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宮﨑あおいさんを応援します

「騙し絵の牙」(2021)「めちゃくちゃ面白いです!」、・・

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作品タイトルがピンとこないと放置しておいた作品。WOWOWで鑑賞しました。今年3月の公開作品ですので、TV放送では早い公開になりましたね!

出版業界を舞台に、廃刊の危機に立たされた雑誌編集長が、裏切りや陰謀が渦巻く中、起死回生のために大胆な奇策に打って出る姿を描くというもの。

原作は「罪の声」などで知られる作家・塩田武士さん大泉洋さんをイメージして主人公を「あてがき」した同名小説。これを大泉さんの主演で演じるという。😊

監督:吉田大八、脚本:楠野一郎 吉田大八、撮影:町田博、編集:小池義幸:音楽:LITE。

出演者:大泉洋松岡茉優佐藤浩市池田エライザ斎藤工中村倫也佐野史郎リリー・フランキー國村隼木村佳乃、他。とても超豪華です。

出版不況の波にもまれる大手出版社「薫風社」では、創業一族の社長が急逝し、次期社長の座をめぐって権力争いが勃発。そんな中、専務の東松(佐藤浩市)が進める大改革によって、売れない雑誌は次々と廃刊のピンチに陥る。カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされるが……。

冒頭、文芸誌“薫風”の新人編集者・高野恵(松岡茉優)が新人賞応募作品「バイバイすると死ぬ」(矢代聖)を夜が明けるのも知らず読んでいるとき、朝の散歩中の社長の伊庭喜三郎が急逝するというシーンから物語が始まります。

後継は伊庭の息子・惟重ですが、米国で修業するため、当面、営業畑の専務・東松(佐藤浩市)が中継ぎとして社長に就した。彼は文芸畑の常務・宮沢と対立関係にある。速水は東松派、「雑誌トリニティを廃刊にする!」と打診された速水は「まだやれる」と啖呵をきったので、文芸誌月刊“薫風”を季刊誌とした。高野は文芸誌編集長・江波百合子から管理部所属に回された。

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東松は社の将来のためにと「KIBA」計画を考えていた。この計画は製本と物流の拠点を作って、従来の取次所を経由しないで、直接薫風社の書籍を読者に届けようというもの。すでに先代社長夫人の了承を得ていた。

ここから速水のトリニティ継続のための戦いが始まる。速水は高野をトリニティ部にスカウトした。

先ずは今薫風社がもっている資源の活用と、かって“薫風”誌で活躍したミステリー作家の二階堂を獲得することだった。ワイン好きの二階堂をレストランに招待し、あとで社長がくると嘘ついて、高野に相手させた。二階堂が酔っぱらった高野にあわやというところに速水が現れ、二階堂の弱みを握って、漫画の原作者としてトリニティ誌に登場させた。ワインかぶれの二階堂役・國村さんのぶっ飛んだ演技が楽しい。(笑)松岡さんのほんのり酔っ払いがまたよかった(笑)。

速水は、酔払った高野をタクシーで家に送るとき、高野のバッグから新人賞応募原稿「バイバイすると死ぬ」に目を付けた。

高野は絶版となっている神座詠一の原稿(誰の手も入れさせなかった)が社庫にあると知って、これを取り出し筆を入れてみた。神座が小説を辞めたのはセスナの操縦に興味を持ったためと知り、彼が使っていた飛行場を突き止め、会いに行ったが逃げられた。この設定は無理がありる!(笑)この話を速水にすると「俺も読んだ!」と言った。

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ある日突然に速水が「八代聖さんだ!」と社に連れて来て皆に紹介した。高野は大感激したが、速水は高野に話をさせてくれない。新人作家だから誰も知らない、文芸部は「本人なのか?」と驚いた。「なぜ新人賞に選ばなかった!」と江波が宮沢常務から責められた。宮沢常務と江波編集長が文芸部に引きたがった(大きな嘘の布石

次に目をつけたのがカリスマモデルの城島咲池田エライザ)だった。彼女の裏趣味は3Dプリンターによる拳銃作り。これに目をにつけて近づき、あたらしい彼女の魅力だとシークレットサービス」スタイルでトリニティの表紙を飾った。二階堂のおかしなファッションとイケメンの八代でトリニティの表紙を盛り上げて、トリニティの売り上げが伸びてきた。

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さらに仕掛けたのが八代と城島咲の恋愛スクープだった。これでトリニティの売り上げがまた伸びる。さらにさらに仕掛けたのが、ストーカー男が城島のマンションで襲ったことだった!銃が壊れて咲が受傷、男に怪我はなかったが大ニュースになった!この男が「なんでここまでやらされる!」と白状し、これは嘘と分かった。(笑)

このスキャンダルをどう処理するか?これは話題のテーマですね!😊

速水は「表現者と小説は関係ない。文学の世界は常識の枠には収まらない。美しさの中の美しいものが消えてしまう」「スキャンダルネタで咲本人に小説を書かせる方が損害より大きな利益が出る」と東松に教えた。藤松は速水のいう通り喋り、宮沢常務を抑え込み重役会議を凌いだ。雑誌の売行きは、ツイッターで話題になり、大成功だった。これで宮沢がピンチに立たされた。

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「バイバイすると死ぬ」の発表会衣装のことで、八代と速水がもめ喧嘩別れした。これを知った江波編集長が「薫風に掲載する!」と八代をスカウトして「連載広告」として常務の宮沢同席のもとで記者会見を行った。ところが八代は「この作品は自分が書いたものではない。本人は別にいる、芥川賞を取らせてやるというからその言葉に乗った。申し訳ありません」と告白して、会場は大混乱となった。

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会見室を出た八代を速水がエスコートして別室に案内した。それを高野が追った。その部屋にはリリー・フランキーが居て「私が神座だ!あの原稿は俺が描いた。若いやつが書いたというから悔しくて出てきた。結局、“この人”の仕掛けにハマった」と喋った。

高野は「そんなに面白いんですか!人を騙して!」と速水に抗議した。「めちゃくちゃ面白いです!」と速水は平然と言ってのけた。

この一件で宮沢は常務を降りた。東松が全て自分の一存で進むと「KIBA」プロゼクトを重役会議に出すと、そこに留学中の伊庭惟重が現れ「KIBAは中止、アマゾンと仮契約を結んできた。速水さんとは旧知の仲だった!」と発言した。

高野は神座に編集者としての能力を買われ、「本屋でしか買えない本を出版する」と会社を立ち上げ、初版本を3万5000円で売り出した。

速水は獄中の城島咲を訪ね「君の書きたいものを書かないか、書くしかない。映像化も目標に世界に発信する。城島咲のように跳んでる人はいない!たぶんめちゃめちゃ面白い!」と誘っていた。(笑)

感想:

「改革には正面から押してもダメ、裏の裏から攻め落とせ」と人たらしで柔らかく迫れと教えてくれています。(笑)主演が大泉さんでなればならない理由がわかりました。😊

この人はどんなに嘘をついても憎めない人だということがわかりました。(笑)懐が深すぎる、これでしょうね!どうしたらこうなれるんでしょうか?しかしその心には「楽しみながら苦を選ぶ」という考え方。大きな改革はこれがないと出来ない。

最初に二階堂や城島咲の攻略への嘘は見抜けましたが、後段の八代を使っての宮沢常務攻略、さらに本命東松社長攻略なんぞ絶対に分からない。「嘘は構想が小さいものはバレルが、大きくなればなるほど分からない」、名言です。😊

速水のように人懐っこさで騙してその裏に牙を持っている。高野恵のように騙され強くなっていった。(笑) コミカルな作品ですが、誰もが経験する、世の中は恐ろしい!と思わせてくれた作品でした。(笑)

 

背景が厳しい状況の出版業界を舞台にして生き残りを駆けた闘いのなかで勝ち抜くための戦略を描いているのも面白い。社会派ドラマとなっていました、これが最後まで興味を繋いでくれました。生き残りには「時間は想像より早く流れる。だから最も難しいアイデアを選んで実行する以外ない」「無理だから面白い!」という速水のセリフ。高野は「小さな会社だから守らずに責めるだけ!」と。

 

表現者と小説は関係ない。文学の世界は常識の枠には収まらない。美しさの中の美しいものが消えてしまう」、このセリフは、出演者が事件を起こすと、彼の出演作品が観れなくなるという我が国の社会風潮(芸能界の事件)に対する批判、当然だと思いますね!

脚本が巧妙で、皆さんの演技が上手くて騙されますね!面白い作品でした。

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