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「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」(2018)

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この作品を選んだ理由は監督が山下敦弘さんで、山田孝之佐藤健荒川良々さんが出演しているということ。「きっと、話はわからんぞ!」と臨みました。()
 
原作はコミック「ハード・コア平成地獄ブラザーズ」作・狩撫麻礼 / 画・いましろたかし)。未読です。
世の中とうまく折り合っていけない男たちが謎のロボットと出会い、人生を一変させていくという物語。
 
あらすじ:
人間関係が希薄になり、バルブ崩壊後は経済成長率も低迷し続けている現代日本。その都会の片隅で細々と生きる権藤右近(山田孝之)は、あまりにも純粋で、信念を曲げることができず、世間に馴染めないアウトロー。弱者を見下し利用しようとする世間に対して、間違いを正そうとする信念を暴力に変えてきた彼は、仕事も居場所もなくした。
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そんな右近の仕事は、群馬の山奥で活動家・金城銀次郎(首くくり栲象)の下で埋蔵金探しを手伝う日々。そしてともに働く牛山(荒川良々)だけが唯一心を許せる友人で、女性を一度も抱いたことがない彼のことを不憫に思い、なんとかしてやりたいと思っている。
 
そんなある日、牛山が住処にしている廃工場で古びたロボットを発見。なぜか自分たちに寄り添うそのロボットに「ロボオ」(石井モタコ)と名付けた彼らは、右近の弟で頭はキレるものの、退屈な毎日に嫌気がさしているエリート商社マンの権藤左近(佐藤健)を抱き込み、人生が一変すると目論んだが・・。
 
感想は、昭和の人間が観るわけですから、「よくわからんかった」です。() しかし、みなさんの役にぴったりの演技がすばらしいです。
 
平成のハード・コアというのは、女との絡み合いだけかともとれる作品で、右近の組頭・水沼(康すおん)の娘・多恵子(石橋けい)への惚れっぷり、牛山の女好きに同情するシーンには大笑いです。ここでの山田さんと石橋さんのラブシーンは必見です。笑える! 撮影中に役に入りすぎ倒れた山田さんに、どのシーンかと尋ねたいです。()
 
平成という時代に生きるハード・コア男の生き様を描いたもの。そのハード・コア魂の恰好よさと阿保らしさに大いに笑いましたが、大金を手にしても、ハード・コアで生きるにはロボットに助けてもらうしかない。切なくなります。物語を一度「完」で締めて、改めてその魂だけは忘れるなと贈ったオリジナルなエンデイングに、監督のやさしさが滲んでいました。( ^)o(^ )
 
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冒頭、ハロウィンで浮かれる若者たち。バーで、きれいなお姉ちゃん(松たか子)見つけて口説くのを見て「クソが」と悪態をつく。喧嘩してカウンターにうつ伏せの右近。こんな右近に、今の自分を重ね、ほっとできるのかもしれませんね。松さんの出番はこれでお終い。これは残念!
 
パンツ丸出しの女に目をやる牛山と鉱山行バスで初対面。
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牛山は田舎の超有名高校をプレシャーで中退。あ~う~しか話せず、やさしいが自分で走りだすことをしない。目下の目標は童貞を捨てること。
 
怪しい結社の会頭・金城銀次郎。暇さえあれば剣を振るが、世直しのために埋蔵金を採掘している。給料をちゃんと支払い、その風貌もあってか右近はこの男に惚れ抜いている。首くくり栲象さんはその筋の存在感があって() ベストなキャステイングでしたが、映画公開前にお亡くなりになったんですね。
 
この会頭を支えるのが水沼。埋蔵金採掘の管理者。人を信用しない性分。右近に牛山の偵察を命じたり、自分の愛人を疑って右近に探らせる。
埋蔵金があると信じているかどうか、会頭の金が目当てのような男。
 
採掘作業の中休みに、右近が「何がしたいか」と牛山に聞くと、バーの女の子の写真を見せる。スナック袋に貯めた小金で2万円があるというので、デリヘル嬢を呼ぶ。が、こいつが親の顔が見たいと説教をたれ、金を盗んで逃げようとする。() 次に、水沼が探らせる女、探ってみるとデリバリーもやるという。そこで牛山に会わせるが、牛山を見て逃げ出す。() 当面、牛山に女を抱かせるのが右近のハード・コア魂らしい。
 
右近が家に戻ると、牛山が俺の監視を命じられたと言い、俺が買った下着を付けている。() 右近のバーでの怒りは何んだったんだ。やせがまんか!
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この牛山が、“だれか死ん・・・”と訪ねてくる。行って見るとそこにロボットが横たわっている。牛山は廃工場の一室を住処にしているが、ここはかってロボット工場であったらしい。
どんくさいロボットだが、コスプレしてバーに連れ出しても誰もロボットとは気づかない。() 話すことが出来ないが感情を解するというサイバーロボット。こいつもひとりぼっちで孤独者と右近、牛山、ロボオの三人コンビが出来上がる。
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そこに左近が訪ねてきて、コンピューターを通して自己紹介してもらう。すると、とんでもないAI機能の持ち主。
 
こいつには命令すれば何でもできるという左近の具申で、右近が埋蔵金探索を命じるとたちまちのうちに、その所在を発見。
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どうやら軍がこの坑道に埋めたものらしい。しかし、右近はこの金を「俺を拾ってくれた会頭に渡す」とハード・コア魂で断る。左近は「こんな弟だからいうぞ!俺に任せろ」と兄を説得する。千両箱を燃やし小判を岩の中に隠す。
 
この平成の兄弟はよく殴り合いの喧嘩もするが、落ち着くところに落ち着く。左近もどこか右近の自由人たる正義感に憧れている。これがおもしろいところ。
 
ここからの毎日の埋蔵金採掘作業は、ごまかし作業だが、会頭、水沼は気づかない。
 
こんななかで、水沼が埋蔵金が見つからないことにしびれをきらし、家に右近を招き「採掘を諦めるな!採掘を続けることこそが会頭のためになる」と説く。そこに出戻りの娘多恵子が現れ、この娘に一目ぼれ。容姿は良くも悪くもないがとんでもない尻軽女、もう埋蔵金のことなど忘れたようだ。
 
居酒屋で左近が多恵子について
「やめとけ兄貴には手に負えない。セックスは女の武器だ。本人に自覚がないのが一番悪い」
「可愛いブリッコのどこがいい」
「こんな生活ではいい女はつくれない。出直せ」
「間違っているのは世の中だ」
「要領よくやれ!」
「おれはちゃんと生きてきた」
兄弟が殴り合って、左近は兄を残して、店を出た。
 
ここから、右近は多恵子にのめり込んでいく。彼流のハードコアを突き進むが、「次は3Pよ」と所望される。()
一方、左近はチャイナシンジケートを使って、現金にしてくると出かけた。
 
多恵子と電話セックスをしているとことに、「会頭が民間人を殺した。遺体を牛山のところで預かって欲しい」とやってくる。
 
世間が落ち着いたら埋葬するという水沼の言葉で、右近は新聞で様子を見ていると、東シナ海で船中のなかにふたりの日本人の遺体が見つかったというニュースが流れる。
水沼からは「会頭がお前の顔を見たいといっている」と電話があり、右近は「命を捨てて守る」と答える。
 
右近が、牛山の住処にやってきて、「左近が金を持って戻ったらどうする」と聞くと、女の写真を見せる。「俺たち三人はずっと一緒だ」と言ってるところに、廃工場が警察に取り囲まれてしまう。
ロボオが飛び込んできて、「スーツケースの中味は会頭。殺したのは水沼だ」という。
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これを聞いた右近は警察に向かって「違う、俺たちでない!」と叫ぶと、ロボオのロケットエンジンが吹いて、三人が空に舞い上がる。ロボオは「ここから先はプログラムがない。最適行動をとる」と空のかなたに消える。右近のハード・コアを守る決断だった?
 
ふたつのジュラルミンケースを持って、左近が牛山の住処にやってくるが誰もいない。「完」
 
右近はロボオによって、ぎりぎりのところで、平成のハード・コアを保ち得た。ハード・コアで生きるとはこんなものかもしれません。しかし、切なくなります。
ここから番外編、消えた右近と牛山の近況が伝えられます。
 
「売れる映画なんぞつくらんぞ」という監督の声が聞こえてきそうです()
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