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「デューン 砂の惑星 PART2」(2024)ストーリー、映像の美しさ迫力がグレードアップ、次作を期待!

 

期待していた作品、1週間遅れで観ました。この間にたくさんのレポートが出ており、感想も今さら感がありますが、自分のメモということで書いてみました。本作は第94回アカデミー賞で6部門に輝いたSFアドベンチャー大作「DUNE デューン砂の惑星」の続編です。

原作:ハーバートのSF小説(1965)、未読です。監督:「メッセージ」レードランナー2049」のドゥニ・ビルヌーブ脚本:ドゥニ・ビルヌーブ ジョン・スパイツ、撮影:グレイグ・フレイザー美術:パトリス・バーメット、衣装:ジャクリーン・ウェスト、編集:ジョー・ウォーカー、音楽:ハンス・ジマー

出演者:ティモシー・シャラメゼンデイヤレベッカ・ファーガソンら前作のキャストに加え、「エルヴィス」のオースティン・バトラー、「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」のレア・セドゥが新たに参加。

あらすじ

“その惑星を制する者が全宇宙を制する”と言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により、たった一日の戦闘で、一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)と母ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)はアラキスの首都アラキーンを脱出し、砂漠の民フレメンの作戦拠点タブールのシエチ(群居洞)に身を隠した

ここで生きると決めたポールはフェレメンのリーダー・スティルガー(ハビエル・バルデム)に守られ、女性戦士チャニ(ゼンデイヤ)と心を通わせながら、フレメン戦士へと成長していく

母のジェシはスティルガーに請われってフレメンの教母となり、ポールを救世主へと導いていく。

ポールはフレメン兵士としてハルコネンのスパイス採取阻止の戦を繰り広げ、その成果でフレメンの兵士名ポール・ムアディブ・ウス―ルとなり、砂虫を自由に操れるフレメン兵士(フェダイキン)となった。さらに、母ジェシカの導きで救世主として民を率いることになった

一方、宿敵ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)は甥のラッパーン(デイヴ・バウティスタ)の統治能力に不満でもうひとりの甥フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)を次期男爵に据え、新たな支配者としてアラキスに送り込んだ。

因縁のアトレイデス家とハルコネン家の戦いがポールとフェイドの手に移るが、両家の戦が皇帝の陰謀であったことが明かされ、宇宙帝国の権力闘争へと発展していく。はたしてポールは予言されたごとく帝国皇帝クウイサッツ・ハデラックになりうるのか。


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感想

冒頭、アトレイデス家とハルコネン家の戦いが、たった1日で終り、ハルコネンの兵士が大量のアトレイデ兵の死体を積み上げ火炎放射器で焼却を始めた。

前作のラストから数時間後から物語は始まる

〇前作に比しての本作の特性は

前作はアトレイデス家とハルコネン家の戦いだったが、敗者のアトレイデス家の後継者ポールがフレメンの救世主として出現したことで、フレメンとハルコネンの戦いがハルコネン男爵の野望により、皇帝を巡る権力闘争となっていく “物語の壮大さだ”。物語の空間(戦場)は広大し、新たな戦法・兵器が出現、前作に比して見るべきところの多い作品になっていた。前作同様映像が美しい、どのシーンも頭に残るという、上映時間166分を長尺と感じさせない作品だった。

〇ポールの救世主への成長とチャニとの悲恋の物語だ。

ハルコネンとの戦闘で敗者となったポールの生きる場所はフレメンの中にしかなかった。スティルガーが予言を信じ、赤ポールは救世主になる人だと認めても、フレメンの民は誰も信じない。砂漠のサバイバル術や砂虫に気付かれない砂歩きを体得し、大型の砂虫を操縦できるフレメン戦士となったティモシー・シャラメの顔は精悍さに溢れてきた。

こんなポールを支えたのがチャニ。サバイバルの知識、砂歩きを教え、ふたりで戦場に立ち、ハルコネン兵士に立ち向うことでふたりは強く結ばれていった。

しかし、ポールは常に“救世主になると多くの犠牲者が出る”という恐怖があった。チャニと恋に落ちてからは、彼女を失うという悪夢に苦しむ。ポールの苦しむ表情にチャニもまた苦しんだ。

ジェシカから救世主になるための“命の水”を飲むことを勧められるが、ポールは母の誘いに乗らなかった。しかし、ハルコネン軍の指揮官がフェイドに代り、戦傷者の増大に苦しめられ、悩んだ末に、フレメンの民のために何をなすべきかと自分に課せられた運命を考え、“命の水”を飲む決心をした。

フレメンの故事にのっとり、ポールは“命の水”を飲んで一度死に、チャニの涙で蘇生した。それほどに深いふたりの絆だが、救世主の出現にフレメンの民は歓喜したが、チャニはこれを喜ばなかった。

ポールは皇帝の地位を掛けて皇帝シャッダム4世(クリストファー・ウォーケン)に戦いを挑み、皇帝の代役フェイドと決闘し皇帝の座にものにするが、チャニは喜ばなかった。退席し砂漠で砂虫を呼び寄せて泣いた。この姿が切ない!これがラストシーンとなるので後味が悪い!本作はチャニの出現に始まって、チャニの涙で終る、チャニの物語でもあるんだ!ゼンデイヤの精悍で憂いのある演技が素晴らしかった!

〇ポールの存在が脅威となり皇帝の座を巡る壮大な権力闘争物語になっていく。

ハルコネン男爵は甥のラッパーンを無能とみなし、もうひとりの甥のフェイドの能力をアトレイデス家戦士と戦わせて試した。古代ローマの競技場を模した競技場での壮大な決闘シーンだった。

フェイドは人を斬ることになんの感情もないサイコパスだったサイコパスを血のない人間として、フェイドが関わるシーンはモノカラーで描かれる

ハルコネン男爵はフェイドに2年後男爵位を譲渡すると約束し「皇帝の陰謀を明かせば全大領家からしっぺ返しだ、これでお前が皇帝だ」とアラキスの統治者として送り出した。サイコパスとしての狂気を演じるオースティン・バトラーの怪演がすばらしい!

皇帝ジャッダム4世はポールの生存を知り精鋭部隊サーダカーをアラカスに送りポールを葬ることにした。アトレイデス家抹殺を皇帝に進言したモヒアム教母は「フェイドを皇帝の後継者とする」と皇女イルーラン姫(フローレンス・ピュー)に指示した。

そして、教母マーゴット(レア・セドゥ)がフェイドの子を孕んだ

一方、ベネ・ゲセリット出身の教母ジェシカはポールを産み、今は亡きレト侯爵の子を身ごもっていた。ジェシカは生きるために“命の水”を飲みフレメンの教母となり過去を見る力を得た。そこで自分の父親がハルコネン男爵だと知った。ポールも知った。ポールはハルコネン男爵の甥にあたる。ポールとハルコネン男爵の戦いは叔父と甥、ポールとフェイドの戦いはハルコネン男爵の甥同志の戦いという同じ血縁の中での戦いとなる。

ジェシカ役のレベッカ・ファーガソンは悲劇の中から立ち上がりフレメンの教母となり顔にフレメンの文字を入れ墨して妖気を漂わせ、ポールとお腹の子のふたりで皇帝の座を狙う気丈な女性をうまく演じていた。

となります

帝国皇帝の座を巡るシャッダム4世、ハルコネ男爵(フェイド)、ポールの三つ巴の争奪戦が始まった。これが数千年にわたり遺伝を操作して救世主を出現してきたベネ・ゲセリットという女性の結社(教母)の思惑で行われるところにこの物語の世界感がある。

〇ポールが皇帝の座に就くための戦略・戦法の面白さ。特に原爆の運用。これは今の時代に繋がる問題だった

フレメンの戦法は砂虫を操って敵を混乱し、この敵を砂漠に身を隠していたフレメン兵が飛び出し刺殺するゲリラ戦法だった。この戦法で成果を上げたが損害も多かった。ポールはスパイス密輸団討伐戦でアトレイデス家の師ガーニイ・ハレック(ジョシュ・ブローリン)に再会し、アトレイデス家が秘密裏に原爆92発を保管していることを知った

この力を得て、ポールは母の勧める“命の水”を飲み救世主となり、フェレメンの戦法と原爆で皇帝の地位に挑むことにした。

フレメンの戦闘に有利な地、首都アラキーンに、砂漠の砂嵐の時期に合わせ、皇帝を呼び出すことにして手紙を送った。

皇帝は巨大な宇宙船で大軍を携えやって来た。フレメン軍は、皇帝の宇宙船を攻撃できるよう各戦闘部隊の配置につけた。大規模な砂嵐で重要施設が吹っ飛び、精鋭のサーダカー兵たちもフレメンが仕組んだ砂虫起振装置(サンバー)の発見に苦しんだ。そこに巨大な大量の砂虫で攻撃を掛けて混乱させ、混乱したサーダカー兵を砂漠に身を隠していたフレメン兵が襲い勝利した。壮大な戦闘パノラマだった。こんな映像は滅多に見られない!(笑)

勝利したところでポールたちが宇宙船に乗り込む。ポールがハルコンネン男爵の首を剣で刺し、殺した。ポールは皇帝シャッダム4世との戦いに挑む際、チャニに「命ある限り、君を愛する」と伝えた。皇女イルーランに結婚を申し込み、皇帝に決闘で決着を求めた。この際、諸大領家に対して「アラキスを攻撃するなら原爆でスパイスを焼き払う」と牽制した。

フェイドがシャッダム4世の代役を務めることになり、フェイドとポールの死を賭けた決闘でポールが皇帝の座にものにした。決闘シーンはいずれが勝つか分からない迫力あるものでよく出来ていた。

ルーラン姫がシャッダム4世の助命を求め、ポールはこれを認めた。ジェシカがモヒアム教母に「あなたは間違った側に付いた」と声を掛けると「敵も味方もない」と言い返した。チャニは黙って砂漠に向った。

まとめ

ポールは皇帝の座を得たが諸大領家の承認は得られていない。モヒアム教母の曖昧な態度も不気味だ。さらに教母マーゴットがフェイドの子を孕んでいる。皇女イルーランも妻となったがその行動も読めない。あまりにもチェニが不憫だ!(笑)これで終りと言うことはない。次作を期待したい。

本作は砂漠の中で原住民とそこへ入植した部族との闘い、原爆による威嚇など今の世界に繋がるところがあり興味深く観ました。

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