
「ミッドナイトスワン」の内田英治監督が北川景子を主演に迎えて撮りあげたヒューマンサスペンス。内田監督と北川景子のタッグで観ることにしました。
借金取りに追われる母親が子どもたちの夢をかなえるため危険な世界へと足を踏み入れていく姿をスリリングに描き出すというもの。
内田監督らしい社会正義の作品でした。
母親は薬(MDMA)のバイヤーだった。その薬で中毒になった富豪の嫁の娘が死亡。嫁は母親の家族を抹殺!どちらが善か悪かと問われるラストシーン!一番悪いのは母親が真っ当な仕事が持てない世の中を造った、自民党だ。(笑)
ストーリーがちょっと荒過ぎた!(笑)しかし、北川さんと子供たちがすばらしい。これに森田望智さんの格好いい格闘技が加わる。最後まで楽しく観ました。
監督:内田英治、原案:内田英治、脚本:内田英治、撮影:山田弘樹、編集:小美野昌史、音楽:小林洋平。
出演者:北川景子、森田望智、佐久間大介、渋谷龍太、渋川清彦、池内博之、田中麗奈、光石研。
物語は、
借金取りに追われ、2人の子どもを連れて東京へ逃げてきた永島夏希(北川景子)は、昼も夜も必死に働いてもなお、明日の食べものにさえ困る生活を送っていた。そんなある日、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇した彼女は、自らも売人になることを決意する。心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵(森田望智)と出会った夏希は、ボディガード役を買って出た彼女とタッグを組み、さらに危険な取引に手を伸ばす。しかし、ある女子大学生の死をきっかけに、夏希と多摩恵の運命は思わぬ方向へ転がりはじめる(映画COMより)
あらすじ&感想:
冒頭、夏月はスナック「楽園」のホステス。ふたりの子が彼女の帰りを待っている。彼女はトイレで時間稼ぎをして席に戻り、客がすすめるお酒をラッパ飲みし“深夜高速”を生活の苦しさをぶちまくように歌うシーンから物語が始まる。ここでの北川さんの熱唱もみどころかな(笑)
〇夏月は3つの仕事を掛け持ちしながら二人の子育てに必死だった。
長男の小太郎(加藤侑大)が騒ぐ中で目覚ると夫の借金の返済催促、食事を造ろうとガス栓を捻ると“出ない“。請求書の山、それを小太郎が紙飛行機にして遊ぶ。(笑)
朝、バイオリン教室に通わせている長女の小春(渡瀬結美)に「見学にいく」と告げ、小太郎を幼稚園に送り、ラブホテルの清掃員として働く。さらにこの後、地球儀製造会社で働く。ここでは疲れが出て作業が遅いと社長から文句が出る。小春は学校給食が楽しみで、お代わりしてたっぷり食べる。(笑)
〇格闘家の多摩恵もまた生きることに必死だった。
孤児といて育った多摩恵は小さなジムに所属。今日は試合に勝利し、大きな試合を夢見て多田会長(光石研)に稼ぎを全額渡す。彼女には風俗店員の彼氏・池田(佐久間大介)がいるが稼ぎがない。そこでスカートに着替え、デリヘルとしてガニ股でピンクホテルに急ぐ。(笑)
〇夏希の生活の苦しさが続く。
夏月は市役所に「児童手当の先借りは出来ないか?」と相談した。
しかし、無理だった。地球儀屋では相変わらず嫌味を言われる。アパートに戻れば小太郎から「餃子を食べたい」と泣きつかれる。“王将の廻し者か?”と叱れば大泣する小太郎。こんな小太郎が愛しい夏月。
そんな夏月にも希望があった。
小春のバイオリン教場に顔を出して演奏を聞く。先生から素質があると褒められ月謝の値上げを告げられるが、これだけは断れない。(笑)
スナック「楽園」でたっぷり飲まされての帰り、とんでもない拾い物をした!
夏月は気分が悪くゴミ捨て場で吐こうとして、捨てられた3コの餃子弁当を見つけた。(笑)拾おうか止めようかと悩んでいると怪しげな男がふたり組に襲われ何かを盗まれ倒れ込んだ。夏木が男に近寄るときれいな錠剤の入った袋があり、これと先ほど見つけた餃子弁当を持ち帰った。錠剤はMDMAだと分かった。これはひとまず子供の手が届かないところに置き、三人で餃子弁当を食べた。小太郎が喜んだ。夏希は「又買ってくる」と約束した。(笑)
母親思いの子供たちの行いに、もう何も言えない夏希、
夏希は駅裏で、賽銭箱を前に小太郎を遊ばせ教室から借りたバイオリンで演奏する小春姿を見つけた。しかし、夏希は叱らず涙を流した!
〇総合病院院長夫人・星崎みゆきの生活
みゆき(田中麗奈)のする仕事は夫にコーヒーを出し、大学生で娘の桜(瀧七海)から「お金頂戴!」と催促され、何も聞かずに渡すことだった。(笑)
〇夏希、ついに薬の売買を始めた。
夏希は地球儀作業でのミスをひつこく注意され、ついにキレタ!
大暴れして6個の地球儀を壊し倍賞を迫られる。その夜、アパートに戻り隠していた薬を取り出し、「もうこれしかない!」と決めた。
夜、夏希は街頭で薬を売り始めた。
「エクスタシーはどう?」と1シート1万円で男に上手く売りつけた。しかし、それを女の子たちに見られ、ヤクザにチクられ、残りの薬を取り上げられ立つことが出来ない程に殴られた。そこにボクサーの多摩恵が通り掛かった。
多摩恵が夏希をタクシーでアパートに送り届け、ボディーガードを引き受けた。
多摩恵はボクサーだけに夏希の治療を上手く行った。多摩恵は「あそこで商売してはダメだ」と云うが夏希は「金が必要なの」と諦めない。多摩恵は「腹減った」とチキンライスをチンしてもらって食べた。美味かった。多摩恵には母の味に思えた。稼ぎの半分をよこすことを条件にボディーガードを引き受けた。
多摩恵は夏希を薬売買元締のサトウに会わせた。
多摩恵は池田を通じてサトウ(渋谷龍太)に会わせた。サトウは夏希が「子供を育てるために稼ぎたい」が気にいって、薬売買を任せることにした。サトウの方が役所より世の中の役に立っている。(笑)
多摩恵が売買の仕方を指南し、夏希は薬売買で稼げるようになっていった。
多摩恵は先ずSNSのアカウントを準備し「一押し、手渡し」のCMを打った。これに喰いついた人には多摩恵が人見して、夏希に会わせ薬を渡す。これが上手くいうようになって次の段階、直接夏希が客と交渉、トラブルが起きると多摩恵が姿を現す。

こうして売った客の中に桜が居た。1シート3万円で売った。
夏希はこのお金で子供たちのためにひき肉を買い、ハンバーグを造って食べさせた。子供たちに格闘技の選手として多摩恵を紹介した。子供たちは喜んだ。
多摩恵も試合で勝利し、トレーナーの柳(池内博之)に「この実力なら次、行けるぞ」と励まされた。
〇星野みゆきが探偵に娘・桜の行動調査を依頼した。
みゆきは「桜が2週間前から帰らない、主人には相談できない。私に任されている」と元刑事で探偵の岩倉(渋川清彦)に調査を依頼した。
〇夏希は子供のためのもっと稼ぎたいと思うようになった。
夏希は小春のためにバイオリンを買った。夏希は安いものでもと思ったが、多摩恵が協力してそれ相当のバイオリンを買った。小夏はこのバイオリンが気に入り喜んだ。小夏の喜ぶ姿を見て夏希は泣いた!夏月は一層売り上げを増やしたいと思った。
多摩恵の試合相手が決まった。
相手は高田セイコ。池田が「あの女とやったらふっとばされる」と忠告した。しかし、この話は多田会長の借金返済で立ち消えた。多摩恵は将来に不安を覚えた。
夏希と多摩恵は小夏のバイオリン発表会に参加した。
小夏のみごとな演奏で夏希は感激し泣いた。先生から「もっといい教室に」と勧められた。
夏希と子供たちに玉恵恵も加わりファミレスで食事をした。そしてこれ以降、多摩恵を家に招き、一緒に食べ、遊び、家族のようになっていった。
小夏が新しい教室に通うようになった。
小夏の練度は低く先生から基礎をしっかり練習するよう指導を受けた。その帰り、小夏に嫉妬した仲間に襲われ、バイオリンの絃を斬られた。多摩恵は復讐を考えたが、夏希が止めた。夏希は自信を失った小夏を抱きしめ励ました。
その時、夏希に幼稚園からお呼びが掛かってきた。
小太郎が仲間と喧嘩して相手の目を傷つけていた。相手の親から「倍賞金を要求する」と云われ、夏希は土下座して謝った。その夜、小夏が造ったオムライスを食べた。「ママが絶対負けない、多摩ちゃんに似てきた」とメッセージが抱えていた。朝、夏希は携帯で多摩恵を呼び出した。
夏希は多摩恵と一緒にサトウを尋ね5倍の薬を売りたいと申し出た。
サトウは「子供のために尽くす、そんな立派な母親はいない」と認めた。その帰り、夏希は多摩恵に「家族になって欲しい!子供とふたりでは生きていけない。子供たちに未来を見せてやりたい」と申し込んだ。
夏希は多摩恵のガードのもと以前に増して積極的に商売に励んだ!このふたりの行動を探偵の岩倉が見ていた。
〇薬売買人の夏希に危険が迫り始めた。
岩倉は「夏希と多摩恵が桜に薬を打った」とみゆきに報告した。
岩倉はみゆきに「娘さんに薬を得る人たちだ」とふたりの顔写真、夏希の住むアパート写真を示した。みゆきは「このふたりに家族がいるんですか?」と聞いた。「います」と岩倉は答えた。
池田は多摩恵がサトウの手下から受け取る大量の薬を見て「十分稼いだろう、止めとけ!取返しが出来なくなる」と注意した。しかし多摩恵はこれを無視した。
桜が薬の影響で亡くなった!
太った桜がふらふらしながら歩いていると警察官の訊問に引っ掛かった。桜が拒否して走り出し車にぶち当たった。警察からみゆきに「今朝亡くなった、警察にまでご足労願いたい」と電話が入った。
この事故現場にサトウ一味が車で通りがかった。これを見た岩倉が「女ふたりの売人は分かってるぞ」と声を掛けた。
サトウの配下が「処分しましか?」と尋ねた。サトウは「もういない」と無視しようとしたが配下が「見た者がいる」という。
多摩恵の試合相手が決まった、
相手は疾風ジムの京香、12年前のチャンピオンだった。柳は「ダメもとで推薦していた、勝てる」と励ました。
多摩恵は池田から桜が亡くなったことを聞いた。多摩恵は夏希にこのことを伝え「警察が追っている、そろそろ塩時だ」と伝えた。
帰宅した夏希は基地に薬を投げ上げ口で受け取るゲームに熱中している小太郎を見た。夏希は小太郎の口から薬を取り出し、激しく𠮟った。泣く小太郎を見て自分が悲しくなり泣いた!
岩倉がみゆきを尋ね拳銃を渡した。
みゆきは300万円を支払った。岩倉は夏希と多摩恵の住所を渡した。みゆきは「ふたりの子持ち」と再確認した。岩倉は「変なことはないですよね」と確認した。

多摩恵と京香の試合。お互い強烈な打ち合いの末、多摩恵は負けた!
夏希一家、池田も試合に駆け付けた。夏希が試合を見るのは初めてだった。その壮烈な試合に驚いた。
試合はお互いに趙烈な打ち合いで勝負はつかなかったが、次第に多摩恵が劣勢となり顔面に傷を負いダウン、これで負けかと思った。夏希は泣けて見ることが出来なかったが、小春の「ママ、ちゃんと見なアカン」に励まされ、ダウンした多摩恵に視線を送った。これに気付いた多摩恵が立ち上がり再挑戦、しかし激しく殴られダウン、敗北した。夏希はリンクに駆け上がり傷ついた多摩恵を抱き上げ「よくやった、あんたの勝や!」と誉めた。多摩恵が泣いた。人生で最高の幸せを感じたかもしれない。会場からは暖かい声援が送られた。このシーンはすばらしい。
〇夏月はこの商売を止めると決意し旅に出ることにしたが、残念ながらこの夢はかなわなかった。
多摩恵が「もうダメかもしれない」」という。夏希は今が最高に幸せだと思った。これから新しい人生をと“海を見に、旅行しよう”と決めた。
みゆきが拳銃を忍ばせ家をでた。サロウ一味がアジトを出た。小夏はバイオリン教室を終え、アパートに急いでいた。池田がサトウ一味に捕まり、多摩恵の居所を聞かれるが明かさず日本刀で斬られた。

夏希は小太郎を側に置いて新しいスーツケースに持物を詰めていた。
サトウはボクシングジムで多摩恵を捕まえ、「今からお前の決断だ、あの団地の女は・・・、答えれば許す」と尋問。サトウはジムから出てきた。が、多摩恵の姿はない!
アパートに近付くみゆき、小春に会った。みゆきが拳銃を出す。
アパートで旅行準備中の夏希と小太郎、パンという音を聞く。ドアが開き、小太郎が駆け寄った。
部屋に「そこで多摩ちゃんに会った」と小春が部屋に。夏希は「小太郎も」と4人を抱き寄せた。

まとめ:
子供の幸せのために、夏希の仕事は薬売人。これは善か悪かを問う?
分かり易い!善だ!しかし、家族が亡くなっているのが残念!(笑)そんなことより、シングルマザーの息苦しさを描いたとこころに内田監督の社会的正義があると思いました。
夏希と小春、小太郎の家族。夏希が泣き笑いなら愛情一杯で育て、これに応えるように伸びやかに成長する子供たちの姿がいい。小春と小太郎が母の苦労を知って辻立してバイオリン演奏で稼ぐシーン、こういう気持ちの子が持てた母親は最高でしょう。
第49回 日本アカデミー賞で5部門受賞、これにはびっくり!
✿優秀監督賞 内田英治
✿優秀脚本賞 内田英治
✿優秀主演女優賞 北川景子
✿優秀助演女優賞 森田望智
北川景子さんの笑う演技にとても癒されますが、泣きの演技は苦手なように見受けました。初出演の「間宮兄弟」(2006)、森田芳光監督もこんなことを言ったように思いましたが。それでも監督の「辞めるな!」を守って、いい女優さんに成長しましたね。
森田望智さん、男っぽい女性でキックボクサー役。これはよかった、京香との壮烈な試合、これは見事でした。日アカの最優秀助演女優賞、納得しました。
こういうお母さんを応援したいですね。児童手当、抜本的な見直しが必要だと思います。
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