映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)時代を取り込んだリアルなオカルト・ホラーだった!

 

オカルトホラーの先駆的作品。WOWOWで初鑑賞

ロマン・ポランスキー監督を世に送り出し、オカルト・ホラーの元祖と言われる作品これがカルト・ホラーと知って驚きました。怖くない!世の中はホラー化していると思いました!(笑)

監督・脚本:ロマン・ポランスキー原作:アイラ・レビン、撮影:ウィリアム・A・フレイカー美術:リチャード・シルバート、音楽:クシシュトフ・コメダ

出演者ミア・ファロー、ジョン・カサベテス、ルース・ゴードン、シドニー・ブラックマー、モーリス・エバンス、ラルフ・ベラミー、他。

あらすじ:

売れない俳優ガイ(ジョン・カサベテス)と妻ローズマリーミア・ファロー)は、マンハッタンの古いアパートに引っ越してくる。そのアパートは以前から不吉な噂がささやかれていたが、若い2人は気に留めることもない。ある日、隣人のカスタベット老夫婦の養女が不可解な飛び降り自殺を遂げる。その後、カスタベット夫婦はローズマリーに、養女テレサが生前に身に着けていたタニス草という薬草入りのペンダントネックレスを贈る。

以下ねたばれあり

ローズマリーとガイはミニー・カスタベット(ルース・ゴードン)からディナーに誘われた

ローズマリーは嫌々ながらワインやパフェを口にし、酔っぱらって自室に戻ってベッドに倒れ込み、そこで幻覚?を見た。天地創造図の男たちが絡みつく。目覚め皮膚に描き傷があった。

ローズマリーは妊娠したことを医者から知らされ、ガイも喜んだ。カスタベット夫婦には知らせたくなかったが、ガイがこれを知らせた。以来ミニーは煎じた薬やケーキを持ってくる。嫌な臭いがする。しかし断れない。

掛かりつけのヒル医師から、ミニーの勧める産婦人科医・サパスティン医師(ラルフ・ベラミー)に変わった。ローズマリーは医者から与えられる薬とミニーから渡される飲み物を食べ腹痛で、食べ物を隠して飲んだ振りで過ごしようになり、痩せ細っていった。

そこに訪ねてきた童話作家エドワード・ハッチ(モーリス・エヴァンス)。ローズマリーの姿に驚き「悪魔に憑りつかれている」と教えたいが、そこに現れたローマン・カスタベット(シドニー・ブラックマー)に妨害され早々と帰ってしまう。その後、作家は急病で入院、ローズマリーに悪魔教の書を届け、亡くなってしまう。

友人たちを部屋に招いて意見を聞き、カスタベット夫婦から離れようとするがガイの協力が得られず離れられない。

出産間際になってローズマリーは出産しても赤ちゃんを盗まれるとかかり医者にすがるが、著名な医者であるために受け入れられない。

 パスティン医師のもとで麻酔を掛けられ出産したローズマリーが目覚めたときガイから死産だと知らされる。

しかし、隣の部屋から子供の声が聞こえてくる。彼女は隣の部屋の声が聞こえないようにしていた衣類を取り外し、隣にあかちゃんがいることを確信した。

彼女は包丁を持って撮り返しに隣室に入り込むと。そこはオカルト教団の集会所だった。彼女はあかちゃんを見た!異形の子だった。一度は受け入れるのを拒否したが、我が子への愛情が出てくる。・・・・

感想

ローズマリーが妊娠して無事子供を生めるかと精神的に悩む追い詰められる姿を描く。妄想なのか現実か?

 ベトナム戦争の混迷による“ドラッグ”と“オカルト教団”の登場は当時の社会現象だった。ローズマリーとガイが住むアパートはビートルズジョン・レノンとオノヨーコが住んでいたニューヨークのアパートで、この前でジョン・レノンが暗殺されたという。これを強調するように空撮のアパートシーンから物語が始まる。

ポランスキー監督はハリウッドデビュー作であり、悩めるアメリカの社会現象を取り込みたかったのでは。それだけにとてもリアルなホラーに仕上がっている。

恐ろしいのは「受胎した?」幻覚の描き方だった。ぞっとする秀逸な映像だった。最も恐ろしいのはラストシーン。自分が産んだ子は異形(悪魔の子)だが可愛いとオカルトへと落ちていくシーン。

 ローズマリーは悪魔が産み落とした我が子を盗んだと包丁を持ってオカルト教徒の集まる隣の部屋に押し入り、そこで見た我が子は異形であったが、次第に愛情が出てくる。彼女がオカルト集団に取り込まれてしまう結末が一番怖かった

 引っ越し時、赤ちゃんが亡くなったことと先に住んでいた人が隣の部屋との境を箪笥で塞いでいたわけが分かり、妙に腑に落ちる作品だった。(伏線がみごとに繋がっていた)

 妊娠が判明してからのローズマリーの精神状態がおしくなるミア・ファローの演技は見事でした!

映画になってから音楽を担当したクシシュトフ・コメダの変死、そしてポランスキーの妻ケートが亡くなる(シャロン・テート事件)。この作品がいかに社会に与えた影響が大きかったが分かるかというものでした。

              ****