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「リバー、流れないでよ」(2023)時間が流れないとどうなる!ヨーロッパ企画らしいコメディー!

 

「第33回日本映画批評家大賞脚本賞受賞おめでとうございます!

 

上田誠率人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけたオリジナル長編映画第2作目。“ヨーロッパ企画”となると、「四畳半タイムマシンブルース」(2022)が記憶にある。苦しめられ、難解だった記憶がある。(笑)

なぜ観るか?案内によると“冬の京都・貴船の名がある。これで観ることにしました。(笑)貴船神社に詣でて、蔵馬山に登り、霊感を感じ、牛若丸伝説にたっぷり浸かった記憶がまだ残っていた。(笑)

タイトルが良すぎる!リバーって何だ!貴船川だと思っていたら・・

 冬の京都・貴船を舞台に繰り返す2分間のタイムループから抜け出せなくなった人々の混乱を描いた群像コメディ

86分の尺なのに長く感じた!タイムループに嵌ったようだった。「四畳半タイムマシンブルース」ほどの衝撃はなかったが、ヨーロッパ企画らしい結末にスカッとした (笑)

監督:山口淳太、原案・脚本:上田誠撮影:川越一成編集:山口淳太、音楽:滝本晃司主題歌:くるり

出演者:藤谷理子、鳥越裕貴、永野宗典、角田貴志、酒井善史、諏訪雅、石田剛太、中川晴樹、土佐和成、早織、久保史緒里、本上まなみ近藤芳正

物語は、

京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」で仲居として働くミコト(藤谷理子)は、別館裏の貴船川のほとりにたたずんでいたところを女将(本上まなみ)に呼ばれ、仕事へと戻る。だが2分後、なぜか先ほどと同じ場所に立っていた。そしてミコトだけでなく、番頭(永野宗典)や仲居(早織)、料理人、宿泊客たちもみな、同じ時間がループしていることに気づく。2分経つと時間が巻き戻り、全員元にいた場所に戻ってしまうが、それぞれの記憶は引き継がれるのだ。人々は力をあわせてタイムループの原因究明に乗り出すが、ミコトはひとり複雑な思いを抱えていた。(映画COMより)


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あらすじ&感想

冒頭、猟師が雪の山道を蔵馬山へと消えていく。貴船神社を詣でた白いコートの美しい女性(久保史緒里)が赤い鳥居のある階段を下ってくる。美しい風景だ。

旅館“ふじや”では“モミジの部屋”に作家のオバタ(近藤芳正)と編集担当のスギヤマ(中川晴樹)が宿泊。スギヤマの激励でやっとオバタが「主人公が死んだ!」と書き始め、スギヤマが風呂に出掛けた。

ホトトギスの部屋”では会社の同僚らしいノミヤ(諏訪雅)とクスミ(石田剛太)が朝からしゃぶしゃぶで熱燗を楽しんでいる

女将が番頭に「今のところ客は2組、昼はこれで閉めよう!」と声を掛けた。厨房では料理長(角田貴志)が料理人のタクに「昼は先に行け!」と休憩を命じた。

女将と番頭、ミコトが客を送り出して女将がミコトに休憩を示した。

ミコトは貴船神社のお守りを持って貴船川の岸辺に立って祈る

貴船川の清冽な流れ、これが美しい。ミコトの表情が暗い!ミコトは旅館に戻って、デジャブの部屋を番頭と後片づけ。番頭の「サミットがあって駅でテロ、ここは安全だ。大学生の娘に彼氏が出来て会いに来る。これが心配だ」という話しにミコトは相槌を打っていた。

突然1、ミコトは貴船川の岸辺に立っていた変だという顔。

ミコトが旅館に戻り、番頭に出会って、デジャブの後片づけ。「サミットが・・」と同じ会話をする。

突然2、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトは旅館に戻り番頭とデジャブの部屋に。番頭が「2回目だ、おかしい」という。ミコトが女将に「誰もいないのに熱燗が戻っている」と訴えた。「おかしなことが起こっている」と駆けつけた料理人のエイジ(角田貴志)が「ループだ!」と声を上げた。そこに裸のスギヤマが現れた。(笑)「キャー!」の叫び声、ミコトが駆けつけると「鍋に銚子が戻される、分けわからん」と驚く仲居のチノ(早織)。(笑)

女将が「とにかく取り乱さない!沢山の困難に出会ったがループに出会ったことはない」と泣き出した。

突然3、ミコトが貴船川の岸辺にいる

旅館に戻ると女将さんが「相談に行く」と出かけ、番頭から「ホトトギスの部屋を見てくれ」と頼まれチノの一緒に顔出し。ノミヤとクスミが雑炊を食べていた。「時間が変になった!タイムループです」と伝えると「ずっと食べるのか?締めがしたい」と言う。ミコトらはそっと席を外した。(笑)

突然4、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトとチノは熱燗を持ってホトトギスを尋ね「たっぷり飲んでください」と言うと「ここだけで起きているのか」とノミヤが聞く。「分からない!ゆっくり飲んでください!」。

突然5、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトとチノと番頭はモミジの部屋に顔出し。オバタが「文章が消える」と混乱していた。(笑)タイムループを説明すると安心した。

突然6、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトとチノ、番頭がモミジの部屋に顔出し。作家のオバタが「文章が書いても消えるが大丈夫だ!締め切りがなくなった」と喜んでいる。(笑)

突然7、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトとチノ、番頭。少し休もうと休憩。番頭がスマホで確認して異変はここでしか起こってないと言う。そこにスギヤマが素っ裸で出て来た。(笑)

突然8、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトとチノ、番頭は風呂間に顔出し。スギヤマは「のぼせてしまう!外に出たい!」という。(笑)ミコトが「タイムループなんです。楽しんでください」と応えた。(笑)

突然9、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトが旅館に戻る。番頭が風呂に柚子をもっていくと奔る。チノが「トリガーがあるよね」と聞く。そこに冒頭の白いコートの女性が「車が凍結したらしい、車に詳しい人いない」と尋ねてきた。ミコトが「タイムループだから関係ない」と言うと「大変なんです!」と帰っていった。

突然10、ミコトが貴船川の岸辺にいる

ミコトが旅館に戻ると、料理人のエイジによるタイムループの説明会が始まっていた。「2分ごとに繰り返している。局所的な現象だ」と言う。

こうして幾度となくタイムループが繰り返される

料理人のエイジによって「発生地域は貴船周辺だけ。意識は続いている。感情を壊されないように。時間が進みだしたことを考えて出来るだけ破壊的な行動を控えるように」と注意がなされた。オバタから「糞したら、どうなる、戻るか?」と質問が出た。(笑)

作家のオバタはおかしくなって部屋から物を投げ、障子を破り出した

ホトトギスの部屋では仲の良かったノミヤとクスミがお互いの欠点を挙げて喧嘩が始まり止まらない。

この騒ぎに、部屋で休んでいたタクが貴船川の岸辺のコトミに「何が起こっている」と掛けた

何度かのタイムループを経て、ミコトがタクに「私が貴船川に流れないで欲しいと祈った、それでタイムループが起きた。タクが私の気持ちも知らずフランスに勉強に行くからよ」と喋った。これをチノが聴き、番頭に話した。

番頭らが「ミコトは超能力者だ」と逃げるミコトとタクを追う

ふたりは貴船川沿いの道を下流に上流にそして川を越え、これに猟師も加わって、はらはらどきどきで笑い一杯の追走劇。(笑)

オバタが「2分後には生き返ると」部屋から飛び降りた。(笑)これにはミコトもタクも驚いた。ミコトが「ちゃんと時間を動かします」とモミジの部屋に声を掛けた。オバタが「死の体験ができた」と喜ぶ。(笑)

貴船川の岸辺でミコトは皆さんに謝った。そして時を動かす祈りを始めた

 オバタは「連載がきついからこのままがいい」と言い、ノミヤとクスミは「会社に借金がるから時間が止まった方がいい。会社のきついことが忘れられていい」と言っていたが、ミコトの祈りで、オバタは「死んでみて妻の気持ちが分かった、書こうか!」と言い出し、ノミヤとクスミは「お互いに相談したいことがある」と部屋に帰っていく。みんなが未来に向かって動き出した。

料理人のエイジが「原因が分かった、物理的前哨だ」と皆さんと一緒に貴船神社に急いだ

そこで白いコートの女性に出会った。「サミットでタイムパトロールに来た。同じ時代にいるとパラドックスを防ぐために2分戻る」「ロケットのエンジンが凍結で止り、タイムマシーンが壊れて月に戻れない」と言う。(笑)

皆で燃料(ビール)を運びエンジンに注入し、猟師が猟銃射撃でエンジンが点火、ロケットは発進した!(笑)

皆が未来を誓った。ミカドは髪を切って“一度失恋したことにして”、3年後にタクがフランスから帰るのを待つことにした。

まとめ:

幾重にも繰り返されるタイムループシーンが長く感じられた!これがテーマだから“よく出来ていた作品”と言うべきか(笑)

ここで描かれる人情劇にくすくす笑った。あのロケットで月に飛ぶ結末には大笑い。ヨーロッパ企画らしいオフビートなSF作品だった!

京都の奥座敷貴船にいながらフレンチ料理の修行にフランスに行きたい料理人のタク。愛しいが故にタクの夢を止めたいミコト。ミコトが祈願した貴船神社のお守りの威力が効きすぎて起こったタイムループ。いや、月からやってきたタイムパトロールのせいだったという落ち!よく分からなかった!(笑)

イムループで自分に都合のいい生活が出来ると喜んだが、怠けた生活の苦しさを味わった。時が正常に戻り、苦しくても夢に向かう生活がいいと気付くエンデイング。ちょっと真ともすぎました!(笑)

ヨーロッパ企画のみなさんの演技、藤谷理子、早織さんのフレッシュな演技に好感が持てた。この作品のテーマにふさわしい。

貴船神社、赤い幾重にも重なる鳥居の映像、これをくぐってお参りしたい。“そうだ京都、ゆこう“の気分にしてくれました。次作はもっとオフビートが効いた作品を期待したい!

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