映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「アダマン号に乗って」(2023)まさか精神疾患施設とは、ここに求められるものを問うドキュメンタリー!

「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるフランスのドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベールが、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」にカメラを向けたドキュメンタリー。 精神疾患のデイケア施設、私には映画「…

「LOVE LIFE」(2022)愛という心理の揺れ、なくしてその存在に気付く!

「淵に立つ」(2016)「よこがお」(2019)の深田晃司監督作品。矢野顕子さんのアルバム「LOVE LIFE」(1991)に収録された同名楽曲をモチーフに、「愛」と「人生」に向き合う夫婦の物語を描いたもの。ベネチア国際映画祭(2022)コンペティション部門作品。…

「ちひろさん」(2023)風俗嬢と弁当屋を掛けて描く人生訓、生きるに必要なこと全部教えてくれる。

“ちひろ“という平凡な名にさん付けとは?監督が今泉力哉さんだから何か曰くがあるなとWOWOWで観ることにしました。(笑) 作品紹介を見ると「弁当屋さんで働く女性・ちひろ。元風俗嬢である」とある。 演じるのが有村架純さんとなると観ようかとなる。これを戒…

「52ヘルツのクジラたち」(2024)家族という呪いから解かれた命、聞こえない弱者の声を捜して生きる!

タイトルがいい!これで観ることにしました。 多用な家庭環境、ヤングケアラー、児童虐待、トランスジェンダーと苦を抱える人たちの物語。ラストで涙に溢れた。何もしてあげられないが、泣けたことが少しはみなさんに近づけたかなと思わせてくれる作品だった…

NHK「マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪」(2024)

3月29日公開の「オッペンハイマー」(2023)。これに先立ちNHK番組「映像の世紀」(2024.2.19)で放送されたもの。映画の参考になればと観てみました。 なかなかの力作。日本の原爆開発視点からの描写もあり興味深かった。何よりも驚いたのはアインシュタイ…

「エゴイスト」(2023)性愛で描く、エゴイストが愛に目覚める物語!

昨年の邦画の中で評判のよかった作品。見逃していてWOWOWでやっと観ることができました。 男性カップルの性愛をここまで描くようになったかと思った。これがあるから「エゴイスト」のタイトルが分からる作品だった。(笑) 原作:エッセイスト・高山真さん(20…

「コヴェナント 約束の救出」(2024)友を見捨てないとガイ・リッチーが描くアフガン戦場描写の見事さ!

「スナッチ」「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督が、アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマ。 2021年8月21日、アメリカ軍がアフガニスタンから撤退することに伴い自衛隊機…

「肉弾」(1968)自らが体験した太平洋戦争。青春を無駄にされた監督の悔しさが伝わる!

WOWOW「生誕100年岡本喜八監督特集」で放送された第2作目の作品。「日本のいちばん長い日」(1967)、「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971)をとばしてこの作品ということが分かる作品だった。 岡本監督は1945年1月に松戸の陸軍工兵学校に入隊し愛知県豊橋市に…

「658km、陽子の旅」(2023)菊池凛子が学んだことは人生におけるとてもシンプルなことだった。

NHK朝ドラ「ブギウギ」に淡谷のり子役で出演の菊地凛子さん。朝イチでのトークで、「この作品で私は変わった」と話す。いかなる作品なりやと観ることにしました。彼女の作品では「バベル」(2006)しか観ていない。 夢やぶれフリーターとして、人との接触を…

「ボーはおそれている」(2023)これ、アリ・アスター作品、大笑い。こんなやついる一杯!親の責任だ!

2023年度製作作品。「ミッドサマー」「ヘレディタリー 継承」の鬼才アリ・アスター監督と「ジョーカー」「ナポレオン」の名優ホアキン・フェニックスがタッグを組み、怪死した母のもとへ帰省しようとした男が奇想天外な旅に巻き込まれていく姿を描いたコメデ…

「侍」(1965)圧倒される時代劇だった!侍になれなかった男の話にテーマを感じる。

岡本喜八作品で観ているのは「日本のいちばん長い日」(1967)、「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971)のみということで、WOWOW「生誕100年岡本喜八監督特集」での鑑賞です。 大老井伊直弼の落胤が、桜田門外の変で実父を斬るまでを描くというもの。 原作:群司…

「夜明けのすべて」(2024)出会ってよかった!人は助け、助けられ、夜は明ける!

監督が「ケイコ目を澄ませて」(2022)の三宅唱さん。タイトルの“すべて”とは何か。これで観ることにしました。 主人公はPMS(月経前症候群)を抱える女性とパニック障害に苦しむ青年が出会い、生きる道を見出す物語。前作の障害者ボクサーの生き様を上回る…

「スープとイデオロギー」(2022)イデオロギーには裏切られるが、スープの味は裏切らない!

タイトル名、これは洒落ている!と観ることにしました。(笑) 監督・脚本が「かぞくのくに」(2012)のヤン ヨンヒさん。韓国現代史最大のタブーとされる“済州4・3事件”を体験した母を主役に撮りあげたドキュメンタリー作品。 物語は、 朝鮮総連の熱心な活動…

「オオカミ狩り」(2022)見せ場のあるスプラッター映像だが、テーマをわかり易くリアリティが欲しい!

2022年度韓国作品「凶悪犯たちを乗せた船で生き残りをかけて繰り広げられる戦いの行方を、容赦ない暴力描写で描いた韓国製サバイバルアクション」ということで、前情報なしに韓国映画が好きだとWOWOWで観ました。今作はちょっと様子が違った。(笑) 監督・脚…

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」時代に翻弄された友情、幼い時の友情は人生の宝物だ!

1984年度製作作品。マカロニウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネの遺作となった作品。「モリコーネ 映画が恋した音楽家」(2021)で音楽のすばらしさを知りDVD(229分版)で観ることにしました。 アメリカの禁酒時代に翻弄されるギャングたちの友情物語、行…

「ヘイトフル・エイト」(2015)ストーリー、血の演出に仰天も、結末はアメリカの未来に光を放つ!

映画「モリコーネ・・」(2021)を観て、モリコーネが本作で6度目の挑戦でアカデミー賞作曲賞を手にした作品であると知った。監督のクエンティン・タランティーノが「モリコーネはバッカ、ベートーヴェンに並ぶ作曲家である」と褒めちぎった作品、観ないわけ…

「哀れなるものたち」(2024)エマ・ストーンが演じるフェミニズム、自分の体だ!人に任せるな!

「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再タッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化作品。グレイは「フランケンシュタイン」の作家メアリー・シェリーをモチーフに書いたという。…

「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(2024)歌舞伎町、“なんとかなる!”とPOPに生きる!

「ミッドナイトスワン」の内田英治と「岬の兄弟」「さがす」の片山慎三が共同で監督を務め、出演者に伊藤沙莉、竹野内豊、北村有起哉が名を連ねる。当県では上映館がなくWOWOW放送時に観ることにしました。 新宿・歌舞伎町を舞台にブラックユーモアたっぷり…

「対峙」(2021)“罪を憎んで人を憎まず“、この言葉の重さを考えた!

高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対話を描いたドラマ。このキャッチコピーに、WOWOWで観ることにした。 監督・脚本:「キャビン」などの俳優フラン・クランツ、初監督・初脚本です。 撮影:ライアン・ジャクソン=ヒーリー、編集:ヤン・ホア・…

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」(2021)荒野の用心棒は屈辱だと探す映画音楽の旅!

「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が、師であり友でもある映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネに迫ったドキュメンタリー。 いくつかの作品は観ているがどのような人なのかほとんど知らない。音楽音痴が感想書くのもおこがましい…

「1秒先の彼」(2023)不思議な物語だった!20年間の積り積もった初恋の記憶に泣けた!

監督・山下敦弘と脚本家・宮藤官九郎が初タッグを組み、台湾映画「1秒先の彼女」(2020)をリメイクしたラブストーリー。原作の舞台を京都に移して男女のキャラクター設定を逆転し、周囲よりワンテンポ早い男性とワンテンポ遅い女性の“消えた1日”をめぐるフ…

「劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室」(2023)待っていては救えない命がある!熱血彼らに涙!

能登の地震災害を見て、今、この作品をみたとき、待っていては救えない命があることの意味が重く圧し掛かる。家屋の下敷きになり誰かが助けてくれると頑張りながら亡くなった人に申し訳ないような気分です。 林官房長官の地震直後の記者発表(これも遅かった…

「コンクリート・ユートピア」圧倒的は演技力で、痛みを共有できないならユートピアはないと訴える

2023年度韓国製作作品。年明けの劇場鑑賞作品の第1作目として選んだのがこの作品。大災害により荒廃した韓国・ソウルを舞台に、崩落を免れたマンションに集まった生存者たちの争いを描いたパニックスリラー作品。 第96回アカデミー賞国際長編映画韓国代表作…

「映画めんたいぴりり パンジーの花」(2023)よか人情噺に、たっぷりと博多が楽しめる!

めんたいこ製造販売「ふくや」の創業者川原俊夫をモデルにした劇場版2作目。 前作がとても面白かったのでWOWOWで観ました。 前作は戦後、大陸から引き上げ、昭和30年代に博多中州に店を構え、釜山の総菜であった明太子に改良に改良を重ね、博多辛子明太子を…

韓国映画「ハッピーニューイヤー」(2021)美しい!いい話が沢山あって、ごちゃごちゃするけど!

能登半島元旦地震に羽田空港での日航機炎上という暗いニュースから年が明けました。とても「ハッピーニューイヤー」という雰囲気ではないが、本作のテーマは「先が読めない人生」。今年を信じる力になるとWOWOWで鑑賞。 監督:クァク・ジェヨン、脚本:ユ・…

明けましておめでとうございます。ことはじめは「荒野の決闘」から!

新年の1本目を本作にしました!NHKBSで元旦に放送されたものです。 みなさんご存じの“愛しのクレメンタイン”曲で名高い作品。ジョン・フォード監督の名作中の名作といわれる作品。 「荒野の決闘」(1946)圧巻の決闘シーンだが、静かで、美しい、しんみりし…

「TALK TO ME トーク・トゥ・ミー」YouTuberによるホラー、SNS社会に生きる10代の娘の孤独と闇!

2023年度オーストラリア製作作品。SNSで流行する「90秒憑依チャレンジ」にのめり込んだことから思わぬ事態に陥っていく女子高生を描き、2023年サンダンス映画祭で話題を呼び、A24で配給され「ミッドサマー」(2019)をはるかに超える興収を上げたという話題…

「アイ・アム まきもと」(2022)孤独死者を無縁墓には埋葬しないと奮闘するまきもと。役所勤務者の手本だ!

イギリス・イタリア合作映画「おみおくりの作法」(2013)のリメイク作品。 孤独死の人たちの親族を捜し、見つからねば遺品を整理して持たせて火葬するなど、丁寧にお見送りをする市役所職員の話で、いい話だったと記憶している。 監督は「舞妓 Haaaan!!!」…

「PERFECT DAYS」(2023)役所広司さんが見せる公共トイレ掃除員の充実感!

世界的建築家やクリエイターによるデザインで改修された東京・渋谷区の17個のトイレ「THE TOKYO TOILET」の「清掃員として働く平山の生き方」をドイツの名匠ビム・ベンダース監督のもと平山を役所さんが演じ、第76回カンヌ国際映画祭(2023で、男優賞を受賞…

宮崎駿監督に密着…NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2023)“君生き”大伯父のモデルは誰れ?

宮崎駿はいかにして新作「君たちはどう生きるか」を作り上げたのか。創作の舞台裏で繰り広げられていた物語。書生として通うことを条件に取材を許されたディレクター(記者)が見つめた、2399日にわたる記録。 とても難解だった本作の舞台裏が明かされると観…