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「いちご白書」(1970)学園紛争、今、観るべき作品だと思った!

 

バンバンの曲はよく知っている。しかし、このタイトルの映画があることは知らなかった。(笑)NHKBSでの放映で観ました。

1970年代、米国コロンビア大学で起きた学園紛争に参加したある学生手記の映像化この時代に生きたものとして興味を持った。

当時、日本でも70年安保闘争として、米国同様激しい学生の反対闘争が起こっていた。当時、もしかしたらこの国はこれで変わるのかなという感覚を持ったが、運動には参加しなかった。というより参加できない環境にあった。だから彼らの気持ちを考えようともしなかった。

“いちご“というのは当時の学部長が学生を軽くみて付けた綽名のようだが、今の時代にこの作品を観て、決して学生の行動を軽いとは思えない、苦々しくもあるが、悔いのない青春だったと思え、この作品に対する評価は変わるのではないかと思う。

現にコロンビア大学ではイスラエルパレスチナを巡る新たな学生運動が起こっている

原作:作家ジェームズ・クネンお1969年のノンフィクション作品、監督:スチュアート・ハグマン、撮影:ラルフ・ウールジー脚本:イスラエルホロビッツ音楽:イアン・フリーベアーン=スミス、テーマ曲:バフィ・セント=マリー「サークル・ゲーム」。

出演者:ブルース・デイビソン、キム・ダービー、バッド・コート、ジェームズ・クーネン、ダニー・ゴールドマン、マーレイ・マクレオド、他。

物語は、

ごく普通の大学生サイモンは、学生運動に参加する女性リンダと知り合い、リンダと親しくなりたいがために闘争にも参加するようになる。しかし、サイモンの闘争に対する姿勢が気に入らないリンダはサイモンの下を去ってしまい、失望したサイモンは急速に学生運動にのめりこんでいく。(映画COMより)


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あらすじ&感想

大学のボート部エイトの選手・サイモン(ブルース・デイビソン)の練習風景から物語が始まる

彼は6番を漕ぐ。力のいるポジションだ。練習が終わるとシャワーを浴び、ゴキブリが出る古い学生寮に戻ってレコード“Down by the River”を聞く。この歌詞がなんとも凄すぎる。この時代、荒れた世の中だったんだと思い出した。

ある日、練習から戻ると相棒のチャーリー(ダニー・ゴールドマン)が女の子を連れ込んでいた。名はイルマ。学園紛争に参加するという。「学部長室を占拠すべき!大学は人種差別と戦争に加担している。貧困街の遊び場が予備士官訓練所の本部になる。これでは黒人の子供の遊び場が無くなる。学部長は我々をいちご好き程度だと思っている。あんたたちどうするの?」と出かけた。チャーリーが「現場は女子学生で一杯だ」と参加を促した。

ボートの練習前に、ショージ(マーレイ・マクレオド)から「学園紛争で学校が閉ざされたらどうする」と聞かれた。練習後、学生デモの実態を見た

 ポリスにマークされているリンダ((キム・ダービー)に出会った。ポリスに「面倒なことはするな」と注意を受けたたが「黒人がプールで泳げなくなる」とデモに加わり、学部長事務所に駆け込んだ。学生討論会に参加し大学のベトナム戦争関与を聞いた。LDSの味を覚えた。

ベントン教授(イスラエルホロヴィッツ)がやってきて「マウマウ団も来ている。いずれ警官隊が来る」と告げた。サイモンとリンダは屋上に出て体制派と反体制派の衝突を目の当たりにした。

サイモンはリンダとフードパトロール役についた

フード店から「全部持っていけ、奪ってくれれば保険が降りる」と歓迎される。(笑)ふたりで食料一杯のカートの引きながら大学に戻った。学生たちに食べ物を配り、歌“Helpless“を聞きながら雑魚寝で寝た。しかし、大学周辺は警察に囲まれていた。

学園紛争のことなんかよりふたりのデートといった感じで、とても美しく描かれる

サイモンは起床し、ボート部の練習に参加した。チャーリーに昨夜の学生デモで体験したことを喋った。チャーリーも参加することになった。

チャーリーとデモに参加。警官に逮捕された

デモに参加。警官ともみ合って逮捕、護送車に収容され警察署に。ここで警察の求める家族への電話で釈放された。

リンダが「大学が殺人を犯しているのにボート遊びをしているのはおかしい。こんな大学はぶっとべばいい、傍観者にはなりたくない」と言い出す。サイモンは「国全体が腐っている。今は何もしない。20歳だから国を信じる」と答えた。

サイモンはリンダをレコード店に誘い、レコード“Concerto in D Minor, BWV 974 – II. Adagio”を視聴した。リンダがこの曲に恍惚となった。そして、若者たちのストーリーミュージシャンの歌“Fishing Blues”を聞いた後、リンダは「あなたはストに真剣かと思っていたが、呆れ、がっかりした」とサイモンの元から去って行った

 

学園紛争が「大学は予備士官訓練所と手を切れ!校内に銃を持ち込むな」と激化していった

サイモンはボートの練習に参加後、チャーリーと座り込みデモに参加していた。

こんなサイモンに、ボート部の仲間ジョージがシャワー室で「お前の思想が嫌いだ」とタオルで首を締める悪戯を仕掛けた。サイモンは唇を切った。

サイモンはこの怪我を利用して、リンダに立派な闘士である姿を見せたいと、シャツに血を塗り、口を血だらけにして、学生紛争本部にかけえ込んだ

学生会長(ジェームズ・クネン)から「無抵抗だ、バカか!」と叱責されたが、ベントン教授から「警察か?」と認められた。その夜、サイモンは自宅にゲバラの写真を貼り「学生闘士だ」という気分で“The Loner”を聞いた。

サイモンがボートの練習に顔を出すが、嫌がられることはなかった。

リンダは通りすがりで会っても口を利かなかったが、この事件を機に話すようになった。ふたりはメリーゴーランドで遊び、キスをする仲になっていった。

サイモンがリンダをカメラで撮影中、黒人の5人組に襲われた。ふたりは無抵抗を続けたが、カメラを破壊された。

サイモンは学生紛争本部に「黒人ギャングにカメラを壊された。事態は何も変わっていない」と訴え、積極的にデモに参加するようになった。しかし、一方で試験に備え地学を勉強する学生でもあった。

学園紛争に否定的だったジョージがデモに参加し負傷して入院した

サイモンがジョージを見舞い、体制派600人に襲われたと聞く。サイモンは暴力の応酬が先鋭化するのを防ごうと学生部長室を尋ねるが不在だった。秘書に「大学が公園を地域に返さないかぎり、戦争の研究を止めない限り、警官隊を追い払わない限り、近隣の黒人住民に敬意を払わない限り何もかも終わる。TVで報じられている通り、今夜、若者が革命を考えるぞ」と伝えた。

その夜、抗議のため学生たちが体育館に集まり抗議が始まった

TV局が駆けつける。校外には市民が集まり見守っている。州兵に出動命令が下った。学生たちが円陣をつくり床を鳴らしながら“Give Peace a Chance”を歌う。

そこに警察が体育館に雪崩込み催涙弾を捲き、学生たちのゴボウ抜き逮捕が始まった。学生と警察の衝突、リンダが警棒で殴られ、血を流したのを見たサイモンは激怒し、警官隊へ飛びかかっていく。

まとめ

運動系の学生サイモンが、当初、女学生サイモンの気を引くために学園紛争に関わるが、学生集会でベトナム戦争に協力的な大学の実態、黒人差別の廃止に目覚め、無暴力で、積極的に関わるようになっていく。これを当時の名曲で使って描いてくれる。描写にあいまいなところもあるが、当時の環境を思い出しながら、サイモンの行動は、結末は切ないが、理解でき、評価されるべき行動だと思う

彼等の行動で確かに世界は変わった

その後の彼らはどう生きたか?苦い思いを抱きながら、悔いのない青春であったと回想。その曲が松任谷由実さんが作詞作曲した「いちご白書をもう一度」だった。松任谷さん10代の曲に驚いた。

体育館に集まる学生たちが「平和を我らに」と床を鳴らしながら歌う曲“Give Peace a Chance”。デモに参加したくなる曲だった


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