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第44回「士族たちの動乱」

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明治611月。鹿児島に戻った隆盛(鈴木亮平)は、畑仕事をしたり、愛犬をつれて狩りに行ったりと、静かに毎日を過ごしていた。ときには一心不乱に漢詩をしたためる。それを見た糸(黒木華)は、漢字は読めないが、心が軽くなったように感じられるという。
 
桐野(大野拓郎)や別府(田上晃吉)、篠原国幹榊英雄)、辺見十郎太(持永雄恵)が隆盛を訪ねてきて、「陸軍将校や近衛から薩摩の連中が続々と引いている」と言う。
 
そこに、小兵衛(上川周作)が「皆を連れ戻せと従道兄に言われ、ここまで追ってきた」と飛び込んでくる。桐野が「官もいらず、名もいらず、これが薩摩隼人の心意気」という。
隆盛は「何が心意気か!桐野も、篠原の陸軍少将だ。ひとりひとりが政府の重役を担わねばならん」と叱る。
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桐野は「先生の後を追うのではない。先生に東京に戻ってもらいたい。政府を倒してもらいたい。大久保のところでは働けん。そうせねばまた腐敗する」と訴える。「ならん!ここに二度とくるな!」と追い返す。
 
鹿児島県庁では、書状を読んだ県令の大山綱良北村有起哉)が「これはいかん、いかん。陸軍、近衛兵が政府を辞めて帰ってくる」と事態を心配する。
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これに海江田(高橋光臣)が「愉快じゃ!一蔵の慌てている顔が目に浮かぶ」と笑う。
大山は「よう聞け!これまでに戻った者たちを合わせると600人もの薩摩士族が一気に職を失たわけだが、鹿児島にはろくな食い扶持もない。しかも精鋭兵じゃ。この連中が政府への不満を暴発させたら、どげんことになるか?」と声を荒げる。
 
西郷宅に、桐野らがあいもかわらず「先生はどこにいるか」と訪ねてくる。糸が対応に出ると「薩摩に戻っているものが日に日に増えている。先生が立ち上がらないととんでもないことが起きます。そう先生に伝えて欲しい」という。
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糸が「勝手なことは言わないでほしい。皆さんを見ていると腹が立つ。旦那さんは新しい国をつくるために走って来ました。それを見た皆さんが今度は自分で走る番でしょう」と訴える。半次郎は丁寧に一礼して帰って行った。()
 
明治71874)年1月。東京では、洋行帰りの新八(堀井新太)と川路(泉澤祐希)が、内務省を訪れていた。
案内する従道(錦戸亮)に「信吾はなんで行かんかったとな?ここに残って」と新八が問う。「まさかお前らふたりは薩摩に帰るとは言わんだろうな。せっかく欧米で学んできたものを無駄にせんでもらいたい」と従道。
 
参議で内務卿という絶大なる権力者となった大久保がふたりを呼び出し「俺の手助けをして欲しい。政府に反対するものを取り締まる」と言い、従道が「警保寮の立て直し」を提示する。
しかし、新八は、「隆盛が何故政府を去ったのか」を問うと、大久保が「自分の役目が終わったと薩摩に戻った」というが、理由に納得がいかず、返事を保留する。
一方、川路は、「隆盛に恩はあるが、国家の安全のため、一日も休めない」と私情を捨て任務を引き受けた。
 
そんなとき、岩倉(鶴瓶)が刺客に襲われ「怖かった、怖かった」と大げさに叫びながら戻ってくる。この騒ぎようが、みじめで品がない。()
 
閣議では、この事件は元土佐藩士らによるもので、板垣たちを追い出した岩倉への意趣返しということになる。
伊藤(浜野謙太)は「佐賀で江藤(追田孝也)が立つ」と言い、木戸(玉山鉄二)が「反乱は一気に燃え上がる。問題は鹿児島だ。抑え込むのは至難の業だ」と発言するが、大久保が「心配ご無用。西郷が立つことは、断じてない」と断言する。
 
当の隆盛は熊吉(塚地武雄)を連れ、湯治場に来ていた。熊吉が「・・のんびりと温泉につかっているわけがない」と隆盛に探りを入れると、「自分の望みはひとりの農民として終わること。もうひとつは一蔵どんが作る日本を見たい!」という。
 
このとき、すでに政府への不満を募らせる士族たちは暴発寸前だった。
 
鹿児島では、彼らの増悪は大久保に向けられた。家に石が投げ込まれ、それを包んだ紙には「奸臣大久保」など罵倒の言葉が書かれていた。
気丈な満寿(美村理江)も、隆盛を訪ね「旦那さんは来いというがここで墓を守る、それにいい女がいるようだから行きたくないが、この状況では」と相談する。やがて、この事態に満寿たちは東京に旅立った。
 
明治7年2月15日には、江藤率いる佐賀軍6000が政府軍の守る佐賀城へと攻撃を仕掛けた。しかし、最新の兵器を装備した政府軍の前に、佐賀軍はあっけなく敗れた。
 
桐野らのところにも佐賀の情報が伝えられ、皆が騒ぎだす。「おれたちは先生に東京に出てきてもらうのが目的だ」と桐野はこの事態を憂慮する。
 
深夜、江藤が力を貸して欲しいと隆盛のもとにやってきた。
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江藤は「隆盛が決起すれば、後藤や板垣も必ず立つ。もう一度政府を取り戻すことができる」と決起を促す。しかし、隆盛は「政府を取り戻したいとも、潰したいとも思っていない」と拒否。「鹿児島から政府を支えることを考えている。あんたのは私情だ、戦など言語道断」と挙兵をきっぱりと断る。
江藤は「西郷隆盛には失望した!」と家を飛び出し、同志に「西郷は話にならん」と伝え、去っていった。
 
このあと、江藤は政府軍に捕えられ、佐賀に進出してきた大久保によって即刻処刑された。まともな裁判も行われず、それも斬首が申し渡され、即日の実行だった。
 
この処罰について、木戸が「晒首はやりすぎではないか」と問うと、大久保は「これは見せしめだ!江藤さんの“最期の務め”です」という。
 
大久保が満寿と子供たちに建てた新居にゆう(内田有紀)が訪ねる。大久保が帰ってくるとゆうが「家へのお帰りは1と6がつく日にします。満寿さんと取り決めました」と言って、去っていく。()
こうして、大久保は満寿とその子どもたちとゆうに気遣うことなく過ごせるのでした。とても、賢いおゆうさんでした!こんなこと描かなくても・・()
 
田を耕す隆盛に、雪峰が「むごい仕打ちや。首を晒しただけでは飽き足らず、新聞に書き立てるとは皆震え挙がるぞ」と大久保のやり方を非難すると「これが政府の思惑か、震えるだけでなく怒りを表す者も出てくる」と心配する。
 
半次郎たちにも佐賀の状況が伝わり、鉄砲を持ち出し、刀を振って政府への不満を表す者が出始める。
 
県令の執務室に隆盛が突然やってきて「どうやって暴発を止めるかやっとわかった。薩摩に士族の学校をこしらえる」と大山に資金を要求する。
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「剣術、銃や大砲の扱いに加え、漢字から洋楽まであらゆる学問を教える。ここから、いずれはその中から異国へ留学するものもいるかもしれない。あるいは、商いや畑仕事を始める者も出る。日本は変わらねばならん」と大山を説く。
 
大山がこれを聞いて「そろいもそろって、勝手なこのばかり言うな」とため息を漏らすと、「政府を辞めて帰ってきた」と新八は現れる。
新八は「政府を辞めて帰ってきた。欧米の文明は見てきた。青い顔して鼠のような民がいた。そこで暮らす人間は決して幸せそうではなかった。そんな国を目指す大久保の手伝いはできない」と言い、「西郷がつくる学校を手伝いたい」と申し出る。
 
新八は西郷家で手風琴を弾いて聞かせる。皆が驚く!
 
そこに桐野らが現れ、「先生、おれたちは一生懸命考えた。政府を変え、先生と一緒に世直しをしたい。先生がいないと日本は亡ぶ」と隆盛に訴えるが、「おれはそんな大層なもんではない。学校を手伝ってくれ」と勧める。
桐野は「そげんなもの作って、政府にはもどらないのか!」と断る。
隆盛の「もういい、前を向かって進め!」に、「おいはいつまでも先生の背中を追いたい」と桐野は泣いて帰っていく。() 陸軍少将が泣く、随分と感情家だったんだ。ここで描かれる桐野はガキですね。(笑)
 
明治7年6月、隆盛の願いによって建てられた学校は「私学校」と名付けられ、教育が始まる。新八が英語を教え、篠原らが剣術を教える。
そして、菊次郎(今井悠貴)と宗介がアメリカ留学から帰国し、この学校に通うことになった。
 
「いまの先生は腰抜けだ」とこれに反発する輩を退け、桐野はひとりマスクで顔を隠し私学校に斬り切り込み“示現流”の切れ味を見せる。
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そして、「銃には弾がいる。弾がなくなったら剣だ」と剣の大切さを説く。そして、「先生お世話になります」と隆盛に頭を下げる。
決起を望んでいた桐野も、最後には隆盛の頼みを受け入れ、学校を手伝うことになった。桐野という人は相当時代遅れの人だったんですね!
 
東京では、川路が「西郷の学校に不満者がぞくぞくと集まっている」と大久保に報告する。大久保は「密偵の数を増やせ!」と指示。これがやがて西南戦争の火種になるとは。「さすがは吉之助さだ(罠にはまった)」という大久保の声。
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感想:
隆盛が薩摩に帰還してから、私学校を立ち上げるまでのはなしが、史実をなぞるような形で、桐野・新八の動き、佐賀の乱後の江藤との面談、私学校設立の経緯が描かれ、特に桐野の動きに焦点が当てられました。
 
しかし、あまりにも淡々とした描写で不満でした!
「士族の反乱」というタイトルで、佐賀の乱に触れるが、その動機・規模。実態の描写がない。政府に不満、不満と騒ぐが、何にどう不満なのかが描かれない。
士族が騒ぐからと、ふって沸いたように陸軍士官学校のような私学校をつくって、政府に協力するという意味が分からない。これでは中央から見ると「西郷に挙兵あり」と見るでしょうね。火種などと言っておれないでしょう。
 
篠原国幹が初めて登場、鹿児島に戻ってくるエピソードが欲しかった。そして、新八が戻ってきた理由もよくわからなかった。
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記事 20181126
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