映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)

f:id:matusima745:20191209154041p:plain

第84回アカデミー賞(2012)で編集賞を受賞した作品ということでWOWOWで観賞。
40年前の少女失踪事件の調査を依頼された社会派ジャーナリストの主人公が、社会のほとんど全てに敵意を向ける孤独な天才ハッカーのパンク少女と奇妙な協力関係を築き、次第に明らかとなる巨大財閥一族の忌まわしき秘密に迫るさまをハードなバイオレンス描写を織り交ぜスリリングに描くというもの。

スリリングなカット編集で犯人像が浮かび上がってくる編集が見事ですが、作品の背景であるレイプ犯罪への激しい怒りに作品の大きな意義が見てとれます。

原作はスティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー小説「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」。未読です。
監督:デヴィッド・フィンチャー、脚本:スティーブン・ザイリアンで、ふたりが関われば名作になります!

主演はダニエル・クレイグルーニー・マーラ。共演にクリストファー・プラマースティーヴン・バーコフステラン・スカルスガルドロビン・ライトらです。
 
あらすじ:
スウェーデンの社会派雑誌「ミレニアム」を発行するジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)は、大物実業家ヴェンネルストレム(ウルフ・フリベリ)の不正告発記事が原因の名誉毀損裁判で敗訴し窮地に陥っていた。そんな時、国内有数の企業グループ・ヴァンゲル社の元会長ヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)からある依頼が舞い込む。それは、40年前に彼が我が子のようにかわいがっていた一族の少女ハリエットが忽然と姿を消した迷宮入り事件の再調査というもの。

f:id:matusima745:20191209154140p:plain

やがて、調査が暗礁に乗り上げたミカエルは、ヘンリックの弁護士ディルク・フルーデ(スティーヴン・バーコフ)から社会性はないものの驚異的な情報収集能力を持つ小柄な女リサーチャー、リスベット(ルーニー・マーラ)を紹介される。実は、ミカエルがこの一件を任されるにあたり、信用に足る人物か、その身元調査を担当していたのが彼女だった。こうして、2人は手分けをしながら事件の真相を追っていくこととなるが…。<allcinema>

****(ねたばれ)
〇謎めいたオープニング・タイトル
先ずは冒頭のオープニング・タイトル。ここでは分からないですがラストまで見ると、刺青のインクと犯される女たちを組み合させて作られたテーマを暗示する秀逸なタイトルであることに気付かされます。
刺青はリスベットの背中にドラゴンとして彫り込まれ、レイプされる度に補強される。さらにレイプした男への復讐として「レイプ魔の豚野郎」と相手に刻み込むというレイプへの激しい抗議のシンボルです。

〇とてもミステリアスでスリリングなストーリー展開
映像が暗い。これがスウエーデンの冬の冷たい風景に合って、不穏感を増長する。そこに不穏な音をかぶせてくる。

物語は前半、ミカエルが捜索依頼を受けて、一族が暮らす島に住み込み、渡されたわずかな資料を頼りに、親族や事件調査にあたった刑事からいくつかの疑念を引っ張りだす。ここで出てきたのが、ハリエットが遺した謎の電話番号と彼女が吹き込んだという旧約聖書の一文。さらにハリエットが行方不明になった日のお祭り見物写真。

謎の電話番号と旧約聖書の一文はどう繋がるのか。お祭り見物写真のなかで、ハリエットの目線だけが他の人と違うところを見ている、その目線の先に何があるのか?この2つが、何を介して、どう繋がるのかという謎解き!
写真映像と意味不明の旧約聖書で描かれる犯人推定描写は、言葉を必要とせず、不気味だ。これぞミステリードラマという感じ!

一方、ミカエルの捜査パートナーとなるリスペット。黒いオートバイスーツで軽快に走り回るハッキングのプロにどんな過去があったのか。謎に満ちた姿があぶり出されます。

f:id:matusima745:20191209154411p:plain

12才で犯された父親を80%焼き殺したという彼女は少年院から後見人の手で暮らし、あやしげな調査会社に属するリサーチャー。必要なことしか喋らない。リスペットがこれまでの後見人が病に倒れ、新しい後見人となった弁護士ビュルマンがリスペクトに加える壮烈なレイプとこれに対するリスペットの復讐が描かれ、かなりハードなセックスシーンがあります。

彼女のレイプへの復讐は、この男に留まらず、ミカエルの追う事件協力の動機になってくる。

この作品の面白さは謎めいたリスペットのキャラクターです。これをルーニー・マーラが、ほっそり痩せた肢体で、見事に演じてくれます。度胸のある女優さんだ!

〇巧みな編集による臨場感
後段はミカエルとリスベットが手を組み、この巨大な謎にどう挑むか!

f:id:matusima745:20191209154220p:plain

ミカエルはリスペットに謎の電話番号と名前の関係、失踪事件とヴァンゲル家の動きを警察、ヴァンゲル社の資料室で調べるよう指示し、自らはヴァンゲル家身内と事件のあった日のお祭りに居合わせた人たちを訪問してハリエットの目線の先に何があったかを追う。

ミカエルの訪問調査とリスペットの資料検索が交互に描かれ、調査がしだいに犯人に近づいてくる描写がとても怖い!

f:id:matusima745:20191209154301p:plain

電話番号が連続少女殺人事件に繋がり、そしてハリエットの父がそれに関連してくる。そして、ハリエットの目線の先にヴァンゲルス社の現経営者・マルティンステラン・スカルスガルド)が浮かび上がって来る展開に震えます!

〇バイオレントな描写
ミカエルが目をつけたマルティンの邸宅に侵入し、彼に掴まっての拷問。これは目を覆いたくなります!

〇エンターテイメントとしてのラストの描き方。
お祭りでハリエットが見ていたのは現ヴァンゲルス社の社長で実兄でもあるマルティン。ハリエットの失踪はマルティンのレイプから逃げるためだった。現在、従姉の名前でパリで生活している。

ミカエルは、ヘンリクから報酬の一部として、再告訴に必要なヴァンネルストレムの資料を受取が、これが古すぎて使えない。

これを知ったリスペットが、自慢のハッカー能力で、ヴァンネルストレムがロシアマフィアと取引した資金を探し出し、そっくりいただき、ミカエルのミレニアム誌復活資金にしてやる。
リスペットが金髪美女に化けてスイスの銀行で資金洗浄をするというハードボイルドな活躍が恰好いい。しかし、ミカエルは社主のエリカ・ベルジェ(ロビン・ライト)とアバンチュール。

身内のレイプという忌まわしい事件を扱うというなんともやり切れない物語。捜査の進め方は繊細でミステリアス、ホラーっぽい展開。最後がスカッとする結末で、すばらしいエンターテイメント作品に仕上がっていました。
               ****


2/10(金)公開『ドラゴン・タトゥーの女』予告編

「ルパン三世 THE FIRST」(2019)

f:id:matusima745:20191208070253p:plain

ルパン一世が唯一盗むことに失敗したという伝説のお宝「ブレッソンダイアリー」に挑むルパン一味の活躍を描くという。「ルパン3世」を3Dにするとどうなるのかな!と楽しみにしていました。

映像はそれなりに評価できるが、テーマがよかったにもかかわらず、ストーリーが薄っぺらという印象。でも、これが「ルパン三世」の面白さなのかもしれません!「アナ雪2」にぶつけての公開はきついでしょう!

モンキー・パンチさん原作による国民的アニメ「ルパン三世」。宮崎駿監督の名作「カリオストロの城」から40年、日本のVFXの第一人者山崎貴さんの監督・脚本による3DCGアニメーション。23年ぶりの劇場場作品です。

タイトルが「THE FIRST」には、3DCGアニメーションで描かれた「ルパン三世」の第1作で、「山崎解釈のルパン」という意気込みを表現しているのでは。
エンデイングに、「これからもルパンを世界に向けて、いろんな冒険をさせたいと思います」とありますので、この想いに間違いないでしょう。しかし、今作はまだ「宮﨑解釈のルパン」でした!

声優さんたちは「ルパン三世」シリーズのオリジナルキャスト、栗田寛一・小林清志浪川大輔沢城みゆき山寺宏一さんらに加え、広瀬すず吉田鋼太郎藤原竜也さんらが出演です。

あらすじ:
20世紀最高の考古学者ブレッソンが遺した最大の謎・ブレッソンダイアリー。その謎を解き明かした者は莫大な富を手に入れることができるとされ、第2次世界大戦時にはナチスもその行方を追い求めたという。ルパンの祖父であるルパン一世でさえ盗み出すことに失敗したという。そんな伝説のターゲットを狙うルパンは考古学を愛する少女レティシア広瀬すず)に出会い協力して謎を解こうとするが、秘密組織・アーネンエルベの研究者ランベール(吉田鋼太郎)と組織を操る男・ゲラルド(藤原竜也)もブレッソンダイアリーの謎を追う。ブレッソンダイアリーの謎とは何か。パリー、メキシコ、ブラジルを駆け巡る謎解きの旅、その先に見たものは・・。

***(ねたばれ)
〇3DCGによる表現、

第2次世界大戦のなか、フランスのパリ郊外。プレッソン博士が若い夫婦にプレッソンダイアリーを託す。このあと博士はナチスに射殺された。ハイウエーを走る夫婦と追うナチスの兵士の車。激しいカーチェイス。夫婦の車がクラッシュして二人は死亡。しかし幼いレティシアが生きていた。このカーチェイスは見せ場でした!

10数年後、パリ。街の映像が良い。が、パリだけ!メキシコ、ブラジルはなし。
プレッソン回顧展示場。ここにルパンが「いただきに参上!」と登場。秘密組織のランベールに命じられ警備員に化けていたレティシアが「金庫に入れる」と持ち去る。これを追うルパン、ルパンを追う銭形。上空からヘリで不二子がやってきてレッソンダイアリーの争奪戦。

捕えられ護送されるルパンの救出に、フィアット500で駆けつけた次元と五ェ門。五ェ門が護送車を真っ二つに斬り裂いてルパンを救う。いつものメンバーが登場し、あの曲がかかればなつかしさに心が躍り出す!(笑)

f:id:matusima745:20191208070336p:plain

キャラクターの映像は、表情は口の動きに会わせて作ってあり、髪の毛・着物の裾が乱れるというリアルさ。ただ、不二子の色気がないのが気になる。(笑) 人物の表情はしっかり描かれるが、バックの風景が貧弱! メキシコ、ブラジルというのは大嘘だった。(笑)

声優さんの演技。広瀬さんが予告編で棒読みに聞こえるが劇場ではほとんどそれを感じなかった。むしろレティシアの役が広瀬さんに合っていた。他は自然に耳に入ってきてよかったと思う。

ルパンはレティシアの部屋に忍び込み、レティシアの考古学の知識に惚れて手を組むことにした(これはレティシアの嘘でランベールに通報されていた)。秘密組織の輸送船に移動し、さらに飛行艇へと移る。

アクションは、ルパンの柔らかい身体能力を張った演技と五ェ門の斬鉄剣による剣劇ぐらい。大部がヘリ、小型機と飛行艇の空中戦。時代設定が‘60年代とは言え、ちょっと寂しい!

ブレッソンダイアリーの謎解き、
秘密組織の飛行艇に乗っていたルパンは、艇の書庫に収納されていたブレッソンダイアリーを盗み出し、ダイアリーの鍵を開けるには5つの英文字の組せで8文字で表現できるパスワードが必要だと、ある推測で開けてしまう。パスワードにレティシアの名前が使われていたとは!あまりにも人をバカにしたはなし。この軽さを笑うか!

ブレッソンダイアリーに隠されていたのは至宝エクルプスを探し出す手引書。手引書が見つかったことで、レティシアはランバールの元に戻った。

レティシアは、軍事にエクルプスが使われることに疑念を持ったことで、飛行艇から空中に捨てられる。ルパンは大空に飛び彼女を救助することになり、小型機による不二子の支援を受け地上スレスレの飛行で次元の操縦するフィアット500に乗り換え、大型ヘリで駆けつける銭形を騙してヘリを乗っ取り、ヘリにロープで縋る銭形を説いて一次休戦とし、ともに大西洋の基地に着陸。
大仕掛けのレティシア救出作戦は、実に面白く描かれ満点ですが、宮崎アニメ「紅の豚」(1992)を思い出しました!(笑)

手引書のエクルプスを見つける策は「メキシコにあるエクリプス洞窟で3つの試練をパスしなければならない」というもの。
ルパンは自分のじいちゃんとブレッソンの因縁の関係を明かし、レティシアにエクルプス探索に協力することを約束させた。

f:id:matusima745:20191208070419p:plain

メキシコでのエクルプス捜索は秘密組が先に挑む。ゲラルド配下のハンスが盗掘の扉を開くために近づくと一瞬にして消えてしまう。「手引書がないと進めない」と諦めた。このあと秘密組織の面々は・・・

これを見ていたルパンたちは、手引書を頼りに3つの試練に挑む。

エクルプスの3つの試練、肉体を圧縮して消滅させてしまう扉、五ェ門の斬鉄剣でないと掛けられない星の橋、四方八方の光線が射てくる洞穴、これらの難所を経て、じっちゃまが出来なかったエクルプスの前に立つことができた。そこにランベールとゲラルドが「俺たちの猿芝居を信じたな!」とやってくる。この設定の軽さ? ルパンらは縛られ、レティシア飛行艇に連れ去られた。ルパンは馬鹿か!(笑)

洞窟内の岩崩れ、大空に大竜巻が登る。ルパンらは束縛綱を解き大型ヘリで脱出したが、竜巻に巻き込まれる。

f:id:matusima745:20191208070614p:plain

飛行艇は氷の翼と竜の尻尾をもつ飛行艇に変形。この力を見たランベールは「我こそが王だ」とゲラルドに刃向い、彼に射殺される。大竜巻、変形した飛行艇の映像には驚かされる。

そのときランベールの元にブラジルから電話が入る。

〇テーマとして、
ブレッソンダイアリーの謎解きで見つけた至宝・エクルプスは人間の力では制御できない自然現象を引き起こすというものだった。この力を使おうとする秘密組織を無効にするというテーマはすばらしい。

f:id:matusima745:20191208070525p:plain

エクスリプの力を知ったあとのルパンの行動。ヒトラーに化けてブラジルにゲラルドをおびき出し、ゲラルドと対決して葬り去るところがこの物語のハイライトだが、ルパンがいかにして大竜巻を脱出しブラジルにやってきたのか、ゲラルドが‘60年代にヒトラーの死を知らなかったという設定。設定が浅すぎる? ヒトラーに化けたルパンの声が、そのままであったのは良くない。

飛行艇の翼の上でのルパンとゲラルドの決闘は面白かった。

秘密組織に利用されたレティシアを解放し、次元と五ェ門が迎えにきたボートで去るルパンを、大型ボートで銭形警部が追うというエンデイング。この物語の軽さに、もったいないという感じ。(笑)
              *
第Ⅰ作だから、無難に「カリオストロの城」をベースにしたような作品でしたが世界制覇の作品にするには、これからの脱却とテーマ性をしっかりすることが求められるでしょう。楽しみにしています。
***


映画『ルパン三世 THE FIRST』予告2【12月6日(金)公開】

“いだてん”第46回「炎のランナー」

f:id:matusima745:20191208211230p:plain

いよいよ1964年となり聖火リレーの準備は大詰め。岩田(松坂桃季)は最終走者として、原爆投下の日に広島で生まれた青年(猪之脇海)を提案するが、政府に忖度委員会で反対に会う。政府はアメリカの対日感情を刺激することを恐れていた。平和の祭典としてのオリンピックを理想とする田畑(阿部サダオ)は、解任以来初めて組織委員会に乗り込む。アメリカとどう浮き合うべきか。外交官出身の平沢(星野源)が秘策を思いつく。

感想:
炎のランナー”は早稲田大学の学生・坂井義明(猪之脇海)さんでした。昭和20年8月6日、原爆投下のあった広島生まれ。東京から世界に発信する平和のメッセージならこの人以外にない選定だと思いました。岩田(田畑)ならこうする!
しかし、これに与謝野秀(中丸新将)ら組織委員会幹部がアメリカの心証を害する恐れがあるとして反対したという。
これに怒った田畑は組織委員会に乗り込み、与謝野らを批判した。
「沖縄で日の丸を振って聖火を迎える、これは島民の願いだ!最重要事項!政府が何と言おうがやれ!それから聖火リレーの最終ランナーは坂井義則君を走らせるべき!小役人どもよく聞け!アメリカにおもねって、原爆に対する憎しみを口にしえない者は、世界平和に背を向ける卑怯者だ!!」。

この田畑の怒りに感動。長いオリンピック物語での最も感動したシーンでした。この考え方は緒方一郎(桐谷健太)のものだと言われているようですが、自民党の政治家である彼には出来ない、とは言えオリンピック噺ですから“分かりませんね” (笑)

オリンピックは理想の平和の祭典。ここに政治を持ち込んではならないと、このドラマは訴えています。

沖縄で日の丸を振って聖火を迎えることを、政府は考えていなかったという。
涙が出て仕方がなかった!! あんな激しい戦争を沖縄の人に強いたのに?
アメリカをおもねってとのこと。沖縄とアメリカのどちらが大切なのか?この気持がないと、今の基地問題も解決しないでしょう。これから半世紀を得ても依然変わらない日本の現状に唖然!

しかし、平沢和重(星野源)さんという策士がいてほっとしました。アメリカとは交渉しない、メディアの力を利用するという上手やりかたでした。田畑が600枚の国旗を持って沖縄で聖火を迎えたという噺、このような人が今日本にいるのかと感動しました。

五りん(神木隆之介)が志ん生ビートたけし)との二人会開催直前にいなくなった訳が明かされました。自分は実力不足、師匠に恥をかかせては申し訳ないというものでした。「地に足のついた仕事をせよ」という美津子(小泉今日子)の説得に、「地についた五りんなんて魅力ない!」という智恵の覚悟が見事。志ん生がどうやって名人になったか? いい話でした。

来週は最終回。1864年のオリンピックは大成功でした。2020年のオリンピックが心配になります! 

***
昭和39(1964)年1月に、黒澤明に代わって市川崑三谷幸喜)が東京オリンピック記録映画監督に就任した。監督は「黒澤さんも降りて、やらないほうがいいというが、日の丸のポスターを見て、うつくしく撮ればいいんだと思って決心しました」と述べた。三谷さんにセリフがありました!

f:id:matusima745:20191208211300p:plain

3月には円谷幸吉選手が初マラソンで2時間23分31秒という好記録を出し、4月には聖火ランナーをモデルにしたポスター第4段が完成した。

オリンピック開幕まであと半年となると、組織委員会の面々は忙しく、訪ねてくることもめっきりなくなった。
そんな折、岩田と選手強化対策本部の大島健吉(平原テツ)が聖火リレーの最終候補を見つけたと田畑に知らせにきた。選手の名は坂井義明、早稲田大学の学生で400m、1600mリレーの選手に選ばれていた。坂井は昭和20年8月6日広島で生まれていた。
岩田が「原爆投下の日に広島で生まれた選手が聖火リレー最終ランナーというのは出来過ぎですかね」と問うと、田畑は「オリンピックは平和の祭典だ。これを見落してはいかん」と賛成した。

まーちゃんの悲願だった聖火が9月6日に沖縄へ渡ってくることになっていたが、日本政府は沖縄での日の丸掲揚の許可を取っていなかった。沖縄の国旗掲揚は祝日のみと厳しく制限されており、政府は申請すら行っていなかった。

田畑は心配で女子バレーボールの練習場を訪ねると“馬”が居ない。「大松が父親が亡くなり帰った」というが、河西が「お願いします。辞めたくなったらオリンピックの前日でも辞めます」と親の最後をも見ず練習に勤しんでいた。父親は4日後に亡くなったという。

f:id:matusima745:20191208211716p:plain

オリンピックまであと3月という頃、美津子(小泉今日子)は喫茶店で五りんに会い、志ん生との二人会当日に姿を消した訳を聞いていた。
「冗談にして欲しかった。お笑いをするには、背負っているものが重すぎて、それを師匠に面白おかしく笑い話のしてもらって軽くしてもらいました。師匠がひっくり返ったあと、何か恩返しができたらと思いついた。師匠の復帰の舞台に二人会を思いついたのはよかったが、稽古に励む師匠の姿を見ているうちに怖くなった。会の前日、師匠が『だめだったら引退だ』というのを聞いて、若いころの師匠だったらどうするかと考え、美津子から渡された志ん生の着物を質に入れて姿を消し、三波春夫に弟子入りしたが紅白でしくじった」という。

美津子が「いつまでもブラブラして。何したいの!」と聞くと「マラソンかな?走る家系だから。いだてんになります」という。そこにトイレから智恵が大きなお腹を抱えて出てきた。美津子が「地に足をつけてちゃんと考えな!」と五りんを叱るのを聞いた知恵が「地についた五りんなんて魅力ないわ」と言う。

この夏、東京は異常気象で雨が全く降らなかった。代々木競技場は完成のめどが立たず、24時間体制で工事が行われることになった。7月18日には、川島正次郎が務めていたオリンピック担当大臣に河野一郎桐谷健太)が就任した。
河野は就任にあたり「世界から人が集まる。先ずは水を確保、災害並みの対応をせよ」と訓示した。

f:id:matusima745:20191208211356p:plain

田畑はどんな選手かと坂井を見に早稲田大学にやってきた。練習する坂井に「オリンピックに間に合うかも知れんぞ」と声を掛け驚かせた。

組織委員会で岩田が「坂井義則を聖火ランナーに」と提案したが、与謝野ら幹部は難色を示した。平和の祭典の場で過去の戦争を蒸し返すようなことをすれば、アメリカの心証を害する恐れがあるという。

f:id:matusima745:20191208211451p:plain

沖縄での日の丸掲揚に関しても幹部らは、政府の「アメリカと交渉する余地はない」という回答に逆らうなという様子。

これを聞いた田畑は組織委員会に乗り込んだ。「沖縄で日の丸を振って聖火を迎える、これは島民の願いだ!最重要事項!政府が何と言おうがやれ!それから聖火リレーの最終ランナーは坂井義則君だ。小役人どもよく聞け!アメリカにおもねって、原爆に対する憎しみを口にしえない者は、世界平和に背を向ける卑怯者だ!!」。取材記者たちにも「書きたければ書け!田畑の発言だ」。
これに東(松重豊)が「またいつでも来てください。いつでも席を準備します」と声を掛け、河野は納得したように頷いた。

8月10日、新聞記者が広島に帰省中の坂井を東京に連れ戻し、ユニフォームを着せて国立競技場」の聖火台前で写真を撮った。
この写真が「聖火ランナーに無名の青年」「坂井義則君19才」という見出しで新聞に掲載され、最終ランナーは坂井に決まった。

四三がこれを知り“嘉納治五郎記念碑”に「すいません、約束果たせなかった。坂井君ほどの平和の祭典にふさわしい人はいない」と報告した。

f:id:matusima745:20191208211530p:plain

組織委員会h、総勢10万人の聖火ランナーを集めるべく、全国の教育委員会、スポーツ団体、さらには落語協会にまで参加を呼び掛けた。
志ん生は「五りんに走らせたら面白い」と五りんを推薦した。

8月21日、ギリシャのヘラ神殿で採火式が行われ、聖火はアテネを出発した。

このころになってもまだ、沖縄での日の丸掲の問題は解決しておらず、田畑たち裏の組織委員会は平沢を田畑家の招いて協力を頼んだ。
平沢は「4日間も掲揚できるわけがない。認めろというから認めないんだ。そういうときは事後承認だ。TVを利用すればいい。9月6日に沖縄に聖火が上陸する際、その様子を特別番組として流せばいい。アメリカは沖縄と友好的な関係にあると世界に向けてアピールしたいんだから、皆でしっかり旗を振ることだ」という。

田畑は自ら600枚の旗を集めて沖縄に向かい、聖火の到着を迎えた。聖火ランナーの第一走者は宮城勇さん。沿道は、大小無数の日の丸の旗が翻った。

f:id:matusima745:20191208211602p:plain

その後、聖火は沖縄から、鹿児島、宮崎、北海道に別れ、4つのルートで東京を目指して走りだした。

田畑はボランティアとして働いている娘あつ子(吉川愛)とフランス語通訳の大河原やす子(川島海荷)を伴って選手村を訪ね、立派に完成しているのを見て「嘉納さんに見せたかった」と大感激した。最初に選手村に到着したのはコンゴ共和国の2人の選手、ウランダ、ヨンベだった。国歌を歌うふたりの選手はストックホルム大会に二人きりで出場した四三と三島弥彦のように緊張していた。
9月26日、コンゴー、」ルーマニア、韓国、オーストラリアの選手による入村式行われた。
10月1日には東海道新幹線首都高速道路の一部が開通。7日には4つのコースを辿っていた聖火が東京に到着し、9日に皇居前広場に集められた。

開会式前日。田畑が国立代々木競技場を訪れると聖火ランナーの最終走者・坂井が「選考会負けた」と悔やみながら練習していた。そのとき大粒の雨が降り出した。

夜、田畑はバー「ローズ」に行くと、東と松澤(皆川猿時)、そして松下治英(駿河太郎)ら航空自衛隊ブルーインパルスの面々がいた。ブルーインパルスは開会式に飛行して青空に五輪のマークを描くことになっていたが、外では激しい雨が降っており飛行は中止だろうと、残念会を開いていた。
東が「インドネシア北朝鮮の不参加が決まった」と残念がる。田畑は「グランドが聖域だ。俺たちが守らねばいけない。坂井がナーバスになっていた。走れんかも知れん。選手第Ⅰだったのに気づいてやれんかった」と嘆く。

マリー(薬師丸ひろ子)が、明日の天気を占うと言い出す。マリーの占いの結果は「雨、豪雨!世界中の雨雲を全部東京に持って来る」。
                                                            ***

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」(2018)

f:id:matusima745:20191129063648p:plain
アメリカとメキシコの国境地帯で繰り広げられる麻薬戦争の現実をリアルに描いた「ボーダーライン」(2015)の続編。

今回はトランプ大統領が国境に壁を作るというテキサス州マッカレンを背景にした“密入国者の現実”が描かれ、前作以上に興味を持ちました。マッカレン、リオグランデ河、コーパス・クリスティー海軍基地、モンテレィ、マタモロス、ブラウンズビル、メキシコシティの位置関係を押さえておくと理解しやすいと思います。

監督は前作のドゥニ・ビルヌーブから、イタリア人監督のステファノ・ソッリマに。脚本は前作担当のテイラー・シェリダン。撮影はダリウス・ウォルスキー
出演は前作にも出演したベニシオ・デル・トロジョシュ・ブローリンジェフリー・ドノヴァンのほかに、新キャストとしてイザベラ・モナーキャサリン・キーナーらが出演しています。

原題は「Sicario: Day of the Soldado」Soldadoとはスペイン語で「兵士」の意。
前作はベニシオ・デル・トロが演じる殺し屋の話でしたが、今作では彼を殺しにかかる密入国を手引きする業者(Soldado)の話で、ラストシーンに関わる、映画を観てのお楽しみということになります。

あらすじ:
アメリカで市民15人が命を失う自爆テロ事件が発生。犯人がメキシコ経由で不法入国したとの疑いをかけた政府から任務を命じられたCIA特別捜査官マット(ジョシュ・ブローリン)は、カルテルに家族を殺された過去を持つ暗殺者アレハンドロ(ベニシオ・デル・トロ)に協力を依頼。麻薬王の娘イサベル(イザベラ・モナー)を誘拐し、メキシコ国境地帯で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテル同士の争いへと発展させる任務を極秘裏に遂行するが……。
               *
密入国者を阻止しようとする米国の苦悩。国境であるがゆえに、法を超えたえげつない政府のやり方が描かれ、現実もこれに近いのだろうか。テロの犯人は米国人であったり、密入国者を手引きするのは現地の少年であったりとこの問題の闇が描かれている。

えげつないやり方をコロンビヤ人のアレハンドロにやらせるという前作を引き継ぐ政府の作戦。この作戦が失敗し窮地に陥り、政府に追われる身となったアレハンドロがその先に見たものはなんであったか。前作ラストでケイトが撃てなかったアレハンドロが、ここにきて彼女の想いにつながる。

作戦行動が、どこに敵がいるかわからないという不気味さに加えて、緻密さが出てリアルです。日本ではこうは描けない、戦争の経験がないから!(笑)
空撮を含む特異なカメラアングル撮影、異常音で、不気味な雰囲気が伝わる緊迫感のあるリアルな戦闘描写がすばらしい。

アレハンドロを演じるベニシオ・デル・トロ。不敵な殺し屋から顔を撃たれた苦しみ、殺された娘を重ねるようにイザベルを慈しむ表情。多彩な表情を見せてくれます。そして、イザベルを演じるイザベラ・モナーがチャーミング。

****(ねたばれ)
冒頭、テキサス・ラレドにおける大量の密入国者。カンザスシティのスーパーにおけるテロリストたちの自爆攻撃。犯行者がイエメン人であることから、CIAの特殊部隊はソマリアに出動しバシールを確保して尋問し、彼らは船でメキシコに渡り米国に密入国しており、それを支援しているのはカルロス・レイエスカルテルであることを掴む。ここでの尋問の仕方が、容疑者自宅を上空から映したライブ映像を見せそこを爆撃し家族を殺すと脅すえげつないもの。

国防長官は「テロ容疑者に麻薬カルテルを加える」として、カルテル撲滅策をマットに諮問する。マットは中東のようにカルテル同士を戦わせ混乱状態に置くと、レイエスの娘を誘拐しこれをマタモロス・カルテルの仕業として戦わせる案を提案、承認を受けた。

マットは軍と協議し、攻撃部隊、狙撃兵、破壊工作班の支援を取り付け、アレハンドロの参加を説得にコロンビアに飛んだ。「相手はカルロス・レイアスだ。娘の仇を討てるチャンスだ」と持ち出し、テームに彦込んだ。

早速、メキシコシティに入り、マタモロス・カルテルの弁護士を襲撃し、「敵対するカルテルに殺された」というニュースを流させる。拳銃で弁護士を射殺するアレハンドロの撃ち方が凄かった!

次にレイエスの娘・イザベルの拉致。邸宅を監視下に置き、下校時の送迎車を狙う。レイエス本人はモンテレイにいて、ほとんど抵抗を受けることなくスムーズにことは運んだ。確保したイザベルをマッカレン麻薬捜査事務所に輸送。さらにコーパス・クリスティー海軍基地で匿う。

f:id:matusima745:20191129063826p:plain

次にマタモロス・カルテルの支配地域・マタモロスにイサベルを戻し、カルロス・レイアスに奪還攻撃させ、戦闘が始まったら逃げる。移動には装甲車両を使用、検問所通過後、前後にメキシコ警察が背後につくというもの。

猛烈なスピードで原野を走るコンボイは、何が起こるかと、気味が悪い。未舗装道になり砂埃で視界が利かなくなったところで、右より攻撃を受ける。明らかにPGR-7によるロケット攻撃。コンボイが混乱。後方のメキシコ警察から発砲されたように見えた。マットの特殊部隊がめちゃめちゃメキシコ警察に銃弾を送り込んだ。
この戦闘間にイザベルが脱走。作戦がメキシコ側にバレては困るので、マットは、イザベラの捜索をアレハンドロに任せて、直ちにアメリカ側に帰還。

アレハンドロはイザベラを確保し、荒野の一軒家で世話になることに。家主は手話でしか会話ができない。亡くなった娘がそうであったアレハンドロが手話で話すことで家主に信頼され休息させてもらった。これを見たイザベラがアレハンドロに心を許すようになっていく。

f:id:matusima745:20191129063913p:plain

帰還したマットに政府が下した指示は、作戦はなかったことにするというもの。
「アレハンドロとイザベラを処分せよ!」マットはこのことを苦渋のなかでアレハンドロに伝えた。

アレハンドロは密入国者として米国に戻ると決め、イザベルの父親としてふたりで蜜入国者を運ぶバスに乗る。
ここで、テキサスで偶然顔を合わせていた密入国業者見習いのミゲル(イライジャ・ロドリゲス)に見つかり、イザベルを奪われ、業者の親分がミゲルの度胸試しとして「やれ!兵士になれる!」とアレハンドロを射殺させた。

アレハンドレとミゲルを処分すべくヘリでふたりを追っていたマットは、ミゲルを奪った業者たちを襲撃、皆殺しにしてミゲルを「証人保護を申請する」と救出した。アレハンドレは撃たれたが、息を吹き返した。

f:id:matusima745:20191129064001p:plain

1年後、目がきつくなったミゲルが彼らの溜り場モールにやってきたとき、ミゲルの前にアレハンドロが現れて、「暗殺者になりたいのか?」「お前の将来について話そうと言うシーンで幕が下りる。

政府に捨てられたこと、イザベルを匿ったことから、殺しには殺しという考えでは“こと”は解決できないと学んだでしょう。ミゲルを生かす使い方をするのでは! 次作に期待しています。
                                                ****


映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』予告編

「殺さない彼と死なない彼女」人はひとりでは成長しない。相手の思いを大切に!

f:id:matusima745:20191203134017p:plain
タイトルに魅せられ観ることにしました。タイトルどおりの、何かというと「死ね」とか「殺すぞ」が口癖の小坂れい(間宮祥太朗)とすぐに「死んでやる」が口癖の鹿野なな(桜井日奈子)の物語。こんな汚い言葉で綴られる物語が、これほどの美しい愛の物語とは!驚きでした。「愛がなんだ」(2018)の3倍は面白い!(笑) 


原作はSNS漫画家・世紀末によるTwitter発の人気コミック。未読です。監督・脚本は小林啓一さん、初めてお目にかかります。主演は間宮祥太朗さん、桜井日奈子さん。共演に恒松裕里・堀田真由・箭内夢菜・ゆうたろうさん等。

あらすじ:
何にも興味が持てず退屈な日々を送る男子高校生・小坂れいは、教室で殺されたハチの死骸を埋めているクラスメイト・鹿野ななに遭遇する。ネガティブでリストカット常習犯だが虫の命は大切に扱う彼女に興味を抱く小坂。それまで周囲から変人扱いされていた鹿野だったが、小坂と本音で話すうちに、2人で一緒に過ごすことが当たり前になっていく。(映画・COM)
         *
小坂と鹿野ペアの物語を軸に、同じ世紀末高校に通う優等生の地味子(恒松祐里)と親友で自分が可愛いことを売りにして次から次へといろんな男とつきあうきゃぴ子(堀田真由)ペアと、地味子の弟で飄々としている八千代(ゆうたろう)と八千代が大好きな撫子(箭内夢菜)ペアの物語が加わり、それぞれ異なる形で、「好き」が「愛」に育っていく過程が丁寧に描かれている。そして、ある出来事で3つの物語が交差し、その結末に唖然とさせられるというストーリー展開。

どこか霞んでいるような映像が、ぎこちない淡い恋の行方を示しているようで、晴れた明るい映像を期待します!

作品のテーマは奥華子さんの歌曲「はなびら」に全部入っています!!

間宮祥太朗さんと桜井日奈子さんの噛み合わない会話で愛を感じていく演技がすばらしかった。他のみなさんも個性のある役をしっかり演じています!

****(ねたばれ)
〇小坂と鹿野
やる気のないぶっきらぼうな小坂とゴミ箱から死んだ蜂を取り出し校庭の隅に埋葬する鹿野との出会い。鹿野はいじめに絶望しリストカットを繰り返す。小坂は怪我で希望のサッカー選手になることを諦め、父を失い行き場がない、鹿野と同じ境遇だ。死んだ蜂に寄せる鹿野の愛情が他の女性と違うと気付くところに、鹿野のやさしさ、言葉とは違う深い思いやりに感動でした。彼は蜂に戒名を付けて埋葬に手を貸す。

小坂は鹿野にボーリングを誘われたが断った。鹿野が居ない!とすぐに屋上に上がり、そこで何知らぬ振りして鹿野がリストカットしようとする姿を携帯で撮り「自分を見てみろ!」と突き付ける。小坂のこの素早い行動を鹿野がどう受け止めるか?鹿野は屋上から飛び降りようとして小坂に止められ泣いた。彼女はリストカットを言葉でなく行動で止めて欲しかった。担任の先生でもダメ。持つべきは友です。

f:id:matusima745:20191203134220p:plain

小坂は、「ブス、喰え、死ね!」と言いながら、ハンバーガーやアイスを鹿野に渡す。“食べもので仲を繋いでいくのが面白い。これは愛情表現としてとても大切、まずはお腹を一杯にしておくこと。(笑)

学友たちが鹿野に「早く死ね!」と暴言を吐けば、こんなこと気にもせず、小坂はイカ焼きを買って「共食いだ!喰え!」と鹿野に渡す。「気にするな!」という強い気持ちが伝わってきて、鹿野が喰いつく。(笑) 好きになったら、「死ね!」は「好きだ!」に変わる。この愛情表現に泣かされます。

f:id:matusima745:20191203134253p:plain

鹿野は小坂の言葉によく泣く。そして髪に触れたり、いたずらして精一杯の愛情を表現する。こういう良さが鹿野には分かっていなかった。小坂が現れて鹿野は変わった。

小坂が「お前のために金がいる。金を貯めて大学にゆく」とバイトを始めると言い出す。鹿野は「置いていかないで!怖い!」と泣き出す。小坂は決して「好きだ!」とは言わないが、その言葉には好きの先にある好きになることへの責任感がある。
そして鹿野に「俺と同じ大学に行かないか」と勧める。鹿野は「頭が悪いから無理だ」と話すと、「今はそうでも分からん!未来の話だ」と未来への夢を語る。
「ずっと私の前を歩いて!同じ景色を見たい、君の側で」と鹿野。
人は側に誰かがいれば変わる。「頭が悪い、ぶさいくだから」なんて自分が思っているだけ。勇気を持てと教えてくれています。これが分からないんです、霧の中なんです。

〇宮定澄子と堀田きゃぴ子
生徒から集めた課題提出に、教員室に向かう澄子にくっついて「もう別れる!」と進展しない恋を嘆くきゃぴ子。教員室で彼氏に出会うと「好きといって欲しいのよ」と漏らし、自分中心でしかものごとが考えられない。

幼いころ母子家庭となり、母は夜の仕事に出かけ、仲良しの澄子を母親のように慕ってきた。男性との付き合いができず、携帯で動画サイトを覘き恋人を探す。イケメンの彼氏(金子大地)に「このままでいい、好きになって」と一方的に自分を押し付けるだけで相手に与えるものがない。結果は振られて、澄子に泣きつく。他のストーリーと比較できる形で、彼女に何が欠けているかときゃぴ子の体たらくを描くのがいい。

f:id:matusima745:20191203134326p:plain

こんなきゃぴ子を澄子は「動画(サイコキラー)は観るな!」「バカなお姫様には王子さまは来ない」と支え続ける。友人にきゃぴ子が虐められると怒鳴り込んで「きゃぴ子は可愛い」と庇う。こういう女性ってすごい!どうして彼氏がいないのか不思議だ。
きゃぴ子も澄子の説得で、「自分は可愛いところが一杯あるのが、悪いところも一杯ある」と気付き始める。きゃぴ子の良いところは「素直さ」。

大和撫子と宮定八千代
八千代は撫子に初めて出会ったとき「好き!」と告白される。以後、会えば「好きよ!」と付きまとう。なぜこうも「好き」「好き」なのかと、映画を観ているこちらも八千代同様、うんざり。(笑)
八千代は携帯動画(サイコキラー)にしか興味がなく八千代の告白には無関心。しかし、何も求めないでいつも笑顔で「好き!」を言い続けられ、心を開き始める。八千代は映画に誘われ席やポップコーンを準備してもらって、映画が終われば楽しかったと喜ぶ撫子の姿に惹かれていく。惜しみなく「好き」を形にして送り続ける撫子。

映画を観終わって外に出たところで、八千代が年上の女性に「幸ちゃん!」と声を掛けた。撫子は一瞬驚くが、昔好きだった人と大きな気持ちで接する八千代を見て、自分の過去を暴露できる八千代を一層「好き!」になった。人は好きになったり嫌いになったりする。現実をしっかり見ることが大切! 撫子は未来を語ろうと言い始める。

f:id:matusima745:20191203134400p:plain

なんか変だ!どうして撫子は最初から「好き!」と八千代に近づき、好きになった二人が未来を語るの?

〇小坂がサイコキラー中尾暢樹)の嫉妬で亡くなった。
小坂は消えゆく意識のなかで「鹿野が好きだ!」とつぶやいた。何で生きてるときに言わなかったかと涙が出た。

葬式に、宮定澄子と堀田きゃぴ子が参列していた。

鹿野の小坂への悲しみは大きかった。だから、夢に小坂が現れた。「死んで会いたい」というと「自殺と他殺は行く場所が違う」と小坂。(笑)「渡すのを忘れていたから俺の机の中を見ろ!」という。
そこには「お前はこれから沢山の新しい場所で新しい人に出会う。俺を忘れることは悪いことではない」とあった。これは自分の都合がいいように見た夢かもしれないと鹿野。

鹿野は小坂の想いを背負って立ち直った! 彼の人生まで生きてやると。

1年後、鹿野は大学生となり、川辺でリストカットする撫子に出会った。驚いた!! 鹿野は撫子に自分が経験を語った。撫子があんなに「好き!」と八千代を追っかけていたのは、そうだったのか、もう一回観直す必要がありますね!
               *
人はひとりでは成長しない。相手の思いを大切にすること。自分が大切にされていることや気付かないことに感謝することで成長することを教えてくれています。すばらしい作品に出会えて感謝です。
****

予告編


映画『殺さない彼と死なない彼女』予告編

はなびら:奥華子


奥 華子「はなびら」Music Video映画『殺さない彼と死なない彼女』Ver.

「ドクター・スリープ」(2019)

f:id:matusima745:20191201063526p:plain
1980年スタンリー・キューブリック監督によって映画化されたスティーヴン・キングの傑作ホラー「シャイニング」の続編、前作の40年後を舞台に、惨劇を生き延びた少年ダニーのその後の物語を描くということで観ました。いずれの原作小説は未読です。監督は「ジェラルドのゲーム」「オキュラス/怨霊鏡」のマイク・フラナガン

タイトル通り、オカルト・死・アルコール依存・少年少女誘拐・差別などこの世界の恐怖をシャイニングで救済してしまうという、ホラー、アクション、ヒューマンありのエンターテイメントドラマでした。怖さと言う点では前作「シャイニング」、テーマ性・ドラマ性では本作が優れています。
スタンリー・キューブリックの「シャイニング」とスティーヴン・キングの「ドクター・スリープ」の良さを合わせもつ作品だと言われていますが、作品のラスト30分のオーバールックホテルの決闘がフラナガンの創作で、フラナガンの「ドクター・スリープ」ということで良いと思います。

主演はユアン・マクレガー。共演はレベッカ・ファーガソンクリフ・カーティス、カイリー・カラン、クリフ・カーティス、カール・ランプリ―、エミリー・アリン・リンドらです。

あらすじ:
40年前の冬、コロラド州ロッキー山上のオーバールックホテルで惨劇が起き、父親に殺されかけた少年ダニー。大人(ユアン・マクレガー)になってからも深いトラウマを克服できず、アルコール依存症に苦しみながらも、今はホスピスで働き、“ドクター・スリープ”とあだ名され終末期の患者たちから頼りにされる存在となっていた。ある日、そんなダニーのもとに謎のメッセージが届く。送ってきたのは彼と同じ特別な力“シャイニング”を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)だった。折しも巷ではオカルト集団“真の絆”による児童連続失踪事件・首謀者ローズ(レベッカ・ファーガソン)が起きていて、やがて自分にも危機が迫っていることを察した彼女は、ダニーに助けを求めるのだったが…。<allcinema>
              *
物語は3つのストーリー、ひとつがアブラの話し、彼女は強烈なシャイニングを持っている。次がダニー、大人になっていくキャラクタの話し、さらに連続事件を起こす“真の絆”というオカルト集団事件の話しが、物語の進展にしたがい、オーバールックホテルでの決闘というひとつの物語に集約されてくる。いずれもいくつかの映画作品のオマージがあり、3つの物語が交差しながら描かれるという、ひやひやドキドキの2時間30分を感じさせない作品になっています。

何と言ってもテーマ性のある作品。飲酒中毒(麻薬も含めて)による死、病院で孤独の中で死を迎える老人の死、オカルト集団による少年少女殺害事件など現代社会の死を取り扱い、強く生きていく勇気を与える作品になっている。

「シャイニング」(1980)のオマージュ作品となっており、いくつもの懐かしいシーンに出会い、新しい解釈が加えられるのがよかった。このために40年昔のオーバールックホテルを再現して見せてくれる!

「シャイニング」(1980)を観ている者には、この作品の怖さであるジャック・トランスの狂気はどこから来たのかという問いにきっちりと答えをくれ、あのハロランがダニーの師になったように、次はダニーがアブラの師となっていくという温かい師弟の愛の物語になっている。

ダニー役のユアン・マクレガーの演じる影のある飲酒中毒者はこれを克服しセラピス職員としてまたアブラへの愛を与えていく人間味のある演技が温かくとてもいい。オカルト集団のリーダー・ローズ役のレベッカ・ファーガソン、狂気をはらんだ演技が怖かった!そして、特別な“シャイニング”を持つ少女アブラ役カイリー・カラン、1000人規模のオーデイションで選ばれたというが、可愛いし、闊達でアクションもしっかりこなし、見事な演技でした。もうひとり、オカルト集団の毒のある少女ネークバイト・アンデイを演じたエミリー・アリン・リンドの狂気ある演技に魅入りました。

****(ねたばれ)
冒頭、1980年のフロリダ。湖畔で遊ぶ少女バイオレットにオカルト集団“真の絆”のリーダー、ローズが「魔法の帽子おかしい!ローズ・ハット」と近づき、(手籠めにして殺し、連中を集めて生気を吸うというショッキングなシーン)から始まり、
その後、ニューヨークに移動。紳士を呼び止め映画館に誘って首を切り金を盗むアンディを仲間のキャンピングカーが屯する森に連れてきて、よってたかって彼女の生気を吸う。このときのアンディの狂った眼つきが凄い。

f:id:matusima745:20191201152012p:plain
こうして連中が、シャイニングを持つ子供を探し拷問、殺害して生気を吸う。
力が亡くなってきていい獲物がいるとアイオワ・アチャにやってきて、将来大リーグからオファーされるだろう少年野球選手・ブラドリーに目を付けた。力が弱ると魔法瓶に貯めておいた生気の香りを嗅ぐローズがなんとも異様だ!

f:id:matusima745:20191201152117p:plain

オーバールックホテルで惨劇後、ダニーは2に37号室の浴室で起こったことがトラウマとなり、少年となったころダニーを救おうとしてジャックに殺されたハロランが現れ「あのお化け、手や足の血を吸うヒルだ。女が現れたら使え」と小箱を渡した。この小箱は後の大きな伏線になる。
2011年ニュージャージー。ダニー26才。心は休まらず父と同じように酒にのめりこむ。バーで酔いつぶれ喧嘩して子持ちの女に救ってもらうが、目覚めて自分の財布を見ると金がない。そこで女の財布から金を盗むという哀れな生活をしていた。そこにハロランが「金は返せ!」と現れた。

ダニーは放浪の末、ニューハンプ州フレイジャーにやってきて、ミニチュア広場管理人のビル(クリフ・カーティス)に出会い、彼の紹介で屋根裏の部屋を見つけ、教会の断酒会に参加するようになる。そこで出会った医師ジョンからフレイジャーの老人病院のホスピス職員として働くことになる。
断酒のほうもメダル表彰を受けるほどになり、ホスピス職員としてシャイニング術を使い患者に「ドクター・スリープ」言わしめるほどに大きな信頼を置かれるようになる。

フレイジャーから30km離れた町アニストンにアラブが暮らしていた。彼女は手品師の技なんぞすぐに見破るし、家では天井にナイフやホークなどの調理品をぶら下げてみせるというシャイニングの持ち主。しかし、学校では孤独。両親は、この力を人に見せるなと促している。

ある日、アラブはダニーの存在に気付き、ダニーの部屋の黒板にハローの文字を送った。これにダニーは「やあ!」と返信、ふらりはテレパシーで結ばれる仲となっていった。

こんなときは、真の絆によるアイオワ・アチャでの少年野球選手・ブラドリー誘拐事件が起こった。ローズがブラドリーの胸にナイフを刺し生気を吸うとき、バラドリーが発した声がアブラに届き、アブラはダニーに「レッドラム」の文字を黒板に送った。

f:id:matusima745:20191201063634p:plain

ローズはこのとき誰かに見られていると感じ、部下のクロウ(ザーン・マクラーノン)にイーストコースト(2400km離れている)にいる。いずれ会うことになると伝えた。

アブラは少年少女誘拐事件の記事を調べ、ローズと目星をつけ、第4エターナルクラーク会社の空き地にいると推測する。アブラは自分の幽体をローズがショッピングしているスーパーマーケットに送り、ローズに接触。ローズがアブラの頭に触るとぶっ飛ぶ。スターウオーズのカイロ・レンとレイの幽体接触のオマージュ?

アブラはミニチュア公園でダニーに会いローズの件を話すと、「ダニーは接触するのは辞めとけ」と諭した。ところが、ハロランが現れ「君は立派に更生し人のためになっている、力も十分ある。あの子を助けてやれ、お前にはまだ貸しがある」と告げた。(笑)

f:id:matusima745:20191201063701p:plain

ローズは幽体をアブラの家に送ったが、再びぶっ飛ばされ、この生気が欲しいと部下のクロウにアブラ拉致を命じた。

ダニーはアブラと親友ビリーとともに、第4エターナルクラーク会社の空き地に乗り込んだ。この戦闘でアンディとその仲間が土になって消えた。サノスのスナップで消されたアベンジャーズたちのように。(笑) しかし、ビリーが死亡、アブラはクロウに麻酔をかけられ車で連れ去られたが、途中で麻酔から覚め車から脱出しクロウを殺害した。

ダニーは「必ずローズは殺しにやってくる」と、戦いの場をオーバールックホテルを選び、アブラとともに急いだ。懐かしい場所という感じ!

アブラを車に残し、ハンマーを持ってホテルに入った。高圧電源室で電源を入れ、管理人室でレッドダムという文字を見て怯えた母ウエンディ―の記憶が蘇った。

f:id:matusima745:20191201063746p:plain

次にゴールドルームにやってきて、バーカウンターに座るとバーテンのロイドが「奢りです!」と酒を注ぐ。酒を断った。ロイドは「酒は薬だ」と言い、「男は挑戦するためには子や妻が邪魔になる。あんたどうするか?」と聞いてくる。「飲まん!」と断った。こうやって酒を飲ませて父をダメにしたんだ!

間もなくローズがやってきて、戦いとなった。ローズが外に出て、雪の迷路の中をアブラを追った。アラブは巧みにローズに挑む足に傷を負わせた。
ゴールドルームに戻ったローズに、ダニーはハンマーで挑んだが階段を転げ落ちた。ローズがダニーの首を絞め生気を吸う。このとき「ダニー、ダニー」と追いかける父ジャック、水色のドレスを着た少女の影が浮かんだ!ダニーが小箱を開けると亡霊たちがローズに飛び掛かり、ローズの生気を吸い死に追いやった。

ダニーはロイドをハンマーで叩き斬った。そのいときアブラが237号室に入るのを見た。追うとバスルームに老婆がいた。ダニーがハンマーを振り下ろしたがとどかなかった。とどかなくてよかった!老婆はアブラに化けていた。昔この部屋に入ったとき父ジャックに殴られた意味が分かった!

ダニーはアブラを外に避難させ、ボイラー室で、燃え上がる炎とともに逝った。
ダニーは「あなたはひとりではない。他にもいるかもしれない。初めて会ったとき能力を隠せと言ったがそのままでいい!」とアラブの中で生きることにした。

               *
「ドクター・スリープ」を観て、クレーディー一家殺しの犯人はジャックではないかと思っていました。しかし、見事な外れでした。しかし、こう予想したことで、「ドクタースリープ」をしっかり楽しめました。現在社会の恐怖のもとを全部、オーバールックホテルで焼き殺してくれるという、ホラーというより、勇気の貰えるヒューマンドラマとして楽しめました。
****


映画『ドクター・スリープ』US版メイン予告【HD】2019年11月29日(金)公開

 

“いだてん“第45回「火の鳥」

f:id:matusima745:20191201205919p:plain

事務総長を解任されていまった田畑(阿部サダオ)だったが、決してあきらめることなく、自宅に岩田(松坂桃季)や松澤(皆川猿時)ら組織委員を集めてひそかに開催準備をあやつり始める。田畑とたもとを分かつ形となった東京都知事東龍太郎松重豊)は、日本橋を覆う高速道路や渋滞の悪化など、開発への批判を一身に浴びていた。元ボート選手としてスポーツへの熱い想いを秘め、1940年でかなわなかった悲願のオリンピック開催に向けて奮闘するが・・・。

感想:
田畑が不死鳥だったという物語。川島は会長、事務総長を首にして何を変えようとしたのか?自分たちの言うことに従う人ということのようですが、何もできない人をもってきてどうするの?今の内閣と同じですね。(笑)
岩田、松澤、森西らと裏組織委員会を作れてよかった!「オリンピックが人生の全て」という田畑の笑顔が見れてほっとした。

組織委員会で田畑が扱った問題。まずは女子バレーボールの大松監督の慰留。オリンピックまで2年を残して大松監督は辞めるという。監督には耐えきれないほどの激しいバッシングがあったのでしょうか!インパール戦争に参加しているだけに、人生を無駄にしてはいけないという思いが強かった?
バッシングに一番理解が示せるのは田畑、それも妻・菊枝さんでしょう。二人が大坂まで出向いて辞めないよう説得したという。特に菊枝さんの「やるべきことを途中で投げ出した男が家に帰ってきてもうれしくない」という言葉には胸打たれます。選手たちが「バレーボールこそ青春。俺について来いと言ってください」という、選手自らの意思で参加するという意識変化。菊枝さんが「変ったんじゃなく、変えたんです」に田畑が「誰が?」と問う。

今回のMVPは麻生久美子さんですね!田畑を支える姿がとても美しかった!!

河西さんはオリンピック後、自衛官の方と結婚。これは国が責任を持って世話したのかもしれませんね!

次が聖火レレーの問題。聖火リレーコースの細部と最終ランナーが決まっていなかった。コースを4つに分けて全県を巡るという案、金栗が走った足跡からヒントを得たというのが面白い。
そして、最終ランナー。多くの者が金栗、織田を押すが、田畑は皆とは異なった視点で考えていた。東京オリンピックは何故やらなければならないか?すばらしい発想です。

前ローマ大会を超える参加国を得る努力、コンパニオンの募集。長嶋茂雄さんを思い出します!

あと2回でオリンピック物語も終わり。ここにきて、来年のオリンピックが心配になりました。

***
東京オリンピックを2年後に控え、田畑は組織委員会事務総長の職を追われた。田畑を案じて岩田、松澤、森西(角田晃広)が田畑の「自分のオリンピック」を持って自宅に訪ねてきた。田畑は「持って帰ってくれ、みんな味方だと思っていたのにあんなに敵がいたとは」と無念がる。それならと岩田が渉外部長を辞めると言い出す。田畑が「東京オリンピックはどうなる!自分の敷いたレールを走ってくれ」と引き止め、治五郎から託されたストッポッチを岩田に持ってもらうことにした。

f:id:matusima745:20191201210008p:plain

田畑が「これからは家族と旅行でもしようと思っている」と話したが、岩田らが帰り始めると、妻の菊枝(麻生久美子)と次女のあつ子(吉川愛)が玄関に送りに出てきて「田畑は塞ぎ込んで心配だから話し相手になって欲しい」と言い出す。岩田があつ子さんを見てびっくり、「コンパニオンにどうですか?」と誘った。森西が「それじゃまるで裏組織委員会だ」と言い、皆で笑った。

田畑が正式に去る日がきた。田畑の解任で黒澤明(益子直純)が東京オリンピック記録映画の監督を辞任。新事務総長には、歌人与謝野晶子の次男で外交官の与謝野秀が就任した。川島も道路・施設建設などの道筋がついたと政治の道に戻った。

志ん生が舞台に上がり、弟子の五りんが行方不明になったので協力してほしいと挨拶。(笑)

10月には、日紡貝塚女子バレーチーム部が世界選手権で宿敵ソビエトを下して世界一となり、「東洋の魔女」と言われるようになった。
ところが、オリンピックを前にして大松監督(徳井義美)が年内に辞任すると言い出した。
田畑は大松を大坂日紡貝塚を訪ねると選手たちがミニスカートで食事中。監督に事情を聴くと、「燃え尽きた。70勝した。しかし、青春を犠牲にして、婚期を遅らせ、あの子たちが不憫だ」「田畑さんは事務総長を辞めた。あなたのオリンピックは何んなの?」という。「人生だよ!生きる目的だ!」。これを聞いて大松が「ご愁傷様」と去って行った。これは意外な史実でした!

昭和38(1963)年3月には、丹下健三設計の国立代々木競技場の建設が始まった。

弟子は取らんという三波春夫のところに五りんが「親父が満州で先生の浪曲を聞いたと伺い・・」と弟子入りを頼んでいた。これ、志ん生に弟子入りしたときと同じ文言でした!(笑)

島津の辞任から4か月後、電力会社会長も安川第五朗が東京オリンピック組織委員会会長に就任。

田畑家では裏組織委員会がその後も機能していて、聖火コースを検討しているところに、グラフィックデザイナーの亀倉(前野健太)は新しいオリンピックのポスターを表の組織委員より先に田畑に見せ「まーちゃんに喜んでもらえるのがうれしい」という。田畑は大いに感激!

バー「ローズ」。東が出馬するらしいという噂が流れている。当の東は「ボート部の選手だった。あのころの東京の水はきれいだった。来年からは外国から大勢のお客がくるが水だけは何とかしたい」と浮かぬ顔。

f:id:matusima745:20191201210132p:plain
日本橋を覆う高速道路や渋滞の悪化などの非難が都知事・東に集中していた。

表の組織委員会では岩田が、オリンピック期間中、各国からの来賓の世話をするコンパニオンのオーデイションを行っていた。「身長が・・・」と応募者大河原やす子(川島海荷)に話しているところに、どう間違えたか、四三(中村勘九郎)が訪ねて来て「黎明の鐘を鳴らした者だ、聖火タンナーに参加させて欲しい」と言い、自分が走った記録地図を渡し帰っていった。

f:id:matusima745:20191201210409p:plain

組織委員会で岩田がこの話をすると田畑は四三だと確信した。地図には四三が生涯をかけて走った場所を示す足型のはんこが押してあった。これを見て田畑は「聖火はこれだ!全国を廻そう」と言い出した。そこにいた田畑の娘・あつ子が「火を分けたらいい」というので、いくつかに火を分けて全国都道府県を回ることにして、岩田が表の組織委員で与謝野、東ら幹部に説明した。

沖縄で聖火を4つに分ける。4つのコースで東京を目指した聖火は皇居前でひとつにまとめられ、開会式当日競技場までリレーで運ばれる。総距離は6755kmを総勢10万人が走るのだ。

幹部はこれを受け入れ、最終ランナーには四三か、三段跳びの金メダリスト織田幹雄はどうかと話し合った。
しかし、田畑は四三や織田よりも、未来のある若者がふさわしいと思っていた。

亀倉が各国に送付する招待状が出来たと裏委員会に持ってきた。これを見ながら盛り上がる面々。田畑も寂しかろう」と酒を持って訪ねてきた東は、楽しそうな田畑を見て自分の寂しさに泣いた。

田畑は「参加国について前回のローマ大会を超えるようにしよう。どの国でも選手Ⅰ名なら資格がある」と岩田に語った。これを受けた岩田は世界105か国に招待状を送り、特にIOCに加盟してないアフリカの国にも出向き大会の趣旨を説明した。

田畑は大松を説得を説得すべく、妻・菊枝と娘・あつ子を伴って、大坂を訪ねた。
田畑は「婚期の娘がバレーボールにのめりこんだら、その父親がどう考えるかを知りたくてきた。連続スパイクを受けて考えたい」と大松に頼む。大松は妻と娘を連れていた。
大松がトレーニングウエアの田畑をめがけてスパイクを打ちながら、「引退発狂後5000通の手紙が来た。そのうち6割は決心通り辞めろ、あと2年も続けたら人でなしだというもの。4割はオリンピックに出ろ、金メダルをもたらす競技なのに国民の期待を裏切という非国民だと書いてあった。俺は人でなしか!非国民は!どちらや!」と語った。

騒ぎを聞いて選手たちが集まってきた。大松が「やるのは俺やない、選手や。魔女の名で呼ばれているが、河西(安藤さくら)という魔女も宮本(泉川美穂)という魔女もおらん。6人集まらんと魔力は発揮できん。俺がやると言えば選手はあと2年青春を犠牲にしてついてくるだろう。しかし、俺は言えん。こんな生活をあと2年も続いたら家庭は崩壊や!」と叫んだ。

菊枝が「そんなことはありません。やるべきことを途中で投げ出した男が家に帰ってきてもうれしくありません。身体だけ帰っても心が空ではダメ」と大松の妻に語りかけた。大松の妻が頷いた。
選手たちも、「青春を犠牲というのは一番嫌いです。私たちは青春を犠牲にしていない。バレーボールが青春です!2年間ついて来いという男の方がいい」という。河西が「俺について来いというてください」と監督に促す。田畑は「自分で決められるだけありがたいと思え!俺には出来なかった。オリンピックを君に託している!」と監督を引き受けるよう促した。大松は「全員を嫁にいかしてやる」と引き受けた。選手たちの回転レシーブの練習が始まった。

f:id:matusima745:20191201210311p:plain

田畑は「国を背負ってやるんじゃなく、自分のためにやる。変わった!」というと
娘のあつ子は「だから恰好いい」と言い、菊枝は「変ったんじゃなく、変えたんです」。田畑は「誰が?」。

オリンピックまであと1年。オリンピック委員会は裏も表も大忙し。航空自衛隊が大空に五輪マークを描くと大いに沸いていた。

この年の大みそか志ん生は自宅でテレビで紅白歌合戦を見ていた。フィナーレには三波春夫(浜野謙太)が歌う「東京五輪音頭」だ。
「あれ?今、五りんがいた!」と美津子がテレビを指さす。たしかに、三波春夫の後ろで着流し姿の五りんが歌っていた。
***