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宮﨑あおいさんを応援します

「かがみの孤城」(2022)メッセージ性が高い、これぞアニメの使命と言える作品!

 

宮崎あおいさんが声優として、原恵一監督に請われて出演。何処を請われたかと観ることにしました。(笑)

劇場が中高生の方で溢れていた。こんなの久しぶりです。やはり人気の原作だからでしょうか。原作を読んでいないと1回で全部理解することは厳しいと思いました!3回観る予定です。(笑)

原作:直木賞作家・辻村深月の同名ベストセラー小説。未読です。監督:河童のクゥと夏休み」「カラフル」の原恵一脚本:百日紅 Miss HOKUSAI」などで原監督と組んだ丸尾みほアニメーション制作:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のA-1 Pictures編集:西山茂、音楽:富貴晴美主題歌:優里。

声優:當真あみ(こころ)、北村匠海(リオン)、吉柳咲良(アキ)、板垣李光人(スバル)、横溝菜帆(フウカ)、高山みなみ(マサムネ)、梶裕貴(ウレシノ)、芦田愛菜(オオカミさま)、宮崎あおい(喜多嶋先生)、麻生久美子(こころの母)、他。


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あらすじ&感想(ねたばれ:注意)

こころは中学生1年生。入学早々にあることで不登校になり、喜多嶋先生のいるフリースクール“心の部屋”に顔を出したが行けず、大半を部屋に閉じこもる日々を送っていた。

2005年5月のある日、部屋の鏡が突如として光を放ち始めた。鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこにはおとぎ話に出てくる城のような建物(孤城)と、6人の見知らぬ中学生がいた

そこへ狼のお面をかぶった少女「オオカミさま」が姿を現し、ここにいる7人は選ばれた存在だと言い、「城のどこかに秘密の鍵が1つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえる」と話す。ただしそれには守るべきルールがあった。「09~17時までならいつ来てもいいが、この時間が守れない場合は連帯責任を取ってもらう」というもの。

この日、孤城の中を見学して、大きな暖炉の間でソファーに座って自己紹介した。3年生のアキが大人びた物の言い方をする。退去時間の11分前にそれぞれの名が書いてある鏡をくぐって家に戻った。

6しばらく顔を出さなかった孤城に出向くと、6人はよく来ているという。「よくきたね」とウレシノがケーキを分けてくれ和気あいあいとした感じだった。自分の部屋や屋上から美しい海が見え、気持ちがよく「学校のことなど聞かれないからいい、ここがいい」と思うようになった。

マサムラはゲームに熱中し、スバルはひとりで将棋盤に向かっていた。

7月「彼氏いるの?」という話が出るようになった。ウレシノがケーキを配って女性たちの関心を買うのでやり玉に挙がる。(笑)スバルが髪を金色に染めてきて、マサムネにゲームを学びたいと言い出した。

8、「学校に行く?」が話題になってきた。アキとウレシノは学校に行くと言い、リオンはハワイの学校に戻ると言う。リオンがサッカーを学ぶためにハワイに留学していたのだった。「何故、ここに来たのか?」とこころは疑問を持った。

こころが自宅にいると、喜多嶋先生が訪問してくれた。「こころは自分都合で学校を休んでいる」と思っている母に先生は「こころちゃんは会話をしたがっている」と説いて帰っていった。

9月になってウレシノが顔に傷をつけて戻ってきた。いじめに会っていた。なぜ虐められるのか?そこにアキが「彼氏はできた」と嬉しそうにやってきた。アキは何故ここにきているのかとこころは疑問に思った。

喜多嶋先生が訪ねてきて母に「こころちゃんは毎日戦っていますよ」と言い、こころには「勇気が必要」と言って帰って行った。

10マサムネとアキが急に鍵を探すようになった。皆で手分けして探すが、スバルの提案で「このままで居たい」と、3月までは使わないことにした。厨房から探し始めた。ウレシノがフウカに「フリースクールにいい人がいる」と教えていた。フウカは何故ここにきているのかと思った。

皆で鍵を探しているところにオオカミさまが現れ「みんなで協力するのはいいことだが、鍵を見つけ願いが叶うとここでの記憶は全部消える。3月31日まで叶えられなかった場合はそのまま記憶は消えない、どちらがいいかお前ら次第だ!」と言って、消えた。

アキは「記憶などなくてよい」という。こころは「困る!」とここに来た理由、「クラスの真田からいじめを受け、それがクラス全体に広がった。願いは真田をいなくするこど」と話した。

こころは孤城にきて、こんな勇気のある発言ができるようになっていた

 11、ずっと鍵探しをしていたが見つからない。そんな中で、アキが雪科五中の制服で髪を赤く染めて現れ、「みんな同じ学校の子よね!何故学校と話をしないの?」と喚いた。オオカミさまが「鍵を探して願えば与えられる」と応えた。

こころは母に「話したかったけど話せなかった」といじめを受けていることを話した。

12月、クラス担任の伊田先生がこころの家にやってきて、「真田に会ってみないか」とこころに勧めた。これに母が「先生はみんなによく言われたいだけ!喜多嶋先生か校長先生と一緒に来て」と断った。

クリスマスの日マサムネがみんなに「喜多嶋といういい先生がいるから一度学校に来てくれ!」とお願いをした。マサムネの悩みはなんなのか?

 2006年、1月。決められた日にこころは制服で久しぶりに学校に行った。だれも話かけてこない。靴箱に萌ちゃんから「ごめん!話がしたい!」という手紙があった。萌ちゃんは転向生でこころの近所に住み、学校からの連絡事項をポストに入れてくれる子。こころのいじめに加わっていた。

お腹が痛くなり保健室に駆け込んだ。保険の先生に孤城のメンバーの名前を聞くと「知らない!」という。そこに喜多嶋先生がやってきたので、こころは気を失った。

このあたりから、ファンタジーでとてもミステリアスになってくる。

孤城に戻って「誰も来ていなかった!嘘ではないの」とリオンに話した。リオンは「みんな悩んでいるから来ている。俺は亡くなった姉ちゃんを返してくれだ」とここに来る理由を話した。こころは「自分の悩みは小さい」と思った。

リオンは「オオカミさまはフェイクだ。俺たちを赤ずきんちゃんと呼ぶだろう?」とオオカミさまは何者かと疑っていた。同じようにアキも「誰も来なかった!」という。

マサムラは「パラレルワールドの世界にいるからだ。大きな木の枝にそれぞれいるんだ。俺が作ったゲートワールドも同じだ」と言い張った。スバルが「ゲームワールドは孤城に6個ある」とマサムラの嘘を暴いた。オオカミさまが「間違っている!教えた通りにやりなさい!鍵を探して願いをかなえること」と言い切った。

こころに東条から「謝りたい」と手紙がきた

3月、アキとマサムラは鍵が見つからないと焦りだした。スバルがマサムネに定時制工業高校への転向を勧めていた。マサムネもこれを受け入れていた。ウレシノは「海外に行く」、アキは留年、フウカはピアノを続けると考え始めていた。

こころと母は喜多嶋先生を訪ねて、これからのことを相談した。先生は「転向を考えてもいいが、こころちゃん第一で考えて」とコメントした。母は「いろいろ考えられるが、中学なんか行かなくてもよい」と言うと先生が「ここの教室ではどう、ひとりにならない」と応じた。

こころは「もう願いが叶っても敵わなくてもどちらでもいい」と思うようになった。そして、萌ちゃんに会った。萌ちゃんは「真田は恋愛とか目の前のことしか考えられないやつ。ビッグな将来はない!転向したらいじめは断る。助けたいという」と話した。部屋に「オオカミと七匹の羊」の絵があった。

こころが孤城にやってくると鏡が壊れていた。仲間たちが「アキがルールを破った、17時を過ぎても部屋から帰ってこない!願いの鍵を見つけろ!」と叫ぶ。

狼の叫びが聞こえる。こころは仲間が残した✕印に触ると一斉に光を発してこころを案内する。光の階段を登ると大きな時計の歯車のある部屋に着いた。まさにアニメ「雪の女王」(2012)ですね!(笑)そこに鍵があった。この部屋でこころは仲間が何故ここに来たのかを知った。アキが男性に追われ逃げてここに。リオンは亡くなった姉を取り返しに、ウレシノは虐められて、フウカはピアノが上手く引けないでバカにされて、・・・。

鍵で“願いの部屋”を開けた。こころは「アキのルール違反を許してください」と願い事をして「未来がある」と逃げるアキを追いかけた。アキの手を捕まえ、仲間の力を借りて、こちら側に連れ戻した。

仲間が玄関ホールに集まるとそこに仲間の生年月日が記載された名簿帳があった。年齢が7歳の差で生年月日順に古い者から並べられていた。スバル(長久昴)1985年生まれ。アキ(井上晶子)1992年。こころとリオン(守永守)2006年という具合だった。

こころの前の人はアキで14歳の差がある。7歳の差がある人は誰か?この謎をリオンが童話「狼と七匹の子山羊」から解き明かした。オオカミさまだった。アキはこころに助けられたことを感謝し14年後に大人になって会いたいと別れた。

こころは孤城から戻って、フリースクールに顔を出した。こころは先生にどこかで会ったように思った。先生が「本名は晶子、結婚して喜多嶋になったの」と言い、「もう大丈夫、大丈夫」と励ましてくれた。

2006年4月7日登校するこころに「お~い」と声を掛けてくる男子がいた。名前は守永守だった。

感想:

現在社会へのメッセージ性の高い、これぞアニメの使命と言える作品でした!

 それぞれ事情を抱えた7人がなぜ集まったか、かがみの城で誰が願いをかなえるのかとファンタジーでミステリアスな物語。中学生という思春期特有の人間関係を、7人のキャラクター分描くという脚本、よくぞこんな複雑な物語を2時間でまとめたなと感心しました。1回の鑑賞では押さえきれませんでした。(笑)

本作のテーマ、主人公こころを焦点にした“いじめ問題”。本人、本人の母親、虐めた相手、フリースクールの先生、中学の担任と多彩な視点からとらえた結末がすばらしい。

「中学校で何を学ぶべきか」を考えさせてくれました。「中学はいらない」という母親に「ここにくればひとりでない」というフリースクールの喜多嶋先生。どうやらこれが正解らしい。

こころが周りの人と交わることで「何でこんな小さなことで悩む」と理解できたこと、虐めた萌ちゃんの「恋愛しか考えられないバカには未来がない!救う側につく」という勇気。フリースクールの喜多嶋先生の「人生なんて、大丈夫!大丈夫」アキの過去と今を見せる演出。悩んだゆえに人の悩みが理解できる、いじめ問題をこんなに濃密に見せるドラマがめちゃめちゃ面白かった。

原作をアニメとしたことでの面白さ。特にアキが願いの部屋に閉じこもってからの怒涛の展開と絵力。「ここに彼らは何故やってきたか」という伏線が全て回収されますが、ちょっと飲み込めないところがありました。

ところが粋な計らいがしてあった。

 入場時渡されるポストカートの封筒。「観終わって見て!」と注意書きがありましたが、開けてみるとキャタクターのそれぞれの未来がイラストで描かれていた。これにはびっくりでした。

声のキャストさんたち絵と声優さんの実像が一致しているようですばらしかった!“こころ”の當真あみさん、どんどん成長していくのが分かるようでした。

アキと喜多嶋先生が同じ人物でありながら、これを吉柳咲良さんと宮崎あおいさんで演じたところが、ラストのサプライズに繋がり、作品を面白くしていました。古柳さんのアキを引き継げる演技力のある声優さん、これが宮崎さんでした!

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