映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「スキャンダル」(2019)BOMBSHELL

f:id:matusima745:20200222200348p:plain

アカデミー賞3部門ノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した作品。ハリウッドを揺るがした##MeTooに先立つ“BOMBSHELL”な女性キャスターたちがいたという物語、“今観る作品だ!”と「スマ落し」に優先して観ることにしました。(笑)

この不条理を怒り笑い飛ばして欲しいと、プロデュ-サー&主演女優のシャーリーズ・セロンの強い願いで出来上がった作品です。まだまだ男女差別の壁は厚い、何よりも権力の壁の厚さを訴えている結末に“私たちの後に続け!”という強いメッセージが伝わる作品でした。

監督は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のジェイ・ローチ、脚本は「マネーショート華麗なる大逆転」のチャールズ・ランドルフ。特殊メイクはカズ・ヒロ担当です。どの程度似てるか、作品のなかで実物ニュース映像をキャスターが見るシーンがいくつもありますが、全く同一人物に見えました! 

出演はシャーリーズ・セロンニコール・キッドマンマーゴット・ロビージョン・リスゴーケイト・マッキノン、コニー・ブリットン、マルコム・マクダウェルアリソン・ジャネイ

あらすじ:
2016年、FOXニュースのベテラン女性キャスター、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)は、人気番組の担当を降ろされたのを機に、長年セクハラを繰り返してきたロジャー・エイルズCEO(ジョン・リスゴー)を訴える準備を進める。
一方、看板キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、女性蔑視が目に余るドナルド・トランプ大統領候補(映像)への対決姿勢を鮮明にしていく。そんな中、メインキャスターの座を狙う野心あふれる若手ケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)は、ついにロジャーとの面接のチャンスを得るが…。<allcinema>
               
とてもリアルでハイテンポ、お洒落感のある作品です。実在のカールソンとメーガンに“設定”のケイラのTVキャスターが、それぞれ役割分担し、社主との忠誠心を担保に人気キャスターにかけ登るが、その担保に振り回され、遂に社主エイルズを告訴する苦渋の選択とその結末が描かれ、スピード感のある作品になっています。さらに3人の人気女優の登場とその演技力、メイクで興味を引くという演出がとても良かった!

メーガンがトランプ候補(当時)と衝突したことがエイルズ告訴の遠因になっており、現在大統領候補選び真っ最中に本作が公開さえるという、映画に対する政治の寛容さがすばらしい。日本ではこうはいかないでしょう。それだけに今、観るべき映画です。

****(ねたばれ)
冒頭、アメリカのケーブルTVで視聴率NO1を誇るFOXニュースのベテランキャスター・メーガンが「The Kelly」番組で猛烈なスピードでトランプの女性蔑視政策を批判し、これを車のなかで見た社長のエイルズが「能なしだ!」と激怒してスタジオに電話し、これに応じなければいつでもこの地位から降ろされるというシーンから物語が始まります。
番組クルーはこの怒りに、「トランプからツイッターで執拗に攻撃さえるぞ」と震えあがり、そのとおりにトランプの攻撃が始まる。メーガンは「決せて負けない!」というが、クルーから「考えてくれ!」と悲鳴が出る。トランプ信奉者からの嫌がらせが加わり、エイルズに助けを求めるが「視聴者は対立を楽しむ」と擁護してくれない。

メーガンがこの地位に登るには法学博士の学位を持つジャーナリストという才能や運だけでなく、エイルズと性的な取引“忠誠心”を取り交わしたことです。だからエイルズにいかようにでも料理されてしまう。

一方の同じ社の昼番組「The Real Story」のカールソンはメーガンより4歳年上、スタンフォード大学卒業でミス・アメリカに選ばれた才媛美女。番組が終わるとエイルズから電話が入る。何があったのか?
彼女は弁護士を呼び「2年前に朝番組を降ろされた。オーラルSEXを要求され、もうこういうことを辞めたい」とエイルズ告訴を訴える。弁護士団は「同調者が出るか?難しいぞ」と危惧するが、「他の人にも声を掛けてみる」と告訴に踏み切った。

f:id:matusima745:20200222200406p:plain

そして番組で「多くの女性たちのメッセージを寄せてください!」と喋った。当然、エイルズは激怒!!

f:id:matusima745:20200222200446p:plain

政治的には民主党支持、バランスのあるスターキャスターを目指して入社したケイラは、カールソンのもとで働いていたが、バーで知合った副社長にお願いし高視聴率を誇るビル・オライリーの番組に出演するが、「どこ見ている!」と一喝されて首になった。そこで考えたのが秘書に取り入ってエイルズに直談判することだった。

f:id:matusima745:20200222200510p:plain

ケイラは恐る恐る社長室に入るとまず、「歩いてみろ」と歩かされ、「身体が良い」と褒められ、「スカートを上げろ」と命じられ、これに応じる。彼女は「ハニートラップではない」と主張するようにスカートを上げることを渋るのが面白い。(笑)
エイルズは「この業界は難しい!見返りが必要だ!忠誠心が必要だ、また話そう」と彼女を仕事場に返した。
ケイラは「なんにもなかった」と同僚のジェス・カー(ケイト・マッキノン)に話す。しかし、このあと彼女はエイルズのトラップに陥る。

ここは強調したいシーン。告訴する場合、世間の目はここをついてくる。この怪物のいやらしさをしっかり描いておかねばならない!

メーガンがトランプをインタビューするといつものトランプと違う。彼女は「誰がトランプを逃がさせた」と怒り、番組で「半自動銃を持つことに反対」と番組でトランプに反抗した。そのとき秘書から「2階に来て!」と連絡が入る。カールソンにもケイラにも「2階に来て!」と連絡があった。三人がエレバーターで一緒になった。

f:id:matusima745:20200222200529p:plain

メーガンはどうトランプの件を説明し人気番組のキャスターを続けるか、カールソンは首を宣告されるか、ケイラは忠誠心を要求されるかという三人三様のFOXニュースキャスターの姿を描くという秀逸なシーンです。

カールソンのエイルズセクハラ告白ニュースで社内に激震が走った。

f:id:matusima745:20200222200426p:plain

メーガンは番組クルーに「とりあえず何もしない」と宣言し安堵させた。仲間の他社キャスターから「エイルズには力をもらった。そのままがいい」という意見を貰う。彼女にはまだカールソンを擁護する気持ちんはならなかった。

一方、エイルズは怒り狂って全キャスターを集め「事実無根」であることを伝え、万一背くことがあれば実力行使することを告げた。社内の女性のスカート丈は短くなり、一層エイルズ好みとなっていった。(笑)

カールソンは予想に反して女性キャスターが声を上げないことにがっかりする。他局への就職も叶わず、子供と夫に支えられる毎日であった。

FOXニュース親会社の会長ルパート・マードックマルコム・マクダウェル)の弁護団はFOXニュース社に乗り込み調査を始め、カールソン側弁護団と決着を模索し始める。

2016年7月9日、突然6人がエイルズのセクハラを受けたと名乗り出た。みんなで声を上げなければ前には進まないというこの騒動の決定的な転換点となった。

2016年7月17日、カールソン弁護団は「メーガンはダメだ、エイルズは女たちを戦わせている」と落胆していた。
メーガンはエイルズの「口止め」や盗聴器の設置など強権でますます統制がきつくなっていくことに不安を感じる。

そこでマードックにエイルズの弁護には加わらないことを確認し、自分以外にキャスターでセクハラを受けた者は何人いるか?メーガンはケイラに当たった。ケイラは泣いて真実を喋った!

2016年7月18日、メーガンは記者会見をして3回のエイルズによるセクハラ手口を喋った。エイルズは狂ったように喚きちらしたが、マードックスから印籠を渡された。そしてマードックが乗り込んできた!これで改革は進むのか!

ケイラはマードックが社員に訓示するのを聞きながら、胸を張って会社を出ていった。メーガンはトランプの嫌がらせを受けながらニュースキャスターを続けることにした。

エイルズは翌年、糖尿病で亡くなった!
                                                    ****


映画「スキャンダル」予告編(出演:シャーリーズ・セロン 、ニコール・キッドマン 、マーゴット・ロビー )