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「LAMB ラム」(2021)羊から産まれたタブー?とんでもない意義深い物語だった!

 

A24作品で第74回カンヌ国際映画祭(2021) ある視点部門受賞作。公開時話題になったことを覚えており、WOWOWで放送されるのを待っていました。やっと観ることができました。

アイスランドの田舎で暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かを育て、やがて破滅へと導かれていく様を描いたスリラー。

“一体何が視点なのか”。恐らく理解できないが、その描写、映画の作り方をみて見たい。(笑)「TITANチタン」(2021)を観たときもこんな感じで大丈夫だったからと軽い気持ちで臨みました。(笑)

アイスランドスウェーデンポーランド合作監督:ヴァルディミール・ヨハンソン、長編デビュー作とのこと。脚本:ヴァルディミール・ヨハンソン、撮影:イーライ・アレンソン、編集:アグニェシュカ・グリンスカ、音楽:ソーラリン・グドナソン。

出演者:ノオミ・ラパス、ヒナミル・スナイル・グブズナソン、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン、他。

物語は

山間に住む羊飼いの夫婦イングヴァル(ヒナミル・スナイル・グブズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)が羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。子どもを亡くしていた2人は、その「何か」に「アダ」と名付け育てることにする。アダとの生活は幸せな時間だったが、やがてアダは2人を破滅へと導いていく。(映画COM)

 

あらすじ&感想

冒頭、アイスランドの白夜。猛風吹の中、羊たちが馬に誘導され小屋に誘導される。小屋に足音が近づき、何があったか1頭の羊が倒れ込む。ここから物語が始まる

ここで描き出されるアイスランドの風物氷河地形で山系が荒々しく尖っている。寒々として、霧が発生しやすい、春はお花畑。白夜が続く。静寂で神秘的、お伽話のようなことが起こっても驚きはない!

アダという幼子を亡くしたイングヴァルとマリア夫婦。まだ悲しみがあるのか会話ほとんどなく、黙々と羊飼いの仕事をこなす。クリスマスの夜、ふたりは産気づいた羊から赤ちゃんを引き出す。下半身を毛布でくるみ見せないが、この子を寝室に運び、夫婦のベットと隣にアダのベットをおき、名をアダとつけて育て始める。

アダの母羊がしつこくアダの部屋に近づいて哭く。イングヴァルとマリアが作業で不在時、母羊がアダを連れ出す。ふたりは必死にアダを探した。

マリアがアダを捜し出し抱っこしたときに毛布で隠していたアダのお尻が現れ、下半身が人間だと分かった。ここで初めてアダは羊ではない何か=羊の頭と人間の下半身をもつ子だと分かった。この時は驚いた!

この罪は夫のイングヴァルにあると思った。(笑)この結末はどうなるかとハラハラドキドキで見た。(笑)

マリアは夜密かに銃を持ち出しアダの母羊を銃殺した

その時、兄のイングヴァルを頼って訪ねてきた弟のペートゥル(ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン)が密かに射殺現場を見ていた。

ベートゥルはマリアがアダを風呂に入れる光景をみた。食事時、服を着た羊頭のアダを見た時、「これは子供ではなく羊だぞ」とイングヴァルに忠告した。イングヴァルは「これが幸せの元だ、何も言うな!」と釘を刺した。

ベートゥルはアダを殺そうと銃を向けたが殺せなかった。これ以降、兄と同じようにアダと接するようになっていった。ベートゥルがアダをと釣りに出かけると、イングヴァルとマリアは今まで途絶えていたセックスをするようになった。

イングヴァル、マリア、ベートゥルは意気投合、酒を呑んでダンスをする。これにはアダも加わって、大騒ぎだった。アダのダンスに笑った。ユーモアが加えられいるのがとてもよかった!

アダはダンスを抜け出し外に出たところで羊に出会った。アダは鏡で自分が何者であるかを知った

イングヴァルが酔っぱらった隙に、ベートゥルがマリアとキスし身体を求めたが、マリアはうまく交わして彼を部屋に閉じこめ、ピアノを弾きなが考え、彼を家から出すことにした。イングヴァルは羊たちが目を光らせる夢を見ていた

翌朝、マリアはベートゥルをバスストップまで送り、金を持たせて乗車させた

 イングヴァルはベートゥルから言われていたトラクターの修理にアダを連れて出発したアダには何があっても家に戻れるよう地形を教えていた。途中でトラクターが故障したため、徒歩で「釣りに行こうか」と話しているころをアダの

親父が現れ、銃殺された。

このラストシーンアダの親父(羊の頭と人間の下半身をもつ男)が現れイングヴァルを銃殺するが、冒頭の足音はイングヴァルだと推理していたから彼が罰せられて当然だと思った。テーマは因果報酬、いや性のタブーだと思った。しかし、アダの親父が現れたことに驚いた。神だと思ったが説明がつかない

さらにベートゥルを送り出したマリアが駆け付け、夫の死に嗚咽し、天を仰ぎ「大丈夫だ、何とかなる!」と嘯く。このマリアの行動が説明できない!

幾つかのレヴューを読み、よく理解できなかったが、イングヴァルには罪はなくマリアがアダの母羊を殺した罪を夫イングヴァルに課した物語と知った。テーマは「罪と罰」だという。私の推測は間違いらしい。(笑)

“人間とはなにものか“をアイルランドという原始に近い環境でリアリティを持たせ、登 場人物が3人というシンプルな設定で描いてみせる監督の力量に感服しました。

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