺害されかかり、仇討ちに出たリョナはエンペン出身の大悪人として政治利用される。リョナは韓国に蜜入国し、ここで生きるために数多くの悪行もやった悪ですが、韓国で生きることの生きずらさを知る作品でした。

ミュンフェは知事になりたい政治野心家。このために息子ヨハンによるブナム殺人を交通事故による被害者放置に見せかけ工作する。さらにリョナがブナムと一緒にいたと聞けばその口封じに殺害を計画。自殺を図った息子ヨハンの息を止める。ジュンシクのリョナ国籍取得要請に自分の権力を利用して、リョナ殺しを計画した自分の罪を無効にするだけでなく、ジュンシクまで取り込んで選挙に利用する。ジュンシクがイ・スンシン将軍銅像を爆破したことで立場が不利になれば、仇討ちにやってきたブナムを大悪人に仕立てて選挙戦を優位にしていく。知事になるためなら何でもやるというミョンフェ。韓国では政治権力を持てば殺人でも何でもできる絶対的“悪の偶像”らしい。

韓国映画を楽しむにはその国情を良く知る必要があると選んだ作品。

交通事故を起こした息子の父親ミョンフェと被害者の息子の父親ジュンシクによる亡くなったブナムの嫁リョナ捜しが、ブナムの奇怪な行動に振り回され韓国映画特有のエログロ、暴力ありの暴走クライムサスペンスとして面白かった。そのバックグラウンドの韓国の国内事情が凄かった。知的障害者を持つ親の愛情、不法入国者の生き様。政治家の野望、闇の渦巻く社会。ここに粘っこい韓国ドラマのエネルギー源があるように思いました。😊

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