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「オオカミ狩り」(2022)見せ場のあるスプラッター映像だが、テーマをわかり易くリアリティが欲しい!

 

2022年度韓国作品「凶悪犯たちを乗せた船で生き残りをかけて繰り広げられる戦いの行方を、容赦ない暴力描写で描いた韓国製サバイバルアクション」ということで、前情報なしに韓国映画が好きだとWOWOWで観ました。今作はちょっと様子が違った。(笑)

監督・脚本:キム・ホンソン2017年に韓国人犯罪者47人がフィリピンから集団送還されたニュースに着想を得て手がけたと言い、この事実にリアリティを求めた作品。

出演者;ソ・イングク、チャン・ドンユン、ソン・ドンイル、パク・ホサン、チョン・ソミン、コ・チャンソク、チャン・ヨンナム、チェ・グィファ、他。

物語は

2022年。フィリピンで逮捕された犯罪者たちを乗せた貨物船が釜山港へ向けて出航した。船内には凶悪犯罪担当のベテラン刑事約20人を配置、釜山では海上交通管制センターで海洋監視システムを設置するという万全な体制の中、プロジェクト名「オオカミ狩り」と呼ばれる韓比共同護送計画が展開される。しかしその夜、密かに脱走を企んでいた凶悪犯ジョンドゥ(ソ・イングク)が、刑事として紛れ込んだ仲間とともに反乱を起こし、船内は武器を手にした犯罪者たちで溢れかえる事態に。さらに眠っていた「怪人」が目を覚まし、想像を絶する戦いが幕を開ける。(映画COM)


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あらすじ&感想

2022年9月12日、2日間の予定でフィリピンの韓国人凶悪犯を貨物船フロンティア・タイタン号で本国に帰還させる作戦が始まった

20人の韓国刑事が護送を担当班長はイ・ソグ(パク・ホサン)、女性刑事のイ・ダヨン(チョン・ソミン)が補佐する。

護送される囚人たち

若いイケメンのイ・ドイル(チャン・ドンユン)、インターポール手配者。全身イレズミのパク・ジョンドウ(ソ・イングク)、13人の殺人。ユ・ゴンベ(コ・チャンソク)、殺人。チエ・ミョンジュ(チャン・ヨンナム)、夫、義父殺人。などの凶悪犯。罪人たちとは別に医者と看護師が乗り込む

韓国釜山の海上交通管理センターでは、突然海岸特殊救助団のリーダー・オ・デウン(ソン・ドンイル)が乗り込み、極秘文書「狼狩り韓比共同護送計画」によりセンター業務を引き継ぐ。しかし、センターには知らされていなかったようだ。

乗船にあたりジョンドウの大柄な態度にソグが激しく殴る。これにはお互いの計算があった。ジョンドウには刑事の目を惹きつける。ソグには囚人への見せしめだった。

両脚、両手を鎖で繋がれた犯人たちは数名ずつ同室に押し込め、刑事が廊下で監視。女性犯はダヨンが監視する。

医者と看護師は別室。医者はエレベーターで船底の部屋に。そこには監視員と生命維持装置に繋がれた遺体のような男“怪人”が寝かされていた。医者は指示通り、イオン・ジェネィクス剤を打った。

夕食時、刑事が囚人に“膝たてろ!”と怒鳴り、膝を発たせそこに配食プレートを乗せる。ジョンドウは刑事の目を盗んで口から血を吐く。その中にピンが入っていた。これで鎖を解く。次の囚人にピンを渡す。

船員として乗り込んだジョンドウの潜入員2名の行動で暴動が始まった。

潜入員は船員を刺殺し隠していた武器を取り出し操舵室を襲撃、無線アンテナ、船内配線を切断。そのままジョンドウらの収容階層に急ぎ囚人たちを開放していく。

一方、ジョンドウは監視刑事を殴り殺す。潜入員と合体し、刑事をめった殺し、小便を掛ける!

ドイルに「ナイフ使いのドイル、10年ぶりにあったが若いな!」と挨拶。が、ドイルは刑事との格闘に加わらないで「韓国に行け!苦労しろ!」とジョンドウに声を掛けた。

刑事たちが流した血液が怪人の顔に降りかかり、これで怪人が目覚めた

ジョンドウらは、通信器をもとめて機関室に侵入し機関士らを惨殺する。見かねてドイルが止めにかかる。班長のソグ、ダヨンがやってきた。ソグとジョンドウの対決。そこに怪人が現れた

怪人は一発の殴りで囚人の体が吹っ飛ぶ。首をちぎる!刑事に襲い掛かる。ジョンドウが重機で射撃しても効果がない。怪人はジョンドウを捕まえ、槌で頭を砕いて殺害した。

怪人がソグに襲い掛かる。ダヨンが拳銃で射撃、ひるんだところでソグ、ダヨン、ドイルが脱出し様子を見ることにした。

釜山の海上交通管理センター

台湾沖のフロンティア・タイタン号を捕らえた。その内部映像で血痕が飛び散った痕跡を発見。リーダーのデウンが「警察はなにしてる!」と嘆いているところにピヨ理事からスマホで「米軍基地のヘリで怪人(アルファ)を連れて来い!」と指示された。デウンはピヨ理事の胸に日本軍の人体実験番号の印があることを思い出し、「ふざけるな!」とスマホを投げた。

アルファが医師の部屋を襲った。

厚い窓をぶち破って看護師を連れ出し首を折り殺害した。ソダが逃げ出した医師に出会いアルファのことを聞いた。「打った注射はイオン・ジェネィクス液で10年若返る」と話した。ソダが船底のアルファがいた部屋へ走った。

ソダはそこでアルファの人体実験記録を見た。「日本軍によって人間兵器ケモノプロゼクトの実験体となり、初めての完成体(アルファ)に近い出来であったこと。人の体温と加虐的行動のみに反応する。狼の遺伝形質をもつ心的外傷後ス炉レス障害を持つ。人の5倍の力があり、老化しない」とあった。

アルファが囚人ミョンジュの部屋を襲った。

ミョンジュは逃げたが、同室にいた女性囚人は顔を踏みつけられナイフで首を落とされ、脚を切断された。

ミョンジュはゴンベと一緒にエレベーターで逃げた。アルファがエレベーターの上に飛び乗り、エレベーターは船底まで落下。ゴンベは死亡した。そこにいたソグがミョンジュをエレベーターから出し、厨房の冷蔵庫に隠した。冷蔵庫の中は死体で一杯だった。ミョンジュはその中に入り死んだふりしてアルファの攻撃を避けた。(笑)アルファがソグを襲った。ソグは「亡くなった部下のためだ!」とアルファの腕を噛み切って亡くなった。(笑)

上空にヘリの音。「救助隊が来た!」とダヨン、ミョンジュ、医師が上甲板めがけて走った。これをドイルが追った。

デウンのアルファ捕獲チームがフロンティア・タイタン号に着艦

バケモノがいると報告に駆け寄るミョンジュが撃たれた。「警官の役立たず!」とダヨンが射殺された。これを見てドイルが暴れ出す。デウンはドイルの胸を見た。そこには人体実験番号があった。デウンは「お前が比軍の幹部を襲撃し捕まり、この船で韓国に渡り俺たちを殺すということか。だからピヨ理事は俺を送ったのか」と聞く。しかし、ドイルは意味が分からなかった。デウンは暴力団のお前を人体実験した後、多くの遺体と一緒に豚の餌として捨てられたが生き返って逃げた。お前が妻子といるころを発見、妻子を殺したがお前は逃げ出した」と言う。

デウンは釜山で見た極秘文書「狼狩り韓比共同護送計画」の中の実験体に供せられた男たちの写真を見た。そこにピロ理事がいた。

そこに現れたアルファとデウンの格闘が始まった。デウンはアルファより数段強かった。彼の腕を切り落とし、持ち帰ることにした。その時ドイルがデウンに挑みかかった。デウンは腹に傷を負い海に逃げた。ドイルが追った。

 ドイルは美しい島に辿り着いた。この島で、ピヨ理事が実験体を管理する洞窟に外人を案内し、自分の独房を覗いたことを思い出していた。

まとめ:

韓国映画なら飛びついて観る派。残虐なスプラッシュ、めちゃくちゃな銃撃戦。気分が悪くなった。(笑)この作品の面白さの決め手は誰も知らない、警察でさえも知らない、旧日本軍が人体改造計画でオオカミ人間製作に成功していたことだ。(この設定は事実でないがエンタメ作品として目をつぶる)

一体何を見せようとしたのか。

前段の罪人と警察、これに突然現れたオオカミ人間(アルファ)が加わったスプラッター・ホラー。殺害シーンは韓国映画らしく、テンポがよくて、切れのある映像で痛さや恐怖を感じる映像を見せてくれる。しかしタイトルの意味は後段にある!オオカミ人間の恐ろしさを強調するため前段に重きを置きすぎたと思う。

後段で、アルファ、ドイルの素性、アルファーを追うリーダーのデウンとその上司のピヨ理事の関係が明かされ、ドイル、アルファ、デウンの三者が偶然フロンティア・タイタン号で出会い戦う。これが作品のテーマで見せどころだ。しかし戦うシーンがあっけない!

ラストシーン、ドイルが美しい海辺を彷徨し、いずこにかに消え去るが、映画を観たという満足感がない。この意味が分かりづらく、奇想天外でリアリティが感じられない。

オオカミ人間のチェ・グィファのメイクにはびっくり、実験体前写真がなかったら分からなかった。(笑)それに女性刑事のチョン・ソミンさんが美しかった。いつも韓国映画を期待してみるが、今回はすこし違った。

リアリティを持たせてわかり易く、“テーマは反戦”として浮かび上がるように描くとよいと思った。

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