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「クワイエット・プレイス DAY 1」(2023)音を立てたら即死のNY、死ぬ命を生かす美しい物語だった!

 

音に反応して人間を襲う“何か”によって人類滅亡の危機に瀕した世界を描くシリーズ3作目。1作目の前日譚、1、2作を観ていない。が、主の演ルピタ・ニョンゴに惹かれる

 余命わずかな女性(ルピタ・ニョンゴ)が若き男性と逃亡する設定に、ここにはテーマ性があると感じ、観ることにした。

監督:マイケル・サルノスキ、原案:ジョン・クラシンスキー マイケル・サルノスキ、脚本:マイケル・サルノスキ。

出演者:ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ、ジャイモン・フンスー、他。

物語は

飼い猫のフロドとともにニューヨークに暮らすサミラ。大都会ゆえに不寛容な人もいるが、そんな街での日々も、愛する猫がいれば乗り切ることができる。

そんなある日、突如として空から多数の隕石が降り注ぎ、周囲は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれる。そして隕石とともに襲来した凶暴な“何か”が人々を無差別に襲い始める。何の前触れもなく日常は破壊され、瓦礫の山となった街の中を逃げ惑うサミラは、路地裏に身を隠して息をひそめ、同じように逃げてきたエリックという男性とともにニューヨークからの脱出を計画するが……。(映画COMより)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、マンハッタンの遠景から始まる。パトカーのサイレンが鳴り続ける騒音の街。90デシベルで悲鳴に近い騒音だという。この騒音だらけのNYを沈黙させる最凶スリラー、これが本作のテーマだ。

サミラ(ルピタ・ニョンゴ)は末期がんを患い手ばなせない猫フロドとともに、セラピー施設で過ごしていた。グループセラピーで療養士のルーペン(アレックス・ウルフ)の指名で「ここはクソ!クソの匂いがする」という詩を披露する。この詩のどこが良いのか分からないが、皆さんが拍手。(笑)グループで人形劇の観劇に行くことになるが、サミラは「ピザ食べられるなら行く」と言い、ルーペンはこれを約束した。サミラには「観劇より父親と食べたピザを食べて人生を終わりたい」という願いがあった。

サミラたちは“マリオネットショー”を観劇。

あや操り人形が風船を膨らませ人形師と一緒に空に舞い上がるが、“バーン”の音で風船が破裂して、ふたりは落下。サミラは「聖母が堕ちた」と嫌な予感がした。

サミラは劇場を出てフロドの餌を買った。街にパトカーのサイレンが鳴り響く。ルーベンが「ピザは別に日だ、異変起きたバスに乗れ!」と急かす。バスの後部ウインドから何かが落下するのを見た。そして何かがバスに当たり大音響を発した。

バスを降りてみた街の光景。ビルは破壊され、あたり一帯は白い灰に覆われた世界だった人にぶつかる、何かに襲われる、人が消えていく、サミラの記憶は消えた!

サミラは劇場で目覚めた

目覚めたとき隣の黒人男性アンリ(ジャイモン・フンスー)に「声を出すな!」と口を塞がれた。

ルーペンが抱いてくれた。上空のヘリ(大音響)からの警告「建物に避難せよ、声を出すな!」を聞いた。バーンの音、フロドが走り出す。サミラが追って割れたガラスを踏む。丸窓に何かが見える、バギバギという音で怪物がうろついている。劇場に入ってきた。声を出さず堪える。ヘリの音で怪物は出て行った。怪物は見えないらしい。人の鼓動、匂いにも反応しない。

しばらくして、ヘリが「マンハッタン橋に近づくな!」と警告した。爆破の大音響。これを聞いた市民が一斉に脱出を始めた。

サミラは外に出て街を見た。ビルは破壊され、そこら中に火災発生。橋は戦闘機で爆破さえていた。アンリが「もう逃げられない!」と騒ぐ男の口を塞ぎ、死に至らしめた。サミラはハーレムを見る最期だと思った。

サミラは劇場に入り、ノートに「ハーレムに行く、ピザをたべに」と書き、ルーペンに見せた。ルーペンは「駄目だ!」と否定した。その時、大音響!発電機が故障。ルーベンが急いで見にゆき、怪獣に襲われ亡くなった。サミラは必死に口を押え堪えた!

サミラはフロドを連れ、劇場を抜け出しハーレムへ急ぐ

雑貨店で懐中電灯、飲み水、バッグと猫の餌を確保し、破壊された白い廃墟の街を歩き始めた。

ヘリから「埠頭からボートによる避難開始する、命令だ!」と放送が流れた。ビルに退避していた人々が道路に現れ、南へと脱出開始。サミラはこれとは逆の方向に向かった。

サミラは怪物と遭遇しながら、なんとかビルの合間に避難場所を見つけた。ところが猫のフロドが居ない。

フロドは水びたしの地下出口で、浮かび上がった男エリックと目を合わせていた

エリックはフロドに導かれるようにサミラのところにやってきた

エリックは英国人で法学の勉学のためNYにやってきていた。サミラは南に逃げるよう促すが、エリックは怖いとサミラに付いてくる。

サミラは一度エリックを連れて自宅アパートに戻った

雷の鳴る夜だった。サミラは雷の鳴る音に合わせ大声で「ガンに冒され、薬なしでは生きていけない。残されている時間に“パッツィ”の店で音楽家の“父のピアノを聞き、ピザを食べた”思い出を実行したい」と話した。これを聞くエリックも生気が出て“生きるぞ”と声を挙げた。

沈黙の恐怖の中で、怪物と対峙できる方法を見つけ“生きるぞ”と声を上げた瞬間だった

翌朝、サミラは「エリックは自分の道を進め」と起こさず、ひとりでハーレムに向った

サミラは破壊した本屋で“バトラーの夜明け”を見つけたところに、エリックが追いかけてやってきた。一緒にハーレムに行くという。本をサミラに渡すとページをめくる音で怪獣が目覚めた。ふたりはガラス張りのビルに逃げ込んだ。大量の怪物が集ってくる。

ふたりは地下鉄の坑内に逃げ込んだ

水嵩がました坑内を逃げた。目の前に怪獣が現れるが襲ってはこない。水の中に潜る。こうして地上に顔を出し、教会に逃げ込んだ。

教会に辿り着いたサミラ。疲労困ぱいの上、薬が切れた

エリックがサミラから薬品店の案内メモを受け取り、猫のフロドと共に薬屋に急いだ。その帰り、怪物に遭遇。彼らがキノコのようなものを食べ始める。大きな口が近づいてくる。エリックは沈着冷静なフロドの態度に励まされ、息を止め立ち去るのを待った。教会に戻ったエリックはサミラの脇腹にファンタニルを張った。サミラは「私は間もなく死ぬ、父の演奏を聞きながらピザを食べたかった」と言う。エリオットはサミラをパッツイの店に案内することにした。

サミラとエリックはパッツイの店にやってきた。店は焼けていた。父親が演奏していたという小さなクラブに急いだ。

誰もいないクラブ。小さな舞台とピアノがあった

サミラはピアノに触ることが出来た。エリックはサミラを舞台に上げトランプマジックを見せて楽しませた。そして別のピザ店に走り、ピザ店の名をパッツイとして持ち帰り、ふたりで食べた。フロドも一緒に食べた。サミラのスマホに店のパソコンから父が弾いた曲“Feeling Good”を録音した。

サミラはクラブの二階からハドソン川を見た。避難船が目に入った

全ての望みが叶ったサミラはエリックを避難させることにした。エリックに自分のカーディガンを着せ、猫のフロドをつれて、ハドソン川に逃げ、避難船に救助してもらうことにした。

サミラはエリックを川に向って走らせ、自分はバールを拾いそこら中に転がる廃車を叩いて大音響を発生し、怪物を引き付けた。エリックは無事川に入り、アリンがいる避難船に辿り着いた。エリックはサミラから贈られたカーディガンの中に「フロドを託す」というメモを見つけた。

サミラは街を歩きながら、「命の輝きをありがとう。静けさの中でこの曲を聞けた」と言いイヤホンをがず下。大音響で曲が流れた!後ろに怪物がいた。

まとめ

宇宙からの飛来によりNYが大破壊され、真っ白な音のない世界での恐怖を体験。突然の音の発生!うろつき廻る、顔面真近で口を開ける怪物。何度も繰り返される恐怖!既視感はあるが、しっかり作られていて楽しめた。しかし、なぜこうなったかの背景描写はほとんどない。

音のない世界での猫フロドの活躍、絶対に泣かないフロドはおもしろいエピソードで、演技も凄った。感想を岩合光昭さんに聞いてみたい!(笑)

この恐怖の中で生きる術を見出した余命わずかなサミラ。彼女の最期に自分を犠牲にしてでも尽くすエリック。災害時、お互いが命を差し出して助け合う、究極の人間愛を描いている。そしてサミラの見出した決心は唸る結末だった。美しい命の物語だった。

ルピタ・ニョンゴの余命わずかな死を感じさせる演技から、雷に合わせて“生きる”と叫ぶシーン。恐怖劇の中でリアルな生きる幸せを魅せてくれた。

災害時、人はどうあるべきかの大原則を説いているが、第1作の前日譚ということになると描写不足だと思う。

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