第6回「迷走」
第6回視聴率:16.9%
全国に衝撃を与えた本能寺の変から2日が経過、信長という大勢力の君主の死により勢力争いが混沌とするなかでいかに国を守るかに迷走する昌幸、松救出に失敗した信繁の挫折が描かれ、心情を深く掘り下げた演出で見応えがあるドラマになっている。
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信長暗殺後の混乱をどう乗り切るか誰に付くかと迷走するなかで、「自立する」という案に辿り着く昌幸の情勢判断、駆け引きがおもしろい。これを演じる草刈さんの“悪人たらしい”表情がすばらしい。「このまま織田氏の家臣でいるのが筋だ」という信幸に乗るという、信幸が私の案にと訝るが、飄々と「お前は真っすぐだな」とにたり顔でとぼけてこれを採用する。滝川一益に会って、彼が言う「一番恐ろしいのは真田だ」を笑飛ばして光秀を討つよう進言し、人質も出すと忠誠心を見せる厚顔の昌幸です。
国衆の激しい責めに会っても、“朝礼暮改も戦術”と威圧を加え彼等の覚悟を確認して「北条に付く」案に乗り、「一益と北条をしばらく天秤にかけることにする」という昌幸。
早速、弟信尹を北条氏政の元に使わし、「一益が光秀征伐に向かっている間は、信濃に攻め込まないでほしい」と交渉させ同意を取り付ける。氏政と信尹の談判は力が入っていて、これだけ力が入るとお互に疑念を持っているのではと思ってしまう。
光秀が撃たれ、一益が動かないとなれば、「一益にも北条にも、誰の下にも属さない」と昌幸。大博打の始まりというこれからの物語に大きな期待がつながる。
〇信繁の挫折と希望
松を救出できなかったことに深い罪悪感を持ち、人生で初めての挫折感を持っての真田の里帰還。
途中、北信濃の国衆に裏切られ追い立てられる森長可に追随する出浦昌相に会って、これからどうするかを問うと「一度仕えると決めたら最後まで忠義を通す。戦では死なん、死ぬのは信用を失ったとき」と。混沌とした情勢のなかにあって、とてもすがすがしい言葉、彼の気持ちを少し前に押したかも。寺島さんにこの言葉はよく似合っている。素っぱという最も汚い仕事をしている男にこの気概が、ここは泣ける。
松を救えなかったことで、母薫から激しく責められるが信幸が取り持ちこの場をやり過ごす。昌幸は「こっちはえらいことに。お前の目には何が見える。だれもがもがいている」
「北条が攻めてきたら、真田は終わりだ」と言う。信繁、これに返す言葉がない。自信喪失。
梅に話を聞いていてくれと、信繁。「明智の動きを読めなかった。安土にいれば・・・、ずっと、兄より才があると思っていた。その才で兄を助けていくのが自分の務めだと思っていたが、そんなのはうぬぼれだった」「私の才など、いざというとき役に立たぬ事がようわかった。私はただの役立たずの次男坊。真田の家にいる意味など何もない」と話す。梅の「源次郎さまがいてよかった、なにかあったら私を助けて。約束です」にほっとする信繁。
信繁と昌幸は、望楼から真田の里を望み、信繁は「この景色が好き、信濃は日本国の誇り。父上の子と生まれたことが誇り」と言い「勇気をもつことじゃ、よき息子じゃ」と励ます昌幸。父のこの言葉で信繁は立ち直る。気持ちのよい親子の会話に感動。故郷で、土地に人に触れ、癒され立ち直っていく心情がうまく描かれている。
家康の態度
伊賀越えの疲れが取れない家康。本田忠勝の明智討伐の進言に「家来になった覚えはない。誰かがやってくれる」と言う。
家康には光秀を討つ気はさらさらない。一益から北条との戦に備えた援軍要請が来ていたが、これものらりくらりと対応。それが家康の生き残る術だった。
家康と言い、氏政、昌幸、みんな裏切りが当たり前。真っ当にものを考える一益がちょっと可哀想に見える。
〇松の運命
しかし、琵琶湖のほとりにある漁師に助けられ、一命を取り止めたものの記憶喪失になっている。ここからどう変化していくのか、楽しみ。
光秀敗れるで、
氏家は、好機到来とばかりに、直ちに上野に進攻。昌幸はこれを読んでいたように「一益にくれてやった城を取り返せ」と。
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